朱莉TeenageRiot

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deathcrash - Return(2022)

Return(2022) - Album by deathcrash 

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めちゃよかった・・・。新譜聞いてここまでハマることってあまり無かったと自分でも思うくらい最近のめりこんでしまってるんで書きます。

daathcrashは元々サウスロンドンシーン内から出てきたバンドのようですが、ポストパンクと括られがちのあの辺の音と並べて聞ける感じではあまり無くインディーロック~フォークロックとして聞けるバンドです。ただ先日新譜も出たシーンを代表するバンドでもあるBlack Country,New Road(以下BCNR)と関わりが深いようで、deathcrashから音楽性に影響を受けたってバンド側から公言してるらしいですね。でそれも一瞬で納得した前作EPのPeople thought my windows were stars(2020)はサウスロンドンとかポストパンクとかそういう言葉をほとんど思い出すことなく聞けて、というかもろ90sのスロウコア名盤を思い出し、MogwaiのCome On Die Youngのオマージュかと思った1曲目からBCNRのSlint化ってもしかしてMogwai経由だったのか?とdeathcrashを聞いて繋げたくなるような感じでした。

 

で今作、近年BCNRもblack midiもどんどん聞いたことない新しい音へとスケール感広げてってる印象なんですが、deathcrashはそっから90年代を更に逆行してアンダーグラウンドへ向かってどんどん純化していくような、スカスカの生音嗜好も増しノイズ要素も激増。CodeineのサウンドでBluetile LoungeやDusterをやった感じで、硬質な音からスタートし徐々に暖めていく中で時折ギターをバーストさせていく展開はエモやポストロックとも通じると思います。

とにかく再生して1曲目「Sundown」はこの寒い季節にしみじみと染みこんでくる名曲。イントロの静寂からそっと楽器の音が入ってくるような密室を意識させるサウンドスケープ、楽器の質感を楽しむような再生して数秒のこの"間"だけでぐっと引き込まれるこの感じは間違いなくスロウコア。Bleutile Loungeの名盤「Lowercase」を思い出す入りで、フレーズそのものよりも一音一音の隙間に浸る・・・まさしく"空間で聞く"という感覚なんですけども。これが、この時点でめちゃくちゃ体に入ってきます。

そっからはもうスカスカでゆったりとした音像の中淡々としたドラムの音響自体を楽しむという己を見つめ直すような極上な静謐パート。ハードコア以降のバンドが持つ硬質で冷たいサウンドを持ちつつ、Dusterと言った暖かみのあるインディーライクなメロディーも同居していてここにかなり現代ならではのハイブリッドさを感じます。そしてここから轟音パートに入っていくんですがMogwaiとかの爆音とは違って個人的にはSonic YouthのThe Diamond Seaを連想するような、あの曲での実験的ノイズパートを引き裂く抒情的なギター音と近い感じで、その後また静寂に戻りテンポを上げながらアウトロへと向かってく三部構成は素朴ながらドラマティック。ハイハットを刻みながら再び轟音をかき鳴らすアウトロへの流れは今まで内向きに渦巻いていたエネルギーが外に向かっていくような、立ち上がって外に歩き出すようなカタルシスがあり涙なしには聞けませんでした。

あとは以外とアコースティックっぽいしっとりした曲も多くてこの辺はアメリカーナ側からも聴けそうだし今The New Year聞いてたんだっけ?と勘違いしそうになる瞬間も多々あり。「Unwind」は最早deathcrash流の遅くて枯れたエモとも言える曲でこちらも名曲。「Was Living」ではリフが映える爆音で入りながら逆にその後長いスロウコアパートに淡々と潜ってくというのも新鮮。ラストの「Doomcrash」はリードシングルだけあってSundownに続くドラマティックなスロウコア名曲にして終着点。

こういう音楽は余裕がないときか、全てを諦めたときに聞きたくなるような、そんなときにそっと寄り添ってくれるような本当に居心地のいい音の隙間なんですよね。昨今の話題になっている新譜とか年間ベスト見て好きそうになったやつを掘っていて、気に入ったアルバムは多くとも本当にビビッとくるもの滅多に無く、単純に自分の感性が衰えてきただけだと思ってたんですが、こういう音楽に出会うとそんな気持ちも全部吹っ飛ばしてくれたし、来日したら絶対ライブ行きたいとか、まだ自分の中にここまで新譜に熱狂するような熱が残っていたんだなという気持ちにすらなりました。

最後に参考記事として最初に触れたサウスロンドンシーン内でのdeathcrashについて触れた記事を貼って終わりです。めっちゃ参考になったし人脈が続いてシーンが活性化していく感じが伝わってかなり面白かった。あとdeathcrashのメンバーが参加しているFamousもまるで違うポストパンクだけど良かった。

 


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以前作ったプレイリストですが、結構近いフィーリングあるので今作が気に入った方は是非とも。