朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

1月~3月に行ったライブ

1月~3月に行ったライブの記録をつけます。

 

  1. FIXED/quiqui/VINCE;NT/5kai
  2. butohes/Crispy Camera Club/the Still/The World Will Tear Us Apart 
  3. PAVEMENT
  4. FUZZKLAXON/Murray a Cape/Empty Classroom/カルト3/TTUD/littlegirlhiace
  5. Pot-pourri/DJまほうつかい一行/※トークセッション: 伏見瞬、西島大介、Sawawo(Pot-pourri)
  6. JUNE OF 44

 

2022.12.28 BUSHBASH "FIXIT#23"

FIXED/quiqui/VINCE;NT/5kai

いきなり撤回しますが12月28日、もうほぼ年末だしあぶれてしまったのでここで書いておきますがブッキングが熱すぎる、とても一貫したイベント。個人的には5kaiを見たかった。

てわけで5kai、鉄線のような研ぎ澄ましすぎて音を細く硬くしたような、ポストハードコアから音を引きながらもスロウコアと呼ぶにはあまりにもマッシブ。最小を積み上げ続け、ツボのみをついてそこだけアクセル全開にする、轟音で塗りつぶす静→動とはまるで違った引き算の中一瞬だけ膨張する瞬間が生で見ると叫び声をあげたくなるほどにかっこいい。かなり衝撃を受けてしまいまた絶対ライブいきます。最初は3ピースだったのが途中からもう1人参加しツインドラムになったり、かと言って手数が多くなるわけではなく、むしろ分担するようなイメージで、手札を増やしながらも変わらずツボをつくスタイルが本当にかっこいい。あと来月新譜出るらしい←出て、めちゃくちゃ最高でした

そしてVINCE;NT、以前uri gagarnとの対バンで見てますがBUSHBASHというハコの密室を轟音一色で全部塗りつぶしていく暗黒っぷりにもう笑ってしまった。トラックと正面衝突したような気持ちになるドゥーム/ストーナー色も強いYoung Widowsみたいな、フレーズもわからなくなるような轟音の海は5kaiと対照的。あとquiquiもついに見ることができましたがすごすぎる。サンプラー?のような機材を使ったノイズサウンドがもうTHE VSSとか、それ系のGSLのカオティックなハードコア、あとはエクスペリメンタルなノイズミュージックをハードコアとして再度バンドで出力してるような印象もあるし、そんなこと全然関係なく普通にめちゃくちゃ重くてメロディも最高でスロウコアとも接続できそうな「もう少しの暦」のストレートさにも泣いてしまう。FIXEDは見たかったですが終電的に途中退出という形に・・・また機会あれば見たいです。

 

2023.1.22 The World Will Tear Us Apart presents  『窓』vol.1  下北沢THREE

butohes/Crispy Camera Club/the Still/The World Will Tear Us Apart 

The World Will Tear Us Apart こと通称テアアスは京都のバンドで、今回東京で遠征、botohesも元々ファンで数年前リリースの1stEPはかなりよく聞いていたし初ライブやリリースパーティもいったことあり、ライブで見るのは2年ぶりだし新曲だらけって噂を聞いてたのでどちらも楽しみにしてました。

The Stillはおそらく新譜多めのセトリでめちゃくちゃよかった。もっとドリームポップのイメージがあったんですけどシンセの音色は勿論、ギターリフの雰囲気とかも80sポップを想起するようなナンバーが多くて、テアアスが開催してるイベントという目線からもかなりリンクしてくる。Crispy Camera Clubは京都のバンドでテアアスと同郷、今は都内で活動しているという繋がりからでグリムススパンキーの亀本氏がプロデュースした曲もあるらしく、フレッシュでカラッとしたロックンロールでかなり風通しがいい。個人的に10年代以降にオルタナから離れてロックンロール趣向な曲をやってるときのpillowsも連想する。butohesは待望ですが超絶進化していて、最近公開された「Alba」も披露。これがすごすぎる。1本のギターリフを軸にしながら各パート複雑に絡み合い、しかしマスロックのようにキメや展開を重視するのではなく、ツインギターそれぞれが1本軸となるフレーズを持っていてミニマルに反復しながらリズム隊で局所的に連結していく。元々持っていたバンドの空間系の心地よさとはまるで違った、それぞれ音の骨組みを見せながら余白で世界を作り上げてくような深さがあって、超尺ですがこれはいつまでも聞けてしまう。初期のナンバーだとW/N/W/Dを見れたのだけどかなりライブ映えする曲だと思います。Pot-pourriの液晶さんと会場で話したのですがリフがスミスっぽいと言っていて個人的にはそれもすごく発見だったし、影響というよりは偶然かもですがマスロックには無い清涼感や風通しの良さがあるのそれかもと自分の中で一つの納得に繋がりました。

テアアス、新メンバーやサックスゲストも迎えこの人数でもドラムとベースがおらずギター3人という特殊体制ですが、煌びやかなビートを主体としながらアコースティックギターも絡む色鮮やかなポップス。こういうストレートに歌がいいバンドってライブで見るのすごく久しぶりでファンキーな要素もあって爆踊りできるし、何よりどの曲も本当にメロディーが良いんですよね。ギターのショーハシさんはU2ファンのイメージがとても強いのですがアンコールでやった「セプテンバー・ソング」でジ・エッジ風のギターが炸裂するところあってぶち上がってしまった。捻りのあるポップス、という観点でテアアスがチョイスしたブッキングだったようですがどのバンドもしっかり歌がありつつも全然違ったポップさを持っていて面白いイベントでした。

 

2023.2.17 PAVEMENT JAPAN TOUR 2023

この画像何度見てもマルクマスの位置が地味すぎてワロてしまう。

Pavementの来日はかなり前から待望で昨年の3月からチケットをとっていたので1年近く待った。元々2019年にソロでの来日を見てたのですがそこから待ち続け、待ちすぎてローファイなUSインディーやグッドメロディを追いかけていた数年前と、今の自分の聴く音楽は大きく離れてきてしまったなというのを実感もする。しかしそんな懸念も30年経っても変わらないマルクマスのボーカルを聞くと色々思い出して涙なしには見れない。テンションの高すぎる入場からは正反対なGroundedで始まったのは痺れた。そしてパーカッション(?)のボブ・ナスタノヴィッチはライブ動画で見たこともあったのだけど演奏というよりは終始ステージでのパフォーマンスに徹していて本当にめちゃくちゃで、音楽性とは別のPavementというバンドの本質を垣間見た気がするし、このおふざけを東京ドームという馬鹿デカイ会場で見れたこと自体が異質でした。原曲ではアコースティックで泣きの路線のはずのWe Danceの演奏がしっとりと始まったと思ったら、ステージ前面にボブが出てきてずっと謎ダンスを踊り、最後には暇そうにしているスコットと肩を組み一緒に歌い出して泣ける曲を台無しというか、徹底的に破壊していて良かったです。

あとは「In The Mouth A Desert」泣きました。こちらのライブ動画を何十回も見ていたのでこれの30年後か・・・という思いが溢れ出てしまい、何度も聞き覚えのある演奏やメロディーだけどそれでも本当に感慨深かった。

 2年前くらいに公開されたライブアルバムの「Live Europaturnen MCMXCVII」はよく聞いていて、とくにSilent Kitは音源でのスカスカな音のオンボロ具合のイメージとはかけ離れたライブ盤の音圧で聞くとギターフレーズの爽快さやバンドの絡み合いそのものがとても気持ちいいことに気付く。今回音源ではスカスカだった「Stop Breathin」も分厚い2本のギターによる絡みが生演奏の音圧でそれぞれのフレーズの妙がはっきりわかる音になってて同じような感動がありました。

 

2023.2.18 littlegirlhiace x FUZZKLAXON presents “GIRLS BOUT vol.2”

FUZZKLAXON/Murray a Cape/Empty Classroom/カルト3/TTUD/littlegirlhiace

凄まじい面子。littlegirhiaceを中心としながらインターネットで脈々と続いていた数年後思い返しながら何か一つのシーンの象徴となるイベントになってたと思うし、以前池袋CHOPで見たFUZZKLAXONのライブ爆音上映が映像とは思えない迫力で上映なのに曲が終わった後に拍手が沸くくらい圧倒的で、今回名古屋からわざわざ遠征ということであの爆音・ガレージ・オルタナティヴロックとも言える音をようやく生で体感できた。フロントマンのnota氏はエフェクターのレビューブログやイラストレーターでも知られてる方ですが、ライブと一緒に機材フリマが開かれていたこと、フライヤーのイラストもnota氏が描いていたり、主催のlittlegirlhiaceのジャケも描いていてそういった側面もカバーしたすごくいいイベントでした。

今回Empty Classroomをかなり久しぶりに見れたのが熱すぎました。主にメインで作曲している二人がGRAPEVIENに多大な影響を受けていて個人的にはcinema staffも感じるのだけど、リードギターのあきら氏が逆にそれ系のギターロックをほぼ通ってない生粋のメタラー、ライブだとその影響かギターロックなのにブルージーなギターソロを弾きまくる様がすごく異質でかっこいいんですよ。あきら氏はGRAPEVINEを通ってないのにその土臭さ故に逆にバインっぽく聞こえてくる部分すらある。今回直前にフロントマンである坂口さんのソロもリリースされていて、ライブでもやった「STAGE」は切実に轟音で全てを吐きだすような新しいアンセムで涙なしには聞けなかった。TTUDは昨年のワンマンぶり、まだ未発表の新曲がペースゆったり目で湾曲したギターフレーズとベースラインがぶつかり合うディスコーダントな曲でこれがかなり痺れる。カルト3は現代のブッチャーズやアートスクールを感じて、カタルシスを溜めに溜めて安易に爆発させないで一回外す、みたいなソングライティングが狂おしいほど好きです。名曲「サウスポー」はなんとEmpty Classroomの「STAGE」に影響を受けて作られた曲らしい。Murray a Capeはギターの音色がシューゲイザーとは一線を画したジャンクで透き通った(?)ノイズの音がとにかくすごくて、今度リリースされるEPの新曲群が今までのイメージとは違ったギターポップとかにも通じる清涼感や疾走感があって、wipe氏の瑞々しいボーカルとかなりマッチしていてこれはアートスクールの影響もあるのかもですがとても新譜楽しみです。FUZZKLAXONはライブバンドとしての貫禄、そしてnota氏はフロントマンとしてだけじゃなくギタリストとしてもすごくライブ映えするカリスマ性がありました。LGHは純粋に曲良すぎで泣いてしまう申し分のない締めくくりで、ライブ版エンゲージリングとアカネは相変わらず最高で一緒に聞けるというだけで幸せですね。

 

2023.2.25 Characters @ SCOOL

Pot-pourri/DJまほうつかい/吉田隆一(チャリで来た。)/郷拓郎(detune.)/and more

トークセッション: 伏見瞬、西島大介、Sawawo(Pot-pourri)  テーマ: 音楽と語りの今とこれから

行ってきました。Pot-pourriは昨年の新譜が素晴らしくてワンマンも行っていて、今回三鷹にあるSCOOLという会場で漫画家であるDJまほうつかいバンドと対バン、そしてライターである伏見瞬さんも交えたトークショー、弾き語り、アイドルも参入しあまり前例のない衝撃のライブ体験だったので記録に残します。

開幕はPot-pourri、SCOOLはライブハウスではなくPot-pourriの音源もリリースしてるHedzが擁するビル内にあるイベントスペースで、このライブハウスではない教室みたいなコンクリの密室、この会場での天然ルームリバーブ満載のポプリは全ての音を浮き彫りにする。もう一発目ドラムの生音が響いた瞬間その音の大きさと素晴らしい音響にもう今日は絶対ヤバイよ・・・という期待は最後の最後まで全てを上回っていったし、ギターに掛かる液晶さんのリアルタイムなダビー音響もこのシチュエーションのおかげで細かい音一つ一つ隅々まで堪能できるし、狭い部屋だからこそドラムのダイナミズムも生で伝わりこれが両方、この解像度で体感できるライブは本当に稀有だと。いや何度でも思い出しても最高だったしか言えず、この会場でまた見たいと切に願う。そしてやっぱりポプリのライブは、もう音楽を聴いて体を揺らすというそういう身体的なものとは別に、音楽というレンズを通してここではないどこか知らない世界の景色や旅の記録を見ているような、そういう体感的でアトラクションのような感覚があって、これは何度かライブを見る中で自分の中で解像度が上がってったのもあると思います。スタジオ盤聞くとか文脈とかレビュー読んで聞くとは全く別軸の自分の音楽の好みというか、感性というか、一回これを経験してしまうと中毒だし一番ライブ行きたくなる音楽ってこれかもなぁと改めて思わされました。自分がOGRE YOU ASSHOLEのライブだけは年間何度も通い続ける理由もたぶんそれで、ジャンルとして近しいわけではないですがライブに関しては完全に並列して聞いてます。関係ないけどイベントのメンツもありKankitsuを聞いてディエンビエンフーの大虐殺シーンの背景でこの曲が流れている妄想をめちゃくちゃしてしまった。会場ではDeerhoofが流れてたんですが、Deerhoofも西島作品との親和性かなり高いなとそういう部分でもテンションが上がりっぱなしでした。あとRevovlerも聞けたのも良かった。

そして中間のトークイベント。伏見瞬さんは音楽ライターでスピッツ論という本を出していたり各音楽雑誌でも寄稿していて、個人的には音楽批評の同人誌「痙攣」でのイメージがとても強いです。彼がまだライター業メインになる前にバンド活動をしていた頃に西島先生とバンドをやってたというのが今回のイベントの発端の一つで、そんな伏見瞬さんと、「ディエンビエンフー」や「世界の終わりの魔法使い」で知られる西島大介先生を交えたトークイベント。西島先生は残念ながらコロナ濃厚接触ということでオンライン出演となりましたがだからこそ得られるものも多く刺激的なトーク内容ですごかった。AIやアルゴリズムの話題から最終的に人間はいらないとまで言っていて、それを話す西島先生本人がオンライン参加のため不在、壁一面に映し出された映像が喋っているという状況そのものがどことなくSFで一貫性があり偶然だけど衝撃でした。

漫画のことについても結構触れていて、ディエンビエンフーベトナム戦争のドキュメンタリー漫画だけどデフォルメされたかわいらしいキャラクターによる残虐要素がすごく多く、あれは単純に当時画力が足りなくてああなったみたいなことを話していて驚きでした。素直に大迫力の見開きやそこに持ってく構成は見ていて惚れ惚れとするし、あのかわいらしい絵柄とハードなストーリーのギャップが「ベトナムは狂っている」と何度も繰り返される作品の狂気を表してるようにすら感じていた。ただ言われてみるとデフォルメすることで漫画的に無茶な描き方がある程度許されるし、見開きを魅せる作風は余白を手抜きではなくどれだけシンプルにかっこよく見せるか、を突き詰めてった結果な気がしてきて、実は省エネ的な理由が原初にはあったのかもというのが見えてきて良かったです。僕自身が絵を描いていて線が苦手だったときじゃあ線画描かないために水彩厚塗りすればよくね?と逃げて行った人間なのでそんなことを勘繰ってしまった。

そしてDJまほうつかいバンド、サックス奏者である吉田隆一氏とサンプラーでビートを重ねていく即興的なセッションでオンライン出演の西島先生も鍵盤で参加、するもオンラインのせいで音ズレしていてこれもかなりカオスでヤバイ。detuneの弾き語りも挟み、ここまでDJまほうつかいバンドご一行として西島先生と縁のある方々のライブ演奏が続き、そしてアイドルであるSUMMER ROCKETの面々が登場。現在連載しているディエンビエンフーの続編、コムニスムスの声優も担当したという繋がりで、作品に合わせてカンボジア仕様のクメール・ルージュ風衣装にぶち上がった。3曲披露、しかも次の曲やりますと言いながらトラックは同じで歌詞が違うだけのものをやっていて新鮮でした。

最後にPot-pourriのsawawoさんと伏見さんによる弾き語り。「まるで雑誌のようなイベントだった」と言っていたのだけど本当にそうだったし、Pot-pourriはまだプログラミングの液晶氏が加入するよりもずっと前、メンバーに朗読がいたり普通のロックバンドとは一風変わった体制だったのもちゃんとこのイベントと繋がる一つの要素という感じがしてとても良かったです。また是非やってほしい。

 

2023.3.9/3.13 JUNE OF 44 JAPAN TOUR

最後に行ったライブについては個別記事書いてますね。

 

 


PavementとJune of 44という憧れを一気に見れたこと、以前書いたこちらの日記(20221218 行ったライブや聞いた新譜など)で触れましたがNUMBER GIRLの解散を見れたこと、近年ずっとライブハウスやインターネットで追い続けているlittlegirlhiaceと、その周辺バンドの象徴とも言えるイベントに行けたこと、FUZZKLAXONやテアアス等の以前からファンですが距離的にライブを見る機会がなかったバンドを見れたこと。ライブに関しては、ここ数か月あまりにも充実していたなと噛みしめる。量が多くなってしまったのでそれぞれ粗はあるしもっとゆっくり書きたいですが、個人的に残しておきたかったので覚えている内に書きました。