朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

butohes - Lost In Watercycle(2021)

butohes - Lost In Watercycle

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感想です。最近このアルバムについての話題が多いので一度自分の印象まとめておこうかなと。

butohes、東京を中心に活動する4ピースバンドで元々先行トラックの「Hyperblue」「T.O.L」がSNSで話題になりそのまま先日EPをリリース、そして初ライブということで丁度見る機会があったんですが本当にすごかったです。まぁ僕は先行シングルにして1曲目Hyperblueから完全にやられてしまったんですけども。最初にbandcampで出ていたSuperplumeを聞いたときElephant GymやEnemiesを想起してあの辺をもっと歌ものに寄せた感じかなという印象で隙間のあるアンサンブルメインのバンドだと思ってたんですが、Hyperblueではクリーンなギターリフを重ねに重ね音の波で埋め尽くしていくと言った曲でかなり予想外で、その中からメロディが自然と浮き上がってくるような、轟音とは違うんですがこの透明感のある重厚なギターサウンドがめちゃくちゃ気持ちよかったんですね。インスト系のポストロックっぽさもありインストと歌もののギリギリ中間を縫うような歌メロが個人的にかなりツボだったというか。

というわけでA面3曲はどこシングルカットしても問題ないようなキラーチューンで固めつつ、B面からは打って変わりエクスぺリメンタルに深く潜っていく三部作で音響面にフォーカスしていきます。ギターボーカルであるMichiro氏は同時にエンジニアも兼ねていて「Aquarium」では彼のアンビエント趣味が色濃く出たとのことですが前半の流れをぶった切らずちゃんと延長線として聞け、1フレーズをきっかけに音が誕生し轟音に至った末また冒頭に戻ってくる「zero gravity」では曲構成自体がドラマティックなのもあり非常にライブ映えのするアンセムで(生で見たとき凄まじかった)ここから吹き抜けの良い「Superplume」へ繋がるという6曲構成を生かし切った非常にコンセプチュアルな作品となってます。

ツイッターで感想を見てるとシューゲイザー、ポストロック、ポストパンク、等々言われてますが個人的にそれっぽいジャンルに当てはめるのは妙にしっくり来ず、というのも本人達も別にそれをやってるつもりは全くないとのことで参照元もとくに思いつかないんですよね。ある程度音楽的なバックグラウンドを前提としつつその奥が見えてこない・・・という意味では同じく突然変異的に出てきたPeople In The BoxDownyを思い出すし、それらと音楽性が似てるわけではないんですが、やってることが結果的に「ポストロック」としか形容できないという立ち位置に近いものを感じるというか。重厚にも関わらず全く聞き疲れのしない透明感があり、この音の波に身を任せ浮遊する感じは王道とは外れつつもシューゲイザーと形容したのかなという気はします。

とは言いつつSCLLっぽいというツイートを見かけて確かに!となったり、Mercury Programっぽいってツイートを見て言われてみればHyperblueが結構Chez Viking期っぽいフレーズ出てくるかもなとなったわけですが、どんな方向に行くか楽しみなバンドではありますが上記の面々に引っ掛かる方は是非とも。B面での実験的な方では初期múmとか好きな方にも引っ掛かるかもしれません。あとは知人のsora tob sakanaファンの方が解散ロスの中それ以降聞いたバンドの中で一番しっくり来たと感動してました。まぁ確かにポスト残響としてマスロック~エモ~ポストロックを横断しつつ徐々にエレクトロ化していったって意味ではどっか掠るとこあると思います。てか単純にベーシスト兼作詞のFg氏が照井さんの大ファンなのでリンクしまくりますね。