The Smasing Pumpkinsは1988年にフロントマンであるビリー・コーガンとギタリストのジェームス・イハを中心に結成、1991年に1stアルバムのGishをリリース。その後Siamese DreamやMellon Collie and the Infinite Sadness(メロンコリーそして終わりのない悲しみ)とヒット作を飛ばし今ではオルタナティヴ・ロックのレジェンドとしての地位を確固たるものにしているバンドです。自分が多感なときに聞いた国内のバンドのルーツとして繋がる部分も多いアーティストで、自分自身音楽観に大きく影響を受けました。彼らのディスコグラフィの中でもとくに好きなオルタナ/グランジと語られていた時期及び当時の関連アーティストやシーンについての個人的な雑記/備忘録です。
初公開 2021-4-10 (Smashing Pumkinsとグランジとオルタナティヴ)
大幅追記+改修 題を記録シリーズ:Smashing Pumpkinsに変更 2025-5-15

1991年にCaroline Recordsよりリリースされた1st。プロデューサーはNevermindでも知られるブッチ・ヴィグ。91年というのも重要でグランジ・ムーヴメントの始まりの年でもありNirvanaのNevermind、Peal JamのTen、SoundgardenのBadmotorfinger、これら全てが91年リリースで、30周年で組まれたギターマガジンの90sオルタナ特集(ギター・マガジン 2021年4月号|MAGAZINES|リットーミュージック)では上記で挙げたシアトル発のバンドと並んでSmashing PumpkinsのGish、Dinosaur Jr.のGreen Mindが挙げられていた。今ではオルタナ/グランジ元年の象徴として上記のバンドと並べて語れることも多いけど、こちらはポストパンク/ニューウェーブ及びゴスの影響が大きくシューゲイザーと直接的なリンクがあったり、後にゴシックなメイクや衣装でライブをするようになるのも象徴的で独自の色が強いバンドだと思う。そしてそれこそが自分が惹かれた要素でもあり、オルタナティヴ・ロック≠グランジを表していること、グランジもシューゲイザーもエモも全てまとめて「オルタナ」と定義してメロディアスな歌を載せた00s以降の日本のバンドシーンのルーツとして、大きく通じていく価値観のきっかけとなるバンドだった。
Smasping Pumpkinsといえばやはり2nd~3rdのイメージの通りセールス的にはインディーシーンで好評を得たという範囲だった模様。1stリリース以前の80年代はThe Cure風ポストパンクを演奏していたことを考えると、Gishの時点でかなり飛躍していて、M1のI Am OneやM2のSivaのようにリフの反復を主体とし、ドラムのジミー・チェンバレンによる手数が多く滑らかなプレイ+ギターリフと並走するベースラインが曲の軸になっていてLed Zeppelinを思い出す。プログレッシブな展開も多くビリー・コーガンが幾度なくリスペクトを語るRushもチラつくけど、そういったハードロックが持っていたブルージーな土臭さはニューウェーブ/ゴス的な空気で中和されていて、このHR/HM由来のリフとUKオルタナの透明感の共存というのはすごく今のオルタナティヴ・ロック像の原初的なものだと思う。Sivaで見せる一度静パートに潜ってからのバースト部分も2nd以降のぶちギレ具合を知ってると平熱感を保ちながらスマートにギターソロまで流れ込む低空飛行感が良い。RhinocerosやCrush、Sufferといった曲はスローペースでじわじわと来る透明感のあるサイケデリックナンバー、2nd以降だとこの路線は轟音が挿入されることが多いので新鮮、それ故に直球で60sのアートロックやプログレ前夜のサイケも連想。Sub PopからシングルがリリースされたM9のTristessaは、レーベル的にシアトル発のグランジと関連性も見えてきそうなザクザクとしたリフもの。M7のSnailはゆったりと轟音を聞かせる割にギターリフへと帰結してくのは2ndの萌芽が見え、個人的に好きな曲でもある。
1988年当時のライブの様子で、かつてBauhausフォロワーなバンドを組んでいたビリー・コーガンがレコードショップでジェームス・イハと出会い合流、ドラムマシンを入れて作曲していたらしい。このライブ映像はジミー・チェンバレンとダーシー・レッキーが加入しようやく90sのラインナップが揃った頃で、加入したてということで雰囲気が全然違い、それこそビリー・コーガンがルーツとして度々上げるThe Cure(後にソロでロバート・スミスと共作もしている)、同時代のSad Lovers and GiantsといったネオサイケやSiouxsie And The Bansheesのようなゴス系も重なり、それでも現在の作風に通じるキャッチーなメロディは彼独特のメロウさや枯れが既に出ている。このライブ映像好きすぎて本当にいつ見ても泣ける。まとまった音源がリリースされてないのが残念だけど、この頃のライブ映像はPisces Iscariotのデラックスエディションに収録。
The Cureだけでなく元々ビリー・コーガンはNew Orderの大ファンで、メンバーから認知されるほど熱心にライブに通っていたらしく(実際2001年のGet Readyというアルバムにビリー・コーガンが参加)、80sのゴスにリアタイでどっぷり浸かっていた。同時にBlack Sabbathから多大な影響を受けたことやMetallicaの大ファンだったことを度々語っているギターキッズでもあり、こういったゴス要素とHR/HMが自然と溶け合った音楽性はルーツがそのまんま融和し表出、おそらくパワードラマー気質なジミー・チェンバレンが加入したことで初期の作風からハードな1st~2ndへと自然に引っ張られていったか、もしくはその路線へと振り切るきっかけになったような気もする(チェンバレン自体もRushの大ファンでビリー・コーガンと二人でRushのドキュメンタリーに出演している)。Metallicaに関してはメタル側ではあるんだけど、グランジシーンが対立していたヘアメタルに対して同じく嫌悪感を示していたり、以前から作詞面でジェネレーションXとの共鳴を指摘されていたし、Metallica自身が90sにBlack Albumで直接的にグランジに接近したりもしている。またビリー・コーガンはRushやPink Froydも毎度ベストに挙げるところから、幻想的でプログレッシブな曲展開、初期Black Sabbathに通じるロマンティシズムが自然と織り込まれているように思う。
93年の名盤Siamese Dream、レーベルはCarolineの大元Virgin Recordsへ。前作のGishが思ったより売れなかったこと、同年に出たNirvanaのNevermindが大ヒットしたこと、同シーンに括られてしまったが故にメンバー全員が精神的にギリギリな状態で作られたアルバムだけど、そういった逆境を跳ね返し大きなセールスを記録した名盤。ジャケが良すぎる。前作に引き続きブッチ・ヴィグとビリー・コーガンの共同プロデュース。
代表曲であるM3のTodayとそこから続くHummerやRocketはメロディが映えるゆったりとした轟音ナンバー、ヘヴィなギターサウンドで美しい巨大な世界を見せるスマパン節が完全に開花した作品。とくにこの路線の極致とも言えるM7のMayonaiseは轟音オルタナの大名曲で(しかも作曲はジェームス・イハ)、JejuneやSensefieldといったエモシーンへの影響も大きくHumを代表とするエモグランジ/ヘヴィシューゲイズ方面にも通じていく。重厚でギラギラとしたギターサウンドはなんと30本以上重ねて作られた特大ウォールオブサウンドで、当時My Bloody Valentineの影響を語っていて実際アラン・モウルダーにミックスを依頼、シューゲイザー自体がネオサイケの派生ジャンルのような趣があるので合流してくるのは彼のルーツを考えると(それこそ上記の1st前のネオサイケ期と繋がる)ごく自然な流れかと。とくに89年リリースのThe Cureのdisintegrationはネオサイケとシューゲイズの中継点になりそうな作品で、スマパンと似てるというわけではないけれど、アメリカでヒットしたのもあり同時代性が強く近いものを感じれるはず。とは言いつつ空間的なシューゲイズ・サウンドとは完全に逸脱したスマパンによる"硬い轟音"は物理的に押しつぶしてくるソリッドさがあるし、なんだかんだギターリフに帰結するのはBlack Sabbathの血を感じてたまらない。あとは94年にMedicineというアメリカのバンドをビリー・コーガンがプロデュースしていて、しかもドラムにジミー・チェンバレンが参加。このMedicineが荒々しいノイズを起点に甘いメロディを載せるシューゲイザーをやっていたのも見逃せない。
M2のQuietやM8のGeek U.S.A.、M11のSilverfuckは荒々しいラウド路線、前作のSivaの系譜ではあるけど鋭利なリフの反復はより低音の効いたヘヴィなものへ、ジミー・チェンバレンのドラムの加速度+バースト時の爆発は過剰と言えるほどパワフルになり本当にぶち上がってしまう。前のめりにガンガン加速する異常な手数の中でピンポイントに重心のツボを打ち抜くキックの正確さはまさに圧巻、この時期のスマパンに関しては彼のドラムを聞くために流す瞬間も多いし、Siamese期のライブ映像はどれを見ても凄まじい。とくにM2のQuietは低音が効いた、地を引きずり回すザラついた反復→後半バーストしてギターソロ及び咆哮に至るまでのドラマティックな流れは過激なのに美しさすらあり、こういった曲とTodayのような曲がしっかり地続きで自然に聴かせるのが本当にすごいアルバムだなと。あとM6のDisarmはアコースティック+ストリングス全開な後のTonightの伏線。M13のLunaはまだ次作ほどカラフルなアレンジではないが故に素朴でくたびれた完璧な最終曲で、Quietとは対極にビリー・コーガンの良さが出たスマパン随一に美しい曲かと。

Siameseの流れで翌年リリースされた当時のB面集。今作は1stと2ndの中間とも言える作風でサイケ期と重厚なオルタナが共存、2ndのラウドナンバーほどぶちギレてはいないけど、1stの代表曲Sivaから続く今の作風の原型ができあがる過程を見ることができ、B面集とは思えないほど統一感があるのもすごい。M1のSootheはメロディだけで涙が出てくるアコースティック路線。個人的にM7のHallo Kitty Kattがとても好きで、再生数秒でSmashing Pumpkinsだと気づける圧倒的記名性のあるギターの渦とチェンバレン節が炸裂、轟音を垂れ流しっぱにアップテンポにドライブしてくドラムの中毒性がかなりある。曲の熱さに対してメロディが低空飛行なのは1stと地続きな感じもあってこのクールさが良い。2020年に出たNarrow HeadというバンドのアルバムではHum/Deftonesの血を感じつつ、もろHallo Kitty Kattな曲が収録されていて、現在のエモ/メタル/シューゲイズとも通じるストレートなオルタナ原風景かと。
Mellon Collie and the Infinite Sadness(1995)

1995年にリリースされた2枚組というボリュームながら高セールスを記録し、ジャンルの枠を飛び越えて90年台を代表するアルバム。プロデューサーは前作でミックスを依頼したアラン・モウルダーとフラッドで、Siamese Dreamは制作上問題が多くメンバーが追い詰められすぎて疲弊したとのことで環境を一新、ブッチ・ヴィグは長いこと共同プロデュースだったのもあり"親しくなりすぎた"のが原因で新しい視点を欲したとのこと。その結果ビリー・コーガンのワンマンバンドと揶揄されることが多かった今までとは違い、ジェームス・イハとダーシー・レッキーの貢献度が大きく上がり自由にアイデアを出していったらしく、オルガンやシンセも取り入れ曲のアレンジが大きく広がっている。
前作はなんだかんだ轟音+美メロ的な統一感があったけど、今作は曲のバリエーションに富んだ強烈なシングルも多くそれでいて尚且つフックの強さもある。インスト→オープニングを飾るTonight,Tonightはストリングスを大々的に導入し、美しい旋律を押し出した壮大な新機軸で後に多数のフォロワーを生み、Zeroはこれまで以上にメタリックでヘヴィなグルーヴ、それでいて爆発し切らない不穏な美学を通したり、An Ode To No Oneではスラッシュメタルへの憧憬を包み隠さず、Loveはヘヴィリフをノイジーな電子音に置き換えた歪んだデジロック、To ForgiveやCupid De Lockeは轟音が介在してこない美しいメロウ路線でドリーミーな空間と優しいメロディが素晴らしすぎる。こんな中で逆に真っ向からグランジのイメージを体現したM6のBullet With Butterfly Wingsは本当にわかりやすいラウド&クワイエットで、相変わらず狂気的なジミー・チェンバレンの爆撃ドラムとビリーのぶちギレ具合のメーターが振り切った最高に脂が乗った名曲。MVが超かっこいい。youtubeでこのPVを視聴したことが自分がこのバンドを聞くきっかけでした。美しいTonightからメタル全開のJellybellyを皮切りにイントロのリフでインパクトを魅せる曲が立て続けに押し寄せ、強弱の激しいBullet With Butterfly Wings→美メロの穏やかな路線へ繋ぐ構成の妙も素晴らしい。アルバム随一にメランコリックなラストのTake Me Downはイハのボーカルが穏やかで泣ける。
Disc2は美しい曲が多い中、定期的に入るメタリックな曲の豹変ぶりが凄まじく、M2のBodiesは轟音リフと過激なリズム隊による音の束みたいなバンドサウンドがかっこよすぎる。M7のX.Y.U.は遅くて重いを地で行くメタリックな激重ナンバー。Disc2はバンドを代表する大名曲1979が収録されていて、浮遊感のあるエレキなのかアコギなのか曖昧な透明感のあるギターの反復と均一なドラムのビートはどこか同期したエレクトロニクスの雰囲気がありつつ、絶妙に生演奏らしいバンドサウンドの揺らぎもあり、今後幾度なくあらゆるアーティストに愛される古典となってしまった発明だと思う。Disc2は穏やかで美しい曲が極上で、M11のBeautifulはヒップホップのトラック的なビートとベッドルームな録音のメロウ路線、歌メロ以外はスロウコア系のポストロックに通じそうなM13のBy Starlight、完全に弾き語りで素朴なメロディが切なすぎるM8のStumbleineも静謐で泣ける。今作はDisc1と2で違う世界観があるし明らかに静と動の曲の比重も練られているにも関わらず、ビリー・コーガンの戦略であえてコンセプト・アルバムとしては売り出さなかったらしい。そのおかげか肩の力抜いて聞きやすいシングル集のような聞き方もできるし、純粋に歌ものとしてポップなのも大きいかと。あとはなんだかんだビリー・コーガンの毒もあれば異常に美しいときもある独特な声質が曲の持つイノセントな世界観と完璧にマッチしていて、もっと土臭いハードさがあったシアトル周りのグランジとはまた違った聞き味があり、後のART-SCHOOLやPlastic Treeといった国内オルタナに受け継がれていく。

ビリー・コーガンは8歳の頃に聞いたBlack Sabbathのレコードに多大な衝撃を受けたと語っていて、おそらく年齢的に75年なのでSabotage以前、丁度プログレの影響もあり音楽性の幅が広がってきた時期でもある。とくに73年発表のSabbath Bloody Sabbathはクロスビートの企画でフェイバリットに挙げていて、メロディアスなギターリフ、アコースティック路線やストリングスの導入などメロンコリーとは強いリンクを感じる。個人的にとても好きなMaster of RealityやVol.4の頃からインストを織り交ぜたコンセプチュアルな作風、組曲もあったりして続くものを感じてニヤリとしてしまう。Black Sabbathはメタルというジャンルが存在しない頃からホラーなコンセプトを表現するための試行錯誤の末としてあの音楽をやっていて、オリジネイター故の誰にも追随できない複合的な魅力があるし、その世界観を自然にゴスと結び付けて掬い取ったバンドがSmashing Pumpkinsかと。自分自身90sのロックを聞く以前からBlack Sabbathを愛聴していて、60sからロックの歴史を辿っていく中での黒い安息日との出会いはまさに忘れられない強烈なロック体験、音楽観を変えられるほど大きな衝撃を受けたし、ずっと彼らの影を追っていたところもある。だからこそグランジに出会い、Smashing PumpkinsをBlack Sabbathの子供として聞きハマってしまった面も非常に強い。また余談ではあるけど以前の自分は80sの音楽に苦手意識があり、一聴して良さがわからなかったNew OrderやThe Cureは逆にSmashing Pumpkinsのおかげで聞けるようになった感じもある。The Cureに関しては00s以降ヘヴィな路線に舵を取った結果、逆にSmashing Pumpkinsを想起する瞬間があったりするのも面白い。


ちなみにメロンコリー当時の各種シングル5枚組BOXセットが1996年にリリースされていて、全て同時期なのでこちらについても触れておく。シングルとは言いつつ未発表曲が大量に追加され、それぞれ7曲前後で20分以上というミニアルバムとして遜色のないボリュームがあり、最早これはメロンコリー本編の1曲をピックアップしながら違う引き出しを広げてくれる充実したコンセプト作品。マジで全部良いのですごい。とくにTonight,Tonightに関しては元々の美メロをより押し広げたアコースティックナンバー7曲で構成、Rotten Applesはくたびれた美メロがたまらない後にベストアルバムのタイトルにもなった名曲で、ラストにTonight RepriseというTonightのアコースティック版で締める流れもすごく良い。1979は全体的に穏やかなギターサウンドが前面に出たポップな曲が多く、とくにBoyはシンプルにそぎ落とされたゆったりとしたオルタナ、ドリームポップ/インディーロックに通じそうな楽曲で、どこかくたびれたイハのボーカルが完璧な塩梅で溶け合った名曲。Believeもアコースティックの静謐な曲かと思いきやじわじわと熱を上げてく後半が泣ける。これもイハ曲。アルバム未収録の事実が残念なほど素晴らしくてこの中で最も好きな1枚。Thirty Threeは結構極端で、同路線の曲が多いかと思いきやAeroplane Flies Highは超絶スロウでヘヴィな緊張感を持続させる今作のタイトルでもあり、後の裏ベスト盤Judas Oにも収録。MogwaiのCristmas Stepsを初めて聞いたときこの曲を思い出した。Bullet With Butterfly WingsではCarsのカバーが超ヘヴィになっててちょっと面白い。Zeroは全体的にグランジ色が強く、1st~2ndの激しい曲だけを抽出した最高のミニアルバム。しかもラストに入ってるPastichio Medleyが23分たすらギターリフのみを聞かせる脅威のアウトトラックス、元々メロンコリーは50曲近いストックがある中選定された作品みたいで曲のペースとクオリティの高さに驚愕してしまう。
95年のメロンコリー発表後のライブツアー中に薬物依存が加速してジミー・チェンバレンはバンドを脱退、メンバー変更を繰り返し2000年のマシーナを最後にバンドは解散。今回の記事はジミー・チェンバレン在籍までの期間にピックアップしたものだけど、脱退後1枚目の作品として番外的に最後にAdoreについても触れておく。

Adoreは1998年にリリース、グランジも下火になっていて時流的に逆風、しかもこれまで何度も語った通りSmashing Pumpkinsのサウンドの要ってかなりジミー・チェンバレンのドラムで、前情報を聞くと結構心配な作品ではあった。しかし一瞬で掌を返してしまうほど、あまりにも美しくこの作品にしかない魅力が詰まった名盤。ドラムの代替メンバーを入れずに打ち込みのビートを導入、ギターも控えめになりメロンコリーにあった穏やかなメロウ路線が好きだった方にはこの上ないアルバムだと思う。エレクトロ要素が強くなったとは言ってもそんなにニューウェーブ的ではなく、歌心溢れるゴシックなフォーク路線、しかも静謐に振り切ったわけでは全然なく、この頃の代表曲であるAva AdoreではDavid BowieのOutsideにおけるインダストリアル路線を思い出す。Perfectは1979の同期したようなビート+バンドサウンドをヒントにして開花させた風通しの良い名曲。ギターではなく電子音やオルガンをメインにした儚い静謐路線が連続して続く終盤は圧巻で、Annie Dogはくたびれたビリー・コーガンの歌声だけで涙腺に来るし、ShameやFor Marthaは曲を彩る仄かな電子音と隙間の使い方が絶妙、素朴な歌を主にしてはいるが結構展開も多い。色鮮やかだったメロンコリーをあえてモノクロームなトーンに統一して丁寧に音を差し引きしていった雰囲気があるし、こういった作風でもまだ全然バンドっぽいのが良い。
The End Is The Beginning Is The End(1997)

またAdore前にバットマンのタイアップとしてリリースされたThe End Is The Beginning Is The Endは初期の疾走感溢れるヘヴィなギターロックとエレクトロニクスが同居していてこれも見逃せない。バットマンとのコラボというのも重要で、バットマンを元ネタとしたロンドンのBatcaveというクラブはSiouxsie And The BansheesやBauhausが演奏していたゴシックロックの聖地であり、Smashing Pumpkinsのルーツとしても重なるのが熱い。
以上です。Adoreについてはジミー・チェンバレンが戻ってくる解散ラスト作のマシーナとセットで別でまとめた方が良い気もしたんですが、メロンコリーと地続きなちゃんとした続編であり引けを取らない名盤として触れておきたかった。通して聞くトータル・アルバムな側面で言えば最高傑作ではないかとすら思います。以下いくつか関連記事を。
ビリー・コーガンはグランジに括られた後にグランジの責任を取らされたということをインタビューで度々語っていて、Siamese Dream前後のバンド内の問題と長く続くメンバーとの不和、セルアウトすることに抵抗がないが故にオルタナシーンのアーティストから批判されることが多かったりと、バンド内外に苦しいことが多く、真っすぐであるが故に不器用なところも見えるバンドで、しかしそういったイノセントな面が繊細で美しい音楽性とマッチしていると思います。そこにずっと惹かれている部分もあるし、何より好きな音楽を語っているときは心から純粋な愛が伝わるのでその姿勢自体に憧れもある。GRUNGE ALTERNATIVE総合サイトのSmashing Pumpkinsのページではかなり詳細のバンドヒストリーやインタビューを引用元を記載した上で語られていて、紹介の仕方や発言の切り抜き方もどういったバンドかがよくわかる素晴らしい記事になっています。自分はガイドとして何十回も読んだし、本当にとてつもなく影響を受けました。
こちらはThe Cure主体の記事だけどSmashing Pumpkinsの名前がめちゃくちゃ出ていて、しかもThe Cureのアルバム毎に他のバンドと一緒に並べてくれてるので間接的に遺伝子を共有するような見え方でSmashing Pumpkinsと連なりそうなアーティストを多数見れます。ここから聞いた音楽は数知れず、とてつもなく影響を受けた名記事。今読み返しても面白いです。
放蕩息子の迷走はSmashing Pumpkinsの音源各種をレビューしていて、メロンコリー2枚組は勿論先のシングルBOXセット5枚組の全収録曲を一つ残らず書いていてすごすぎます。昔はめっちゃ参考にしました。おかざきよしとも氏は現在はブンゲイブ・ケイオンガクブでずっと長大なブログ記事を書いていてリスペクトの念が止まりません(定期的に本ブログを取り上げてくれてるのもありがたいです)。よしとも氏は両ブログともART-SCHOOLに関して充実した記事がたくさんあります。
今回来日が決まったのがきっかけに記事を大幅修正し追記、たくさんアルバムを聞き返してますがマジで最高。いつまでも大好き。自分は初めて見れるチャンスなのでとても嬉しいですが、何より来日するという選択をまたしてくれたことに、本当に感謝したいです。
マジで死ぬほど見返したライブ動画。早くThe World Is a Vampireしたいですね・・・。あと最近MACHINA聞いてたら大名盤でヤバすぎってなってハマってるのでいつか続き書くかもしれません。今のシューゲって言われてるギターロックの大元全部これでは・・・て思った。あと前記事では結構Humとの関連にピックアップしてたんですが今回はスマパンのみに集中しました。数年経ったのもありまた新しい視点で近いうちに別記事を書こうと思います。