朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

小雨ちゃん - CURE(2024)/Wraiths(2024)

昨年デジタルにてリリースされた小雨ちゃんのCure及びWraithsの2枚がGerpfast Recordによってカセットがリリースされることになり、今回bandcampページに記載される紹介文を自分が書かせていただきました。大変ありがたい・・・。

Wraithsについては先日書いた2024年の年間ベスト記事についても触れているので、どういったアルバムかわかるかと思うので転載します。

小雨ちゃん - Wraiths(2024)

小雨ちゃん。昨年3月にリリースされていたCUREという最初のEPはART-SCHOOL的なソングライティング、ザラついたバンドサウンド、反復のギターリフ、バンドではなくソロの宅録であることを生かしたエレクトロニカなシーケンス、どれもこれも絶妙なラインが共存していて、密室に好きなもの散りばめてDAWという小さな箱に詰め込んだような作品でした(知った直後にART-SCHOOLの1stがサブスク解禁されたのもとても象徴的だった)。そこから一年足らずでリリースされた作品がこちらのWraiths、7曲30分とコンパクトですが1曲1曲に詰め込まれた重みがすごくてズドンと腹に来る強烈な作品。まずM1の軽蔑のどデカい低音からやられるし、M2のインセンスは宅録による打ち込みバンド感と仄かなエレクトロニカが高密度で溶け合った名曲。前作CUREの延長ではあるけど、ズブズブと深いとこに引きずり込んでくるノイズと低音を響かせるノイジーなベース、浮遊感のあるギターワークと電子音、甘美なメロディ、そして言葉が重い。全体的にエレクトロニクスの比重がグンと上がっているけど、DTM的な反復の美学を入念に突き詰めていった結果の、フレーズが重なり合っていく面白さが詰まっていて、何より暗く塞ぎ込んだような作風と宅録というスタイルの必然性が美しいとすら思う。先行シングルだったM5のひとりから名曲すぎてビビりました。WraithsはリリースがThe Cure新譜とかなり近くて、The Cureの新譜もマシンビートな曲があったりしてまたしても重ねて聞いてしまった。アーティスト名通り雨の日にピッタリな、どうしようもなく指先が冷たくなってしまう冬に一人で聞きたくなる作品。

文句無しの名盤です。まだ聞いてない方は是非!

bandcampの文章の方はお話をいただいたタイミング的にまだWraithsがリリースされて日が浅い頃で、最初受けた自分の印象が前面に出ているのと、bandcamp記載ということで幅広く導線を張れるようなものがいいかなという意識が結構見て取れる気がします。ベストの際に書いたものは結構日が空いたのもあるし、以前書いたものは一回完全に頭から抜け落ちたフラットな状態で書いたものでもあって、記載されるサイトが違うってのと、そのときの自分のモードというか、視点の違いも見えて結構面白いかなと。CUREとセットっていう意識もありました。

 

小雨ちゃん - CURE(2024)

CUREについては以前のブログ記事ではWraithsの感想の中でどういったアルバムか簡単に書いてますが、ファーストコンタクトはこちらでめちゃくちゃ聞きました。Wraithsと比べると打ち込みよりもシンプルなバンドっぽさが前に出たギターメインの宅録作品って感じで、この音数の少なさ故に各々のフレーズやメロディの良さが浮き彫りになっているような気がする(むしろCUREを繰り返し聞いていたからこそ、音のレイヤーがより重なっているWraithsを聞いても一貫性を感じられた気がする)。とくにM2の分裂はギターリフといいザラザラに歪んだギターの音色のど真ん中にぶっとい針金を一本通したかのような地を引きずるようなベースラインが超絶かっこよくて初めて聞いたとき衝撃を受けました。ギターリフも歌メロも最低限というか詰め込みすぎないで反復によって強調するのが内側にどんどん密閉していくようなDAWらしい曲の雰囲気ともマッチしてると思うし、わかりやすく巨大なギターリフをフックにしているM5のさるすべりとかも好き。ラストのunbearable illnessは雨が一粒一粒滴るようなこの中ではエレクトロニクスの比重が大きい曲でWraithsへと通じてくるかと。ART-SCHOOLならSONIC DEAD KIDSを思い出すような、最小限だからこそ鋭利で美しいEPだと思う。

 

またカセットだけでなく、CURA、WraithsどちらもAmemoyoからは新しくCDでリリースされたみたいです。めでたい!