朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

20221218 行ったライブや聞いた新譜など

直近で行ったいくつかのライブ感想や聞いた新譜について近況です。

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11月12日に日比谷公会堂にてOGRE YOU ASSHOLED.A.N.のライブを見てきました。まずOGRE YOU ASSHOLE、彼らのライブはひたすら同じフレーズの繰り返しが多く時間の感覚を忘れてしまうことが多い。この繰り返しの中で徐々に世界観を膨張させ、膨張しきった世界はライブハウスという小さいハコに詰め込まれダビーな音響も相まって完全にトリップしてしまうのだが、野音だとその箱という蓋がなくなってしまうため夜の情景と溶け込んでその場で際限なく広がってしまう。広がりすぎて、もう見えてる景色全てがオウガの曲によるものだと思い込んでしまうほど没入感がある。もう何を言ってるか自分でもわからないが、それでもやはり2018年の野音だったり2019年のライジングサンだったり、外で見たOGRE YOU ASSHOLEのライブに特別な記憶を毎回抱いていて、それは今回も全く同じでした。

久しぶりにロープも聴けて良かった。バックシートという比較的ポップな曲もやっていて、サイケ期以前の曲なのもあり外でやると風通しが良くて映えますね。そして見えないルール、10月とはまた変わっていて打ち込みによる一定のビートを刻み続ける5分以上の巨大なインストパートがあり、最初これで1曲の新しいオリジナル曲だと思っていた。今まで「朝」のライブバージョンで培ってきたBuffalo DaughterのPshychicの路線を更にクラブに寄せて煮詰めた感じというか、もしNisennenmondaiがNとDistination Tokyoの中間くらいで曲を作ったらこんな感じかなぁと妄想してました。でその長い打ち込みパート、途中からイントロのシーケンス使い回して新しいリフが飛び出したと思いきやちゃんと見えないルールになってくんですよね。その状態である程度長く続けた後、一回キメを入れ最後に聞き覚えあるリフが飛び出してきていつものファンキーなスタイルに戻してくるのはOGRE YOU ASSHOLEの長尺ライブアレンジあるあるながらこの曲では初めてで、時間をかけただけあり非常にドラマティックでとても感動しました。あとフェンスのある家でも同じく打ち込みのビートがメインになっていて近い質感だったかも。

D.A.N.はなんだかんだオウガとセットで見るのは3回目になりますが、彼らのライブ見てる時は完全にロックバンドのライブ見てるモードではなくて演奏中にスマホ見たくなる感じというか、これは全然悪い意味じゃなくて、クラブ行くと真っ暗な部屋の後方で体揺らしながらスマホ見て「ヤバイ曲流れた!」みたいなツイートするのが好きなんですが、完全にあの時の感覚になる。集大成とも言えるセトリで、もうこれでしばらくはライブ活動を休止ということで貴重な体験ができたと思います。あと全席指定ということでライブ開始前までどこほっつき歩いて誰と喋ってようが何度トイレ行こうが、飲み物買いに行こうが、今回DJパートもあって開演前からずっと曲も流れてるし、一つの小さなお祭りのような気楽さがありそれも非日常的で楽しかったです。

 

littlegirlhiace - yakinch fear satan

今年はライブ活動も精力的だったリトルガールハイエース新譜。アルバム名や2曲目のLorimaid Android、また1曲目の歌詞にもCreamのカバーやバインのGRAVEYARDでも有名なロバート・ジョンソンの十字路の悪魔の話が盛り込まれてたり理解のある彼くんソングというタイトルにもニヤっとしてしまう。かなりギターロック路線というかオルタナティヴ・ロック然とした曲が多く原点回帰的な評価をツイッターでもよく見ましたが、しかしながら前作前々作と大きく飛躍した作品を出していただけありアレンジの幅が増えたことで初期のART-SCHOOL的な作風を今やったとしても構成している素材がまた違った、今までの延長上にある親しみやすさと新しさが同居したアルバムだと思います。前作のカナリアは歌詞の雰囲気は統一感ありつつも音楽性としては全く違ったタイプの曲がバラバラに入っていた作品だと僕は感じていて、今回は逆に音楽性は一貫しているというか、通して聞き終わらないと車から出たくならないような、トータルアルバムとしても大好きな作品。

今作、1曲目のyakinch fear satanを聞いたとき今までリトルガールハイエースからは想像できなかったグリッチ的なギターノイズの演出がとても新鮮で、それこそMogwaiで例えるならHappy Songs For Happy Peopleとかにあるギターのあのふわっとしたレイヤーと近いものを感じたし僕はこれに寒さを連想するんですよね。それはフロントマンのふにゃっちさんが東北出身なのもあるかもしれないし、ジャケやタイトルのイメージに引っ張られているかもしれない。ART-SCHOOL的でMogwaiも絡んでくるとなるとどことなくPARADISE LOSTを連想しますが、それこそあのアルバムと今作のジャケの雰囲気も近いですがこれはもう連想ゲームというか飛躍しすぎですね(ちなみにセルフライナーノーツを読んだら1975を意識して作った曲でMogwai要素はタイトルのみの後付けらしく驚きました)。

もう一つ好きな曲がsweetest biteで、得意技でもあったスピッツミスチルを連想させるアコースティック路線のメロディアスなバラード調から入りサビで逆に演奏を薄くし、間奏で爆発させラウドなオルタナティヴ・ロック路線へと駆け上がっていく演出には涙なしには聞けなかった。いいとこどりの最高のアンセムだと思います。そしてこの曲のモチーフ元になったアマガミのOPのフレーズもちゃっかり盛り込まれていて、本当に隙がない・・・。実はこの曲の歌詞の元になった銚子旅行に僕は同行していたのもあり、自分の思い出が曲として保存されているという経験も初めてでその点も嬉しかったです。最後の理解のある彼くんソング、タイトルにどうしてもニヤけてしまうしイントロからめっちゃBUMPっぽいなと聞いていたら歌詞が思いっきりアルエ引用してますが、それでも「ハートに巻いた包帯は/別にそのままでも素敵だから」て言い切ってしまうのが、ネタというより純粋にとても優しいなと、タイトルはともかく普通に良い歌詞で泣きそうになった。

 

NUMBER GIRL 無常の日

見てきました。自分の人生で最も影響を受けたであろうバンドの、最後のライブ。横浜ということで実家の方が会場近く、一泊してそちらから向かいましたが、バス乗りながらナンバーガール聞いてたら免許取り立ての10代の頃に爆音で何度も聞きながら走った道を通るので思い出がフラッシュバックして涙が止まらなかった。ふるさとのあの香りはいまだ変わらないだろうか?横浜では普通にブックオフあったんで寄ったりアニメイトでぼっち・ざ・ろっくの展示に目を輝かせたり邪神ちゃんドロップキックの新刊を買ったり家系ラーメンを食べたりしました。

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神奈川繋がりでしょう。レスポールの展示もありめちゃくちゃ興奮した。

開演近くても思った以上に気持ちが落ち着いていたというか、僕はたぶん、復活後中止になったRSRで現地に行き悔し涙を流し、その後ツアーを札幌Zeppでリベンジ的に再度北海道で見たことで巨大な気持ちは一度途切れてしまったんだと思う。あの日以降どうしても彼らのライブを見たい!という気持ちより、チケットがとれずSNSで絶望していた自分と同じ気持ちになる人が少しでも減ってくれれば・・・という思いの方が強かった。そんなこともあり、自分でも思っていた以上に悲しみは少なかったというか、フラットな気持ちで臨めたライブでした。

ドームって音響に満足できた試しがないのであまり期待してなかったけど、ぴあアリーナというできたばかりの会場は全パート分離してハッキリ演奏を楽しむことができるくらい素晴らしい音でとても良かった。メンバー全員の余裕のある佇まいはもうレベル100に到達したような安定感があり、ナンバーガールってスタジオ盤での革新性云々を抜いてもこの手数の多さとギターの分厚さからは想像できないくらい各パートが合間を縫うような、ハッキリと耳に残る純粋に4ピースのグルーヴがものすごくわかるバンドなんだよなというのを思い出し、こういうバンドメンバーそれぞれの個性という側面で見ると音楽性云々とは全く別のところでLed Zeppelinを想起したりする。あとはU-REIやEIGHT BEATERでのポストパンク/ポストハードコアを想起させる捻じれたギターノイズをこんな大きなホールで聞くこと人生であるんだなぁと。異質ですよね。

そして日常に生きる少女の一度落ち着いてからの後半パート、大好きだけど今改めて聞くとキックの回数もっと減らしたらこれめちゃくちゃ自分が好きなタイプのスロウコアになるなとか、排水管で序盤すごく静謐で緊張感漂うパートが30秒くらいあるんですがここを長く続けて欲しいなとか、今目線での願望も芽生えたりしてでもちゃんと今の趣味とナンバガは繋がってるんだなというのも再確認しました。しかし排水管、マジで最高。ZAZENでのamayadoriとかソロでの約束とか、あの最近の向井秀徳の、起伏の少ないメロディーで魅せる荒廃とした歌もの全開で僕はこの路線をもっとやってほしいと切に願う。あとは喂?てしっかり聞いたことあんまないのでセトリにあったのも驚きで今聞くとめちゃSuperchunkだなとか、そういう発見もありました。

前に北海道で見たときもタッチが一番泣けたのですが今回もそうで、あの曲の全パートひたすら1コード打ち付けるようなぐしゃぐしゃの和音にこんなに心を揺さぶられるのなんなのだろう。再結成してから特別に好きになった曲。あとDelayed Brain、こういうじめっとした曲でずっとリズム隊のグルーヴに合わせて体をゆらゆらしていたい。これはたぶん解散当時のナンバーガールのライブだったら出てこなかった感情だと思うので、年季というか、今だからこその貫禄が見えてくる曲だと思います。向井さんのボーカルも合う。もう少し落ち着いてからまた見に行きたいなとか思ってた矢先に解散の報を聞きめちゃくちゃショックだったし、アリーナというのにもずっともやもやしていたが、短い期間だったが一生見れないと思っていた大切なバンドを、本当にお祭りのような、少しの間でも夢を見させてもらいました。本当にありがとうございます。

 

King Hannah - I'm Not Sorry, I Was Just Being Me

ツイッターの知人からオススメしてもらった作品でビートを刻む各パートは冷たくどんよりとした重さが漂うポストパンク/トリップホップ/スロウコアの感覚が同時に詰め込まれてるようなアルバム。元々インディーフォークデュオで前作まではニールヤング的なギタープレイが主だったというのだから驚きです。勧めてくれた人が割りとサウスロンドンやダブリンとかのポストパンクシーンについて好きなイメージあったんで勝手にそっちのバンドかと思ってました、Just Masterdとかとも近い雰囲気あると思うし。トリップホップ的と言ってもクラブとかダブとかヒップホップといったそういった系譜とは距離を保ちつつトリップホップの持つ捻じれた生っぽいエレクトロニクスを感じる部分があったり、陰鬱で空っぽな重さというか、あの質量を持たない空気そのものがなんとなく重く感じてしまうようなとこに一致するとこがあると思います。

 

Viagra Boys - Cave World

知人に勧められかなり良かった。サブスクの関連バンド見ると割とサウスロンドン系とかとセットなのだろうか。踊れるポストハードコアというか歌唱法だったりリズムだったりもろBrainiacの影響を受けてると思うんですがかなり踊れるのでSix Finger Sateliteっぽいなとも思う。Six Finger Satelite自体がそもそもジェームス・マーフィーが手掛けてたりしてディスコパンクの祖先とも言えるバンドなので、そういう90sの一部シーンを切り抜いたハイブリッドとも言えそう。

 

Soulside - A Brief Moment in the Sun

Hammered HullsというDischordのバンドが新譜を出して、ついでにレーベルのbandcamp見たらこちらも一緒に上部にいたのですが新譜!?とかなり驚き、というか再結成してから実はまだ聞いてなかったんですが聞いたけどめちゃくちゃ渋い・・・。リフ、アンサンブル全部ズッシリとくる、それこそこっちはポストハードコアらしい鉄の音ですね。Soulsideってもう少しボーカルのテンションも高くてストレートなハードコア寄りのイメージありましたが、今作はボーカルが渋すぎるのと固形のリフの塊を一定に繰り返してくこの安定感とかはSoulsideというよりGirls Against Boysを思い出します。Girls Against BoysはSoulside解散後に元メンバー3人がそのまま参加していて、レーベルもDischordではなくTouch and GoやJade Treeに移っているので(近隣ではあるが)別物だと思ってたんですが、再結成後のSoulsideがこの感じだともろ直系というか一本線で繋がったバンドだというのもよくわかる。僕はTouch and Goファンなので完全にGirls Against Boysから知ったのもありその続きをまた聴くことができるのは素直に嬉しい。

 


正直ポケモンばかりやっていたのであまり音楽は聴けてないのですがその中でもとくに聞いていたものと、行ったライブでした。あと今期は面白いアニメが多すぎて見まくってるのでそれも忙しいです。ナンバガの会場限定ライブ音源こと記録シリーズを買えてそれもよく聞いてますが音も内容も良すぎてこれを会場限定にするの普通にかなりよくないと思う。色んな人に届いて欲しいな。最近はコロナに罹ったり、ブルアカをやってます。