朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

20200514 THE NOVEMBERS~吉田一郎の新譜等

先日5月12日~5月13日に素晴らしい新譜が同時に発売し、それらをまとめて浴びた結果大変充実してしまったのでその記録を少しだけ残そうと思います。まず昼間に届いたこちらのアルバム。

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NOVEMBERSのAt The Beginningですね。発売は月末ですが先行予約申し込んでいたので運良く13日休みで入手。

V系の歴史や文脈をよく知らないので、その辺とうまく合流しアップデートされた今作について存分に楽しめてるかと言うとわからないんですが・・・。

 

それでも最初はART-SCHOOLフォロワーのオルタナグランジ色の強いギターロックバンドとして聞いてきたので、そんな彼らがシューゲイザーやインダストリアルを取り込みポストパンクに寄った後、今作の1曲目Rainbowでまるでエイフェックスツインのようなドリルンベースをやり始めた事にわくわくが止まらないんですよ。というかそれ自分の音楽遍歴まんまなとこがあって、スマパンニルヴァーナ、日本だとナンバーガール、そしてART-SCHOOLsyrup16gオルタナを掘った自分はその後にマイブラやナインを聞き、その後エイフェックスツイン、スクエアプッシャー等のコーンウォール一派へと派生していったので。オルタナの文脈で、しかもバンド形態のままこのサウンドに接近していくってそれまさしく聞きたかったものそのもので、妄想はするけど一体どんな音が鳴るのか想像もつかなかった事態が目の前で起きている、て感じです。

あと、ちょい前に書いたんですが先行曲を聞き、ラルクyukihiro氏と共作というのもありバンド感の少ない作品になってしまうんじゃないかという危惧があったんですよ。それは少し寂しいなと。それも必要ないくらいラウドなギターが鳴り響く曲も多数収録され、とくに理解者はAlice In ChainsDeftonesを思い出すようなヘヴィなものになってて最高ですね。

 

 
個人的なベストトラックは「消失点」という曲でどうしてもコロナにより確変してしまった現状を歌っているよう聞こえますが、ツイッターを見ると小林さん本人もそれは偶然であり、むしろそのせいで歌詞の意味がまるで変わってしまったと驚いてました。とにかく今前のNOVEMBERSと比べてもかなりポップでついつい口ずさみたくなる曲。

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吉田一郎不可触世界のえぴせしです。前作のあぱんだがめちゃくちゃ好きなアルバムで2015年ベストとしてハードルめちゃ高かったんですが、これがZAZENを脱退しソロに集中した結果なのか・・・余裕で超えてきました。これ程までダンスミュージックに接近してくるとは思ってもみなかった。と言っても家の中で深夜に体を揺らしたくなるような感じで、とくにB面のまほろばという曲が前作の先行トラックであり彼を代表するアンセムとなってる「暗渠」のアップデート版のような曲なんですよ。夜を連想せざるをいられないのっぺりとしたボーカルと煌びやかでノスタルジックなシンセに、バキバキにファンキーなベースラインが前のめりに乗ってくるんでとにかく体を揺らしたくなる。何より「どっかで拾った100円ライターのガスが小刻みに揺れてる」という歌いだしが暗渠の「やめかけてたタバコに火をつけてしまう」を連想する。

前作出したときまだZAZENで現役のベーシストやってた頃なので、吉田一郎と言う個人としてあまり印象がなく、むしろ向井秀徳の強烈な個性を表現する場所だと思っていたZAZENの一メンバーが一体どんな音楽をやるのだろう?とすら思っていたら、暗渠でのあの強烈なフックのある歌いだしにとにかく驚いて一発でハマった記憶があります。

吉田一郎の声質と打ち込みサウンド+ファンキーなベースラインと全てが噛み合って夜を作り上げてる作品で、本人も深夜にどうぞと言っていますが最高ですね。とにかく俺は細部まで夜の景色を連想させてくれる音楽が大好きだ。


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以上でした。あともう一枚同日発売のmei eharaの2ndも良かった。彼女の1stは昔サブスクになくて、ていうより正直に言うとサブスクにないからってのが理由でフィジカルで買った愛聴盤だったんですがその延長線で最高でした。1曲目からレゲエだったけどすげえ風通しの良い爽やかなレゲエで、むしろこんな土臭くて黒い音楽をやっているのに、彼女がボーカルをとることによって全く重くならない。土臭さどころか春を連想するかのような爽やかさになるのがかなり良くて独自性になってると思います。

そんな感じでぐだぐだ新譜聞いたりDTMいじったりサンプル音源DLしまくったりしていたとこで休日は終了…

OGRE YOU ASSHOLE - 朝(alternate version)、新しい人

待ちに待った・・・。 

 



出だし等大きく変わってますがここ一年間ライブで演じられてきた「朝」は大体こんな感じです。ライブで激変する上にその激変っぷりがかなりかっこいいバンドなんですが、その割にライブ動画や音源が少なく参考音源があまりなかったのでこれは嬉しい限り・・・!

しかし代表曲でありライブアンセムとなってる「フラッグ」「見えないルール」「ロープ」等はミニマルに聞こえてその実どんどん巨大化していくバンドアンサンブルと轟音、加速してくグルーヴが高揚感を煽りフロアを温めていくのに対し、今回の「朝」は安易に盛り上げず、ただひたすらに音をループさせ聞いてるものを陶酔させていくという感じで、この辺やっぱり新譜の「新しい人」で聞けた次のオウガの方向性なんでしょうか。気持ち良すぎる・・・

知り合いにオススメした結果これSilver Applesじゃね?と指摘され、ジャケット見たことあるけどちゃんと聞いたことないな・・・と聞いたところマジのマジで最高でした。なんじゃこりゃ。最高のロックバンドだ。というか60年台アメリカのサイケデリックでは重要作品らしく、60年台サイケ好きとしてはこれかなり恥ずかしいな・・・。
 
 
最近のオウガはクラウトロックってよりこれに近いんですかね。いや、マジでかっこよかった。

ちなみにライブだとこれ。

たぶんメンバーかなり気に入ってるんだろうな。丁度昨年の4月にあったコナン・モカシンとの対バンが初披露だったと思うけど、その時点でこの10分あるバージョンだったので、アルバム出たとき原曲があまりにあっという間に終わってしまって拍子抜けした記憶。というかサウンドプロダクションも完全にこの新バージョンのサウンドこそライブ通りって感じですね。別にライブ音源ってわけじゃないんだけど。
 
そして朝が収録された昨年の新アルバム「新しい人」ですが、実を言うとそこまでしっくりきてなかったアルバムでした。
というより前述の「朝」等ライブで何度か聞いたことある曲が多数収録されてたので最近のライブ的に「次のアルバムもしかしてめちゃくちゃ激しいのかも・・・!?」という期待が若干あったというのがあります(笑) そしたらむしろライブで演奏されてたナンバーの元になったであろう"素材"のようななアルバムだったんで先入観のせいで適応できなかったのかもしれません。
 
新しい人(2019)
Amazon | 新しい人 | OGRE YOU ASSHOLE | J-POP | 音楽
ですがそれが・・・今になって、たぶんコロナ禍でライブ行けてないからこそオウガと距離を置けたおかげなんでしょう。今までみたいにビートやフレーズをミニマル化していくって感じではなく、単純に曲の持つ世界観そのものが縮小され、音の規模が小さくなっているような・・・音の引き算でのその引き方、が変わっていてるように感じます。でその空っぽなのに暖かいそこで鳴っている・・・というような塩梅が、今、とても気持ち良いというか。下手したらサイケ化してから一番好きなアルバムになったかもしれません。
また歌もの要素が強いので百年後を想起しますが、百年後程重くないのでスッキリ聞けるし、でもちゃんとあの時期のメロウさをソフトに受け継いでる、という点も好きでした。時間かかったけど良かったなぁ。
 
 

20200423 Fiona Apple~Kensei Ogata

Spotifyを導入してからというもの話題の新譜をどんどん気軽に聞けるようになった。なってしまった。先日フィオナアップルの新譜が出たんですがこれピッチフォーク様が10年ぶりに満点をつけるという大事件が起きたんですよ。TLで盛り上がってたから聞いたらこれがめちゃくちゃかっこよかった。

2012年に出た前作はアコースティックに極限まで拘り、なのにまともな曲調ほぼないんじゃね?てくらい実験性にまみれてて非常に刺激的な作品で、聞いてもさっぱりわからんような音楽だったんですよ。でもそれがかっこよかった。でそのハードルはめちゃくちゃ高かったんですが、そのスタイルを継承し少しモダンジャズに寄せて普遍的なポップスに接近した感じと言うか、とにかく正体不明なままかなり聞きやすくなってました。



で最近、出てくる音楽どれもこれも新しく衝撃を受けるものばかりで、びっくりしてこれは大傑作だ!て熱狂はするけど、そのときの自分を後々読み返したり思い返すと「これ確かに画期的ですげえ!てなったけど、本当に俺の好きな音楽なのか?」て思うことが多々ある気がしてくる。

ファーストコンタクトの衝撃がそのまま作品の評価に繋がりすぎてしまうというか、いや、そもそも評価って言うけどそれは俺の「好き」なのか?みたいな、とにかく、自分でもわけわからなくなってしまった。金払ってるしサブスクをうまく使おうみたいな強迫概念と、話題の音楽、今の音楽をキャッチしよう、みたいな無駄な意識の高さが全部邪魔してる。サブスク嫌いで始めるまでかなり時間がかかったが、プレイリスト共有やベスト漁りでうまく適応してたような気がするが、やっぱ俺は違うのかな、とか思えてきた。

俺は俺が好きな音楽を好きなだけ聞くのが一番幸せなんじゃないのっていう、そういう当たり前のことを忘れてる気がする。そう考えるとこれ(2019年旧譜まとめ - 朱莉ちゃんレコード)書いてるとき本当に楽しかったのは、やっぱこっちが真髄なんだと思う。

そんなわけで、先日出たKensei Ogataさんの新譜「Things I Know About Her」が最高でした。関係者で聞いた方の前評やツイッターの感想が絶賛の嵐だったので楽しみだったんですが、とにかくこれは間違いなく「俺が大好き」なアルバムです。パワーポップ~透明感のある爽やかなオルタナティブさと瑞々しい歌ものでバンド編成初アルバムとのこと。コロナ禍でライブの予定はキャンセルされまくりという、人生でも最悪の春ですがめちゃくちゃ春を迎えるのにぴったりな作品です(最近寒いけど)。

ちなみに昨年熱狂して旧譜ベスト1位にする程に推してたHanazawa EPの人なので、本当にこの人のファンなんだな、と思い知らされました。

20200323 SuiseiNoboAz~Real Estate

SuiseiNoboAzの新曲「3020」が公開されました。

彼らの今までの音楽活動で積み上げてきたもの全てが、重みになって降りかかってくるような楽曲。

3月9日にこの曲が投稿されてからこれを聞かなかった日は一日だってない。仕事終わりに帰りの車の中でこれを聞きほろりと涙を流すことが習慣化している。いつになったらこれを聞いて泣かずに済むんだろうかと毎度思うが当分は無理そうです。

「俺のこの音楽は千年は余裕で壊れない」と自信満々に歌う意思表示ともとれる開幕の歌詞を聞き、その一連の流れ、歌詞だけで俺がどうして今でも音楽が大好きか、音楽を聴いてるか全てが説明できてしまう。

同じ感動を分かち合える人達がツイッターや周辺にいて、これを聞き心が動いてる人々を見るのが嬉しくてしょうがなかったです。勿論、新しくボアズを知った方も多数・・・。そういう風景を築くことができて本当に良かったと心から思う。千年後もドブ臭い川縁でビールを飲もう。



少しTHA BLUE HERBを連想しますが、やはりマツリスタジオ出身だけあってオルタナティブなギターの音が左チャンネルから俺の心をなぞるのがとても気持ち良いですね。ザラつきのある美しさ。メンバーを変えながらアンサンブルもどんどん変化してた彼らですが、前作で見せた代表曲「liquid rainbow」以降の高野さんのギターのしっくり具合が完璧にハマった瞬間だと思いました。是非ライブで聞きたい。

 

そしてもう一つ・・・これは昔からとても好きな「じょしらく」というアニメと、Real Estateのマッシュアップなんですが、決しておふざけやではなくめちゃくちゃエモくて普通に泣けるのがすごい。ていうかじょしらくのこの曲って元の曲と雰囲気ガラリと変わるのにメロディーラインにかなりノスタルジー感じちゃうのすごいですね・・・。

今までマッシュアップと言えば完全にダンスミュージック仕様のリミックスとかそういうイメージだったので、こういうの全く知らず・・・そもそもマッシュアップをディグるという文化すらなかったんですよ。昨年、アニソン関連のDJの知り合いが増え、元々クラブにあまり行かなかったのですが意外とそういうDJの方でも自分のロック趣味とガッツリ合う方が多く、自分ももっともっと知らない世界で面白いものがあるのかもしれない、と発見がとても多かったです。

 

というか、こういうインディーロックにもオタク文化との融合が存在しているなんて・・・いや昔からあったんだろうけど、予想もしなかった面白いもの沢山教えてもらって衝撃の数々です。充実。

渋谷のクラブ~春木屋氏の芸能山城組 金田 GHOST IN THE SHELL

SMS見ててバンドマンや音楽やってるだとかよくライブに行くだとかそういう話だけで会社から厳しくされてるという方を何人か・・・コロナ以降どんどん世間がクソになってますがうちの会社のコロナへの意識の低さというか、この無関心さにブラックっぷりを実感しますが、趣味が趣味なので逆に今は助かりますね。


僕もライブが2本無くなってしまい希望休が完全にいらんものとなり気が滅入る・・・ライブに行くなとか無茶苦茶言われてるし、ツイッターでもよく見る満員電車やパチンコに対して何もない中でライブハウスが負の対象にされてしまってることに対して意外とキレている自分に驚いたりもしましたが、実害がないのでこの怒りって第三者視点からじゃ基本的に不快でしかないと思うのでここで終わりにしておきます。
そんな中渋谷のでけえクラブに行きました。こんなこと言うと見てるメディアが違う層の人やリアル知り合いからは白い目で見られるかもしれない・・・けど、こんな時期だからこそ無理してでもやってるイベントに行って踊らないと正気を保てないという気持ちも大分あります。

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現在住んでいるつくばのクラブによく行くのですが、そこのDJでお馴染みのaudiot909氏のContactデビューということで観に行きました。すごいな~。僕はそもそもクラブ文化にまだ不慣れなとこもあり、地方の小さいとこ以外のいざ東京のしっかりとしたとこに行くってのは初で。ラウンジ広すぎてびびったしメインルームみたいなところ全然光が無くてマジ闇・・・だったしその闇の中でこのキャパでこんな爆音出しちゃうんすか?てくらい気持ちよく脳みそガンガン響かせるハードミニマルハードテクノが流れていて最高にSFでした。自分がどんな動きをしてるのかわからんくらい軟体動物のような動きで体を本能に任せ踊ってきた。本当に最低限の照明のおかげで時たま目を瞑って音に身を浸していてもどっち側にいるかわからないような感覚になる。宇宙だった。テクノ聞いて宇宙にいた。

そしてaudiot909氏、アフロ寄りのハウスという最近の彼のトレンドなんですが攻殻機動隊GHOST IN THE SHELLのそれはそれはカオスでおぞましいミックスが流れてきてテンション爆上がり。後半もアフロなハウス聞いてたら突然AKIRAの代名詞でもある芸能山城組の「金田」のシーケンスがテクノなビートに混じってきて、いつの間にかラッセーラッセーコーラスが沸き起こり最高でした。と思っていたらそのままThe XXに自然に繋がっていったのだけど完全に優勝・・・。前日にxxのJamie xxが同じハコでDJしてたんですがそこ繋がりらしいです。正直なことを言うと半分金田半分xxの芸能山城組の民族風の太鼓のビートとテクノサウンドが融合して切り替わる寸前の混ぜ合わさった状態が一番かっこよかったし、これはDJでしか体験できないのでいいもん見れました。

次の日仕事なんで909氏の見終わったらそのまま帰宅。近くにパーキング予約して車で来てたんだけど(ちゃんとノンアルです)パーキングの車に入り込みカーナビ設定していただけで横にパトカー停められて荷物検査と身分証明させられたの普通にかなりビビりました。僕はこういうときに陽キャのフリするの結構得意なのでうまく世間話を混ぜつつ乗り切りました。以上でした。

後で知ったんだけどAKIRA芸能山城組攻殻機動隊もこれ同じ人の作品らしい・・・最高だったんで貼っときます。マジで激熱案件なので是非とも!

マルクマスが新譜出したので聞いてます

ペイヴメントで知られるマルクマスが新譜出したから聞いてるんだけどアコースティックアルバム出します!!!て言ってたので、色々想像しながら再生ボタンを押してみる。彼の根本にはカントリーがあるよって皆言ってるし確かに聞いてるとそんな気がするけど本人は「カントリーやりたくても僕にはできない」みたいな感じで独自のスタイルになっちゃうんでしょうね。というわけでStephen MalkmusのTraditional Techniquesです。

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それこそ2018年に出したソロバンドのJicksに入ってた「Middle America」とか聞くと60年台のフォークロックを吸収したUSインディーって感じですごい好きなんですよね・・・。いや僕も全然カントリー知らんのでなんとなくですが。てわけでそんなマルクマスが「アコースティックアルバム出します!!!」て言ったらそういうの出すと思ってたんですよ。ニールヤングみたいになるんかな~とか思ってたんだけど・・・

 

グランジ勢もそうだったけど、90年台オルタナローファイの人達の黒幕はニールヤングという説があり、実際本人も90年台に出していた最高のライブ盤「Weld」を聞くと同時期に近いモードだった気もするし、パールジャムと一緒にやったりしてて色んなとこで言われてますけどね。というか00年代以降のUSインディーの変化が全体的にそういうフォークロック~カントリーみたいな、アメリカのルーツロック化してて、USインディーって言葉の持つ意味自体がそっちに寄ってた気がします。例えば90年代だったらPavementは勿論、マージ勢やそれを率いるSuperchunk、KレコーズのModest MouseやBuilt To Spill等のグランジダイナソージュニア以降だとしますと、00年代はKings Of Leonとか、Wilcoとかの存在がデカそうですね。Silkwormとかはオルタナ色ガッツリ強かったのが90年代で、彼ら00年代入った途端にアメリカーナっぽくなってくのまさしくそれを象徴しているような。

話ぶれたけどマルクマスの新譜です。聞いてる。なんか唐突に60年台のサイケアルバムみたいになってて最高すぎてびびる。地味だけど。カンやヴェルヴェッツが大好きだったマルクマス少年のそういう欲が反映されたアルバムが今作なんだな・・・にしても1曲目からインド全開でたまらんのですよ。2曲目のXian Manて曲の後半のノイズ(?)はヴェルヴェッツのRun Run Runとかめちゃくちゃ思い出すしとにかく好きですね。お茶目だな~。

“Contemporary Tokyo Cruise”(Zepp Divercity Tokyo)

弟に誘われceroのライブに行ってきました。

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まずこの前発表されたまさかの新曲「Fdf」がこちらです。



これSNSで「デトロイトテクノやんけ」て言われてて嘘でしょ?ceroが?と思いながら聞いたらマジやんけ・・・とびびる。なにがって最近たまたまSpotifyyoutubeでその辺の音楽漁ってたんですよ。きっかけはマッドチェスターでハシエンダで流れてたアシッドハウスを漁ってくうちに大元のシカゴハウスのコンピレーションに行きつき、その周辺でハードミニマルとかデトロイトテクノ、ちょっと飛び火してドイツの電子音楽石野卓球(この後ZAZEN BOYSとの対バンの予定もあったので予習も兼ね)、みたいな感じで、コレ聞いてる!てよりは、曲名もアーティスト名もぼんやりした状態でプレイリスト的に流してた、て感じですね。時代というか文化に触れたかった。クラブ感覚で。

だからこそ、このタイミングでceroがソッチやり始めたことはかなりタイミングが良く嬉しかったですね、すんなり聞けるし。ひたすら繰り返されるホーンのリフレインは全くホーンらしくないフレーズで非常にエキセントリックな感じがまたceroだなぁ・・・と思いながらテンション上がってましたね。

ライブでやったんですよ。とりあえずホーンが4人登場してきて驚くしシーケンスも高木さん本人が叩いてるしこれ完全に人力でやるんですね・・・。「うちの荒内がドSなライン作っちゃってすいません」とホーン隊に言いつつ、彼らも「最初びっくりしたけどできませんって言うと悔しいから言えなかった。難しかったけど自分達じゃ絶対に思いつかないフレーズなので楽しい」と言っていてこういうジャンルの横断の仕方、マジで面白しそれをceroがやるのは今までの音源通りなので、生でその無茶っぷりを体現でき、かなり充実した時間を過ごせました。



そしてまたアレンジだらけでどんどん深化するceroよ。今めちゃくちゃスペーシーになっていてどんどん音が広がり小宇宙を作りだしてました。Waterとかめちゃ聞いたし昨年もライブで見たのに未だに今、曲のどの辺にいるのかさっぱりわからなくなるくらい変化し続けている。一番びっくりしたのはスカラベで、もう原曲とまるで違うイントロ。高速ファンクと言わんばかりのバキバキにリズムを刻みまくってて、それこそFdfと少し呼応するところもあったりして、踊りまくれと言わんばかりの新しいアンセムでした。そしてマイロストシティー、下手したら一番のアンセムこれかもと思える程に各パートの応酬といいますか、ドラムまず化け物だしキメを多用したバンドアンサンブルはもう原曲聞けないってくらい中毒性があり、音源化を切に願いますね。

スカートの澤部さんが同ライブ後のツイッターにて「もしリアルタイムでフィッシュマンズの躍進を見たらこんな感じだったのかなぁ」と言ってましたが、今それを見れる俺って幸せだな・・・となりました。自分がロックにハマるきっかけになった90年台、探究心が強く常に新しいことをチャレンジし、レジェンドになった数々のバンドを生で見ることはできなかったけど、でも今ceroがいるんだよな。Obscure Ride~Poly Life Multi Soul、そして今回のFbfの予想外なアプローチ、渋谷系リバイバルだとかネオシティポップともてはやされた彼らが、大陸を横断しネオソウル~はっぴいえんどの融合、ポストパンクのエッセンスからトーキングヘッズ~アフロビートに接近しポリリズム、で今まさかのテクノ化、それをライブで丸ごと再現しつつ、また新しいことをチャンレジし続けている。これをリアルタイムで追いながら新曲をいち早くサブスクでチェックできるんだから、かなりの幸せもんなわけですよ。10年台末~20年台は楽しかったよといつか自慢したいね。そういう気持ちになったライブでした。