朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

2023年上半期聞いてたもの

上半期にリリースされた新譜でよく聞いてたものを並べました。


People In The Box、FACS、Shame、Model/Actriz、Cwondoについてはこちら

他deathcrash、Squid、butohes、SPOILMANについては単品記事にて

 

上記以外のアルバムについて触れていきます。


 

5kai - 行

5kai。昨年末にライブを見て衝撃を受けそのまま新譜をリリース。上半期前半はずっとこのアルバムを聞いてました。元々最小限、線の細い鉄をひたすら打ちつけるような強烈なアンサンブルはスロウコアと呼ぶにはマッシブすぎる冷たいポストハードコアで、今作はそこからまた逸脱した、アコースティックギターを導入し生々しさが増し歌ものとしての要素も強めた「棚」とか、温かみすらある「ロウソク」とか、バンドの冷たさと硬さを殺さぬまま両立できるんだ?という驚きの曲達に打ちのめされた。そして一番やばいのが「祝詞」という曲、Pop Groupを想起するフリーキーなサウンドでアコギをグリッチで歪めた人力IDMみたいな様相すら見せる、ハードコアサイドのフォークトロニカみたいな感じで、自分の音楽趣味だと耳馴染みありすぎるながらも聞いたことない組み合わせでこれは本当に衝撃でした。

 

Cruyff - lovefullstudentnerdthings

昨年リリースされたシングルがあまりにも素晴らしく当事の上半期(上半期+7月に聞いた新譜まとめ - 朱莉TeenageRiot)でも触れたCruyff、あの時の印象をそのままアップデートしたような爆音オルタナという言葉がぴったりのフルアルバム。轟音ヘヴィシューゲイズからグランジからポストハードコアまで全突っ込み、不穏なノイズロック然としながらも最後は爽快に全部振り切って走り出してしまう「lovefullstudentnerdthings」は夏にぴったりで泣けてしまう。ポエトリーでもなければ歌ものという程でもない、しかしある程度メロディーの形はしっかり残したぼそぼそと不安定なボーカルの存在感にもすごく惹かれる。「summercut」はスマパンのサイアミーズ期なイントロからHum直系のへヴィシューゲへ。Hum自体がスマパンフォロワーという経緯を考えると中々に熱いし、ギターロックの系譜にしっかりと乗ったナンバガNirvanaFugaziもSmashing Pumkinsが好きな人も全員是非という感じです。

 

 

Lily Fury - ANTHOLOGY

とにかく「International Lily White」があまりにもすごすぎて圧巻です。同タイトルの架空の映画のサントラを聞いているような、作品の記憶を脳内に植えつけられてしまったかと錯覚してしまう壮大な曲群。AとBに分割されていてSpotifyだと全4曲24分、しかしこれもただアルバムの一部でしかなくこの体験を終えた後始まる「Brocade」がストレートに真っ直ぐ突き刺さってくるギターロックの名曲でこの構成にも泣ける。今年ベストトラックかもしれません。BorisのNew Albumで言うLoopriderのポジというか、カオスであること自体が一つの一貫性足りえるという聞いたときの印象という意味でもNew Albumを連想したのかも。すごくバラエティに富んでいてworld's end girlfriendにBoris芸能山城組、シューゲイズやポストロックまで一括りにしたオルタナブレイクコアにフューチャーベースまでめまぐるしく変化する巨大な轟音世界でディーパーズのYukari Telepathも思い出す。今年はツイッターでp rosaが話題でしたが確実に同じ層に刺さる作品だと思います。

 

waveform* - Antarctica

ここ数年bandcampスロウコアタグの常連とも言えるバンドで今回Run For Coverから。2018年リリースのSckrpnchというMelaina Kolとのスプリットでは夢心地な幻想世界へと旅立てる超叙情的ドリームポップが何割か入ったスロウコアで超好きだったのですが、今作はもうスロウコアでは無いけど、今までそれをやってきた土壌から出てきたことが確かにわかるエモ寄りのインディーロック。単純な静→動のコントラストだけでは描き切れなそうなどっちともとれる感じをふらふら浮遊しながらグッドメロディを乗せてくる。deathcrashがスロウコア+エモでslow moなんて単語をインタビューで使ってましたがwaveformこそslow moのイメージですね。

 

Pile - All Fiction

Exploding In Soundより同レーベルではお馴染みPileの新譜。Pileを聞くたびにこれはポストハードコア?エモ?グランジ?咀嚼され切ったバンドの音は掴みどころがなくただ自分には普段からずっと親しみのある音楽であることは間違いなくわかる、そんなPileがリリースした前作Songs Known Together, Aloneは路線変更していて電子音の海に浮かんでぷかぷかする宇宙遊泳オルタナとも言える作品でした。正直しっくりきてなかったけど、そこから2年足らず、前作と比べれば初期路線・・・とにかく好きな音が最高にかっこいい音でビシバシ鳴りまくっていて、あまりの愚直さに乾いた笑いが出た。ストレートにやられました。ハードなベースラインを軸にアンサンブルを解体してくようなフレーズの妙は安定してるのか不安定なのかわからん、統制された不協和音による崩れたヘヴィさが猛烈に刺さる。

 

Washer - Improved Means To Deteriorated Ends 

こちらもExploding In Soundからでレーベル初期からいる古株ですがフルアルバムとしては6年ぶり。しかしいつ聞いてもWasherは本当にただひたすらメロディが良く、ジャンルとしてはエモのフィーリングありつつエモの型には嵌らない、力の抜けたジャンクなインディーロックの質感があって今回もいつも通り。ちょっとNeutral Milk Hotelも思い出しますね。

 

Horse Jumper of Love - Heartbreak Rules

こちらもRun For CoverからHorse Jumper of Love一年ぶりの新譜。初期のノイジーさはどんどん薄まり彼らの純粋な中身がさらけ出てきたかのような、音数を減らしソフトでアコースティックな雰囲気も出しながらもそれでも痛みを感じさせてくる繊細なインディーロック。ほんのりスロウコアフレーバーも乗っかっててとても暖かい。今まで以上に崩れた曲もあって初期のJoan of Arcを思い出したりもした。

 

bondo - Print Selections

90年代Touch and GoやSouthernの影響を受けて出てきたかのようなポストハードコア以降の硬質な音色とアンサンブル、そこにインディーロックの親しみやすさがブレンドされた現代のNeutrinoとも言える熱いバンド。めっちゃいい。本当に2023年?と思ってしまう程の2000年前後くらいのアルビニ録音のスロウコア寄りポストハードコアみたいな、解散直前のAtivinとかBedheadみたいな雰囲気もある。

 

坂口達也 - STA

Empty Classroomの坂口氏によるソロ。バンドでもおなじみの名曲「第12話」も収録されていて何度聞いても名曲で震える。開幕の「電子の砂漠」のイントロの冷たいギターやどこかくたびれ雰囲気がひんやりと心地よく、諦念感漂う言葉一つ一つにすごく居心地の良さを感じる中で、諦めてはいても言葉を吐き出さずにはいられなかったような生々しさが伝わってかなりぐっときてしまった。「シャフト」も近い温度感がありこちらも名曲。全体的に00年代ギターロックっぽいというか、GRAPEVINEでのイデア~deracine辺りのアルバム曲とか、pillowsのペナルティーライフ辺りを思い出しますね。最後のSTAGEはイントロから全て破壊してくような重厚なギターの爆音アンセムで感情全放出したような圧が凄まじく、しかも綺麗に終わらず轟音ぶつ切りでアルバムが終わってしまうところ含めてやりきれなさを感じてこちらもかなりぐっとくる。リピートにしているとこのあとまた戻ってきた電子の砂漠での、STAGEとは対照的な平熱感が、初聴時とは別のベクトルで聞こえてくるのも良い。レヴュースタァライトのファンの方はとくにオススメです。

 

ミツメ - ドライブEP

4曲全部やばすぎるEP。「ドライブ」は全パート各々独立したリズムが交錯してもうジャズファンクみたいになってるし、「メビウス」はアンサンブル以前に音色の選択とか重ね方そのものがグルーヴに直結してて本当にすごすぎます。「チョコレート」は可愛げがあるのに気が狂ったギターが飛び回り、極端にパン振りされた両耳を交互に行き来するもう一本のギターもキーボードみたいな音色の質感が癖になる。摩訶不思議なバンドサウンドのマジックがこれでもかというくらい詰め込まれてて、全部違う方向から殴りかかってくるというか、一曲一曲次々と宝箱を開けているような気持ちになる。

 

OGRE YOU ASSHOLE - 家の外

突如リリースされたEP。最初の「待ち時間」からして電子音のシーケンスを軸としたミニマルなナンバー、それこそworkshopのロープ(medication ver.)みたいな、このグルーヴをメインとしながら展開していく「家の中」「ただ立ってる」とどれもこれも最近のライブを連想する。前アルバムでの乾いた質感と比べるとは今作もう少し分離が良く、それぞれの楽器の音や隙間の埋め方がはっきりと分かる音で録音されていて、そういった意味でも彼らのライブでのアプローチがここまで音源に反映されてるのとても珍しいと思います。最近の見えないルールの前振りで流れる電子音のループとかまさに一曲目っぽいですね。かと言ってライブでの無機的な反復から生演奏による有機的なグルーヴへと自然に移行してくような大きな展開はこちらにはなく、うまいことバンドにおける熱量のピーク直前にあたる部分を抽出して均等にコンパクトにまとめたすごく面白い作品だと思う。ライブや音源でもリアレンジが多いバンドですがこういう新作を届けてくれること自体嬉しいというか、醍醐味ですね。今作めちゃくちゃ70sのクラウトロックの色が強くて「長い間」はミヒャエル・ローターすぎる上に歌メロはもろCANのOh Yeahのオマージュだし、ここまで元ネタというかリファレンスを露出させてるのも珍しくてニヤリとしました。

 

Homecomings - New Neighbors

君は放課後インソムニアのEDで流れた曲がイントロからコーラスがかった幽玄なギターの音色とどことなくThe Police風にも聞こえてリズム隊にもポストパンク/ニューウェーブを仄かに感じ、そこに日本語の歌ものとしてとてもやわらかいSSWっぽさもあるボーカルが乗ったときの折衷具合があまりにもよすぎてクレジットを見たらHomecomings・・・まるで気付けず、というか前作までのイメージからだとかなり驚きました。今までインタビュー等でリファレンスとして挙げてるバンドや比較されるジャンル、全部好きなのにも関わらず本人達のアルバムにあんましっくりきてなかったというのが正直なところで、日本語になってからも、ちょっとオルタナとかニューウェーブとかのラインではなくユーミンっぽいなと思って聞いてて歌が先行するイメージがついちゃってバンドとしてあまり聞けてなく、リズと青い鳥とか好きだったけど主題歌はしっくり来ず・・・て感じでしたが今作は間違いなく大好きと言えます。オルタナ寄りというか、「Shadow Boxer」「euphoria/ユーフォリア」はシューゲやシューゲ前夜のギターポップとかの空気を咀嚼しながら空間に寄せてドリームポップになるわけでもない、轟音すぎずでもニュアンスは引用、みたいな、ボーカルも演奏に溶け合わせるわけでもなくあくまでしっかり分離して乗っかってるのは昔ながら日本のギターロックバンドの手法として系譜があると思うし、挿入歌の「US/アス」も同系列で疾走感があって好きでした。てか放課後インソムニアめちゃくちゃ良かったよ。主題歌はaikoだし・・・

 

 

スピッツ - ひみつスタジオ

めっちゃ良かったです。「美しい鰭」も「手毬」も初期スピッツからずっと地続きなネオアコとかギターポップみたいなそういう瑞々しさがちょっとだけ年季入った雰囲気で余裕持って、かと言って手癖っぽさもなくて、とにかく先行公開された美しい鰭での透明感のあるギターのトーンからして再生数秒で心を鷲掴みにされた。流れ星とか愛の言葉とか、このバンドの持つイントロの魔力は本当に凄まじくて、再生して一発目のホーンの音がそのまま続くかと思ったらその一音のみ、フレーズの続きのメロディーをギターが引き継いでく初手インパクトとの差し引きが天才的だと思います。手毬、イントロのこの雰囲気自体が懐かしくて少し泣きそうになった上にめちゃくちゃ歌詞が良い。「手に入るはずだった未来より/素朴な今にありついた」はやばいですね。手毬って言葉の響きにかわいらしさと、今は戻ってこないかつての楽しかった思い出とか郷愁とか儚い美しさが同居している。あと「オバケのロックバンド」も好きで、イントロいきなりAC/DCみたいな土臭いハードロッキンなリフでにんまりしているとボーカルはメンバー全員担当という驚きが二度ある。

 

Yo La Tengo - This Stupid World

前作「There's A Riot Going On」はよく聞いてたのですが、漂っている音をそのまま掴み取って形にするのではなく素材として空間に浸らせ音色そのものと同化するみたいな、もうバンドとしての肉感を楽しむのではなく、音響全振りして幽体化したスタイルが今のYo La Tengoなのかなぁと勝手に判断していた自分にぶち込まれた極上のオルタナ/USインディー風味でギターロック好きにも刺さる名盤。そもそも彼らのフェイバリットとしてElectr-O-PuraやPainfulをベストにあげてしまう自分としてはもう、何も言うことがない。バンドのお決まりとも言うべきこのベースラインだったりギターのトーンだったりつかみどころがないようで形がしっかりした、温かみのあるノイジーでまるで毛布のようなアンサンブルの音の膜自体がそのままYo La Tengoの形状をしていて、どことなくオールディーズの雰囲気も同化してるのもすごく懐かしく、所謂USインディーって呼ばれてた90年代のバンド達と比べるとYo La Tengoはこの部分で乖離があったと思います。カバー集のFakebookがそれを象徴してたというか、その感じも今作強くてすごく良かった。

 

Cusper - The View From Above

最高。Duster直系にBluetile Loungeも混じった、90年台スロウコアのオリジネイター達のおいしいとこ全部詰め込んだようなアルバム。毛布にくるまって一人でただ呆然と浸りたくなるような孤独と温かみとを同時に感じてしまう、これがまた長尺じゃなくて意外とさらっと聴けるサイズに落ち着いているのも意外です。スロウコアと言えばコップに一滴ずつ水を垂らしていくようなイメージがあるんですがCusperは繰り返すのではなく展開を増やし、その上コンパクトにまとめてしまう。

 

bar italia - Tracey Denim

リリース前より話題になってたbar italiaの新譜で、馴染み深いどこかチープでミニマルでスカスカなバンドアンサンブルは完全に70sのポストパンクバンドの雰囲気で、Joy DivisionとかRaincortsとか、しかしそこに乗るのはまるでUSインディーのようなグッドメロディ。PavementとかHeliumのノリでも聞けてしまえる、好きな要素全部詰めこんで着飾ることなく正面からリバイバルをやってて笑顔になってしまう。これがマタドールからリリースされてるのも納得しかないです。

 

King Krule - Space Heavy

こちらも話題作で今までで一番すんなり聞けました。Jay Somくらいのユルいインディーポップなのに低音がえぐいくらい効いてる。Conan Mokasinっぽさもあってこういうサイケでチルなインディーロックは数年前まではいくらでも聞いてたような気がするけど今改めて聞くと懐かしくなりました。

 

UMO - V

前作はめっちゃフリーキーで比較対象がkikagaku moyouくらいまできてたイメージでしたが、今作ぎゅっと収縮したサイケなインディーポップくらいの趣で良い。King Krule新譜とも近くてAORっぽいメロウさもかなりある。あとジャケが最高ですね。

 

Yves Tumor - Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)

話題作。前作とかも聞いたことなくて先入観無しで聞いたらNew Orderみたいなニューウェーブが流れたり「Meteora Bluce」辺りはラウド&クワイエットな重厚なギター中心のロックで普通にART-SCHOOLみたいな感じで聞けて、ソウルフィーリングもミックスされてるしどことなくゴスっぽいダークな雰囲気もあり・・・と、そのハイブリッドさに圧倒され新しさと懐かしさが同居してすんなり聞けてしまい一瞬でファンになった。自分でも気付いてなかった欲しかったものが箱を開けたらいっぱいあったみたいな、意外とこういうアルバム一番聞きたかったかもしれないですね。

 

Jonah Yano - Portrait Of A Dog

完全初聴ですが良すぎてびっくりして、Sea and Cakeとかあの辺のサム・プレコップとかのジャジーなポストロックとも通じ合えそうな、しかしその辺が持ってたエクスペリメンタルな要素を抑えて純粋にジャズとロックの繋がりを強固にして練り上げて更にインディーフォーク的な素朴な歌ものフィーリングを乗せた感じで。「always」ではゆるく流してたくなるソフトな序盤から、ボーカルが無くなり長いアウトロとも言える後半のインストパートはアグレッシブにセッションのギアを上げて行く様は夢中になってしまう。肩の力抜いてのんびり聞き流せそうなラフな空気もありながら、純粋にバンドのアンサンブルの魔力でどんどん聞き入って耳を離せなくなってしまうようなところも両立した本当にすごいアルバムだと思います。

 

Queens of the Stone Age - In Times New Roman...

前作と同じくマタドールから。僕はとにかく数年前に出たVillansが好きでかなり聞いてたのでそのまま正面からアップデートしたような今作がハマらないわけなく、今作もあまりストーナー、メタル、グランジと言った言葉から連想するようなヘヴィなギターサウンドはそこには無い。純粋に無骨にバンドのグルーヴを露出させていくような一切の装飾を外しその上でボトムを太くしていったような、素材を見せるようなギターの音色で、決まったリフを繰り返すというよりはリズム隊と一体になるような、まるでQueens of the Stone Ageという一つの生命体の手足のように連動して動くドラムとベースとの絡みが圧倒的にかっこいい。純粋に「ロックバンドの一アルバム」という難しいこと抜きにして聞いたら今年一番のアルバムだったかもしれません。あと音が良すぎる。Spotifyの音質でもわかるくらいドラムに臨場感あって一瞬で引き込まれます。それもあってリズム隊の動きに耳を惹かれる。

 

カルト3 - LIIV

ライブ音源ですが最高の曲達が最高の録音で保存されていてこれを聞いていると子供の頃どうしてロックが好きだったか、一番最初の原点を記憶の底から掬い取ってくるような、どうして今でもギターロックを聴きそこに何を期待しているのか今一度思い出させてくれたアルバム。音はかなり荒々しいですが、純粋に曲が良くてしかもギターリフはド派手なのでこの音がめちゃくちゃ映える。ジャケもかっこよすぎる。ちなみに最初の「サウスポー」は上記の坂口達也氏のSTAGEがサウンドクラウドで公開されたとき、それに触発されてできた曲らしいです。

 

Murray a Cape - Sight/hate

2ndEPで前作と大分イメージが変わってて、轟音すぎないザラついた微シューゲイズであくまで隙間を残して疾走してる感じが少しギターポップみもあって、風通しのよさと歌との折衷具合はAdorableも思い出す。ギターの音色が唯一無二ですね。こんだけ弾きまくってるのに清涼感あるのはたぶん音色のおかげかもしれないけど、この遠くで鳴ってる音を聴いてる感じはどことなく郷愁的で良すぎる。wipe氏のイノセントなボーカルもいい意味で崩れた雰囲気があって、「Javelin」の突っ走ってる感じとかすごく好きです。

 

揺らぎ-Hear I Stand

先行トラックの「Hear I Stand」がもろにスロウコアな質感でスカスカで硬質なギターとドラムの残響で空間そのものの奥行きを音と音の合間で表現する曲で、シューゲやドリームポップの空間を満たす手法とは逆の、音数を減らした硬質なギターの残響、そっから炸裂する轟音はどちらかというとHum系列のヘヴィシューゲ。アルバム通しても至るとこから痛みを感じるようなスローペースのヒリついた曲が多くて前作とは全く違ったアプローチですがかなり良かった。

 

Kaho Matsui - NO MORE LOSSES

bandcampスロウコアタグより。アンビエント/エレクトロニカのトラックメイクをふんだんに使った音の隙間とキャッチ―な音色の抜き差しが絶妙な歌ものスロウコア、隙間だらけでもそこまで分離がよくないローファイな質感が暖かくて、バンドとトラックが分離し切ってない一個丸まった形として入ってくるごった煮感がメロディーの優しさとぶつかって90sUSインディーくらいのジャンクな親しみやすさがある。

 

Ativin - Austere

再結成に驚くしかなかった。メンバーは変わらずEarly Day Minersでも知られるダニエル・バートンを中心にしてドラムはCodeineのクリス・ブロコウという驚きの面子。初期のSlint路線なのか中期のマス/スロウコアなのか解散直前のポストハードコアなのか・・・再生するとそれは20年のキャリアを感じさせる円熟しきった、中期~後期をミックスしたような、どの時期とも接続できるスロウコアに限りなく近いポストハードコア。色々そぎ落としたニュートラル状態で素をさらけ出してる感じがします。

 

Aidan Baker - Engenderine

アンビエントな色が強い長尺なナンバーで埋め尽くされたAidan Baker新譜はめちゃくちゃスペーシー、月面とか宇宙空間に放り出されただただ広大な闇に押しつぶされズブズブと飲み込まれ呆然としていたくなるような無重力を感じるダビーなスロウコア。不定期なドラムの残響がとても重くてこれが癖になります。

 

Midwife & Vyva Melinkolya - Orbweaving

こちらもwaveform*と同じくbandcampスロウコアタグ常連MidwifeがVyva Melinkolyaとコラボレーションしたアルバム。Aidan Bakerとはちょっと色が違いますがこちらも半分アンビエントと融合し幽体化したスロウコアバンドみたいな感じで、とにかく暗くてサッドコアという言葉を使いたくなります。ぼんやりと薄い膜がいくつも折り重なってドリームポップやシューゲイズの雰囲気もあって全部が曖昧にされた中今にも途切れそうに紡がれるボーカルが染みる。

 

ART-SCHOOL - luminous

最初の「Moonlise Kingdome」からシューゲイザー色強くてびっくりしたけどアルバム通してそういったわけではなく、「ブラックホール・ベイビー」はナンバガだったりスマパンだったり「2AM」はキュアー+スミスだったり、トディ曲の「Teardrops」はプラトゥリを思い出し、どの曲もエッジが効いていて雑にオルタナって呼びたくなる懐かしさがあって、Baby Acid Baby~Youあたりの新体制による硬質な荒々しさも残しながら初期を連想する要素あってすごくよかったです。声がめっちゃ調子いいのも驚きだった。

 

アイカツ! 10th STORY 未来へのSTARWAY

本当にありがとう。

 

これはART-SCHOOLじゃない方のルミナスの新曲で、この3人による新しい曲が聞けるとは思っていなかった上にあまりの素晴らしさに落涙。

 

Sign? Go! Dream!!

NARASAKI新曲。Signalize!!意識ということでジャケも似通っていて本当にぶち上がったしNew Order要素もかなり入っていて、10年前の第一話のOPという歴史的な曲と対になるのにも関わらずここまで渋い曲に仕上げて尚且つオマージュも散りばめられていて驚きました。個人的にLily Furyと並べて聴きたい。劇場版直後というのもあり色々と思い出して聴いていて涙が止まらないですね。

 


以上です。あとはBully、Narrow Head、Wednesday、Murder Capitalとか聞いてました。Mhaolっていうポストパンクも良かった。あとSwans新譜も。Iggy Popの新譜も初期くらいパンキッシュで驚きでした。Truth ClubとかSprainとか前々から好きなバンドも続々シングルとか出てて下半期も楽しみです。7月分だとPSP Socialがヤバかった。サーフブンガクカマクラ完全版はあんましっくりきてないです。今期はBLEACH見ます。

Squid - Bright Green Field(2021)/O Monolith(2023)

Squid - Bright Green Field(2021)

UKブライトン出身Squidの1st。ダン・キャリーのプロデュースによりサウスロンドンと比較されることが多く、彼らも同じくポストパンク=70sのオリジネイターと似通った音楽というよりは実験的な精神性という意味でのポストパンクという言葉がしっくりくる独自サウンド。最初はダン・キャリーのレーベルからEPをリリースしていたのが2020年のシングルの「Sludge」「Broadcaster」はWARP発(どちらも日本盤にはボートラで収録)、続くこの1stアルバムも同じくWARPからのリリースとなりました。Broadcasterの時点で完全に電子音楽寄りだったのがアルバムではバンドの肉感が増し超フリーキーになっていて、最初聞いたときはFoalsもしくはBattlesにボーカルとしてマーク・E・スミスが加入したかのような、ミニマルなリズムの反復の上でパンキッシュなボーカルが暴れまわるという感じがかなり嵌りました。序盤の「G.S.K.」とか本当にぶち上がりますね。

「Narrator」ではイントロで反復のフレーズを植え付けてからどんどんあらぬ方向へと向かっていき最終的にはノイズの海へ。均一化されたビートは一本針金の芯を通してるようでその周りを構成するギターもシンセもボーカルもユニークでぐにゃぐにゃとしたグルーヴが魅力的で、「Boy Racers」はミニマルで流麗なギターリフがゆらゆら帝国の「美しい」「学校へ行ってきます」も想起しながらシンプルなビートの隙間を縫うよう組み込まれ一体となってる感じがとても心地良い。「Paddling」「Pamphlets」に関してはNeu!を連想しますが、このクラウトロックっぽさ、長尺な曲が多いにも関わらずループではなく一方通行、フレーズの反復をメインとしながらもパターンを破壊し直後に再接合していくような、整列された継ぎ接ぎのような奔放で突拍子も無い展開の曲が多くそこに強烈に惹かれる。

こちらの記事を読んだところ「みんな元々スロウでアンビエントな作品が好きだった」「大学4年の頃にジャズ・クラブで演奏するようになってからは自分たちのテイストが加わって、音楽が急激に進化していった」と書かれていて、"長尺で一方通行な感じ"はジャズのインプロゼーションを取り込んだ結果として聞くこともできるのかも。そして同じくWARPでありながら過去にディスコやファンクをバンドでカバーしていた!!!(chk chk chk)をどことなく連想したりもしました。

 

Squid - O Monolith(2023)

6月リリースの2nd。掴みどころがない曲だらけで全体像というか実態が中々見えてこないアルバムで、そんな中でも要所要所キャッチーな仕掛けが散りばめられていて強烈な中毒性がある。ビートはより単調になったようにも思えて飛び道具は増加、パーカッションやホーン、コーラスと言ったゲストが多数参加してるのもあり、クラウトロック的な長尺な曲は減ったにしてもどこに焦点を置いて聞けばいいかわからないまま次々と要素が増えていく。「Devil’s Den」「After The Flash」はノイズ路線、急加速していくノイズが曲を塗り潰していく前作には無かった静→動のコントラスが激しい曲ですが、そんな中でも全パート住み分けがハッキリとした埋め尽くしてしまうカタルシスとはまるで別の、あくまで音の隙間が見えてくる静謐さも残した音像がめちゃくちゃかっこいい。ホーンやパーカッションが参加しても全部細くてエッジが立ってるんですよ。インタビューで言っていた「メンバー全員が均等であること」を徹底したプロダクションというか、無駄な音を全部そぎ落としてもらったとメンバーが語るジョン・マッケンタイアのミックスの妙もあるかも。

1stよりペースを落とした曲が印象的で、隙間をより強調することでビート一つにねっとり纏わりつくアンビエンスが可視化、リズムそのものと音響にフォーカスしたようにも感じる。「Undergrowth」は最初ヒップホップかと思いました。あとやっぱ流れがいいですね。ボーカルのオリー・ジャッジはドラムを叩きながらビートに合わせて叫び声を上げ曲によってメンバー間で楽器を持ち変え、そういう彼らの伸び伸びとしたスタイルが1stアルバムには満ちていて、その奔放さを生かしたまま温度感を調節しコントールしているようなイメージが今作にはある。とくにホーンや多重コーラスがいつの間にか重厚なノイズへと置き換わっていく「Siphon Song」は凄まじいです。混乱させてから一度音を引く、みたいな落とし方、静謐の挟み方がおそろしくかっこよくて"また聞きたくなる"瞬間がめちゃくちゃあるアルバム。

 


昨年のFontaines D.C.もそうでしたが現行のインディーシーンって本当に型に嵌めることができないというか、単純にポストパンクやクラウトロックでは括れない、もうメンバー間でジャンルの垣根も無く純度の高い独自言語で会話してるような感じがする。例えば今年リリースされたbar italia、Matador発というのもあって「往年のポストパンクっぽさ」がすごく馴染み深く聞けてこれはこれで大好きですが、SquidやFontaines D.C.は「往年のポストパンクっぽさ」は一切無い。例えばJoy Divisionっぽいとか、The Cureっぽいとかそういうのはなく・・・にも関わらずそこに括られているのは実験性や姿勢、型に縛られない純粋なクリエイティビティという部分でオリジネイターと同調するとこがあるのかもしれません。故に00年代のポストパンリバイバルとここ数年UKインディーシーンを指して言われるポストパンクは全くの別物として聞いているし、というかもうジャンル名でアーティストを括る時代ではないんだなとも強く思わされる。

 

参考記事

記録シリーズ:Sleepytime Trioから辿るLovitt Records

Sleepytime Trio及び前身のMaxmillian Colby、それぞれのバンドが解散後メンバーは様々なバンドで関わりながら時に交錯していきますが、主にLovitt RecordsというDischord傘下のレーベルの作品が多いのでLovittにフォーカスしながら軽くまとめました。自分自身が好きなバンドから少しずつ辿って行った足跡をそのまま記録した感じです。


 

Sleepytime Trio - Memory-Minus(2002)

1996年発のLovitt付近のポストハードコアを聞く上で基点になるバンドで、90年台当事のEPやシングルをコンパイルした重要盤。解散してしまっていてフルアルバムとして聞けるものは今作だけですが、Dischord亜種の硬質なポストハードコアとしての側面も持ちつつサンディエゴのカオティック勢や後の激情、エモバイオレンスとも通じ合うところが多々あり、メンバーそれぞれの派生バンドがLovitt内に多数存在し度々集まったりしていてその都度このアルバムが核になってるなというのを実感します。音はめちゃくちゃ悪いですがこのローファイさ、録音の荒さがプラスにしか働いてない衝動たっぷりの、全パート前のめりになって次々にリフが飛び出しフレーズが交錯しながらリズム隊が爆走していく様はバンド音楽の熱さを心の奥底から滾らせてくれる熱量のある作品。後の激情やマスロックのようなパズルのように噛み合わせてく感じではなく、衝動のまま出てきた音が前の音をどんどん塗りつぶしていくような粗削りさがかっこいい。

 

Four Hundred Years - Suture And Other Songs(1999)

Sleepytime Trioとはこの時点ではまだメンバー被ってないですがLovittではこれまた大御所。そもそも96年当初Sleepytime Trioとしての初音源はこのバンドとのスプリットシングルでした。こちらも1stと初期EPをコンパイルした企画盤で99年リリースですが音源的には97年頃なので実質1stにして大名盤。Dischord RecordsのHooverの影響を多大に受けてると思われるバンドで、Sleepytime Trioと同じく一方通行でどんどん曲が展開していくのですがリフとリフの隙間にバンド全体で挟むキメがおそろしくかっこいい。静→動の美しいコントラストの中にメリハリをつけることでバンド全体でスイッチのオンオフを明確にするというか、肌を突き刺すようなヒリヒリとした不穏な静パートでカタルシスを溜めに溜め、リフを切り替えシャウトと共に流れるように炸裂していく様は次々とシーンが切り替わっていく感覚、一瞬で通り過ぎて行く様が本当にかっこよすぎます。サンディエゴのカオティック勢とも共通項を感じるし激情も通じる要素も多々。

 

Four Hundred Years - Transmit Failure(1998)

安定感がすごすぎる2nd、1曲目「Power Of Speech」のイントロから前作のイメージからすると戸惑うレベルのクリーントーンの抒情的なエモパートが余りにもメロディアス。この美しさに本当に惚れ惚れとします。そしてここから豹変し全てを塗りつぶしていってしまう、前作のイメージ通りのカオティックなポストハードコアへと爆発していくのはもう潔さすらある。より対比的になったのもありカオティックパートの激しさがより際立っているし、かと言ってクリーンパートも静謐って言う程に静かでもないため極端なバーストでもなく、全体の流れを活かしたより研ぎ澄まされた楽曲群、1曲辺りの時間は短いのでどんどんまくしたてていく1曲1曲の構成美に泣ける。「Transmit Failure」はもうエモとしても本当に名曲。情報量が多いアルバムで、この濃密さでも通して聞いて30分切っているのもすごい。個人的にエモという括りで言えば(今作をエモにしていいか微妙な気がしますが)ベストとも言いたくなるフェイバリット作品です。

 

Four Hundred Years - The New Imperialism(2000)

最終作3rd。90s末期のポストハードコアと言えばエモやポストロック、マスロックにスロウコアと多種多様な変遷を辿っていきますが、Lovittの顔とも言える彼らは前作から純粋にロックバンドとして、シンプルにそぎ落としながらより原初のハードコア、といよりももうパンクロックというのが一番近い形に落ち着いていきます。勿論2ndまで築き上げてきたスタイルを地盤としてそれが行われているので不協和音全開の変則ギターリフや転調、スクリーモを駆使しながら、2ndでの構成美を突き詰めてった形とは大分違い素直にストレートに曲が良い。レーベルメイトのEngine Downが渋い方向に向かったのに対してかなりフレッシュに聞こえます。しかも今作Policy of 3のメンバーが参加していてここから激情で知られるEbulition Recordsとも接点を見せてきます。

 

Bats & Mice - Believe It Mammals(2002)

最強のバンド。Sleepytime TrioのメンバーとFor Hundred Yearsのメンバーが合流して結成されたバンドで、アルバム一枚出して解散してしまいましたがここが一つの区切りでしょう。音楽性的にはその2バンドが合流・・・からイメージできるようなそのまんまの続編ではなく、いやおそらく延長なのでしょうが、それらでやってきたHooverを想起するカオティックなポストハードコアから音を引きペースを落としたミディアムテンポのサッド・エモ。元々展開が激しいバンドが元になってるので各々のパートのグルーヴが全開、むしろ隙間があることで純粋にアンサンブルの掛け合いを楽しみながらじめじめと不穏に、爆発一歩手前と言った危うさを維持したままなのがまさしくポストハードコア的、メロディーは冷たくも熱くもあるようでとてつもなくかっこいいです。貫禄たっぷりで傷だらけのPinbackといった赴き。行くとこまで行ったオリジナルのエモでしょう。

 

Ben Davis - The Hushed Patterns Of Relief(2001)

Sleepytim TrioのメンバーにしてBats & Miceにも参加したベン・デイヴィスのソロ作品。こちらもLovittからのリリースですが、ハードコア色薄いながら今まで関わってきたバンド郡やLovitt関連作品全体に付きまとうダークで不穏な空気がふんだんにあり、やはり源泉の1人としてのカリスマ性たっぷりです。ポストハードコアやパンクの流れで聞くのともまた違い歌メロの存在感も強いSSW的作品。作風は違えど、ここまで共通した冷たさがあるとすぐ彼の作品と理解できてしまう純然っぷりに驚きました。オルガンが入ってきてメランコリックな雰囲気もありますがBats & Miceともまだ近く、そのまんまハードコア/エモの成分を抜き取ったような感じでどことなくロブ・クロウっぽさも。

 

Ben Davis - Aided & Abetted(2003)

次作2ndにしてこちらはLovittっぽい色は完全に抜け落ち、ここまで挙げてきたアルバムの中ではジャンル的にも異色で総勢16人のゲストを迎えてセッションしていったというカラフルでメランコリックなアルバム。60年代のビーチボーイズビートルズまで思い出してしまうサイケやフォークロックで現代のサイケ通過以降のインディーロックとかとも通じるとこ多々あり、なんだかんだギターとメロディーの存在感が結構大きいのもすごく良い。

 

Engine Down - Under The Pretense Of Present Tense(1998)

Engine Donwの1st。今作はLovittではないですがSleepytime Trioのメンバーであるジョナサン・フラーが参加していて周辺シーンでは一般的に最も知られてるバンドではないでしょうか。Sleepytime Trioではドラムでしたがこちらではギター、もう一人のギタリストであるキーリー・デイヴィスはSpartaのメンバーでもあり後にAt The Drive Inにも加入します。Engine DownはSleepytime Trioの激情を纏い加速してく作風とはまた違った、アルバムを出すにつれどんどん深いとこへ潜っていくような渋いエモへと進化していきますが今作まだSleepytime Trio以降と同列・・・ではあるものの簡単に一緒くたで括れる感じでもなく、J・ロビンスのイメージが強い2nd以降ともあまり繋がらない超絶不穏でダークな暗黒ポストハードコア。1曲目のイントロから曲を牽引するようにうねるベースラインはカオティックやエモとはまた違った、マスロック/ポストロックとも通じて今にも何か起きそうな不穏な空気を崩さないまま不協和音ギターを挿入しスクリーモしていきます。展開も凝っていてどことなく実験的、個人的に初期Downyとかと通じるものがバチバチにあって彼らのディスコグラフィで最も好きな作品。ジャンクロック/ノイズロックとしても聴けそうだし、全ての音が前に出すぎず背景で溶け合っているかのようなボーカルの絶妙に距離を置いた録音もすごくかっこいい。

 

Engine Down - To Bury Within The Sound(2000)

2ndからはLovitt Recordsリリース、そしてJ・ロビンスと組んでより硬質で密度の高いギターの音へと進化しますが完全にEngine Downのダークで切ないサウンドに昇華されていて、前作は目まぐるしい曲展開に激情やポストロックとリンクする箇所がありましたが今作はもっとストレートにエモ/ポストハードコアのラインへ。「Retread」は静パートからしてもう哀愁たっぷりでサッド・エモと呼びたくなるようなメロウなボーカルから金属的なギターを打ちつけるようにバースト、Lovittらしい静と動のコントラストを大切にしつつツインギターの絡み方がすごく練られている。今作歌メロも強くてLovitt作品の中でもポストハードコアとして最も聞きやすい作品ではないでしょうか。

 

Engine Down - Demura(2002)

3rd。オリジネイターの貫禄たっぷりで、Lovitt全般にいえますが後にリバイバルもする一派的なエモの路線を外しながら、純粋にハードコアサウンドを深化させていった結果オリジナルの純度のままエモへ至ったという作品だと思います。ギターもクリーントーン寄りになってて前作にあったノスタルジックなボーカルの雰囲気に合わせて表情豊かに、Bats & Miceと同じく音数を減らし、バンド本来のグルーヴを露出させていった結果どんどん無添加になり極太な新しい骨組みが出来上がった感じ。

 

Engine Down - Engine Down(2004)

こちらはLovittリリースではないですが最終作4th、ここにきてセルフタイトルなのが熱い。前作での、内側の熱量はそのままに表面をより硬く冷たくしていった感触からはまた違い、ザクザクとした鋭角なリズム隊が曲をガンガン動かし、いつにも増してノイジーなギターフレーズが次々と飛び出してくる作風は1st~2nd時のカオティック/激情とも通じそうなポストハードコア純度の高い鉄の音を思い出す。しかしDemuraでの一度収束させソングライティングに寄せたフォーマットでもう一度再構築していった感触で、故にメロディアス、エモ色も強いながら初期の荒々しさも内包したアルバムでかなり好きです。このバンドはアルバム4枚それぞれ違う色があるのがいいですね。No Knifeとか好きな人にもいいと思います。

 

Denali - Denali(2002)

Lovittではないですがこちらはエモ/ポストハードコアの名門Jade Tree発、Engine Downのメンバーであるキーリー・デイヴィスの妹モーラがボーカルをとっていて勿論キーリーも参加、そしてリズム隊はEngine Downという派生というかもうほぼ別形態のようなプロジェクト。しかしやっぱボーカル変わるとかなり違う、共通する要素は同じでEngine DownのDemuraにめちゃくちゃ通じる骨太なアンサンブルをベースにしたサッド・エモではあるんですが、しかし悲壮感溢れる妖艶なボーカルが暗すぎて、演奏やフレーズの各々に付き纏う解釈も変わってくるような気がしてすごく新鮮。あとは静かな曲もEngine Downでやるとやっぱエモの静謐パートな風情出ちゃうと思うんですがDenaliだとポストパンクやスロウコアの香りが仄かに漂う。

 

Denali - The Instinct(2003)

次作。これもすごい。ポストハードコア然としたギターフレーズをぶつけ合う感じではなく、少しずつ浸透させてくような壮大な雰囲気は前作以上で、モーラの吸い込まれるようなボーカリゼーションありきにも感じる新境地、正直もうポストロックとかゴスとかにも接触しそうだしEngine DownのサイドプロジェクトではなくDenaliとして完成したアルバムだと思います。名盤。

 

Glös - Halmonium(2007)

Engine Downのツアー中にキーリーが書き溜めた曲を骨格にして誕生した新バンド。こちらはボーカルとしてDenaliのモーラも参加していて、Engine Down程ノイジーではなくそれによってより線の細いギターフレーズの絡み合いが浮き上がり更に変則的になっていて、それでいてDenaliでのモーラの妖艶さもめちゃくちゃ出まくってるので中間というか完全にDenailiとEngine Downが融合してます。

 

Milemaker - Frigid Forms Sell(2000)

Sleepytime Trioのベン・デイヴィスが参加したバンドでDenaliと同じくJade TreeからもリリースされてるMilemakerの3rd。Sleepytime TrioやHooverの音楽性とは距離があり、歯切れのいいギターリフを刻み続けるよりパンキッシュな作風、面白いのがここにシンセのフレーズがガッツり入ってくる。電子音のビートがメインになるというわけでもなく、80sのニューウェーブにも通じる半ウワモノみたいに音色をもう一つ足す感じで、ここにスクリーモも入ってくるのがすごく新鮮です。

 

Frodus - And We Washed Our Weapons In The Sea(2000)

当時Four Hundred Yearsとツアーもしていた90sポストハードコアバンドFrodusの5thにして最終作。オリジナルは違いますが現在はLovitt Recordsから再発されててFour Hundred YearsやEngine Donw初期とめちゃくちゃ呼応する音楽性、レーベル的にも同じ括りで聞けるのは間違いないアルバム。初期はほぼスクリーモで押し切るかなりハードコア色強いスタイルでしたが今作はメロディーも強まり非常に聴きやすく、1曲目「Red Bull Of Juarez」での不穏なベースラインからギターが炸裂していくのはEngin Down初期と被りつつよりストレートなエモ寄り。Dischordのスタイルに少しカオティック要素をブレンドしつつ、そこには行きすぎない一歩手前で止まってバランスを取る感じで、硬質なギターフレーズの絡みも練られてますがマスロックでもない、本当にFrodusとしてギリギリのとこで全部を収めてくる美学がすごくかっこいい。

 

Decahedron - Disconnection_Imminent(2005)

十二面体を意味するバンド名や異質な雰囲気を纏うダークなジャケットの雰囲気が印象的なDecahedron、Frodusのメンバー二人が解散後立ち上げたプロジェクトBlack Seaが変名して出した1st。つまりFrodus直系のその後でこれがまためちゃくちゃかっこいい、とにかく次々と縦横無尽に駆け回るギターはリフで聞かせるスタイルだったFrodusのリミッターを完全に解き放っていて、不協和音全開のギターをとにかくジャンクにかき鳴らしてく塗りつぶしていくシーンも多い疾走感のあるカオスな作風。Fugaziのジョー・ラリーも参加してます。Frodusや他Lovitt作品とも通じまくる不穏な空気全開でミュータントへと変貌、ジャケットのイメージからも都会的で洗練されていたFrodusの最終作と比べると得体の知れない空気が漂います。

 

Maximillian Colby - Discography(2002)

オリジナルは94年、Sleepytime Trioのメンバー全員が在籍していたポストハードコアバンドでこちらは2002年にLovittが再発したアーカイブ作。1曲目の「New Jello」から7分超え長尺のインストですがこれが後の派生作品の下地になったことが容易に想像できる凄まじい肉薄したバンドのセッションとノイジーでささくれ立った荒すぎる録音、過激すぎるリズム隊、エモにも通じるであろう流麗な展開の妙、フレーズの応酬もすごいですが激情にいく程ではなくプロトタイプとして、マスロックとも違った構成美がとにかくかっこいい。静と動の対比がすごくいいんですよね。ただ轟音で塗りつぶすバーストではなくフレーズのインパクトや曲の持つスピード感そのものでカタルシスを得るというか、Sleepytime Trioに通じるこれら全てのバンドの源泉にあたるものの一つでしょう。Indian SummerやStaynlessにも大きく影響を与えてそうだし、HooverだけでなくSlintも入ってるというか、むしろその辺を一緒くたにして後発へと橋渡しをしたのがLovittの各作品だと思うし、その一番奥底にあるのがこのアルバムでしょう。


以上でした。Lovitt Recordsにはまだまだ好きな作品が多くて、とくにSleepytime Trioと全く関連なくてもDischordに関わってた人達の作品が結構多いです。Sports Teamもリリースがあったり元Antelopeの人がやってるPuff Piecesだったり、全く別ですがDischord以降のエモ/ポストハードコアの空気を受け継ぎつつ独自の道に進んでいったであろうHaramやFing Fan Foomなど漁れば漁る程好きなバンドが出てくるのでその辺もいつか書きたい。

 

SPOILMAN - UNDERTOW/COMBER(2023)

ShellacやJesus Lizardを彷彿とさせるまるで90年台のTouch And GoやAmRepのようなジャンク・ポストハードコアでシーンに現れたSPOILMAN、1st~2ndにおけるそういったイメージやジャンルの垣根さえも全部壊して作られた前作HARMONYはとんでもない怪作で一方向に突き抜けたアルバムでした。そしてリリース後ベースのナガイ氏はバンドを脱退、1st~3rdも結成から毎年アルバムをリリースし続けていて、3rdの未踏の地に辿り着いたような作風からも一度活動ペース落ち着くのだろうか・・・と考えていた矢先に全くそんなことはなく1年ちょっとでまたもや新作。しかも2枚。

 

同時リリースの4thアルバムでDisc1/Disc2と言った2枚組みではなく、それぞれが独立した世界観を持ったフルアルバムとして作られていて、今回は今までになかったLPでのリリース。フロントマンであるカシマ氏のイラストをジャケットに起用したり、それにあたってクラウドファンディングを実施し原画やZINE、そして遠征ライブも想定と今回かなり大規模なリリースとなってます。自分も頼みましたがとにかく装丁もすごくて届いたときめちゃくちゃわくわくしました。元々カシマ氏はデザフェスでのペイントで大作を作ったりMVを監修したりフライヤーを自作したりとイラストレーターでもあるので、手にとって質量を感じれるLPというフォーマットでアナログタッチの絵の迫力を視覚的にも実感できるのはとてもよかったです。


SPOILMAN - UNDERTOW(2023)

UNDERTOW、前作HARMONYにあった呪術的で何かの儀式のようなおどろおどろしさをそのまま受け継ぎ完全に血肉としたアルバム。自然体で静かに淡々と狂っているような佇まいはもうSPOILMANにしか到達できない境地で、HARMONYでは知らない世界の瘴気が滲み出たような作風でしたが、UNDERTOWはもう直接"あちら側"を覗いているような気持ちになる。1曲目の「Falling Ceiling」は静謐パートから音を紡ぎバーストしていく曲で、Shipping Newsとかのハードコア出自のバンドがポストロックに向かって半スロウコア化したときや4AD化直前のBlonde Redheadを思い出す、おそろしく不穏なギターがゆっくりと音を足していきます。この鮮やかなコントラストがまさに今作を象徴する1曲。UNDERTOW、とにかく全体を通した流れがすごく良いんですよ。

 先行シングルにもなった「AltereEgo OverDrive」はZINEにあったカシマ氏の言葉を借りると「激しすぎず大人しすぎず、ヘヴィーだけど軽快な気がする、メロディアスなアプローチがあるがポップなわけではない、サビがないけどフックのようなものはある、全てが中途半端で捉えどころがないのにキラーチューン」という、煮え切らない熱が常に肥大化し続けていくようなアルバムの血液とも言える曲。Melvinsを経由してBlack Sabbathにまで通じそうなドゥーミーな香りも漂っていて、アルバムの中央に配置された「Clock Man」ではkomatsu nariaki氏のディジュリドゥや片岡フグリのノイズも参加しメンバーはシンプルなリズムをただひたすら12分続けるアルバムの心臓とも言える大作。淡々とリズムを刻む中徐々に狂っていく様がじわじわと描かれる曲で、ここから表題曲「UNDERTOW」へと続く4曲の流れがすごすぎる。Clock Manの流れを引き継いだ「Eucalyptus Hole」を挟み終盤に配置された「Super Pyramid Schems」は先行シングル、最初MVを見たときは大振りなギターリフがBikini Killのような爽快ロックチューンだと思っていたのですが、呪術的な2曲から続くとただ気持ち良いだけのリフではなく色気と怪しさが同居していて、Clock Manからのカタルシスというよりはむしろ地続き、そのままボルテージを上げていく曲だったということに気づく。強烈にキャッチーな先行シングルでありながらかけがえのないアルバムの1ピースだというのを実感させられるんですよ。すごくコンセプトアルバム的というか、浮かびあがる世界観がとても鮮明で、聞き終えてからジャケットを見返すと最初はSPOILMANにしては珍しいジャケットだなと思っていたのがこれ以外ありえないと思えるほど完璧にしっくりきます。

 

SPOILMAN - COMBER(2023)

COMBER、UNDERTOWでの異界っぽさを象徴するようなジャケットとは対照的で"こちら側"感が強いですが、それぞれ作風がしっかり反映された本当に良いジャケットだと思います。1曲目「Ultima Thuleからして聞いていて胸が熱く滾りついついこっちまで叫び声を上げたくなるような、ジャンクギターを弾きじゃくりリズム隊は常にドライブしまくり、もう全部解放して全て破壊していくような爆走ポストハードコア。ここから「Fiber Song」「Perfect Peace」と曲ができていってUNDERTOWの雰囲気に合わず明確に分けようと、このアルバムができるきっかけになったらしいです。ということでその2曲や「Blind Man」はもう密集した刃物みたいな鋭利なギター音はおそろしくエッジが効いていて、続いて「Swimming Below」「Fantastic Car Sex」は以前からあったコンピ収録曲を再録したというナンバーで今作の作風にもマッチしHARMONYで分岐した彼らのポストハードコアサイドを凝縮したようなアルバム。Swimming Belowは1st2ndではお馴染みだったJesus Lizardを思い出してニヤリとする。Fiber SongもJesus LizardのLiar期っぽいし、そう、初期の作風を想起させるような曲が多いんですよね。かといって原点回帰したわけでもなく、多数のゲストミュージシャンが参加した実験的でカオスな曲が随所に散りばめられている。シンプルなパンクロックの作品としても終われない、カオスながらアルバムとして1本筋が通った流れが存在しているのはアルバムタイトルを冠した不穏なインストナンバーの「Comber-1」「Comber-2」のおかげでしょう。こちらを挟んで緩急をつけたり、序盤の怒涛の流れからどことなくBlonde Redheadっぽい「Lilac Purfume」ではノイズ要素を前面に押し出し、重心を落として極端なバースト部分を映えさせる「Fantastic Car Sex」が全体の起爆剤になるという構成の妙も惚れ惚れとする。個人的には最終曲である「NES」がヤバくて、今作から加入したホサカ氏のベースラインが元になって作られた曲らしく、今までのSPOILMANからは出てこなかったであろう穏やかでローファイな雰囲気が漂い、退廃的なのにコーラスがとても美しくてこれが最後に配置されてるのがグッときました。


UNDERTWOとCOMBER、クレジットを見るだけでも10名近くのゲストを呼び色んな曲で参加してもらったというのもあるでしょうが、どちらもたった一日で全曲レコーディングされたという驚きの過密スケジュール。クラウドファンディングのリターンであったZINEではメンバー3人による全曲解説が付属していてこれがとてもよかった。その場のアイデアをどんどん思いつきで盛り込んでいったのがわかる内容になっていて想像以上に即興的で、スタジオの空気が伝わってくるようでした。とくにClock Manが12分一発録り1テイクで作られ全員空っぽになっていた話やNESでの始めて3日目のぎこちないピアニカの旋律が曲のテーマとマッチしすぎたというエピソードは驚きでした。


関連記事

1st~3rdについて以前書いたものです。

deathcrash - Less(2023)

deathcrash - Less(2023)

deathcrashの2nd。昨年1stをリリース後自分の中で2022年最もリピートすることとなったバンドで、1stの作風がかなり重かったのもあり音楽性やバンドのイメージからこんなに早く次のアルバムを聞けるとは思ってなかったです。1月に先行シングルの「Empty Heavy」が出たときは曲のインパクトも相まって本当に驚きました。

良すぎる。アルバムとしてはとてもコンパクトになっていて7曲38分、1st同様スロウコアですがもう少し録音面で違う角度からフォーカスしてきたようにも聞こえるアルバム。とくにドラム、ジャンルの特性上一音ごとの隙間がよく見えるのでまさに核ともなるパートですが、前作の1曲目「Sundown」では密室に閉じ籠ってドラムの残響が部屋全体を通して染み込んでくるような、楽器そのものというより空間丸ごと聞くような音だったのが今作はもう少し柔らかく身近に感じる。外に開けた音になっていてこの骨組みだけで組み立ててくようなミニマルさは各パートのフレーズや暖かみのあるメロディーが映えるし、風通しも良く、何より演奏自体がすごく色鮮やかでSlint~Mogwaiと言ったポストロックのラインから外れてきた作品だと思います。

元々前作からCodeineやBluetile Longeを想起するような、サウンドやアンサンブル面はスロウコア王道を地で行きながらも、そういったバンドと比べるとdeathcrashはメロディーに関してはずっと豊かでした。エモやカントリーにも通じるというか、スロウコアというジャンルはぼそぼそと言葉を刻むことでそのメロディーの貧しさ自体がジャンルの持つ枯れや寒々しい雰囲気と同期していたと思いますが、deathcrashはその部分で乖離があったと思います。1stは自分の内面に深く深く入り込んで落ちていく感じだったんですが、今作は1曲目「Pirouette」からしてすごく丁寧に一音一音、控えめなフレーズやメロディーではあれど外に向けてどんどん情景を組み立てていくんですよ。演奏面でも表情豊かというか、やはり内面ではなく景色を少しずつ開いて世界を作ってくような印象を受けます。

そして先行トラックEmtpy Heavy、とにかくやばい。全部流してしまう特大アンセムで、今作特有の暖かいアンサンブルから激情にメーターを振り切ったアクセル全開の轟音へと無理矢理バーストしていく。この鳴り響く爆音と張り裂けそうなシャウトに感情を全部持ってかれるし、心地の良い轟音ではなくどこか悲痛と言うか、痛いんですよね。対照的にいつも以上に暖かく穏やかな静パートは小さな感情の起伏も見逃さないようなすごく繊細なものだしより泣けてしまう。ここから名曲の連発はもう鬼気迫るものがあり、続く「Duffy's」では前作のイメージとは少し離れた、コーラスワークを多用したボーカルのハーモニーはとても美しく、どの曲にも暖かさと痛みが同居したような今作の中でも特に傷を癒してくれるような印象で、ボーカルと相互補完になるようなメロディアスなギターの掛け合いにも感情を揺さぶられてしまう。「And Now I Am Lit」はインストで1曲目の「Pirouette」と呼応するようなこれまた穏やかで映像的、「Distance Song」は今作で最もメロディアスな1曲。最後の2曲はとても重く、冷たさもあって前作も思い出すけど非常にCodeine的で、とくに「Turn」に関してはCodeineの名曲「Tom」「Barely Real」を想起する。そしてギターとドラムの一音目を合わせるようにフレーズを重ねることで曲の合間合間の残響や隙間の見せ方が巧みで、それによってフレーズや轟音が映えるアンサンブルの妙も今作ならでは。最終曲「Dead, Crashed」も初期Codeineの轟音増し増しだった頃を想起させる作風で重低音の効いた少しメタリックな気もある超ヘヴィな1曲。スクリーモも凄まじくて激情ハードコアをスロウコアへと無理矢理押し広げて行ったような気さえしてきます。

個人的に「Empty Heavy」「Turn」がベスト級に好きです。サウンドはCodeineに近くてもソングライティングがまるで違うので、歌入った瞬間違う景色が広がっていくのがとても良い。むしろここまで暖かみのある直情的なメロディーでもちゃんとスロウコアになるのかと驚きました。このメロディアスさがインディーフォークやカントリーを想起するような枯れや素朴さとして聴ける側面もあって、そこがしっかり一つのピースとしてハマったアルバムだと思います。少しArab Strapも思い出す。痛みと癒しを反復するような濃密な曲がここまで詰め込まれていて、メロディーの人当たりもいいし全体の流れもしっかりしていて最後には燃え尽きてしまう。スローペースなのもあってどの曲も重厚ですがこれが40分以内で聞けるというのもすごく良いと思います。

 


関連記事

年間ベストの方で前作と先ほど何度も触れたCodeineついても触れてます。

 

昨年リリースされたCodeineの未発表音源集。原型の一つでは、と言いたくなる程シンパシーを感じるので本作が好きな方は是非とも。

20230519 雑記/聞いた新譜とか

私を構成する42枚というのがツイッターで流行っていて、正直僕はこの「構成する」と言い切られてしまうとどうもしっくり来ず素直に選べないのですが、ただ考える作業自体は単純に自分の脳内をもう一度整理して一体どのジャンル、どのアルバム、どの音楽シーンが自分の中で大きいのかそういう優先順位というか、棚卸感覚で可視化できるのはとても面白いと思いました。

あとはもう完全に自分の血肉になったようなアルバム、改めて話題にして語ったりすることって日常で中々無いので、例えばSNSで繋がってる音楽好きの知人が今ハマってるジャンルや音楽を抜きにして、最初は、原点となる部分はどこだったのかとそういう再確認ができるのもいいですよね。その人の背景というか、ルーツがわかるというか、どういう積み重ねがあった上で今そういう趣味なのか、何を聴いてるのかとかを想像すると見えてくるものも沢山あると思います。自分自身こういうブログで今割と狭いシーンにフォーカスして似たような音楽を書き続けていても、どういう音楽を聴いてきた上で今語っているのか、自分が読者の立場だったら知りたいと思う。ただやっぱ先ほど述べた通り「構成する」という観点からはまた違っちゃってると思うので、あくまでマイベストですね。

結局自分の根幹はNUMBER GIRLLOSTAGEthe pillows、そしてアジカンから成り立っているのだなと実感する。the pillowsからUSインディーや90sのグランジブリットポップ、そこから辿ってBlack Sabbathもあったし、ポストハードコアやスロウコアはNUMBER GIRLから辿ったスティーヴ・アルビニ、ハードコア~エモへと至るラインはLOSTAGEから。ブログで幾度となく触れているBluetile Loungeはやはりスロウコアベスト作品、自分のTouch and Go趣味が前面に出るきっかけとなったShellacの2ndも今聞いても滾るものがあり外せなかった。SlintのSpiderlandも入れようと思ったけどルイビルから発展してくポストロック、スロウコアなどに触れるきっかけになったのはRodanのHat Factry93を数年前聞いたからなので、こういうリストに入るならSlintではなくRodanだろうと。きっかけでもあり、今聞いても発見だらけでベスト級に好きです。代わりにSlintは続編とも言えるThe For Carnationの方が今の自分のモードには確実にあっていてそちらを入れてます。こちらもスロウコア名盤。

あとは以前書いた好きな音楽ブログまとめの面々にも多大な影響を受けていて、とくにたびけんさんの空白依存症やサムさんのWithout Soundsをバイブルとしていたのでその要素も強く出てます。PavementCloud NothingsはWithout Sounds、GRAPEVINEののderacineやNUMBER GIRLのSAPPUKEIは空白依存症から聞きました。

 


以下最近聞いてるもの

 

FACS - Still Life In Dacay(2023)

FACSの新譜。前作以上にバンドサウンド、主にリズム隊が浮き上がっていて音色は無機質ながらフレーズはキャッチーな硬質な反復がとにかく心地良いポストパンク。Disappears時代の空気も今回とくに強く感じてノーウェイブとか後期Unwoundが好きな人にも是非。とくにリードトラックにもなってた「When You Say」は不穏で冷たいリズム隊の反復を聞き続けるタイプの曲なのにギターソロやノイズパートのカタルシスは凄まじく熱いです。これは前身(の更に前身)である90 Day Men時代から変わってなくて本当に良い。90 Day Menは自分のオールタイムベストとも言えるポストロック/ポストハードコアバンドで、そのメンバーが未だ延長線のサウンドを追求し続けている事実、そして90 Day Men自体も今年からNumeroで再発が始まり新しいファンがアクセスしやすくなったのも嬉しい。この90s末期~00年代の水面下でのハードコア→ポストロックの実験性は今のサウスロンドンともかなり呼応すると思ってます。

 

Model/Actriz - Dogsbody(2023)

Model/Actriz、こっちもヤバすぎる新譜で全身武装したメタリックSucideとでも言いたくなる劇的ポストパンク。ダンスミュージック的なボトムの太いリズム隊の反復でひたすらループしていく、しかしディスコパンクのグルーヴとはまたちょっと違ってそこからは切り離された、むしろにせんねんもんだいのdistination tokyoに通じるものがある。こういう冷たい機械的な反復ビートとバンドサウンドの肉感が融合してるのはとても好きだし、ギターは完全にノイズマシンと化してしまってるのも最高です。

 

Shame - Food for Worms(2023)

Shameの新譜。リリース時一度聞いて終わってたのを再び聞き返したらB面でまるで印象が変わりました。やっぱり聞き込みが浅いと最初数曲のイメージでアルバムが固定されてしまうんですよね。結構カラフルでポップなイメージがあったというか、1曲目からメロディーは豊かだし2曲目の「Six-Pack」はレッチリじゃんとか思ってたんですが、全体的にメンバーのコーラスを多用していてそこに70sの初期パンクやハードコアとかを連想した。実際1stリリース時ポストパンクとか言われてましたがライブパフォーマンスはかなり熱くパンキッシュなものだったのでそれは納得、しかし今作はライブの熱さを反映したアルバムではなく、抑制してアンサンブルを練っていったようにも感じていて、スローペースでアコースティックギターの響きもコーラスワークも全てが美しい「Orchid」を節目にB面からはどこに向かっていくかわからん、「The Fall Of Paul」「Different Person」など変幻自在の曲が続いていてとても楽しい。節々を切り取るとポップなんですが、そことそこをくっつけるのか?と言いたくなるような、付き纏うダークなトーンはInterpolを解体してランダムに継ぎ接ぎしてったような印象もあって、更にギターに少しエモのフィーリングも感じる。毎日聞いてます。

 

People In The Box - Camera Obscura(2023)

People In The Boxの新譜。これは事件級でしょう。まるで意味が分からない曲しかないんですが、プログレのような、1曲に情報量を詰め込みまくっているのに聞きやすさがあるのは異形な怖さがある。曲タイトルが直球なのも怖いです。「DPPLGNGR」はビートが渦を巻くIDMのようなイントロに本当に痺れ、このループで攻めてくのかと思いきやそんなことはなく、美しいオルガンのフレーズといつにも増してノイジーなギターサウンドの対比がかっこよくて仕方ない。しかし何度聞いても全体像が掴めないというか、マジでわからんなというアルバムで、それは自分は音楽について語るときって今までの体験を振り返って、その中から近いシーンやアーティストを重ね合わせて浮かんだ言葉を手繰り寄せてしっくりくる形で再出力しているんだと思う。つまり、源泉が無いと成り立たないのですが、People In The Boxに関しては比較対象とできるような音楽や体験や言葉が自分の中に全く見つからない。完全に無添加な状態でポンと体に入ってくるので混乱してしまうというか、ある意味一番純粋に音楽を聴ける体験なので、それを提供してくれるアーティストがリアルタイムでいることに感謝したくなる。kodomo rengouのような不穏な歌メロ、シンプルにリズムのズラし方とかリフの鋭角さが非常に好みな、しかも解体しながらもサビにあたる部分はキャッチーでカタルシス満載な「スマート製品」、ジャリジャリとした透明感もある瑞々しいアコースティックギターをかき鳴らすイントロ、美しいコーラスを繰り返しながら頭にメロディを浸透させてバンド全体でカタルシスに持ってくのはちょっとWall Windowも思い出す「水晶体に漂う世界」がとくに気に入ってます。

 

Cwondo - Tae(2023)

butohesのライブの対バンで見たのですが衝撃でした。新譜素晴らしかった。前作の「Coloriyo」はエモを切り貼りして電子音楽のトラックの一つとしてシーケンスに組み込んだバンドバージョンのエレクトロニカのようなイメージでしたが、それを更に解体しまくっている。なんかビートの歪め方が、ライブでのアドリブ的に曲を破壊して再接合してくスタイルをそのまま音源に封じ込んでるようにも思えるし、全ての音が揺れてて不安定な足場を飛び移ってるような気持ちになります。声が完全にトラックの一つとして処理されてるのにメロディーが良いのもすごい。

 

Pharoah Sanders - Tauhid(1966)

旧譜。本命というかここ3か月はひたすら彼の作品を聞いてました。スピリチュアル・ジャズの大御所で一昨年Floating Pointとアルバムを出してたのも記憶に新しいけど、今作は1stにあたる66年作。クラブ・ジャズの流れでスピリチュアル・ジャズに注目がいって再評価されたらしく当時は今ほどレジェンドではなかったようだけど、本当に凄まじい内容でリリース年を二度見しました。ジャズについて知らないことまだまだたくさんあるんだなというのを実感させられたし、電化マイルスやプログレサイケデリック・ロック以前にこれがあったという事実にただ驚く。1曲目から16分と長尺で、即興的なジャズ・セッションとはちょっとイメージと違う、これは、最初から設計されたような、一つのコンセプチュアルな世界を作っているかのようなサントラっぽさもあるアルバムで、静謐の中から少しずつ音を添えて世界を彩る。10分近くあるこのイントロから終盤になって徐々にフレーズが絡み合い、ドラムとパーカッションが隙間を埋めるように重なり合った心地の良い音のループが後のアフリカへの接近も感じさせる要素であまりにも極上。一生聞けてしまうこの反復から、最後ドラマティックにサックスが嵐のように吹き荒れるところはいかにもファラオ・サンダース節でありながら、とにかくこの体の奥底から振り絞ったような音に強く心を揺さぶられてしまいました。

彼はジョン・コルトレーンアセンションにも参加していて、コルトレーンの弟子的なポジションだったようですが、今作はコルトレーン代表作「至上の愛」を彼なりの方向性に舵を切ってやりすぎなくらい推し進めたようなアルバム。元々コルトレーンは至上の愛が最も好きなので、この作品をきっかけに自分の聞くべき指標が一つわかったような気がした。Japanって曲もあってこのオリエンタルな空気感も彼のルーツが出てるような気がするし、ここから辿ってスタジオ作品はほぼ全部チェックしてますがその都度衝撃を受けていて、一アーティストのアルバムを掘り進めることが心底楽しいと思うのはいつぶりだろう。

 

 

Herbie Hankock - Mwandishi(1971)

元々ジャズは電化マイルスから入ってそこから大御所に繋いでいったのですが、やっぱり電化マイルスがベストなのでポストロック的な繋がりからもそのレコーディングに参加した面々を聞いていった経過があり、中でもとくにハービー・ハンコックの「Empyrean Isles」「Maiden Voyage」辺りのモダンジャズ期が僕のフェイバリットでした。で今作、ファラオ・サンダースをきっかけにジャズ関連の記事を漁っていた中で見つけたDr.ファンクシッテルー氏のこちら

ディスコグラフィだけでなく通した読み物として非常に面白くて、そして本筋であるファンクやフュージョンとは別に、僕はこの中にあった「Mwandishi」に強烈に惹かれた。マイルスのBitches Brewに影響を受けて自分なりに再編したような、ただBitches Brewにあったエッジィなリズムのメリハリ感はなくむしろ浮遊感溢れるループの心地よさはファラオ・サンダース的なスピリチュアル・ジャズの系譜を感じてしまったし、これが超良かった。実際売れなくて路線変更のきっかけになってしまった作品のようですが、今の自分の視点だと正直ファンク化してからよりも好みでベスト級でした。

 

そしてこちらファラオ・サンダースから辿ってるときに見かけた記事で、

面白すぎた。文化の背景もわかるしどのようにシーンが浸透していったか丁寧に経過を辿っていて、時代と共にジャンル名が変化してく流れとかもこんなに鮮明に記録された記事を読んだことあんまり無いかもしれません。

butohes - to breathe(2023)

butohes - to breathe(2023)

先月リリースされたbutohesの2ndEP。一昨年の1st発売時は熱狂してリリースパーティーにも行きましたが昨年の活動は追えてなくて、まとまった音源も出てなかったのですが昨年12月にPlutoというシングルがリリース。完全に新境地を感じてこれに影響されそのまま流れるようにライブへ。そしたらセトリが半分以上新曲で構成されていて、尚且つPlutoの系譜を存分に感じるとんでもないアンセム続きだったのでちゃんと衝撃を受けました。

まず1stと2dnの繋ぐ架け橋にして新機軸のPluto、再生してイントロからとても控えめな音が1stEPで聞けた音に飲み込まれるような、すごく向こうから押し寄せてくるあの激流のような印象とはもう完全に真逆な、少し離れた位置で、淡々と新しい風景が出来上がっていくのを眺めていくような音楽。骨組みだけのような、全パート完璧に整頓されてるようでしっかりそれぞれの音の揺らぎも残してあって、あちらから向かってくるのではなく、こっちから近づかないとわからなくて自然と引き寄せられていくような引力がある。

で2ndEP、Plutoからの流れを汲んだ6曲で一つの世界を構築していく名盤。個人的にライブでも聞いた「Alba」がすごく好きで(先行シングルにもなってました)、まさにPlutoの系譜を突き詰めたような7分に渡る長尺ナンバー、よりストイックにひたすら二つのギターリフをミニマルに繰り返す。リフの形自体はEnemiesやThe Mercury Programを思い出すような、前作収録の代表曲Hyperblueも少し想起させますが、複雑なようで構成している音自体はそこまで多くないので所謂マスロック的な脂っこさはまるで無く、本当にミニマルに音を刻み続ける。最早フレーズが重なりすぎてビートを追っていると自分がどこに立っているのかわからなくなるような感覚に陥りますが、この淡々とした繰り返しをリズム隊が局所的に連結しベースとドラムで色を付けながら轟音へと向かう。この構成が、リフのミニマルさも相まって淡泊なのに機械的な印象にはならずとてもドラマティックなんですよ。このバランスがとても好きな曲です。

もう一つ先行シングルでありアルバムの1曲目を飾る「Height」では個人的にはReal Estateも思い出すどこか望郷的なギターリフがすごく心地よくて、1分10秒頃の間奏で聞くことができる遠くから鳴っているような、多層的なアンサンブルの一番奥のレイヤーから浸透してきたようなギターの音にも郷愁を感じて泣いてしまうし、ボーカルも最小限歌ものとしての側面も残していてすごく映像的な音楽だと思います。ラストの轟音もただ全部を飲み込むようなノイズとは違って、どの音が、どう折り重なって轟音を形成しているのか内訳がわかるようなクリーンな録音でカタルシスに持っていくのも本当に感動する。Albaを挟んで続く「Walkalone」は今までに無かったアコースティックな雰囲気も取り入れながら、Height以上にメロディアスでフォーキーな質感と、相変わらずどこか淡泊で訴求しすぎない音の配置にこの情感を両立させることができるのかととても驚いた。

そして間違えてRei Harakamiを再生したかと勘違いするくらい、おそらくメンバーのMichiro氏の電子音楽趣味が前面に出たであろう「breathes」は[last]とかわすれものを思い出すようなポストプロダクションな音響とエレクトロニクスが全開(セルフライナーを読み込んだところこの音は全部ギターでやってるらしく驚き、録音物のみで構成するという拘りがあったようです)。B面からの印象をガラリと変えてしまう核となる曲で、例えば続く「Ss」はラウドな疾走ナンバーに見せてドラムは完全に人力ドラムンベースをやっているし、最終曲のeephusに関してはイントロからわかるハイハットの刻み方や配置が完全にエレクトロニカやフォークトロニカを想起させるそれになっている。とくにSsはかなりローの効いたゴリゴリにフレーズを押し付けるベースとこのドラムが絡み合うのは本当に最高です。あまりbutohesで感じたことのない感覚かも。たぶんbreathesが無かったら、SsもeephusもA面で魅せたフォーキーなポストロックの流れで受け取って違う感想になってたと思うし、このアルバム構成で真ん中にbreathesを置くことで、二週目のA面の曲にすら電子音楽の要素を重ね合わせることも可能になる鍵のような曲。アルバムタイトルを冠してるのも良い。例えばもう一度聞くAlbaはこのミニマルなループ感は電子音楽由来なのかもと新しい視点で聞くことができるし、おそらくシーケンスにあたる部分がドラムやベースではなく「流麗なギターリフ」だったためビートに寄りすぎず、むしろリズム隊が色をつけてくという構成にあまりダンスミュージック的な印象を持たなかったのかもしれません。この絶妙なバランスに感服する。やはり自分は電子音楽での同期的なループを、バンドによる生演奏で揺れを残したまま陶酔感を目指していく音楽がとても好きだと実感する。

Heightでの遠くから鳴ってるようなギターソロやbreathesでの左右を行き来するエレクトロニクス、それをスッと引いて囁くようなボーカルが入ってくる瞬間やeephusでのアンビエンス漂う轟音とドラムの配置が所々入れ替わるような関係性など、今作を聞いていると鳴ってる音の配置全部が繊細で心地よくて、本当に吸い込まれると言うか、濃密な空間が目の前で構築されていてそこに飛び込むのをやめられない。どのフレーズもとても魅力的なのに、それが全然こっちに寄ってこない音作りは録音物として音楽を聴くことの楽しさをもう一度思い知ってしまう。今思えば1stEPでも中盤以降リフやアンサンブルというよりは音響面にフォーカスして世界を広げてくコンセプチュアルな作品で、ライブに通う中でbutohesのこういった録音の妙で魅せるアルバムの聞かせ方を忘れていたのかもしれません。おかげですごく新鮮で楽しく聞くことができました。

 

文中でも「映像的な作品」という表現を使いましたがそのイメージを完璧に投影したような夢の中のようなeephusのMVが先日公開されこちらも是非。良すぎます。

 


関連記事