朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

discography⑥

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雑他に8枚。基本的にポストハードコア~エモ~ポストロックでしょうか。やっぱルイビルシーン周辺とかそれ以降って感じの音が好きですね。


 

Reiziger - Our Kobo(1998)

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Slint直系のルイビルのポストハードコアバンド達がもしそのままポストロックへと深化せずエモに向かったら・・・というイフが本当になってしまったようなバンドでその結果The Van Peltとかにも接近してる気がします。というわけでSlintのGood Morning,Captainとかの隙間のある硬質なギターリフとリズム隊のループ感でスロウコア~ポストハードコア~ポストロックまで想起する音の上、まさかのエモ直系の熱くメロディアスなボーカルが乗るというありそうであんまり似たバンド思いつかないし、元々SlintやRodanの名曲群はどれもこれもエモのクリーンパート→爆発と言った展開と近いとは思ってたんですが、実際にボーカルまでエモにしてしまうとここまでピッタリとハマるのかというくらい完璧です。めちゃくちゃいいですね。スロウコア+エモという意味ではKarateとかとも近いかも。

「Aspro 10 000」という曲ではミニマルに音紡いでスロウペースでじわじわくるの完全にルイビル直系だなとなるんですが、やはり曲展開の中で徐々に形を変えて新しい展開がやってくる中でエモ全開なボーカリゼーションにより非常にドラマティックな印象に変えてしまう。名曲です。Crainとかをめっちゃマイルドにした感じ。

 

 Shannon Wright - Dyed in the Wool(2001)

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アメリカのSSWであるShannon Wrightの3rd。再生して1音目の「Less Than a Morment」から張り詰めた緊張感が凄まじくアルビニ録音全開の衝撃のイントロ。ポストハードコアを通過してそうな硬質で冷たい質感のギターによる音の壁はもうこの手の音楽好きな人を一発でわし掴みにしてくであろうこと間違いないです。箱庭的録音の立体的ドラムがズンズン迫ってくる感じも凄まじいし、切迫した彼女のボーカルはやはりSSW的というか、もっとパーソナルなフォークロックとかにも通じる力強さがあって、スロウコアも想起する悲壮感はShipping NewsとLowを足して割ったような聞き方もできると思います。

アルビニ録音を追っていたら見つけたアーティストでかなりルイビルっぽいというかShipping New後期を思い出す感じでしたが、ハードコア出身では無さそうだし・・・ととりあえずバックグラウンド漁っていたらQuarterstick Recordsから出してるんですよね。ここTouch and Go傘下でRodan~June of 44~Shipping Newsはお馴染みでジェフ・ミューラー関連ほぼカバー、同じくRodanメンバーであるSSWのTara Jane O'neilや彼女のバンドであるSonora Pine、そしてRachel’sも全部このレーベル。というか今作Rachel’sとShipping Newsがレコーディングに参加しているらしく、普通にもうRodan関連作として聞けますね。

 

Shannon Wright - Over the Sun(2004)

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次作である4thでこちらも名盤。というかもうスティーヴ・アルビニ作品でも正直トップクラスに来るんじゃないかと言いたくなるくらい好きなアルバムです。前作「Dyed in th Wool」はもうShellacとか言いたくなっちゃうくらいドラムがガンガン前に出てきて存在感を発揮していたのも非常にアルビニ的でしたが、今作ドラムス変わったのもありよりリズムへのアプローチが強まった感じがして全体的に音の分離が非常にいいです。バンドの音全てが立体的なアルビニ録音の妙を楽しむといった感じで、これは今作ドラムス以外全てShannon Wright本人が一人で演奏しているというのもあるかもしれません。完全セルフプロデュースで音像を求め続けた結果というか、張り詰めた緊張感や鬼気迫るボーカルはそのまま全く違うバンドとしても聞けるというか。オルガンがメインの美しい曲もありますが個人的にB面から見せるマスロック・・・とまでは言わず歪んだギターによる捻じれたギターリフのループ感とドラムとの掛け合いと言ったポストハードコア的アンサンブルがめちゃくちゃ好きです。

結構PJ hervyと比較されることが多いイメージで言われてみればアルビニ録音だし悲壮感強いボーカルとか殺伐さとか確かに・・・となりますがその内面というか、ルーツ的には全く違うアーティストだと思います。とは言いつつ確かにPJ hervy好きな人はしっくり来そうではあるんですけどね。

 

The Mercury Program - The Mercury Program(1999)

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ポストロック大御所。ポストロック名盤選みたいのでよく見るバンドだし昨年やってたオールタイムベスト投票でもかなり上位にあった3rdは有名ですが、1stの頃は後期の美しいインストバンドのイメージとは大きくかけ離れた音数の少ない冷やかなポストハードコアバンドをやっていて、ここがピンポイントでめちゃくちゃ好きなんですよね。てことで1st、この頃はJune of 44とかShipping Newsと言ったジェフ・ミューラー関連のルイビルのバンド達のもろフォロワーって感じで、インストの印象強いですがこの頃は普通にボーカルも入ってます。でその辺と比べてもミニマルで骨組みのみの隙間の多いセッションとループはジャズを感じるとこもあるし、その中で誇張しすぎない程度に浮遊感のあるビブラフォンが乗るというサウンドで、ボーカルもルイビル直系らしくポエトリーディング~歌の中間とも言え非常に抒情的でギターの音は間違いなくハードコア通過後の冷やかさ。めちゃ良いですね。ポストハードコアにもマスロックにもポストロックにもどれにも"ギリギリならない"といった塩梅のアルバム。

 

The Mercury Program - From the Vapor of Gasoline(2000)

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彼らの代表作にしてポストロック史に残る名盤「A Date Learn the Language」を目前にした2ndですが全く違うし、僕はこの頃のアルバムが好きすぎて逆に世間一般的イメージの彼らはまた別の新しいバンドを聴くような印象になってしまう。そんな作品で1stの延長ですがもう少し音分厚く・・・というか大分ノイジーになっていて、もう完全にSlintフォロワーが行くとこまで行って完全なオリジナリティを確立させたポストハードコア名盤です。そしてこんだけボーカルがハマってるのにバッサリと次作からインスト化するの多少残念と言いたくなるほどで、歌がめちゃいいです、ジェフ・ミューラーが抒情的な歌ものやってるときを思い出すようなふわっと出てふわっと消えるような歌心溢れる囁きを「時々載せるだけ」なボーカル。一番好きなやつですね。あと前作以上にハードなおかげでビブラフォンの音が更に際立っててこんだけ硬質で緊張感溢れるサウンドの中でも浮遊感が絶妙です。

SlintやJune of 44と比べると全体に渡ってセッションっぽさがあってテンポも速いのでスロウコア感を抜いた感じでしょうか。ドラム主体で所々サウンドの材料はJune of 44的ですが組み立て方はもっとジャム感があるので、これをもっとスッキリして美的アンサンブルに寄せて名盤3rdになってくってのも納得。それ以降はそのままtoeとかEnemiesにも繋がれる感じですね。

 

 

Matmos - Matmos(1997)

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メンバーであるM.C.シュミットがサンプリングした音をドリュー・ダニエルが編集し繋げると言ったIDMユニットMatmosの1st。Warp勢と比べるとリズムへのアプローチってよりはサンプルをどう混ぜてどれだけ気持ちの良い音色でビートを作るかとかそういう方面で聞くようなイメージで、サンプル元もフィールドレコーディングや身の回りのものを叩いた音とかが多いらしく生音感強くかなりごちゃっとしてます。これを素材としてスッキリしたリズムが組まれていて混沌としているのにどこか聞きやすいです。

今ではIDMシーンの大御所でビョークとの共演で有名になったんでそっち方面の印象が強い人が多いと思いますが、元々メンバーのドリュー・ダニエルはMatmos結成前はCrainというハードコアバンドで活動していて、これがSlintやBastroと並ぶルイビルポストハードコアシーンの原初とも言えるバンドなんですよね。ということであのシーンのその後って見方ができるんですが、そうするとSlintはThe For Carnation、BastroはTortoiseGastr Del Sol、とそれぞれ音響へと向かいポストロック化するのでその辺と並べて聞けるアルバムだと思います。ポストロックという言葉自体が曖昧で音楽的一致感もそんなにないし、ルイビルのハードコアバンド達がその後実験的な方向へ進んでいったという目線ではJune of 44の「Anahata」やTortoiseの「TNT」はどちらもバンド演奏を素材として切り貼りして作ってるという、やってること自体も近いんですよね。というより2020年に出たJune of 44最新作ではMatmosはリミックスで1曲参加しているのがもう答えだと思うし、そこではJune of 44のセッションを素材にしたかなりカオスなリミックスをやっててめちゃくちゃMatmos的、20年越しの夢のコラボレーションが聴けます。

 

Roadside Monument - Eight Hours Away From Being A Man(1997)

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大好きなポストハードコアバンド。ジャケもめちゃくちゃかっこいいですね。内容も間違いないんですがいきなり開幕カオティックで激情たっぷりな爆裂ハードコア「Sperm Ridden Burden」から開始するので、ジャケの感じとかボーカルもエモ直系にもいきそうな熱さでそういう感じか・・・と聞いてると、それは本当に一面だけでしかなく(というか一曲目のインパクト強すぎなだけで実際激しい曲のが少ないです)時折スロウコアとも言える程の静寂を見せる瞬間があるんですよ。かと言って静寂と激動を行き来する極端ではなく一定のテンションの中で素直にコロコロと表情が変わってく感じで、スクリーモ寄りの場面でLovitt Recordを連想したりスロウコア経由でSlintやJune of 44辺りと接続・・・できそうでできない感じとか、カンザスのエモがチラつく感じとか、あくまで言われればわかるかも程度を維持してるというか、その状態で素直にポストハードコアやってる感じがあります。あと全体的に枯れた質感もまた独自の雰囲気であんまり結び付けづらいし、乾いたMineralとして聞くのがしっくりくるかもしれない。

 

Roadside Monument - I Am The Day Of Current Taste(1998)

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3rdで最終作ですがもうエモの領域にまで来ていて、個人的には前作のどこにも定着せずといった良い感じの折衷具合が好きだったので少し寂しいですが、これはこれで轟音バンドサウンドのままどんどん展開していくところはマスロックを感じつつそこまでは行かない感じでJ・ロビンスとかあの辺をイメージして聞くとめちゃくちゃかっこいです。とか言ってdiscogs見に行ったら本当にJ・ロビンスプロデュースでちょっと自分でも笑ってしまったんですが、まさにその系譜でJawboxを更にハードにしたような、Arcwelderを轟音寄りにしたような感じ。ちなみに解散後メンバーはまた全く違う方向性のUnwed Sailorというバンドになりインストポストロックの大御所へとなってくんですが、こちらでは結構スロウコア感が強くてそこがまた前作「Eight Hours Away From Being A Man」の乾いたスロウコア感と通じてくるところがあったりもします。

 

 


 

 


結局また近いシーンについてバラバラに書いてしまったんで近いうちどっかまとめます。連想ゲーム的にネタ探してるとつい同系列になってしまうというか、今回もSlint以降、とほぼ同じ枠ですね。