あとは絶年氏が担当したPilot、にんず氏本人が担当したMikrokleinstgartenは、自分がこれまで追ってきたシーンとは全く違った地で歴史を紡いだインディーロックの重要な記録であり、完全に初見だけどすごく惹かれた。こういった未知のレーベルの背景を個人の視点で切り取ってくれ、且つレコメンドやカテゴライズが見れるのは本当にありがたい。あとはPC一つで完結できる、という点で宅録やDIYと相性がいいのもあると思うけど、エクスぺリメンタルな電子音楽やクラブ・ミュージックをメインにしたレーベルの扱いも多い。この辺に関してはニューエイジ・ミュージック・ディスクガイドの著者及びSiren for Charlotteというレーベルの運営で知られる門脇さん(猫街まろん氏)も参加していて、氏が普段から公開している、アーカイブとしても濃密なプレイリスト群は、未知の音楽を聴きたくなったときによく活用させてもらっていて、そういった活動と本書のコンセプトの合致具合もすごく良いなと思った。
自分自身ニューメタル自体にはちょっと苦手意識を持ってた時期が長かった。ただグランジを聴き続ける中でAlice In Chainsにハマり、枯れた/陰鬱なヘヴィロック的な音像を求める中でKornやDeftonesも気づいたら夢中になって聞くようになった。今では同じ括りで語られていたことにどうしても時代を感じてしまうが、どちらもThe Cureがルーツにある気がしたのが良かったし、あとはDischordやTouch and Goを辿る中でポストハードコアに惹かれていたのもあり、DeftonesがJawboxをカバーしていたという事実も大きかった。これがファーストコンタクトだった。それが丁度10年代後半で、初リアルタイムのDeftones作品がOhmsだったことを覚えている。以前別記事でも語ったが、Farとはサクラメントのシーンで密接に繋がっていて、シンコーから出ているエモのディスクガイドではDeftonesが登場したりもして、チューニングを落としてヘヴィになったエモとして聞いてるファンも多いのではないかと思う。自分も入り口はそんなんだった。
開幕入場からの即Be Quiet and Drive (Far Away)の会場の盛り上がりは一生忘れないだろう。最初イントロの音がかなり小さくメンバー入場による歓声でほぼ何も聞こえなかったのだが、数秒後突然爆発するみたいに音量がアップ(普通にトラブルだったらしい)、同時に熱狂するオーディエンスは流石に脳が沸騰するかと思うくらい興奮した。何よりステージを跳ねまわる、MVでの動きも想起してしまうような躍動感あふれるチノ・モレノのパフォーマンスが熱い。フロントマンとしての圧倒的な存在感、ゴシックでダークな瞬間もあれば野生味のあるスポーティな瞬間も多数ある。歌というか声自体が一つのリフでありウワモノであり、放り捨てるように単発のメロディを配置するような独自のボーカルそのものが、チノの全身で歌うような体の動きとリンクしていて視覚的にグルーヴがわかりやすく、一つのスタイルとして音楽的に直結してるものを感じた。音源がしっくりこない人も是非肉眼で見てほしい、ライブ動画で既存楽曲を見るだけでも発見が多いバンドだと思う。
Swerve City→Diamond Eyesで改めてこの時期(Diamond Eyes→Koi No Yokan)のスタジアム・ロック然とした壮大で広がりのあるサウンド、伸びのあるボーカルといった大きな会場に対応した楽曲のスケール感はバンドの歩みとライブの規模が呼応しているのを思い知る。歪みまくった上下するヘヴィ・リフの反復と変化し続けるリズム、反復と停滞の中で"爆発"という言葉ではしっくりこない、引き留めていた水流を一斉に解放するような流麗なチノのボーカルが到達点として置かれていて、躍動感と恍惚としたトリップが同時に訪れる独特の良さがある。バンドの曲の骨子となる円環するようなドラムはカッチリとリズムをはめ込むのではなく、少しもたつきを残すような、音の残留感が次のセクションに引き継がれ循環するようなグルーヴの妙があり、"ドロッとした"という表現を使いたくなる。この心地の良い揺らぎがチノのボーカリゼーションと相まってバンドの伸び縮みするようなグルーヴの根幹にあるものではないかとすら思う。
Digital Bathは個人的に最も好きな曲だったため普通に号泣。ゴスの名曲として聴いている。動き回っていたチノがギターボーカルに転ずるのも良かった。TempestやBeauty Schoolでも見られる、ヘヴィギターと轟音の振動で体を揺らした直後に突然アンビエント風味のシンセとクリーントーンのギターでThe CureやCocteau Twinsみたいな静の瞬間が挿入されるのは、まるでマグマと水風呂を行き来するかのような中毒性がある。この両極端を同じものとしてシームレスに繋ぎ止めるのはやっぱり伸びやかなチノのボーカルで、本当に歌が受け持つグルーヴの大きさを実感するライブだった。
あとは過去の名ナンバーをいくつも繰り出した後に演奏されたmy mind is a mountainに圧倒される。最新曲であるが故に他の楽曲と比べると聞いてきた時間は少ない=あまり思い入れは強くないはずなのに、それでも一番感動した場面はここだったかもしれない。当たり前だけど最新曲こそ今のメンバー、今の状態で演奏されることを前提としているだろうし、昨年のスマパン来日でも思ったけど、現行の最新ナンバーが一番フレッシュでバンドに合っている。Holy Mountainを引用したVJもクールだった。というかVJがすごすぎた。Changeでの太陽が昇ってくるような演出やSextapeでの海のシーンなど、忘れられない部分が多数ある、写真がないため伝えるのが難しいがかなりドラッギーで、生演奏での揺れるグルーヴ感も含め、バンドにサイケデリックな質感を加える重要な要素だったと思う。
Deftonesはメタルだけでなくエモ/ポストハードコア、ゴスやニューウェーブ、シューゲイザーとしての側面もあり独自のポジションを築き上げ、メタルからオルタナシーンまで幅広くリスペクトされているバンド。ケヴィン・シールズは最近のインタビューでは現行シューゲイズの大きな影響元として彼らの名前を挙げていた。2ndである今作はメタルらしいおどろおどろしいヘヴィネスと、M6のBe Quiet and Drive(Far Away)で見られる耽美な轟音オルタナが共存。フロントマンのチノ・モレノはHumの大ファンでリスペクトを度々語っているし、Be Quiet and Drive(Far Away)はHumのStarsとは兄弟のような曲だと思う。そしてM1のMy Own Summer (Shove It)やM2のLhabia、表題曲のM5といったザクザクとしたリフ主体の曲はかなりメタリックで、当時Kornらと同じくニューメタルとして解釈されたのも頷けるが、Smashing PumpkinsやAlice In Chainsといったグランジも強烈にフラッシュバックしてしまう。またDeftonesはCoversという2011年のコンピでJapanやThe Smithsをカバーしていたり、インタビューでCocteau Twinsへの愛を語っていて、ポストパンク~ニューウェーブやゴスからの影響も強くあり、今作でも近いものを見出せる。チノ・モレノ自体がSmashing Pumpkinsを敬愛していて、2018年のアニバーサリーライブではビリー・コーガンと共にBodiesをカバーしたりもしているが(選曲が最高)、直接的なリスペクトだけでなく、ビリー・コーガンが80sのゴスやポストパンク/ニューウェーブ、主にThe Cureを大きなルーツとしているように、フロントマン二人の根本から共通したものがあったはず。またカバーアルバムにはJawboxのSavoryもあり、Dischord系譜のポストハードコアの遺伝子があることもよくわかる(それ故にエモを感じることも説得力がある)。度々共演した同郷サクラメントの盟友Farも90sエモ~ポストハードコアを代表するバンドで、Farのステージにチノ・モレノが参加して一緒にJawboxをカバーしていたりする。
最高。先行シングルにぶっ飛ばされてリリースが待ちきれなかったDeftones待望の新アルバム。比較的電子音の要素も多かった前作とは対照的に、キャリアを通して醸造されたバンドのエネルギーに満ち溢れた集大成&現行アップデート版として完璧な一枚。M1のmy mind is a mountainからヘヴィでソリッド、面で押し寄せる"硬くて広い"縦横無尽なギターの波とダイナミックなリズム隊にずっと圧倒されてしまう。シャウトと耽美なボーカルがシームレスに行き来するチノ・モレノのボーカリゼーションも節が効いてて完璧。シンプルにリフがナイスなM4のinfiniti sourceはガチの名曲。ケヴィン・シールズも言及してたけど昨今ムーヴメントになっているヘヴィシューゲイズのルーツとして申し分なく、M6のcxyはボスの貫禄たっぷり。Deftonesを聴いているとこんなに巨大でこんなに繊細なバンドサウンドってあるのかと思ってしまう。2025年はAve Mujicaのライブ→Deftones新譜→Smashing Pumpkins来日という流れが個人的にあった。(年間ベスト2025 2026-02-19)
新規の追記分。2003年にリリースされたセルフタイトルにして4枚目のアルバム。2ndで見せたおどろおどろしいヘヴィ・リフの循環と3rdにある電子音を駆使した幻想的な世界観が溶け合った、バンド名を冠するこの時点での集大成として申し分ない作品。M1のHexagramから現在のヘヴィシューゲイズと完全に直通できる硬くて質量のある、それでいて広がりのある轟音からリフを加速させるメタリックなパートへとシームレスに繋ぐ。バンドのいいとこどりでしかない。M2のNeedles and Pinsは2nd時代の鋭利なナンバーを3rdのツルっとしたサウンドで再編したような色があり、Digital BathやMy Own Summerを引き継いだ円環するようなグルーヴ感が全面に出ている。M3のMinervaはドリームポップ/シューゲイズからアクセスしやすい壮大な名曲。MVも良い。この開始の3曲から一気に間口を広げてる感じがするし、音楽性のバリエーションを増やしながら一本の型に凝縮、それでいて美メロ且つ低音はこれまで以上に強調されたヘヴィさも併せ持つ、個人的にとても好きな作品。M7のBattle-axeは静と動の対比でわかりやすいカタルシスを表現しながら、ボーカルはどこか完全に開放し切らない、じわじわ締め付けるようなバンドの妙味が効いている。M9のBloody Capeは1st~2ndにあったヘヴィネスに重さを損ねることなく轟音が纏わりついた、一つのスタンダードであるとすら思う。
まず自分にとってジョニー・マーと言えば?The SmithsよりModest MouseやCribsといったバンドのギタリストであり、そしてOGRE YOU ASSHOLEのファンであり、来日時クッキーシーンの記事で対談をし、お互いUSインディーやCANの話などで意気投合していたというイメージがとてもデカい。名前を最初に知ったのはOasis経由、たぶんノエル・ギャラガーとの友情がきっかけだけど、ここは割と同じ人が多いんじゃないかと思う。あとは世代的に相対性理論のギターの元ネタとして引き合いに出されることが多く、そこからThe Smithsを聞いた。
The Smithsに関しては好きになったのが結構遅く、ポストパンクを掘り始めた頃、ネオアコ的に聞けるという話は聞きつつも少し違うなと思っていた。C86でまた影響力の大きさを知った。自分は、そこまでThe Smithsのファンではないと思う。好きだけど、例えば復活して来日ライブをやりますってなっても積極的に行こうとはしないだろう。でも一年に何度かはThis Charming ManのMVを見返す時間が絶対あるし、思い出したように帰りの車で1stやHatful of Hollowをかける日がある。友人と交換するプレイリストに頻繁に選曲するくらい好きな曲も多い。ただ細かいバイオグラフィや、メンバーの変遷や経歴といった情報はあまり把握していない。解散後のメンバーの動向を熱心に追いかけたわけでもない。
(一番好きな曲。Hatful of Hollowは何度も聴きました。How Soon Is Now?も入ってたし・・・)
では何故、本書を手に取ったかと言われると、シンプルに自分が聞いたり資料を読んだり映画を見たりで慣れ親しんだ当時のシーンについて、当事者の新しい視点をもらえるのではないかと思ったから。パンクやポストパンクの激動の時代を切り取った一つのドキュメンタリーとして、そしてThe Smiths解散後、マッドチェスターからブリットポップの時代にどうしていたのか、Modest MouseでUSインディーに重心を移したり、そのまま(個人的にUSインディーっぽい要素が多分に含まれていたと思っている)The Cribsに加入したり、経緯そのものが気になるところが多数ある。自分は元々USインディーキッズのためThere Is a LightよりもDashboardという人間だし、どうしてもそこが読みたかった。そしてその点に関しては、完璧だ。同じ部分に興味を持った人は全員読むべき本だと思う。とくにModest Mouseがこんなにも、ジョニー・マーの中で大きなバンドだと知れたのはよかったし、全体の尺から見ると短いがとても濃密。バンドの一時代を切り抜いた記録として生々しく、楽しく読めた章だった。
最後にThe Cribsで好きな曲を一つ。We Share the Same Skiesはアルバム内でとくにジョニー・マー印が強い気がするけど、グラデーションみたいに重なってそれぞれリードの如くフレーズを絡ませるギターがとにかく最高。ほんのりとした緊張感と、いつもより影を落とした歌メロが良い。Ignore the Ignolandというアルバム内ではLast Year's Snowという曲もインディー・ギターが炸裂している。自分にとってはロックンロール・リバイバルだったCribsを、USインディーやThe Smithsの系譜として聞くための導線を作ってくれた人物がジョニー・マーだった。
渋谷にあるSpotify O-nestの30周年記念イベントでOGRE YOU ASSHOLEとNISENNENMONDAIが対バンするということで行ってきました。
OGER YOU ASSHOLEとNISENNENMONDAIに関しては出自も辿った音楽性もまるで違う二組だと思いますが、最初は比較的インディーロックやオルタナと区分されるジャンルと近いものをやっていたこと、ポストパンクのスタイルを流用するのではなく、サウンドの特徴の一つとして血肉にしていたこと、そしてどちらも2010年以降"ロックバンド"的だったそれまでのイメージとはかけ離れた、ミニマルでサイケデリックな音楽をやっていたこと、坂本慎太郎と交流があること、二組とも今聞いても全く違う音楽ですが、その全てが当てはまってしまう。結果独自の道を行きすぎた音楽を、言葉で表現することの陳腐さみたいなものまで痛感してしまうわけですが、それも音楽の面白さの一つですし、それを同じ空間で浴びたい、並べたいとどうしても思ってしまう。普通に夢です。何度夢見たことか。2013年にエスプレンドー・ジオメトリコが来日して、その時のツアーの対バン相手がOGRE YOU ASSHOLEとNISENNENMONDAIだと聞いたとき、当時リアルタイムで追っていなかったことを、見れなかったことをどれだけ悔やんだことが。叶いました。ありがとうございます。一瞬でSOLD OUTした上に当選しなかった方も自分が見える範囲でかなりいて、もっと大きいハコでもよかったのではないかと思いますが、今回はまずO-nest30周年おめでとうございますということで、是非、また見れる機会があれば嬉しいなと思います(なんならDELAYに呼んでほしい)。二組についてはこちらのブログ記事でも触れていたりします。
もう2年ライブに足を運んでいなかったけど、OGRE YOU ASSHOLEは間違いなく人生で最も見に行ったバンド。とくに2017~2019年は毎月ライブ情報を喰い入るように探していたと思う。ただ短期間で繰り返し行き過ぎることで、逆に"見えなくなってしまったもの"もたくさんあったなと、色々考えることが増え、会社を辞め、自分が何かしらの創作を発表するようになってからは一回完全に距離を置いてしまった。それがこれまでだった。というわけで丸二年空けたOGRE YOU ASSHOLEのライブ、今どんなモードなのかも全く知らない。最後通ってたときどんなセトリだったかもおぼろげな記憶しかない。そんな感じの、少しの緊張とワクワク感と不安が入り混じった状態で、一曲目がかつてライブの最終曲を飾り続けたアンセムであり、いつからかあまりやらなくなってしまった、自分の中では永遠にバンドの顔である「ロープ」だったことは、本当にとても幸福だったと思う。
完全に余談なんですが今回会場BGMが神過ぎた。2010年前後の馬渕さんと出戸さんが選曲したのかと思えるくらいUSインディー、ポストロック、スロウコアに寄っていて、Shipping NewsのLouvenが流れたときはまさかオウガの会場でジェフとジェイソンのギターを聴くことになるとは思っていなかった。他にもJoan of ArcやDavid Grubbs、Mice Parade・・・あと思い出せないけどバトルスとかStorm and Stress系っぽいマスロック(絶対聞き覚えがあるため思い出せ次第追記)、ライブが終わった後、まさにまた明日直後に電気がついたと思ったらSun Kil MoonのCarie Me Ohioが流れ始め、20回以上オウガのライブに行ってるけどここまで会場BGMが自分の好みだったことは初めてだった。デカい声を挙げそうになり、隣の人にSun Kil Moonですよね!?て声をかけそうになってしまった。本当に余談。まぁnest企画なんでバンドの面々ではなく、ライブハウスのスタッフでしょう。ありがとうございました。
アルビニ録音最後の作品。ex.90 Day Men/Disappearsのブライアン・ケースの現在のバンド。ポストパンク~ポストハードコアを縦断し深化させてきたバンドだけど今回最も3ピースの色が出た肉体的なアルバムで、これを生っぽく録るというアルビニ録音とのマッチングは説得力しかない。ブライアン・ケースの空間に滲むようなギターの音はダビーでゴシックな空間美がありUnwoundやSiouxsie And The Bansheesが好きな人にもおすすめしたい。4月に来日もあってEraで見たけどマジですごかった。FACSに関しては前身バンドからキャリアを総括した記事をこちらで書いている。
carolineの2nd。先行シングルのTotal euphoriaのフリーキーさにはびっくりしたし、それでいてIdahoみたいな歌心あるインディーミュージックとして聞けるのがとても良い。M4のWhen I get homeという曲は繊細かつダイナミックな音の重ね方、通してある静謐なムードが素晴らしく泣ける。間違いなく2025年のベストトラック。こちらもlimboという音楽ZINEに長文のテキストを収録。
ブルックリン出身bloodsportsの1st。くたびれたボーカルと苛烈なノイズロック~ポストハードコアの重厚なサウンドの組み合わせがツボ。ノイズに粒が粗いヤスリみたいなザラザラ感があって物理的な質感の硬さ=重さがあるモノクロームな轟音ポストパンク。M6のRotはGalaxie 500っぽさもあるドリーミーなスロウコアからドラマティックに展開、静謐展開も多くスロウコアが完全に血肉になってる感じがして、一周回って2000年前後のポストハードコア~ポストロック黎明期の、ジャンルの境界が曖昧だったオリジネイター達を思い出す。2025年のブルックリンはYHWH NailgunやWater From Your EyesやModel/Actrizといったバンドがよく話題に挙がっていて、Animal CollectiveやGang Gang DanceやBlack Diceといったあの頃のNYリバイバルとして語られているらしい。割と自分のリアタイちょい後くらいに情報を追った音楽がもう参照される世代になったんだなぁという驚きもあった。
Pot-pourriの3rd。名盤。L'Arc〜en〜CielからART-SCHOOL、James Blake、Nine Inch Nails、TortoiseからRadiohead、ただただ美しい音響の電子音楽が聴きたい、気持ちよく踊れればいいって人にも、純粋な歌ものとしても、きっと刺激があると思う。とくにポストパンク/ニューウェーブを好んで聞く人、黎明期のポストロック~エレクトロニカのジャンルの拡大具合にわくわくした人には是非おすすめしたい。個別記事あり。
行為者の2nd。うっすらした絶望が最高のメロディに載せてラフに歌われていて、こういうシリアスさを突き放すカラッとした音楽がなんだかんだ一番元気が出るし、疲れてるときや一人の夜になんとなく流していると勝手に涙が出てしまう。何度も出てくる「クソみたいな日常」を写し取った歌詞は全部の音がごちゃっと混ざった宅録の質感と完璧にマッチしていて、どの曲にも共通する平坦で軽快なビートは何を言おうが繰り返しやってくる毎日を勝手に自分の中で象徴してしまう。M4のろくでもないぜという曲における「大人になれたよ 子供のまんま」は強烈に喰らった。1曲選べと言われたらM7の死刑をベストトラックに挙げたい。歌詞も最高だがシンプルにメロディの展開にグッと来る。別にUSインディー的な音楽性ではないんだけど、自分の世代のGuided By Voicesだと思わずにはいられないし、PavementのIn The Mouse Desert/Perfume-Vの系譜をART-SCHOOL以降の音でやったような印象もある。宅録が容易になってローファイという概念も幅広くなったけど、でもPavementの1stが大好きだったのはあの音にあの歌詞が乗っていたからというのは間違いなくあったし、そういう音楽にしか寄り添えないものを思い出してしまうよなぁ。とても聞き心地が良く、15曲30分であっという間に過ぎ去ってしまうことから気が付いたら無限に周回していて新譜で一番聞いたアルバムになってしまった。
2年前にできた地元初の市立図書館(個人的にも重要なトピック)に置いてあったele-kingやミューマガの坂本龍一追悼号からデヴィッド・シルヴィアンへ→昔ふんわりとニューウェーブ/ポストパンクとして聞いたJapanを聞き返したらTin Drumのすごさに衝撃を受け新旧ひっくるめて2025年最も再生したアルバムとなった。デヴィッド・シルヴィアンと坂本龍一はまるで兄弟のようだった、と書籍に再録された当時のインタビューでも語られていたけど前作Gentlemen take Polaroidsにおいて共作、次作となったTin Drumはもう完全にYMOが滲み込んだBGM/テクノデリックの次に絶対聞くべき作品。テクノポップとファンクとポストパンク/ニューウェーブ全部スレスレのラインで誰も真似できない狭間の音楽をやってる。浮遊感の裏で一本針金が通ったようなリズムを強調する密室サウンドもかっこいい。The Art of Paritesで一年中通して踊っていた。GhostsはDeftonesがカバーしてることでも有名。
最高。先行シングルにぶっ飛ばされてリリースが待ちきれなかったDeftones待望の新アルバム。比較的電子音の要素も多かった前作とは対照的に、キャリアを通して醸造されたバンドのエネルギーに満ち溢れた集大成&現行アップデート版として完璧な一枚。M1のmy mind is a mountainからヘヴィでソリッド、面で押し寄せる"硬くて広い"縦横無尽なギターの波とダイナミックなリズム隊にずっと圧倒されてしまう。シャウトと耽美なボーカルがシームレスに行き来するチノ・モレノのボーカリゼーションも節が効いてて完璧。シンプルにリフがナイスなM4のinfiniti sourceはガチの名曲。ケヴィン・シールズも言及してたけど昨今ムーヴメントになっているヘヴィシューゲイズのルーツとして申し分なく、M6のcxyはボスの貫禄たっぷり。Deftonesを聴いているとこんなに巨大でこんなに繊細なバンドサウンドってあるのかと思ってしまう。2025年はAve Mujicaのライブ→Deftones新譜→Smashing Pumpkins来日という流れが個人的にあった。
littlegirlhiaceの祝10周年トリビュート。作品の生い立ちからもう奇跡みたいなもんだと思うし、愛に溢れた各バンドのカバーが本当に素晴らしい。こんな解釈があるんだっていう発見が多数ある。自分はイラストとライナーノーツ風テキストで参加、Pot-pourriや2lcd、昨年触れた小雨ちゃん、Lily FuryやSleepinsideなども名を連ねている。個別記事あり。また昨年末に出た再録ベストのOUT OF HIACEも神でアカネ→engage ringのとこでいつも拳を突き上げてしまう。ミスチルやART-SCHOOLが好きでまだlittlegirlhiaceを聞いたことがないという方はこちらから聞きましょう。
国内最強エモバンドことI have a hurtを昨年たまたまライブで見てかなりの衝撃を受ける→音源を掘って前作にあたる24年のIXIと、25年に新しくリリースされた00:00.00は繰り返し聞いた。IXIにあったシャウトはポストハードコアや激情におけるスクリーモってよりは生きづらい世の中に向けて駄々をこねるマジの叫び、というかもう泣き声、どうしようもない孤独を吐き出す行為に見えたのだが(それが好きだったし全力でライドできた)、今作はもっと暖かい雰囲気があって曲によっては背中を押してくれているような気さえしてしまう。ボーカルの切実さとパワフルな演奏とは対照的なクリーントーンのギターが美しく響く作品で、まくしたてるような苛烈な演奏にShotmakerも思い出してしまう。M2のleft handは終盤明らかに音量が1段階上がる瞬間があってぶち上がる。kurayamisakaがI have a hurtをリファレンスとしていて度々リスペクトを掲げているのだが、掲げすぎてSNSのフォロワーが爆増したらしい。
1/8計画 - Live at "Wall of Apes" (at 初台Wall, 2025/6/22) FULL VIDEO
朱莉TeenageRiotのポストロック関連記事(RodanやSlint他)、スロウコア関連記事(CodeineやRed House Painters他)、インディーロックのdiscography(Modest MouseやNorth of America)、などなどが好きな人はこれを見てぶち上がらないわけがないと思う。とりあえずシングルリリースもされた30:05~のDecatur, GE、続いての38:43~イメージの本 (Le Livre d'image)だけでも是非。とくにイメージの本は音源化されてないけどもう既に2025年ベストトラックの一つだよ。間違いなく。
あとはやっぱりZINEを作った一年というのは避けられず、それに関する文章や絵にかけた時間が多くどうしても偏っちゃいますね。リリース後に協力してくれたLIKE A FOOL RECORDS及びcinema staffの辻さんとの交流もとてもありがたく、ショップに何度も足を運ぶ中で新たな気づきも多かった一年でした。