前回に引き続き邦楽オールタイムベスト的なやつです。
ストーナーやドゥームメタルの流れを汲むヘヴィロックからノイズをつきつめてドローン~アンビエントのような路線でアルバム作ることも多いBoris、実際boris名義とBORIS名義でバンド寄りの作品、実験寄りの作品と分けてきたわけですが、今作バンドですが双方の影響が出てます。初期~中期の名作「Akuma No Uta」「Heavy Rocks」で鳴らしていたヘヴィロック路線から名盤「feedbacker」での抒情的なノイズミュージック要素が融合したかのような美しい轟音、そこにエモーショナルなメロディが浮遊感増し増しでのる1曲目「決別」から余りにも名曲。僕はこれで完全にぶっ飛ばされてアルバム買ったわけですが、そしたらもう「PINK」「俺を捨てたところ」と言った本来のヘヴィ路線であるドゥーム~ストーナー色の強い爆走ノイズチューンに完全にやられました。元々メタルそこまで得意ではないのですが、今作はただ激しいわけではなくサイケデリックな質感がついて回るので所謂ハードロック的な質感があまりなかったし、あと一番の決め手はメロディーがポップなことだと思います。この音で普通に歌がキャッチーなのでめちゃくちゃ入りやすいというか、実際聞く前は敷居高いアーティストだと思っていたんですけどね。
NISENNENMONDAI - Destination Tokyo(2009)
テクノやクラウトロックで得るような一定の間隔でのリズムを追求してひたすら快感に浸るっていう、あの反復の美学とも言えるダンスミュージックを全部生演奏でやりましたってアルバムでSilver Applesの現代版というか、Sucideをもっとオルタナ〜ポストパンク〜サイケデリックを通過した今アップデートしたという感じです。初期はポストパンクを爆音ノイズで塗り潰したようなオルタナ寄りの音楽をやってたんですが、後期は完全にミニマルな人力テクノとも言えるビートミュージックへ向かっていきその中間とも言えるのが今作。ギターリフを軸に反復しながらドラムもどんどんラウドになりロック的に盛り上げていくという、まさしくバンドサウンド好きのためのダンスミュージックと言えます。
そしてライブ盤である「Nisennenmondai Live!!!」もセットで是非、この時期の録音なので初期のノイズロック路線と後期のミニマル路線の中間であるおいしいとこどり、初期の代表曲や未収録シングルの「Appointment」「Fan」もやってて爆踊りできます。
ゆらゆら帝国 - な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い(2003)
ゆらゆら帝国のしびれ、めまいという2枚のスタジオアルバムから厳選というかその楽曲のみで構成されたライブアルバム。とは言いつつライブアルバムの枠を超えた一種のコンセプトアルバムのような側面があり(こういうアルバム好きすぎる)とにかく1曲目からありえんくらいの音圧と爆音ファズギターの嵐に耳がやられるかと思った・・・。ローファイすぎるその録音そのものがゆら帝特有の60~70年代のガレージサイケとかブルースロックのスモーキーな空気で既存の楽曲をコーティングしてしまい、一種の新しいアレンジにすら聞こえて、冒頭二曲みたいにライブの醍醐味を詰め込みまくった爆走ナンバーから「無い!!」のようなメロウ路線はこのくぐもった録音で酩酊感増し増しになってます。個人的に「空洞です」よりも「ミーのカー」派だった自分には彼らのアルバムでベストですね。
OGRE YOU ASSHOLE - ペーパークラフト(2014)
オウガ、前回ベストとしてラムダ挙げてますが初期と後期で全く音楽性が異なるバンドなので後期の好きなのを二枚。こっちはサイケデリック~クラウトロックへと接近したコンセプトアルバムだらけな時期なんですが、この「ペーパークラフト」ではミニマル路線とメロウ路線のアルバムを作ってきた彼らがそれらを融合させたいということで当時の集大成的な作品になってます。その結果CANやノイを思い出すクラウトロックのビートの上で歌ものをやるというまさにミニマル+メロウな作風になっていて、割とリズムやフレーズ自体がこの時期のオウガにしてはキャッチーで、印象的なメロディーが多数登場するというこの手の音楽にあまり慣れてなかった自分にも非常に聞きやすい作品でした。むしろこっからCANにハマるという。
で「新しい人」ですが、ペーパークラフトではミニマルメロウを作りたくて模索してったわけですが、今作はシンプルなソフトサイケな歌ものをやった結果すごく自然体な感じが出ていて、狙わずともミニマルメロウになっている気がします。どちらも大好きな作品で今聞くと非常にしっくりくるんですよね。聴き所を選ばないというか。
小さい頃からYMOがよく流れている家で育ったので結構馴染み深いアーティストなんですが、かと言って元々ロックが好きだったのもあり"テクノポップ"てのに馴染めず(ライディーンとか全然好きになれなかった)大分距離があるアーティストでした。どっかのタイミングで急に電子音楽とかに興味が湧いたとき何聞く?てなって家にあったYMOから掘り下げたのが自分から聞いた最初、そしたらBGMとかテクノデリックって本人達もテクノポップに嫌気がさしてお茶の間に広がってしまったからこそ「子供達をふるいにかけた」アルバムだったらしいですね。てことでドロドロの電子音や不穏なリズムに不気味なヴォコーダーまみれのボーカルとこの実験性強すぎる要素がえらくクールでかっこいいし、そもそもロックに付随したダブやサイケの要素が俺は大好きなのでそういう部分でYMOの変遷の中で一致してきたんですね。でちゃんと聞いてみるとYMOってバンド編成なのでライブ盤バリバリ生演奏だし、テクノデリックに関しては普通にバンドで録ってるし・・・。
てわけで大好きな二枚。方向性は同じでも大分違うアルバムなんですがどっちかってのは選べないですね・・・。BGMはとにかくリズムがマジでかっこよくて、「U-T」とか「千のナイフ」とかきめ細やかにビート敷き詰めてるのにその音一つ一つが濁っている感じとか、テクノデリックはダークでインダストリアルとかの要素もあるし音のループ感も増してて、あと「体操」とかは加工されてるけど生ドラムならではのグルーヴ感みたいのを感じやすくマジで最高。あと「灯」とかの狂ったように動き回るベースラインとか初めて細野さんをベーシストとして意識した瞬間でした。
当時日本のポリスとも呼ばれたバンドで実際に1曲目「御七夜の夢」のイントロからもろなんですが、ただサウンド的にはポリスというより80年代中期ごろのニューウェーブ~ポストパンク寄りのもうちょっとソリッドなジャキジャキ感があってポリスよりエッジが効いてます。しかもネオアコとかとも呼応しためちゃくちゃ吹き抜けの良いギターポップが所々顔を出すのもかなり良いですね。
アルバム未収録ですがこの時期のシングル「病んでるオレンジ」がジョイ・ディヴィジョンがギターポップ化したとも言える代表曲になっていて、ジョイ・ディヴィジョンもポリスも後に散々リバイバルされてくわけですが、リアルタイムでこの辺のハイブリッドをやってたのがこの時期のNav Katze。しかもこの後Aphex TwinやMouse On Marsと言ったIDM勢とコラボしたりする辺りからも元祖オルタナとも言えるかも。
終わりです。続きもどっかで。
あとオウガの2枚は前にここでもうちょっと細かく書いてます。