朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

Don Caballero周辺

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以前Slint影響下のバンドをまとめてたら(discography④)元コンセプトから外れないまま徐々にDon Caballeroっぽくなってくの面白いなと自分で言ったんですが、ハードコア~ポストハードコア~ポストロックという変遷を辿ったという意味ではSlintやRodanと直接的な絡みはなくともかなり同時代性があり、後のマスロックやポストロックの原型を作ったバンドですね。

てわけで流れで全作聞き返し・・・そしたら3rd派だったのが今の僕は完全に4th派になっていたので感想+適当に周辺バンドで好きなやつです。


 

Don Caballero - For Respect(1993)

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ドンキャバと言えばやっぱりマスロック~ポストロック元祖としての緻密に組まれたセッションによるインストバンドの印象が強く、ジャズ要素も強かったりでキング・クリムゾンと比べられたり、あと曲が長尺なイメージがあったりもするんですが、1stはあまりそれに当てはまらずとにかく疾走感溢れる変則ポストハードコア~マスロックオリジネイターとしての名盤で超ヘヴィです。というかシンプルにメタリックなギターと手数の多いドラムがぶつかり合いどんどん加速してく熱い曲だらけ頭空っぽで聞いてめちゃくちゃかっこいい作品というか、ロック的衝動たっぷりですね。あとアルビニ録音。ちゃんと後のドンキャバに繋がりつつ最もシンプルで、短い曲ばっかなのも印象的。Oxesとか初期Tera Melosとかのマスロックはこのアルバムが一番近いかも。

 

Don Caballero - Don Caballero 2(1995)

DON CABALLERO 2 /DON CABALLERO/ドン・キャバレロ/現BATTLESメンバーも在籍していたUSポストロック  ・バンド1995年リリース2ndアルバム / 名盤|ROCK / POPS /  INDIE|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net

前作から引き続きメタリックで硬質なギターを全面に押し出しつつ曲が拡張されまくっていて10分くらいの楽曲だけでも3曲あります。で曲展開も一辺倒ではなく何部構成にもなっていて、まだ3rd以降はその後のポストロック要素というか本格的に実験的になってく(むしろなりつつキャッチーさを損なわなかったのが彼らの一番すごいとこかも)わけですが、2ndということで1stの衝動たっぷりのまま複雑になってたという絶妙なバランス。というか彼らの90年代の作品って本当に全部名盤だし、ちゃんと前作、次作を繋ぎつつマンネリ化しないのがすごいです。

 

Don Caballero - What Burns Never Returns(1998)

Don Caballeroの「What Burns Never Returns」をApple Musicで

で3rd、完全にDon Caballeroのイメージを確立させた名盤で1曲目の「Don Caballero 3」から今後の彼らのスタイルの王道、ジャズ色もかなり強まってるんですがその中でも所謂"ポストハードコア"的な硬質でタイトな質感が残っててめちゃくちゃかっこいいです。インプロ色強そうでいてその実全部計算通りでやってそうな緻密な曲展開、その展開の鍵を握るバンドの創始者にしてリーダーであるデーモン・チェのドラムがとにかく音、フレーズともに極上で、彼が曲の中心であったことがよくわかる作品になってます。

他にもライブ盤でもお馴染みの「In The Abscence Of Strong Evidence To The Contrary, One May Step Out Of The Way Of The Charging Bull」「Delivering The Groceries At 138 Beats Per Minute」など代表曲目白押しですか、どれも1stが2ndに至るまでに拡張されたプログレッシブな展開をしつつメタリックなギターサウンドも所々残ってる・・・という感じでただメインというよりは"カラフルな曲展開の内の一つ"という具合に収まりかなり聞きやすいです。総まとめとも言えるし重かった1st~2ndと完全にポストロック寄りになった4thのいいとこどりをしてるとも言える作品で「Slice Where You Live Like Pie」はもうベストトラックなんですが、リフもキャッチーだし音色も抒情的で後の名作American Donへ繋がってったのがわかります。American Donと並んでオススメ、というかセットでどうぞ。既にミニマルな要素強いですがより硬質なのがこちら。

 

Don Caballero - American Don(2000)

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代表作。ジャケも有名でTouch&Goの顔とも言えるアルバムでアルビニ録音の名盤としても有名です。でまぁ完全にマスロックで、ディストーションが効いたへヴィなギターリフなどの要素はもうほとんど前作においてっちゃってるんですけどね。名曲「The Peter Criss Jazz」はタイトなセッションやアンサンブルを聞かせるというより、完全に空間に浸透していく音色を聞かせるといった方向にシフトしたルーパーとポリリズムを駆使したギターリフの繰り返しでどんどん世界観を広げていきます。こういう広がってくスケール観をアルビニの密室感ある音であえて録るというのが非常に箱庭的で割とこの手法後のポストロックにも繋がるし、同年にMogwaiアルビニ録音を出してたりと同時代で共振していたと思います。

以前聞いたときはやっぱ歪んだギター多い方がいいっていうシンプルな思考で3rdをよく聞いててこっちは難しい印象あったんですが、むしろ曲を印象付けるリフやフレーズはこっちの方がキャッチーでわかりやすい気もします。「You Drink A Lot Of Coffee For A Teenager」「Details On How To Get Iceman On Your License Plate」とかは抒情性たっぷりで複雑なのにフレーズもキャッチーですんなり聞けるし何より展開も音色もめちゃくちゃエモいしで、割とシカゴ音響派キンセラ兄弟とも関連付けて「ポストロック」として一番聞きやすいアルバムかも。

ギタリストであるイアンがバトルスで有名になったのもあってよく前身として語られるのを見ますが、バトルス的な電子音ともつかずのギターの音色や細やかなフレーズは今作が一番近いですかね。と言ってもドンキャバは全作デーモンのドラムの存在感が圧倒的で彼のイメージを具現化するためのバンドというイメージがあるので、イアン一人であまりバトルスと繋げるってのはちょっと違うかもなとは思うんですが、セットで聞きやすいのはわかるかも。

 

Storm And Stress - Storm And Stress(1997)

ドンキャバとメンバーほぼ被ってますがめちゃくちゃ実験的な作品。というか中心人物であるデーモンがいないので別物、イアンのギターは確かに近いけど曲構成がめちゃくちゃ実験的で、とにかく手数多く突っ走るドラムの上でそのリズムを無視したギターのフレーズも非常に不規則といいますか、形を保っていないような各パートのフリーセッションの塊・・・フリージャズとかのが近いんですかね。ちなみにアルビニ録音、イントロ前のまるでスタジオ内で楽器をやりくりしているのを目前で見てるかのような臨場感があります。どの音も誇張して来ず音の実験のようなとこもあり、Gaster Del SolとかJoan of Arcとかのが近いかもでそれと近いような音響メインというか、音の隙間の空間に浸るというような聞き方がしっくりくるかも。

 

 Storm & Stress - Under Thunder and Fluorescent Lights(2000)

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2ndということでプロデューサーがアルビニからジム・オルークに代わり、ギターフレーズがよりミニマルで録音もアルビニの硬質なものから大分丸くなってるためポストロック感はこっちのが強く、録音による楽曲の雰囲気を聴き比べるのもめちゃ楽しいですね。で割と歌の比重高めに感じるのもソフトな録音だからこそか?あと1曲1曲の時間が割と短め・・・なんですがかと言ってインプロ色が減ったとかそんなことはなく、むしろギターのフリーインプロ感は更に高まってるような・・・というか00年代以降の所謂「マスロック的」なキメ細やかなフレーズの応酬というか、ああいうリフってこう生まれてったのかなというのが垣間見えるようなナチュラルなセッションのワンシーンをまるごと保存したような曲が多いです。

 

Hella - Hold Your Horse Is(2002)

そしてHella、ドンキャバをオリジネイターとしてマスロックの祖とするなら(本人達はその呼称を嫌ってますが)その後00年前後に出てきたHella、Sleeping PeopleやTera Merosと共にドンキャバ以降のマスロックを代表するバンドでこん中で一番好きですね。ギターとドラムの2ピースながら完全にやりたい放題に二人して暴れまくってて、カオスというよりもう暴走って感じのこのドラム最初打ち込みかと勘違いしたし、ギターも攻撃的なリフを連発しまくってて崩壊寸前なんですが、所々エモーショナルな展開が盛り込まれているのがまた熱い。

このザック・ヒルVSスペンサー・セイムという個性のぶつかり合いがマジで好きなんですが3rdではなんと2枚組、しかもそれぞれのメンバーが主導権を握って片方ずつ好きにやる・・・てのもかなり面白いんですよね。4th以降はボーカルを入れたりメンバー増やしてマーズ・ヴォルタとかに寄りつつメロディアス化してくわけですがなんだかんだ活動休止(?)中。

 

Creta Bourzia - Memories Of Earth(1998)

Creta Bourzia – Memories Of Earth (1998, CD) - Discogs

ピッツバーグというDon Caballeroと同郷のバンドで、リアルタイムで彼らの躍進を目にしながら憧れ相当影響を受けたとのことです。Don Caballeroは一度解散、そして再結成時に中心人物であったデーモン以外メンバー総入れ替えということで、なんとこのCreta Bourziaのメンバーが加入・・・てかそのときのインタビューで知って調べたらbandcampにあったんで最近聞いたんですが、1stのドンキャバをもう少しギターリフ主体に切り替えたマス寄りポストハードコアという感じです。こっちはボーカル有り。やっぱDischordとかとは距離あってかなりメタリックな質感、ドンキャバ再結成後の正体が見えてきます。個人的に復活後ラウド寄りのドンキャバにあんましっくり来なかったんですが、今までの続きとして聞くよりCreta Bouziaと初期Don Caballeroのハイブリッドって感じだったのかも・・・

 

 


以上です。再結成後のドンキャバはぶっちゃけ余り聞き込めてなく(ライブ盤はよく聞きますが)、HellaDon CaballeroからSpotifyが高確率で繋げてくるのとあとblack midiとか話題作聞いてると所々思い出すことあるんでよく聞いてました。