朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

discography④ Slint以降のポストロック~ポストハードコア

f:id:babylon5000:20210602123030j:plain

前回に引き続きSlint以降というテーマで選んでいきます。かなりポストロック寄りで個人的に共通項を見出せるアルバムを7枚+1枚。


 

Ativin - German Water(1998)

Amazon | German Water [Analog] | Ativin | 輸入盤 | 音楽

1st。Rodanとかの抒情的な曲でのメロディアスなギターフレーズをもうちょと小刻みなリフにして反復させてくって感じで、マスロックバンドにしてはキメがあったり長尺の曲があるわけではないんですがリフの捻じれ具合はかなり通じるところがあります。でこのリフの反復の中でパターンを入れ替えて緩やかに展開していく・・・という曲が多く、マスロック寄りのインディーロックって方がしっくりくるかもしれない。スロウコアやアメフト方面が好きな人にも。

 

Ativin - Interiors(2002)

そして2nd、前作を踏襲しつつもリードトラックの「Scissors」が音をそぎ落としミニマルに淡々とフレーズを繰り返していくんですがかなり不穏な空気を漂わせてSlintのRhodaとか初期インスト曲に近い感覚があります。リフの雰囲気も前作の緩く聞けるエモにも通じるような抒情性のあったものが、今作ではじめっとした陰鬱なものに変わっていて、緊張感もあるしよりポストロック的になったと思います。あくまでバンドサウンドなんですけど醸し出す雰囲気がダークな方向に行っていてSpiderland直系というか、曲調はもう少し早くラフにしたような質感ですが関連作としてかなり良い感じです。

ただここまで深いとこ突き進んでも「When the Sky Turns Clear」という7分の曲を除けばあくまで2~4分くらいのサイズで次々曲が進んでいくのがAtivinらしいなと思います。おかげで曲の雰囲気は重くても普通にリフはかっこいいのでどんどん聞けますね。

 

Ativin - Summing The Approach(1999)

Ativin – Summing The Approach (1999, CD) - Discogs

そして同時期のEPでこれが素晴らしく、表題曲「Summing The Approach」に関しては序盤アンビエントか?と勘違いするくらい空間的な音色によるインストで一度闇に潜り、そのまま違和感なく今までの作品を思い出すタイトなセッションが始まるという曲で、この静寂パートと最小限の音のみで構成されたアンサンブルは完全にスロウコア~ポストロックとして聞けます。最後の「My Eyes Of Yours」とかもスロウコア度高めかつ今までのマスロックっぽいリフと最小限な音の反復感も残っており、SlintというよりThe For Carnationとかのが近いかも。曲数少ないですがかなり濃いEPで、ちなみにスティーヴ・アルビニ録音なのも完璧にマッチしてます。

 

Rumah Sakit - Rumah Sakit(2000)

MONOやExplosion In The Skyを擁するポストロック名家Temporary Residenceよりリリース。ここまでくるとSlint~Rodanの系列というよりDon Caballeroに近く尚且つ実際に同系列として語られることが多いバンドですが、Don Ccaballeroの緻密に組まれたプログレッシブな曲群と比べると、ジャズとかプログレの方に向かいすぎずセッションの中でどんどんエモーショナルにギアを上げていくというシンプルにロックの熱さやダイナミズムが強いかもです。で割とそういうところがRodanとかと重ねて聞けちゃいますね。それこそDon CaballeroもRodanも通過した上での次の世代のポストロック、というか。

 

Rumah Sakit - Obscured By Clowns(2002)

Amazon | Obscured By Clowns | Rumah Sakit | ロック | 音楽

大傑作2nd。ストレートに盛り上がってく1stも好きでしたがこちらはよりインプロ色が増しギターの線も細くなり、より複雑な変拍子ギターリフとメロディアスに絡みあうリズム隊が骨組みとなってどんどん展開していきます。「Sausage Full Of Secrets "Live"」という曲名からまさしくライブ感そのものを保存したような長尺な曲が多く、最終曲も開幕のインストと関連付けていて、バンドとしてのセッションそのものを音源にしてしまったようなライブバンドとしての真価が聞ける作品。1stの延長線として是非。

 

Sweep The Leg Johnny - Tomorrow We Will Run Faster(1999)

先述したRumah Sakitと合同ライブ盤を出すなどしていたバンドで、実際ドンキャバ~Rumah Sakitの流れで聞けるバンドですが、今あげた二つと比べるとかなりハードコア色が強く一番激しいです。で尚且つメンバーにサックスがいるためまず大分音色が違い、サックスがハードコア要素に追加されるともはやカオスとも言える音の飛散具合でフリージャズ聞いてるときの不協和音ノイズに近いですね。静寂パートも多く「Rest Stop」「Skin」辺りはもろSlintを感じる展開があり、まさにSlintとKIng Crimsonを繋げつつ好き放題やるという予測不能のアルバムで、長尺の曲も多いんですが40分でまとめ上げてさくっと聞ける名盤。

 

Sweep The Leg Johnny - Going Down Swingin'(2002)

4th。こちらでRumah sakitのギタリストも参加してより推し進めた作品で相変わらずハードコア+サックス+プログレッシブな展開という詰め込み具合によるカオス。よりジャズの色が強まってきて長い曲が更に増えてきてますし、静寂パートも極端なものはなくなり、曲全体の世界観の解像度もかなりくっきりしてます。ここまでくるとSlint以降というテーマから脱線してきますが、解散後にメンバーのクリス・デイリーはJune of 44やHooverで知られるフレッド・アースキンとJust a Fireを結成。再び繋がってきます。

 

Just A Fire - Light Up(2004)

というわけでJust a Fire、今までHooverやその派生バンド諸々にJune of 44、HiMと言った数々のバンドで強い影響力を及ぼし当時のポストロック~ハードコアシーンの土台となったフレッド・アースキンが今度は自らボーカルをとります。

June of 44がポストハードコアからスタートしアルバム減るごとに徐々にダブ~ジャズ化しHiMに繋がったことや、Hoover解散後に同メンバーでAbileanを結成しまたしてもダブに接近したことなど、上記のバンドには全てフレッド・アースキンがベーシストで参加しておりどんどんダブ・レゲエを意識した作風へと変化していくんですよね。で今作は最初からその状態で結成、てことでガッツリとポストロックなのかと思いきや、意外なことにディスコーダントで硬質なポストハードコアを鳴らしておりかなりかっこいいです。とは言いつつもろレゲエを思い出すミニマルなベースラインが挿入されたり複雑なリズム展開を見せたり、今まで"ポストロック的な"アプローチで行われていたことがストレートにハードコア直系で鳴ってきます。元々こっちの趣向で初期Hooverとかが一番彼の色強かったのかなぁとか考えてしまいますがかなりオススメ。Spotifyに無いのが残念。

 

 

 


関連記事

前回と発端になったシーンについてです。