朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

karate Japan Tour 2025

Karate来日ありがとう。行ってきました。

Karateは1993年にボストンで結成されたバンドで、ジャンルが定まってなかったからこそ全員が全員自分にしかないサウンドを奏でていたエモ~ポストロック黎明期とも言えるあの時代、自分が一番好きな時期に活動していたレジェンドとも言えるアーティストです。2004年に一度来日、その後2007年に最後のアルバムを残し解散。ずっと廃盤で音源自体が入手困難だったのが2021年から徐々にNumero Groupによって再発が始まり、2022年には再結成。昨年10月には新しいアルバムも出しています。

朱莉TeenageRiotでは直接アルバムを取り上げたことはないけど、自分はSouthern Recordsにハマったときにその流れで一度聞いていて、昨年リリースしたZINEでは以前ブログで取り上げたこともあるRexや90 Day Menと共に「Souther Records特集」と題してKarateについて書いていたりもします。1stはエモの色も強いスロウコア~ポストハードコアで、Codeineを思い出しつつも決定的に違うのはそこにメロディアスでエモライクな歌が乗るという部分で、更にアルバムを経るにつれてジャズの色が強まっていく。ポストロック以前のスロウコアが持つ、音数の少なさ由来の生々しさをジャズに繋げていくような音楽性で、未だにKarateに似ていると言いたくなる音楽はあまり思いつきません。

ライブ。本当に凄まじかった。同じフレーズの中でもちょっとしたニュアンスや空気感で全てを語るような、様々な感情が内包された呼吸みたいな掛け合いはスリーピースバンドってここまでこれるのかみたいなことを思ってしまった。一つのパートが曲を牽引するのではなく、揺らぎはあるのに完璧に調和されていて3人の音が自動に連動しあってるかのようなアンサンブルはまさに生き物。メンバー3人それぞれのプレイがずっと見どころなので、常時誰に目を向けてればいいのかわからないくらい全員に強烈に惹かれた。そしてさりげない歌メロがとても美しいこと、ギターはずっと歌に寄り添っている感じもグッとくる。素材みたいにそぎ落とされたシンプルなギターの音と、少ない手数ながらずっと展開していく表情豊かなリズム隊の絡み合いは極上。電化前のジャズが重視していた、メンバーの音によるコミュニケーションを丸ごと保存したみたいな生でしか伝わらない"演奏を見る楽しさ"がたくさんあって、音源から想像してたものとは違ったものを受け取れた気がする。

セトリ貼っておきます。思ったより初期寄り+新譜といったセトリで、あとは4thであるUnsolvedの曲が多くポストハードコアとジャズの折衷(まだどちらかというとポストハードコア寄りの頃)な感じ。個人的には2ndのIn Place of Real Insightが最も好きで、静寂という一点でジャズとスロウコアを結び付けてる感覚が強く、後半2曲続けて演奏してくれたのがとても嬉しい(余談ですが5thであるSome Bootsも大好きで、今回1曲もやらなかったのが少し残念)。Karate、これまでの音源をキャリア通して聞くとエモ/スロウコアからジャズへな印象だったけど、今回初期の曲を聞いても音源から受けた〇〇(特定のジャンル)っぽさはまるで感じられず、ジャズに影響を受けたとかそんなレベルじゃないくらい肉体そのものになっているような気さえした。あとGasoline、ピタッとキメが入ったあとリズム隊とボーカルが同時に入るとこの緊張感がすごくてこれもめちゃくちゃ痺れた。アンコール後ラストにやったThis Day Next Yearも静寂の中執拗に同じギターリフを弾き続けるシーンは本当にとてつもなくせつなくて、同じリフを何十回も繰り返すのだけど、その一つ一つに違う揺らぎがあって、生演奏であること、全部が違うことがしっかりと伝わってくる。繰り返せば繰り返すほど積み重なっていく情感があって、聴いていてもうやめてくれと言いたくなるくらい、涙が止まらなかった。

同日対バンしたuri gagarnの呟きを引用させていただきますが、同曲の海外のテイクはこのリフが入ってくる瞬間に歓声が沸いていて、じんわりと聞き入るように静寂が染み渡った日本の公演とは客層や会場の雰囲気の違いが伝わってきてそれもとてもグッときました。

自分が行った日は17日で対バンはuri gagarnとtree。uri gagarnは言わずもがなで各種アルバム感想、ライブについては昨年Codeine来日時に同記事でガッツリ書いてます。Karateもuri gagarnもギタリストの足元がかなりスカスカという演奏そのものがダイレクトに出力されるバンドといった点で共通点があり、同じ日に見れることに大きな意味を感じます。treeは実は自分が初めてハマったスロウコアで、今では私的スロウコアガイドといった一つに個人的な記録を作るくらいにはその音楽を聴くことになった自分が、treeをきっかけに辿り始めたという日記をこのブログでも書いていて、まさかの今回Karate来日に合わせて再結成。一周してここに戻ってきたというか、この3バンドを一度に見れる機会を作ってくれたことに、本当に感謝しています。

他の日も素晴らしくて東京公演だと20日Discharming ManとClime the Mindという対バンまで遠征のすごすぎる面子だし、最終日に関してはCodeineのドラマーでありSSWでもあるChris Brokawが参加してて普通にダブル来日公演なのすごすぎる。June of 44やCodeineの来日においても企画してくださったimakin氏が今回も主催していて本当に毎度のことありがとうございます。June of 44と同じくKarateも普通に働いているらしく、それどころか3人全員が離れた都市に住んでいるらしく、90年代に決して大きな規模でヒットしたわけではなくとも、確実にいくつかのシーンに大きな影響を与え、種を撒いたレジェンド達が自分の生活をしながらも再結成して、来日してくれたという事実だけでとても泣ける。何度も言いますが本当に見れて良かったです。