朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

discography⑥

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アルビニ録音で好きなやつというかアルビニ本人のバンドとかでも好きなやつを選んでます。


 

Big Black - Songs About Fucking(1987)

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ツイッターで流行っていた80sベストって言葉を見てぱっと思いついたアルバムこれとMission Of Burmaでした。インディーシーンの立役者ことスティーヴ・アルビニの原点となるバンドで、ドラムマシンによる暴走するマシーンビートにジャンク感たっぷりの超ノイジーなギターを乗せて爆走します。音割れというかもう半分以上ノイズでしょというくらい爽快感がありここにまたアルビニのキレた咆哮が乗るのでとにかくかっこいいです。ボーカリストとしての彼が一番映える作品これだと思います。

80年代前半の初期作聞くとポストパンクとかノーウェーブの流れのバンドに聞こえてP.I.Lとか引き合いに出される感じでしたが、今作は普通にハードコア色強くて金属的なドラムマシンやノイズ要素からインダストリアルともリンクしてきますしMinistryとの同時代性もありますね。Slintの1stのジャンク~ノイズロック感とかは割とBig BlackRapemanの系譜感じますね。

 

Rapeman - Two Nuns And A Pack Mule(1988)

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久々に聴いたんですがマジでかっこよすぎる・・・もう圧倒的というかたった一年で解散してしまったバンドですが、Big Black解散後にアルビニがScratch Acidのリズム隊とともに結成した新バンドで本当に凄まじいです。基本的に後期Big Blackのノイズロックをドラムマシンではなく生演奏で再編成した・・・て感じですが、ドラムマシンがないのであの高速な爽快感は無くなり生ドラムのフレーズ一発一発がとにかく重く、序盤の「Monobrow」「Up Beat」ではドラムのテンポが途中で変化しそれに合わせて各リズム隊も縦横無尽に動いたり・・・ともうBig Blackとは全く楽しみ方が違います。そしてこのカラッカラに乾いた拡散しまくったノイズギターの嵐がマジで凄まじい。

Rapeman解散後にメンバーがそれぞれ分かれて活動するShellacとJesus Lizardはかなりこの時点で通じるところがあるというか、原型と呼べるものはここでできたんじゃないかとすら思うんですが、どちらも洗練されすぎてる中こちらは各パート衝動増し増しでぶちまけてる感じがあり、ジャンクロックとして聞くのならこれ以上のものはないです。

 

Shellac - At Action Park(1994)

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現在も活動中のアルビニのバンドで僕はこのバンドをきっかけにこの辺にハマっていきました。未だによく引っ張り出す愛聴盤で、アルビニについてPixiesとかNirvanaとかのプロデューサーとしてしか知らなかったのでバンドやってたんだ?というのもShellacから知ったんですが、実際にRapeman解散後Shellac結成までの1988~1993年辺りの空白はプロデュースがメインでやってたのかなぁとも思います。この間に心当たりのある名盤いくらでも出てるし。

で1st、Big BlackRapemanで見せたジャンクとも言える破壊的ギターサウンドはなりを潜め、むしろカラカラのノイズギターをそぎ落とし収束させたようなギターでジグザグと反復するリフとそこに絡んでくるリズム隊を聞くという今までと比べると大分ミニマルな作品で、変拍子も多用し完全に個性の塊で3ピースの究極というか、もう楽器同士の会話を記録しているとすら言いたくなりますね。1曲目いきなりイントロからあの「針金を引っ掻いて空気の振動でギターが鳴ってる」と言うジャリジャリとした空気感そのものが音に出てて、この密室感はアルビニ録音のビジョンそのものというか、本人の美学が詰まってるんだろうなと思います。

余談ですが、僕はナンバーガールがSappukeiを作るにあたってこの辺に影響を受けたという話を聞き開幕「My Black Ass」から圧倒的な緊張感、そしてギター音が裏返ったときの激カタルシスに衝撃を受けこの後ハードコアに目を向けるようになったんですが、「The Admiral」辺りのドラムのビート感がナンバーガールにもろ引用されてるものだったり、そのまま54-71にももろに繋がる感じですね。

 

Shellac - Terraform(1998)

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名盤2nd。1曲目「Didn't We Deserve A Look At You The Way You Really Are」が12分淡々とワンフレーズ繰り返す曲で緊張感を維持して煮え切らないまま終わり、吹っ切れたように2曲目以降からは3分前後の衝動まみれの激しい演奏が続くという振り切ったアルバム構成。そのフラストレーションを溜めてからのカタルシスの連続が余りにも気持ちよく、やっぱアルバムで聞くのっていいなというのを再確認することとなったアルバム。個人的に彼らのベスト作です。というか「Disgrace」「Canada」もミニマルにフレーズを紡ぎつつ爆発していくのかっこよすぎ。この辺のBBCライブ盤の「Canada」でのテイクがマジでヤバイので是非とも。こっちはZAZEN BOYSとかがかなり影響を受けてると思われます。

 

Shellac - 1000 Hurts(2000)

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lastfmやサブスクの再生数見ると彼らの一番の人気作これっぽいですね。今までのアルビニのボーカルはいつもスポークンワーズと歌の中間+シャウトともとれるものだったのが1曲目「Prayer To God」から珍しくしっかりと歌っていて鈍器のようなビートの上で爆発させていきます。「Canaveral」も歌ものっぽいし「Song Against Itself」も割とポップなんですが、逆に今まで以上にノイジーな曲もあったりと基本は今までの延長ですが今までの鋭利な作風から少しずつ拡張されてる気がします。緻密なセッションで練り上げるというより感覚的なセッションで曲を作ってるようなので当時のモードが反映されてるのかもしれません。

 

Jesus Lizard - Goat(1991)

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Scratch Acidで活動していたデヴィッド・ヨウ率いるTouch&Goを代表するバンドで名盤2nd。元々彼らを知ったのはグランジオルタナまとめサイトニルヴァーナとスプリットを出しているとのことで、まぁ大きく勘違いしてしまったわけでグランジバンドとは全く色が違いますね。グランジ的なハードロックやブラックサバス由来のヘヴィネスとは全く異なるおどろおどろしさがあり、むしろアンサンブル自体はスカスカでポストパンク~ハードコアの流れで聞くバンドかと。

とにかくこのバンドと言えば圧倒的存在感を誇るデヴィッド・ヨウで、彼の化け物じみたボーカルはとにかく酩酊感がありこんなボーカルいたら一人で全部もってっちゃいそうなんですがそうもいかず、リズム隊各パートのフレーズ、音色ともに圧倒的個性を持ってるのがジーザス・リザードのすごいところ・・・。というかアルビニ録音マッチしすぎだし、Rapeman経由して別れてるので単にプロデューサーとして以上に関りが深いってのもあると思いますが、アルビニ録音ありきだろって思えるくらいデカく録られているドラムの存在感半端なくこれを中心に進行していきます。ここにデュアン・デニソンの地をのたうち回りたくなるような不穏なギターとこれまたアルビニらしい音の太さよりも切れ味の鋭さメインなベース音が乗るという、混沌とした世界観は唯一無二。

 

Jesus Lizard - Liar(1992)

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開幕「Boilermaker」から爆走していくんで前作にあったじわじわとまとわりつくような雰囲気とはまるで違い、とにかく爽快感ある1曲目に今聞いてもかなりびびります。Goat収録の「Mouth Breather」とか好きだった人にはヤバイでしょう、てかそれ僕ですが・・・。前作より激しいし速いしで割と聞きやすいですがフレーズとフレーズの隙間が見えるおかげでリズム隊が非常に映えるのは勿論変わらず、ドラムのキレキレっぷりは更に増していて個人的にMinuetmenとかGang Of Forとかの流れでも聞ける気がします。というよりScratch Acid時代まで遡って聞くとあの頃のデヴィッド・ヨウのボーカルってゴスとかポジティブパンク感が結構強くて、グラムロックとかも好きなようなのでその辺がハードコアやノイズロックを通過した・・・というのが彼らなルーツな気がしてきますね。ちょっとBauhaus思い出すとこもあるし。

 

Uzeda - Different Section Wires(1998)

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イタリアのバンドですがTouch&Goでアルビニ録音。Big BlackとScratch Acidのメンバーが合流してRapemanになりそれが分離してShellacとJesus Lizardになった・・・という変遷を辿ってきたわけですが、これらのバンドが好きならまず間違いないってバンドがこのUzedaですね。まぁほんとにShellacとかを連想する縦横無尽な曲展開に半ポエトリー+シャウトとも言えるボーカルが乗ってくわけですがShellacと比べても超ノイジー。とにかく濁っていて汚水とも言いたくなるようなジャンクなギターノイズで埋め尽くす1曲目「Nico And His Cats」からかっこよすぎですが、不定形の歪んだギターリフをドラムが繋ぎとめてく感じがドラムで聞くノイズロックって感じです。

ちなみにUzedaの主要メンバーである二人は後にDon Caballeroのリーダーであるデーモン・チェと組んでBelliniを結成、この辺のTouch&Goやアルビニ録音のバンド達がどんどん合流していくのが個人的にかなり好きなとこです。

 

 


 

昨年ナンバーガールのライブ見たのをきっかけにこの辺の熱が再燃しShellac聞きまくってました。あと

この記事Rapemanについて書いている全ての文章で一番好きですので是非。

 

Don Caballero周辺はアルビニ録音+Touch&GoであとRodan~June of 44~Shipping NewsのほとんどがアルビニのスタジオでShellacのメンバーであるボブ・ウェストンが録ってる上に、レーベルもTouch&Go及びその傘下のQuarterstick Recordsで、この辺のシカゴ~ルイヴィルの布陣というかシーンが僕はもうほんとに好きすぎる。