朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

邦楽オールタイムベスト①

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邦楽について分けて書こうかなと思ったんですが(あんま聞いてないし)、昨年そういえばツイッターで邦楽オールタイムベスト投票ってのが流行り、投票はしなかったけど仲間内でリスト作って公開するってのをやったので、そこで選んだのを中心+最近マジで良かったやつとかを思い出込みで書いてこうと思います。


 

LOSTAGE - Guiter(2014)

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LOSTAGE、元々は4ピースでぶっといギター二本を生かした轟音エモとも呼べるポストハードコアサウンドにどう日本語を乗せるか・・・というバンドだったのが2009年のメンバー脱退を境に3ピースへと転身。基本はエモ~オルタナを横断しつつハードロックやダブ等様々な顔を見せつつもストイックに音をそぎ落とし、歌もの要素もどんどん強まっていき・・・て感じですが、今作4ピース時代の轟音要素と3ピース以降のバンドサウンドがいい感じにバランスよく完成されててある意味到達点という気もします。

エモ・・・を通り越しポストロックにまで近づいたような優しいギターの包み方をしてくれるんですが、いややっぱ基本ギターロック的ですが一瞬そう言いたくなるような暖かみがあるのはやっぱり五味さんの歌かな。スケール感広い轟音要素もガッツリ残ってる中「どこでもない」とか「路傍の花」とかで見せる収束してそぎ落とした瞬間のギターの音は隙間の中で本当に映える。元々歌詞が好きなバンドで、抽象的ながら時折見せる強烈な人間らしい言葉のやさしさに触れた瞬間そのギャップに泣いてしまう・・・。ブッチャーズに捧げる「美しき敗北者達」なんてタイトルから良すぎますね。

 

Tatuki Seksu - Hanazawa EP(2011)

Tatuki Seksu – Hanazawa EP (2011, 320 kbps, File) - Discogs

出会ったときの衝撃がマジで凄まじかったネットレーベル発のシューゲイザー名盤。花澤香菜のアニソンやキャラソンからボーカルを抽出しそこに轟音ノイズを乗せるというまさにインターネット感のあるリミックスのようなアルバムですが、演奏も打ち込みではなくこれを録るためにレコーディングしたという力の入りっぷり。そして彼女のウィスパー風味の声質がシューゲイザー特有の甘美さや浮遊感と相性が良すぎて、1曲目の「プリコグ」から本来アニソン(これはゲームからですが)らしいかわいらしいコーラスがドリーミーでミステリアスになるという超化学反応が起きてました。「恋愛サーキュレーション」でも大轟音の中でも声質のおかげでハッキリと存在感があり異物感が一切ない・・・。

基本的にはマイブラリスペクトの王道シューゲイズ、ですがマンチェっぽいダンサンブルさはなく、むしろ重めのノイズがより強烈に乗っててオルタナ度かなり強め。ていうかこれもうオタクの夢みたいなもんですよ、いや発想はわかるし本当にピンポイントに突き刺さるものだけどそれにしても素材が良すぎるし、演奏も良すぎるしで広く聴ける作品だと思うんですよ。マジですごい。

 

Elfs In Bloom - Girl Meets Manifesto(2012)

Girl Meets Manifesto | Elfs In Bloom | Canata Records

こちらもネットレーベル発で、For Tracy HydeやTenkiameで知られる夏bot氏主宰のCanata Recordsより。ギターポップシューゲイザーへと発展していくその瞬間を切り抜いたようなアルバムで、ジザメリのダークランズにもうちょいノイズ足して疾走感足した感じです、でもうダークランズ大好きな僕にはもうヤバイっす・・・。だってこういうジザメリのアルバム聞きたかったって思ってたみたいのがまさしく具現化した作品だし、しかもElfs In Bloom終了後の新バンドHappy Vally Rice Showerの1曲目が「Just Like Lucy」でもろオマージュなんですよ。

「I See Your Face And Feel Ecstasy」はキュアーとかも思い出すギターポップにほんのちょっとの甘いノイズとあととにかくメロディーも良すぎるしでマジで大名曲だし、ちょっとUSオルタナっぽい重さもある轟音シューゲイズからオアシスっぽいギターリフが飛び出す「Resurection」もほんとに泣けます。先ほどの後継バンドHVRSの方で再録も多いんですが、アルバムの流れや少しくぐもったローファイな録音だからこそ感じるノイズと甘酸っぱさのバランスや統一感含め本当に好きな作品です。あと地味にコンポーザーのたびけん氏によるブログ(空白依存症)にもめちゃくちゃ影響を受けていてかなりのバンドをここから知りました。

 

syrup16g - coup d'Etat(2002)

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音楽においてベストを選ぶという際、歌詞について選ぶのかサウンドについて選ぶのかで全然意味合いが変わってくるし、それら一緒にしたこういうベスト的なものって同じ物差しじゃないので意味ないんじゃないか?とかいろいろ考えてしまうわけです。歌ってる内容に全く同意できなくても鳴ってる音がとにかく素晴らしくて、その感動が歌詞を超えてしまう状況もあるわけだしまぁ難しいよね。しかし時折、歌詞もサウンドも好みド直球という音楽が出てくることもあり、それが完璧に同じ方向で入ってきたのがこちらの「coup d'Etat」です。80sのニューウェーブ〜ネオサイケっぽいギター音からシューゲイザー前夜までの変遷を一枚でやりつつグランジのようなわかりやすいヘヴィさもあり、syrup16gのアルバムでは一番攻撃的だと思います。

そして歌、彼の作詞って人に伝えるフォーマットにしているというより本当に己の言葉を連ねていて、だからこそ生っぽいというか、こっちから歩み寄ることでハッとすることが多いというか、好きなサウンドの中から欲しかった言葉が出てくるので、ここにいてもいいと言ってくれるような気持ちになるんですね。このバンドの歌詞については死ぬ程色んなサイトで語られてますが、王道だけど僕は「汚れたいだけ」とか「ハピネス」はいつ聞いても泣きます。

 

gorup_inou - MAP(2014)

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歌詞の流れでこれ選ぶのも変な話ですが、group_inouのMAPですね。彼らの音楽って最初の頃は支離滅裂な言葉の羅列の中一瞬ハッとくるものがあり、そのワードチョイスにとにかく中毒性があり・・・という感じだったのが、個人的に一番胸にささってくるアルバムがこれなんですけども。最終作ということだけあってトラックが一番洗練されてて最早歌詞なくても十分ストーリー性があり、キャッチーでノスタルジックな電子音楽として聴けてしまうけど、そんな中ハッキリと音と言葉がハマって一つの形になる瞬間があるんですよ。「MANSION」での「屋根からなんか見える」とか「CHOICE」での「あっという間の毎日うっとり」とか、前後性無かったり言葉遊びに近い部分もあるんですが予想外なところでそれが体に入ったときに強烈に琴線に触れる瞬間がある。これは僕の聞くタイミングとかシチュエーションにもよるものなんで個人差ありますが、そういう瞬間が散りばめられたアルバムなんですね。

 

OGRE YOU ASSHOLE - アルファベータ vs. ラムダ(2007)

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単音ギターによるツインギターのアンサンブルをつきつめた結果テレヴィジョン~ポストパンク的な無機質な質感と人懐っこいメロディーが同居した最高のジャパニーズ・インディーロックアルバム。しかも3~5分間のポップソングが続く中でもマーキー・ムーン後半のような徐々に熱くなる展開が盛り込まれていて僕が追い求めるUSインディー的緩やかなサウンドとギターアンサンブルってのはこれが一番理想です。

でこのアルバムについてこのブログで書くのたぶん三回目とかになるので以下をどうぞ、でもベストというテーマで絶対に無視できなかった・・・。

OGRE YOU ASSHOLE - アルファベータ vs. ラムダ (2007) - 朱莉TeenageRiot

記録シリーズ:OGRE YOU ASSHOLE - 朱莉TeenageRiot

 

NUMBER GIRL - サッポロ OMOIDE IN MY HEAD状態(2005)

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邦楽オールタイムベストという言葉を聞いて最初に浮かんだアルバムがこれだったけどまぁ聞いたときの自分への衝撃とそれ以降の方向性を決定的にしたという意味でも、普通に沢山聞きましたって言う回数的なものでも間違いなくナンバーワンでしょう。

元々アジカンベボベといった00年代邦楽ギターロック(これがリアタイでした)の影響元ということで辿ったんですが、スタジオ盤を聞くとちょっと癖が強くて中々入り込めなった自分が、ライブ盤でその聞きづらさが全て解消され(単純に音圧とかギターの太さとかフレーズのわかりやすさとかありますが、一番デカイのは向井秀徳のボーカルがぐんと聞きやすい&パワフルに)、解散作ということでセトリも集大成、コンディションも最強だったわけです。

でまぁライブまるごと保存なので当たり前っちゃ当たり前ですが、最初聞いたときコンセプチュアルに聞こえ全然原曲と違う音&アレンジされまくりだしで普通に新しいオリジナルアルバム聞いた感触だったんですね。流れ、完璧だし。あとナンバガ的なジャキジャキのオルタナサウンドってのは割とスタジオ盤のイメージで、こっちだと手数も多いしギターも分厚いのに埋め尽くされず4人のアンサンブルの隙間が見えるというか、フレーズの組みあがり方がハッキリとわかるというか、全員個性が強いってのもあるけどそういうのがちょっとレッド・ツェッペリン的に聞こえてめちゃくちゃかっこいいんですね。最初間違えてディスク2から再生しちゃったけどSappukeiでのクリーンなギターによる2音の繰り返しの緊張感と流れるように爆発して爆裂ノイジーに飲み込んでくこのカタルシスとか、スタジオ盤だともっとヒリヒリしたポストパンクの感触なのでまるで違いますしね。ギターのザクザク感とか・・・とにかくかっこいいです。ベストでしょう。

 

THA BLUE HERB - SELL OUR SOUL(2002)

STILL STANDING IN THE BOG/THA BLUE HERB 収録アルバム『SELL OUR SOUL』 試聴・音楽ダウンロード  【mysound】

最後にもう一点、こちらも言葉に衝撃を受けたアーティストでナンバーガールが解散ライブのMCで語っていたことをきっかけに聞いたTHA BLUE HERB。普段あまりヒップホップ聞かないのですが所謂90sのヒップホップ的なブラックミュージックのノリがほとんどなく、ゴスゴスと体に響く破壊的に加工されたドラムの生音はロックからも非常にアクセスしやすいと思います。ちょっとリズムも和的だしかなりローファイなのでバンドサウンドっぽさがあるというか。で尚且つ歌い方もラップというよりは半分ポエトリーディングに近いと思えるものもありナンバーガールZAZEN BOYSという変遷を聞いていた自分には非常に納得。

とは言いつつも、リズムやサウンドよりも一番やられたのはやっぱり言葉の力ですね。彼らの作品で最も尖っていたのが1st「STILLING, STILL DREAMING」で地方VS東京というフィールドを作り上げた非常に攻撃的な作品で、こちらも向井秀徳が冷凍都市という仮想敵を作り上げSAPPUKEIを作り上げたことから影響を感じたところです。で今作はその延長戦上、に立ちつつもう少し内面的なものを掘り下げていくアルバムで「STILL STANDING IN THE BOG」ではモノ造りは信仰であると掲げる現在地と決意表明、「路上」ではもうヒップホップの枠を超え音楽を聴きながら一つの小説を読み終えたかのような、自分とは程遠い世界を生きている一人の男の人生を”追体験”するような曲で衝撃でした。


 

以上です。順位は一応つけてましたがとくに意味ないなとなりぱっと思いついたの並べた感じですが、残りもどっかで・・・