朱莉TeenageRiot

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autechre japan twentytwentysix / tokyo 2026/2/4 (wed) ZEPP Divercity

Autechreのライブは2023年8月にあったソニックマニア以来、当時は本当にAutechre一つのためだけに初めてソニマニへ行ったんですがとても感動しました。もう悔いはないと思っていたけどなんだかんだあって二週目、思ったより早く見れたことをとても嬉しく思います。当時のライブレポートはこちら。

今回も引き続きライブレポート、とは言ってもSNSで投稿した呟きをまとめて再編したものになります。


 

 

autechre japan twentytwentysix 

tokyo 2026/2/4 (wed) ZEPP Divercity

前回に引き続きAutechre恒例の完全消灯、暗闇におけるピッチブラックZEPPの広い密室は黒い幕を垂らし一時的に再現したソニックマニアとは比べ物にならないほど真っ暗で、ショーンとロブの機材を操作する光がステージ奥からなんとなく伝わってくる以外は本当に何も見えない完全な闇。横を見ても後ろを見てもどれくらい人がいるのかすらわからない、前回のライブレポートでも書いたけどライブというよりは一つの体験というか現象に遭遇してるという実感のが近く、鳴ってる音楽と己と向き合って身体と空間の境界がなくなっていく感覚がある。

まずライブ直前にSNSであったこの告知分を見てほしい。同様の内容の紙が会場入り口に張り出されていたけど、本当に普通のライブではないことが文章からも滲み出ていてめちゃくちゃぶち上がってしまう。ついに来た、感がすごかった。

改めてショーとして完成されたスタイルで、照明が全部落ちて暗闇に包まれるっていう何よりもわかりやすいスイッチによって「始まった」ことがすぐにわかる仕組み自体がキャッチーだ。黒い布に包まれた特設ステージに人が吸い込まれてくソニマニの異常な光景もよかったけど、今回は単独ならではのプロデュースされたショーの凄みがあった。始まるタイミングでいきなり真っ暗闇になる→超ヘヴィなアンビエント〜ノイズが数分流れる→突然過激なビートが挿入、という流れで大歓声が沸いたのもすごくよくわかる。視覚的なものだけでなく、ありえんくらいデカい低音で体が揺さぶられるという身体に直接関わってくる要素も暗闇故普段より意識してしまう。これによって鳴ってる音楽自体は実験的なのに誰でもぶち上がれるわかりやすさがあると思う。

ライブ、相変わらずセトリ等もなく約一時間半切れ目なく流れ続けるおそらく即興DJで、前半のビートレスなドローンパートはSIGN/PLUSの分厚く物理的な質感で故に初期あった透明感のあるダビーな雰囲気はあまりなく、粒の粗いヤスリを布に擦りつけるような質量の重みを感じるドローンで、宇宙空間に放り出されてブラックホールに吸い込まれて身体が空間ごと歪んでいくような没入感がある。ビートが入ってからは結構ソニマニにあったときとイメージは近く、ひたすら強烈な打撃音を乱打する感じでGantz GrafやUntiltedをもっとフリーキーにしたよう感じ。どんどん過激なビートミュージックになってく後半は本当にすごくて、普通にブレイクビーツと化す瞬間や四つ打ちっぽくなる部分は素直に踊れたし、Confieldのビートのランダム感をより手数を増やしたような瞬間もあった。あと時折背後のドローンが浮き沈みするようにビートと同期するのもグッとくる。終盤、ラスト数分に向けて少しずつ1st〜2ndやLP5〜EP7的なメロディアスなシンセが飛び出してくる構成は長かったからこそめちゃくちゃエモーショナルで、そのまま音が止まって明かりが付いた瞬間あまり聞いたことが無いくらい大きな歓声が沸いて結構泣きそうになった。光がついてショーンとロブの姿が見えたときの興奮は何にも代えがたいものがある。実際こんな暗闇に閉じ込められて鳴ってる音楽だって全くキャッチーじゃないんだから人によっては拷問に近いとすら思うけど、ラストに向けてのドラマティックな構成は一度体験すると絶対忘れられない中毒性があり、これがソールドアウトしてるという事実もすごくわかってしまう。ライブってよりはアトラクション的な良さがあることを思い出していた。

そして相変わらずどうやって鳴らしてるんだろうという異形の音ばっかりなのもすごい。つなぎ目も無いし、わかりやすい転換点もないから、流れそのものを自分で掴みにいかなきゃいけないっていう向き合い方そのものが面白い。ライブという行為に対してまたしても色々考えさせられる。どんなに好きなアーティストにだって忍耐となるシーンって意外とあるよなというのを暗闇によって視界を、そして音によって肉体まで侵食してくるAutechreのライブで改めて思う。

以前ライブのマテリアルを大量に保存しててそれをそのままライブやるような感じで作ったのがQuaristiceって言ってたし、即興用のパレットがありショーンとロブでビートとドローンを分けたりしてるのかと思ってたけど明らかにノイズとリズムが同期する瞬間も多く(それが美しいのだが)、どこまでが音源なのかもよくわからない。それこそビートもドローンも全部一緒くたになった素材や断片的なトラックを繋ぎ合わせたりその場で歪めたりしてるんだろうけど、この辺はずっと二人で40年近く続けてきた感覚というか円熟もあるだろうし、そもそもハッキリとした分担は存在しないのかもしれない。単純に大量の曲(もしくはその断片)を用意していてその時々で繋ぎ合わせる全トラック自作のDJスタイルなのかもしれない。大阪公演がどんな感じだったのかも気になってしまう。

超余談だけど再版されたとき買えなかった1stのLPが会場にあったの嬉しかった。というか持ってないLP全部爆買いしたかったけど流石に断念。また来てください。

 

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