朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

2021年まとめ

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今年は自分から新譜を掘ることをほとんどせず、話題作とかもあんまり触れてこなかったんで年間ベスト的なものを作れるほど聴いてないんですが、今年リリースされた音源でよく聞いてたものを上げてきます。


プレイリストです。垂れ流しにどうぞ。

 

SPOILMAN - Solid Green

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今年はもうこればっかり聞いててとくに順位付けとかはしてないですが再生数、一時期の熱中具合なら間違いなくトップです。ライブも行ったしね。

てことでSPOILMANの2nd、これもう現代のデヴィッド・ヨウじゃんと言いたくなるex.ロクトシチのカシマ氏によるフリーキーなボーカルとJesus Lizardをリスペクトした楽曲郡、アルビニ繋がりでShellacと言った90sポストハードコアも強烈に思い出します。参照元が本当に大好きなシーンで2021年にこれが聞けるのか・・・という感動がすごくてあの頃のTouch and Go Recordsやアルビニ録音好きなら間違いないアルバム。

前作はグランジとも比較されてたんですが、今作はより音をそぎ落としつつリズム隊は手数が増えてるので身軽になった感じがして尚且つキメも多様とバンドアンサンブルが本当に聴いてるだけで楽しい。Minutemenとかとも近くてMinutemen→Jesus Lizardと線を引いたら次に今作を出したくなる感じ。

 

SODA BOYZ - Farewell Spit

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SODA BOYZというニュージーランドのバンドでbandcampのslowcoreタグにあったとのことでフォロワーから勧めてもらったんですが、生音感強いグシャっとしたドラムと不協和音ギターをまくしたてる1曲目のイントロからかなり衝撃を受けました。インディーロックやエモのフィーリングも多分に含んでますがこの硬質な質感はやっぱりポストハードコアと言いたくなるし、ギターリフのいい感じの捩れ具合からJawbox~FaraquetといったDischord Recordsのエモ半歩手前のバンド達も思い出しつつあの辺よりもっと冷えてます。

中盤からはどんどんスロウコア化するのでエモバンドの静パートとか好きであそこだけ楽しみたいって人にはたまらないだろうし、隙間だらけの最小限なアンサンブルの中で所々轟音が炸裂するという、低体温のまま轟音を入れてくる感じもめちゃくちゃかっこいいですね。USインディー的でもある「Bad Friend」はジャッキジャキのDusterと言った感じ。あと実は2020年なんで全然新譜じゃないです。

 

Ovlov - Buds

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待ちに待った新作。Ovlovと言えばバケツひっくり返したような爆音ノイズを全身に浴びせてくるような印象ありますが、先行公開された数曲を聞いたときそこまでではなく、むしろ元々あった親しみやすいメロディーを生かしたユル目の曲でノイズはギミックの一つとして局所的に顔を出す感じで、次作はOvlovの本来もっていたUSインディー色強いメロディアスなアルバムになるのか~とか思ってたら再生して1曲目「Baby Shea」の開幕から蛇口ひねりっぱなしの爆音ノイズ垂れ流して疾走してくのに完全にやられました。相変わらずギターがかっけぇ~!というバンドです、まさにこれが聴きたかった。

 

NOUGAT - 40 MINUTE MEDITATION

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12月リリースされた新譜を「今年よく聞いたアルバム」に入れるのぶっちゃけどうなんだ?て思うんですがそうとは言ってられないくらいハマってしまってここ最近ずっと聞いてますね。SPOILMANと並んで20年代ポストハードコア名盤として語り継がれてく作品だと思います。

でNOUGAT、開幕NOTHINGからギターリフが循環してる感じやボーカル処理からもろPinbackのOffline P.K.感でいきなり最高なんですがPinbackよりもポストハードコア色が強くて、円を書くようなドラムのループ感は初期downy、リフが映えるDOUBTではlostage(小文字時代)とも重ねて聞いてしまう。轟音ではなくツインベースを生かしたリフとリフの絡み合いの妙でカタルシスを演出するってのもかなりかっこいいです。

ハードコアバンドがスロウコアに転向したときに出る不穏な冷たさが大好きなんですが、もろにそれが滲み出た最終曲「I Feel So Sad」はuri gagarnの暗黒ポストコアを継承してる感じがたまらないし、僕は今でもUnwoundの影を追い続けてしまうみたいなとこあるのでクソ刺さりました。

 

Various Artist - Through the Soil

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3枚組み67曲という長大ボリュームのコンピレーションですが、$1~でbandcampで買える超お得コンピでたまたま見つけて買いました。で登録タグ見てみると「bedroom pop」「indie folk」「slowcore」とありまさしくそんな感じ、Hovvdyとか入ってる通りインディーフォークの色が強くまったり適当に流してられる感じですが例外も多く、とくにWeatherdayやSprit Of Beehiveと言った昨今話題のインディーバンドもいたりしてこの辺のバンドの新曲も楽しめます(というかWeatherday目当てで買いました)。Spotifyにない曲も多数。

kitchen - Julie

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そしてこちら上記のコンピに入っていたkitchenというバンドのJulie、Spotifyでのシングルとしてリリースされててこれがベスト級、この名曲に会えただけでも大当たりのコンピだったとすら思います。とにかくメロディーが良すぎて、ギター1本のめっちゃ良い弾き語りで全ての解説が終わってしまうくらいな素朴なインディーフォーク~ちょっとスロウコアな質感もある名曲。ただシンプルな弾き語りで終わらず、途中からシカゴ音響派も思い出すようなポストロックと接続したくなるプロダクションが展開され完全に想像の外から飛んできた感じです。一度静寂に潜ってから最後の最後でバンドサウンドへ帰結してくところはエモすぎる。土臭すぎないCalifoneって色もあって再生後即アルバムへ。

kitchen - Halloween in August

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でアルバム、これも新譜ではなく2020年作ですが良すぎて死ぬほど聴いててまず第一に素晴らしすぎる歌声とメロディーってのは勿論、素朴な弾き語りから色んな仕掛けが飛び出てくるってのはもうこのバンドの基本で曲展開がすごくドラマティックなんですよね。Modern Ringtoneというかなりポストロック色強い曲ですが個人的にベストトラック、あとTwo Hundred Thousandもこっから急にギターが爆音になるの全く想像もつかない・・・。

 

littlegirlhiace - Ferewell Nursecall

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昨年2枚アルバムをリリースしたと思ったら今年も出すというリリーススピードに驚愕。で前作とは大分印象違ってとにかく録音が荒れすぎててこれが凄まじく、もう音割れと同化したボロボロのドラムが手数多く突っ走ってくチルハナのイントロが余りにも破壊的で(SAPPUKEI録音のSASU-YOUみたいな)、同じく割れまくったlilyでのギター音とか、破滅的な歌詞も相まってこの自傷サウンドがノイズとは違った方向で気持ちのいいアルバム。

個人的に好きなのがdemon girl next door、今までも「エリカ」「アカネ」といったアニメキャラモチーフの曲は多々ありましたが今回はちょっと一歩引いた立場からモチーフ元を、原作ネタを織り込みつつ違った視点から歌っていて、サビ前の「まちかどで危機管理」で元ネタ開示というのがもう完璧だなと思いました。大好きな曲です。

前作聞いたとき割と短編小説集みたいなアルバムで曲ごとに世界観があるというか、バラエティに富んでてカラフルな印象だったので完全に反動でできたアルバムみたいです。ジャケのキリングジョークも秀逸。

 

宇宙ネコ子 - Hino Ataru Basyo Ni Kiteyo

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宇宙ネコ子と言えば今年発売したシューゲイザーディスクガイドで対談してたイメージが強いんですが、アルバムの方はシューゲってよりはその前夜感・・・The Cureのdisingrationとかあの辺りの、まだギターポップの延長みたいな頃の空気が濃縮された感じです。そしてディスクガイド内にも話題になってたネットレーベル産の地続き感がかなりある宅録感ある音で鳴ってて本当に部屋で聴いてる感じというか、親しみやすさと仄かなノスタルジーに溢れててめちゃくちゃ良かったです。

 

HIJOSEN - 発露

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あとはHIJOSEN、シューゲイズ~ドリームポップ関連の多数のバンドメンバーが在籍してますがHIJOSEN自体はシューゲと距離あると思っていて、むしろ60sサイケやクラウトロックとも通じる乾き切ったサイケデリアとドリームポップ以降の浮遊感が合流してくるようなゆったりとした酩酊感+和的なメロディでかなり独特な気持ちよさがあります。そんな中でも「少年」のような爆走ノイズポップが仕込まれているところも良い。

 

CAN - Live In Stuttgart 1975

CAN - Live in Brighton 1975

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あとはCANのライブ音源、サブスク解禁に合わせて今年だけで2枚出てて最近よく聞いてました。Future Days~Soon Over Babalumあたりのダモ鈴木脱退後の編成で浮遊感あるジャムセッションでまとめ上げた全部新曲(というか未公開曲?)、なんですが即興的というか、新曲とは言いつつ聞き覚えのあるフレーズが登場するシーンもあるし既存曲とインプロのおいしい使いまわしの塩梅がよすぎて、これ毎回ライブ通うの楽しかっただろうなぁと思えるめちゃくちゃいいアルバム。あと音良すぎ。

 

そして上半期から。一応ここで

一回やってるんですが、こん中でこの後も聞き続けたものとか印象的だったもの・・・やっぱCloud Nothingsかなぁと。あとShameもよかった。

 

Cloud Nothings - The Shadow I Remember

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これ書くのを機に久しぶりに聞き返したら良すぎる・・・結構ラウドな印象だったんですが思ったよりギターの音とかスカスカでバンドの素材そのままを録音した感じで、聴いてるだけでちょっと前にツイッターでバズってた街中で初期Cloud Nothingsが衝動たっぷりに演奏しているライブ映像が脳内で再生される感じというか、これをアルビニ録音で録るってのが徹底して「今のバンドの生の姿」を残しておきたかったんだろうなぁとか思っちゃいます。たぶん前作がコロナ禍による宅録がメインだったことの反動だと思うんですが、SuperchunkのNo Pocky for Kittyとか好きな人なら絶対間違いないですね。

Cloud Nothingsアルビニ録音と言うとどうしても名盤Attack On Memoryがチラつきますが、あのグランジ~ポストハードコアのような硬質で殺伐とした音像を求めるとかなりスカスカで物足りなく思われても仕方ない気がするけど、むしろちょっと毛色違うアルビニ録音のアメリカーナやスロウコアにありがちな、音数少ない演奏をあえて部屋まるごと録ったよう音でリアリズムを追求するイメージで聞くとすごくしっくりくる気がします。今年そういうのをよく聞いたのもあってリリース時とはまるで印象が違ったかも。

あと名曲「Nara」はたぶん前回来日時にLOSTAGEと対バンしたのをきっかけにメンバーが奈良まで遊びに行ったエピソードが元だと思うんですが超グッドメロディで泣けます。あんま奈良が曲になってるの聴いたことないけどそりゃ鹿とかいたらインパクト大きいだろうなとも思いました。

 

Shame - Drunk Tank Pink

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でShame、サウスロンドンはblack midiとかBlack Country, New Road(以下BCNR)がツイッター見てると人気な印象で結構もうポストパンクってよりかなりエクスペリメンタルな方に行ってる気がしますが、個人的にShameが一番パンキッシュでよく聞いてました。敷き詰められたリズム隊+キレキレな高速ギターリフってのが割とポストパンクの影響が濃いポストハードコアみたいな感覚で聞けるというか、Interpol+Die!Die!Die!みたいな印象で後に出たライブ盤も良かった。とくにBorn in Lutonは何度聞いたかわからんってくらいハマってました。

 

deathcrash - People thought my windows were stars

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でサウスロンドン周辺のバンドらしく後ほど知ったdeathcrash、ぶっちゃけ言われなきゃサウスロンドンだって気付かないだろってくらい完全にスロウコアやっててびっくりしました。

これ聞くとなるほどBCNRのSlint化はシーン内でリンクしてたのかとなったし、1曲目イントロのSEからもろMogwaiのCome On Die YoungでArab Strapも想起しつつあの辺のグラスゴーのスロウコア~ポストロックの流れも思い出すし、ボーカルはもろCodeine系列。BCNRは一部メンバーがハードコア出身らしくハードコア→スロウコアの変遷はよくあるので自然な流れかもなんですが、割と「ポストパンク」と括られがちなシーンなので全く想像もつかなかった。

 

既踏峰 - 既踏峰

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19年作である1stと今年リリースされた2ndの宅録2枚から厳選された9曲を新たにスタジオで再録した作品。集大成ですね、1stはローファイであることを生かしたドリーミーな作風でスピッツ最初期とかミツメっぽい雰囲気だったのが2ndではスッキリした音で単音ツインギターの掛け合いを前面に出してて、今作は割と2nd寄りかな。でもソロでの宅録ではなくバンド形態+スタジオ録音により音の輪郭がハッキリしたためリズム隊がかなり生き生きしてて、アレンジそんな変わってないのに曲の印象がガラリと変わってます。「夜」とかとくにわかりやすいかと。

ギターの音もネオアコを思い出しつつフレーズはあんまネオアコからは出てこなそうなくねっとした変則的なものが多く、これとリズム隊の絡みを聞いてるだけで楽しいんですが、心地いいループを繰り返す中で終盤はドラマティックに展開してくというエモーショナルなアウトロにキュンとしてしまう作品。Orange Juiceの「Falling And Laughing」を聴いたときのどんどん飛び出てくる新しい展開にドキドキしたときの気持ちを思い出します。

実は今年リリースではなく来年1月1日リリース予定、で今なんとbandcampでは12月時点で先行公開してるのでもう聞けます。2021年のベスト(?)に入れていいかどうか微妙な立ち位置なんですが曲自体は知ってるものばかりだし、こっちも12月中ずっと聞いてました。元になった2nd「夢を見る方法」は上半期まとめで入れてます。

 


あとアルバムってよりEPをいくつか。

butohes - Lost in Watercycle

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これも上半期で書いたやつですが、めちゃ聞いてました。最初とまた印象変わってきて「Aquarium」「zero gravity」辺りのエレクトロ路線がこのバンドの真価な気がしてきたし、むしろ元々アンビエント~エレクトロ畑のアーティストがロックバンド形態でやってるっていうような聞き方が結構しっくりくるかも。T.O.Lでの浮遊感とかも割とそんな感じで。

 

Hey, ily! - P.S.S.U.S.S.P

Hey, ily! - Internet Breath

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どこで見つけたか覚えてませんがこれもすごくよくてジャケから想像のつくようなかわいらしいチップチューン的なデジタル要素+エモって感じです。ちょっと前に公開されたこの記事

5th wave emoにおけるおたくカルチャーからの引用punkvideoclub.wordpress.com

でのエモリバ第五世代が実はオタクカルチャーと親和性があるって内容ともちょっとエモの中でもメロディックな辺りも含めリンクする気がしますね。この記事自体もめちゃくちゃ面白かったです。

 

Skullcrusher - Storm in Summer

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ツイッターから拾ってそのままドハマりしたSSWでインディーフォーク系ですが、上記のkitchenとも通じるポストロックとも接続できるようなスケール感広げてく感じというか、アコースティックサウンドのままエクスペリメンタルに寄ってくのが個人的に結構ハマりました。別作でレディヘのカバーとかもしてるのも繋がってくる気がします。

 

Piu mosso - Failed Still Images

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怪作。ちょっとインダストリアルみもあるビートの中で即興演奏的にギターノイズが走ってく開幕の「deskwork」からかなり劇的で、Slintの1stと2ndを繋ぐシングルであるGlennがMatmosと合体してIDM化したかのような暗黒世界が展開してくんですがこれがかなりヤバイです。Confiled前夜のAutechreとか好きな人もきっと楽しく聴けるはず。

 

 

こっから再発関連です。

Speedy Ortiz - The Death of Speedy Ortiz & Cop Kicker .​.​.​Forever

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10年代最高のアルバムはCloud NothingsのAttack On MemoryとSpeedy OrtizのMajor Arcanaっしょと即答してしまいたくなるほど好きなバンドですが、今回そんなSpeedy Ortizの初期作品やEPをまとめた音源集が11月にリリースされました。2nd以降はCloud Nothingsと同レーベルであるCarparkから出てるし、最初にリリースされたEPは上記のOvlovと同じExploding In Soundからなのでこの辺のインディーロックやオルタナ周辺とかなり近い感覚で聞けます。

90sっぽいUSインディーなイメージ強いし初期作ってことでPavementのWestingのような半壊したローファイの真髄みたいな感じになるのかなぁとか想像して聴いたんですが、2曲目に入ってる「Cutco」が良すぎて完全にぶっ飛ばされました。元々ノイジーなバンドですが、ギター音そのものの歪みとは別レイヤーでローファイな録音によるふわっとしたノイズが重なってるんでかなり分厚く、でそれを無視しつつ一番前に置かれているボーカルが余りにもキャッチーでメロウな歌ものとして極上。オルタナとかインディーとか言う前にSpeedy Oritzはまず彼女のソングライターとしてのメロディーセンスが一番中心にあるんだなぁと思い知らされます。あとこの手の音源にありがちなデモっぽいガシャガシャとしたリズム隊のぶっきらぼうな音も最高。

この後リリースされる名盤Major ArcanaにあったL7とかと比較されてたグランジ要素はあんま見られず、Pavementをよりノイジーにした感じというか、それこそHeliumとかめっちゃ思い出しますね。

 

Sofa - Source Crossfire

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再生して1曲目のイントロから高速ポストハードコアで疾走してくのかなりインパクトあり、BastroやCrainと言ったマスロック先祖とも言えるバキバキのリフもの好きな方はその路線のままマスロックとは違う方向に逸れていったバンドとしておすすめです。Clikatat Ikatowiと言ったカオティックなサンディエゴ勢と通じるところもあるし、B面からは急に静寂に寄りスローペースの曲がズラっと並んでくのもやはりハードコアを経由したバンドはスロウコアへ向かってくのだなという片鱗も1枚の中で見せてきます。

今年リリースですが実体は90年代に活動したバンドらしく、おそらく絶版で入手自体が難しくなってた音源をまとめて今リリースできたというものでこんなに素晴らしいのに埋もれてしまうのそりゃ勿体無いし、これはもうマジでありがたいですね。上記のSPOILMANとか行けた方はその親戚という感覚で聞けると思います。

 

bIG*fLAME - Rigour

bIG*fLAME - Touch!

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これも長らく絶版だったものが今年になってようやく再発、80年代に活動したバンドでギターポップのコンピとかで何度か見たことあるポストパンクことbig flame。超高速でファンク要素抜いてパンキッシュに疾走してくGang Of Forという感じでナンバーガールまで連想してしまうし、カラッカラに乾いたギターを高速で搔きむしって勢いで押し切ってしまうようなぶっ壊れた感覚はポストパンクの醍醐味が詰まってます。

曲も短いし少ないしアルバムも出さないまま解散してしまったようですが4枚のシングルと1枚のコンピレーションとして今年再発し全部最高。突っ走り具合が凄まじい「Rigour」「Tough!」のシングルがとくに好きです。

 


月ノ美兎 - 月の兎はヴァーチュアルの夢をみる

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番外編的に月ノ美兎、長らくVtuberは見てなかったんですが参加アーティストも豪華だしで話題になってたので聞いたら、コロナ禍前にゲーム実況をいつも楽しみに見ていた時期が自分にもあったのだということを色々と思い出してしまうしそういった配信ネタも曲内に盛り込まれてたり、なんか余計な感情が邪魔して他の音源と並べて聞けないんで年間ベスト的なポジとはちょっと違うアルバムになってしまいますね。アニソンとかでもありがちだけど。

でアルバム、NARASAKIや長谷川白紙参加ということで聞いたらリードトラックの「ウラノミト」がいい曲すぎて泣いたし、長谷川白紙の「光る地図」での本人意識したであろう発音やいとうせいこうの「NOWを」でのまるで本人が憑依したかのような作者へのリスペクトで溢れた歌い方にかなりぐっときてしまった。というかチョイスがまず素晴らしいのは勿論ただ豪華な面子ってだけじゃなく、彼女が普段の配信で度々リスペクトを語ってる憧れのアーティスト陣が集結していて(結構世代わかるのも面白いです)、キャラソンとして見ても、そういうVtuber文脈を無視した音楽ファンとして見ても完璧でした。歌詞カード見てるとお互いがすり寄った結果できあがった名盤というのがよくわかってきます。

 


旧譜

ぶっちゃけ聞く音楽の9割は旧譜だししかも今年はスロウコアばかり聞いていたんですがそのスロウコアもブログ内でどんどん放出してったので、それ以外でよく聞いてたというか印象に残った三枚を。

 

Nirvana - In Utero

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今更?て感じだし実際昔めちゃくちゃ聞いたんですがそのときまずスティーヴ・アルビニってよくわかってなかった(それどころかPixiesと並んでたぶん聞き始めがこれでした)し、逆に今もうアルビニ録音をかなり聞いてきた状態で聞くとデイヴ・グロールの本当にキック一音が密室の部屋中を伝わって全身から体の芯に入ってくる感じとか、ポストハードコアとも通じそうなドライなノイズギターとアルビニの相性の良さに感動。知名度や影響力の先入観取っ払って新譜として聞いても間違いなくベストにしてただろうなというくらいしっくりきて、アルビニ録音での名ドラムと言えば個人的にはDon CaballeroやBelliniでのデーモンが浮かびますがそこと並ぶくらいデイヴ・グロールにも衝撃を受けました。

あとグランジともかなり距離あるなと思ってて「Scentless Apprentice」「Milk It」とかはもう硬質なポストハードコアって感じでそこもフィットしてきたし、むしろ昔好きだったはずのシングルカットされた楽曲に違和感を感じてしまう自体に。「Heart-Shaped Box」とかとくに・・・と思っていたらどうやら一部アルビニ録音じゃないっぽくて、今年買ったリマスター盤にアルビニによる新ミックスが入っててこれが素晴らしかったです。

 

GREAT3 - Without Onion

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スロウコアを辿ってく内にSlint~Bastroと言ったルイビル→シカゴへの流れでジャズと合流しTortoiseとかに通じてくって流れがあるんですが、その辺の音響派や周辺シーンを辿ってく内にふとSea And Cake聞いててGREAT3のマッケンタイアワークスとかなり近い気がする、とよぎって聞き返したらどの時期もヤバくてぶっ飛びました。

元々1st~3rd辺りでは前身バンド的にも渋谷系とかと通じるし、2nd以降はStone Rosesオマージュ曲とかVerve感じる曲があったり、そことは別の80年代のAORにソウル~ファンクと言ったUKもUSもごちゃまぜポップス、という印象だったんですが、聞き返したところそんな単純な言葉で言い表せないくらいカオス極まってる・・・。それが帰結したのが4thのWithout Onionで80年代のメロウさと90年代のささくれ立ったザラつきが完全に同居してる吹っ切れ感と電化マイルス的な長尺のインストまでやってのける乱雑さ、今までで一番ノイズ要素も強くエクスペリメンタルなのに超ポップだしこれがART-SCHOOLと言った後のオルタナ勢のルーツとして大きく存在している事実と、この後にシカゴに渡ってマッケンタイアと組んで洗練された音響派へと渡っていくそのキャリアの凄まじさを改めて辿りながら完全にハマリました。

シカゴ三部作も全部色が違う上に簡単に音響派とかSea And Cakeとか言い表せないくらいやっぱりどこか歪なんですが、洗練されすぎてるあちらと比べ、その前夜であるWithout Onionのどこかちょっと不安定なとこも含めて今聞くとかなりカオスというか唯一無二、これに完全にやられてしまい一枚選ぶんならこれかなぁと。

 

アイカツ!楽曲各種

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田中秀和伝説の幕開けということで元からアニメファン以外にも音楽ファンには結構人気のあるコンテンツだと思いますが、今更になって全音源買い漁る勢いでハマってしまったしなんなら数年前に挫折したアニメ本編178話を完走してしまうくらいにはハマってました。で渋谷系オマージュっぽい曲が結構好きでその元ネタをちょっと検索するとファンによる余りにも膨大な資料が出てきて、その濃密っぷりに驚愕しなんならそっからJ-POP史や80sのファンクやディスコ方面についてもついでに掘れるという。そういうの含めてのめり込んでましたね。

個人的にNARASAKIワークスがめちゃくちゃ素晴らしくてそこを入り口として色々聞いてたんですが、他にも実験的な曲も多数ありかなり楽しめました。

 

終わりです。来年はアイカツスターズ!を見ます。


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