朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

Now2(MASS OF THE FERMENTING DREGS/VELTPUNCH/せだい)

前回に引き続き上半期行ったライブを記録します。今回は5月に下北沢で行われたライブの感想です。

 


 

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Now2 2024/5.5 下北沢近道

MASS OF THE FERMENTING DREGS/VELTPUNCH/せだい

 

何度かライブを見ていたせだいがMASS OF THE FERMENTING DREGS(以下マスドレ)とVELTPUNCHと一緒にライブするっていう激熱情報が入ってきて行く。マスドレVELTPUNCHは10代の頃から度々聞いてきたバンドですが今までライブに行ったことは一度もありませんでした。当時学生だったのもあり、自分は地方の人間というのもあって中々ライブに行くこと自体が金銭的にも距離的にもすごくハードル高く感じていた記憶があります。ある程度東京へ行く余裕ができた頃にはもう音楽趣味が大きく変わってしまっていたのもあり、学生の頃にTSUTAYAに通ったりニコニコ動画やBOOK OFFの中古CDを漁ったり、音源としてお世話になったこういったギターロック系バンドのライブを実はほとんど見たことないなぁと。タイミングを狭間に落としてきてしまったなと今更思い返したりして、それを今時間を置いて、ファンというよりは少し距離を置いてしまったフラットな状態で臨めることがすごく嬉しいなと思いました。

VELTPUNCHはとくにかつてよく聞いていたバンドで今でもkille smileはベストに上げたくなる一曲。今回一発目だったのもあり非常に感慨深かったです。ハードコア色を残したジャリジャリに歪んだギターの中から、脱皮したみたいにその中から甘美なメロディが飛び出す展開が王道だがすごくグッとくる。a huge mistakeはよく聞きました。自分は割とエモ/ポストロック寄りの音楽趣向ですがVELTPUNCHは割とメロコアの色を感じることも多いバンドで、パンク全盛期に風穴を開けながら、その流れも多少受け継ぎつつそれ以降のギターロックシーンと折衷を担ったバンドではないかと思う。00年台ロキノン以降と比べるとそこまでメロコアと断絶されてはないバンドだと思うし、それでいて背景にしっかりNUMBER GIRLやCOWPERSもある。かと言って00年台初期のMO'SOME TONEBENDERのように海外のポストハードコアには寄せてグシャグシャに潰してく感覚ともまたちょっと違った、あくまでソングライティングを大切にしたバランス感が絶妙だった。自分はそれこそアジカンART-SCHOOLが最初の世代なので、ゴッチが度々語る当時のメロコアシーンとの距離感やペンパルスの変遷とか、当時の空気みたいなものは想像でしか語れずあまり実感がありません。でも当時録画して見ていたアニメの主題歌はそういったギターロックもメロコアもたくさん乱立していたし、そういう雑に括った「あの頃っぽさ」を凝縮したものを今なお続けてるバンドだと思います。他アルバムだと「MOUSE OF PAIN」、最近寄りの曲では「THE NEWEST ROCK」が大好き。

 

そして今回対バンのせだいは完全にその空気、雑に言うあの頃っぽさを継承したバンドだと思っていて、というかバンドメンバーが同い年なのである程度同じ景色を見て育ったのではないかと想像してしまう瞬間がたくさんあるのでブッキング自体がとても熱かったです。J・ロビンス系バンドにも通じる硬くて凝縮されたギター音、それがカッチリしたアンサンブルと組み合わさる重厚なパワフルさがあるけど、エモ/ポストハードコアと一括りできてしまうジャンルに全然回収されない確固たるものがあると思う(今回やったアウトサイダーズなど)。まさにあの頃のジャンプアニメの主題歌みたいな熱さで聞いている。とくに生で見るとバンドのキメ、呼吸が合う瞬間というか、全員が一体化してバンドという一つの生き物になる様子が非常に際立っていて、だからこそそのアンサンブルを爆音で塗りつぶすうんにょん氏のギターソロがカタルシスたっぷりで最高でした。花火とか春のまなざしみたいなじわじわと滾るような曲が、ライブを経て練度が増した新しいバージョンのアンセムとして会場が湧いていたのも嬉しかった。ライブバンドとしても素晴らしかったです。

 

O.A.だったせだいで開幕しVELTPUNCH、ラストはマスドレ。元々自分はセルフタイトルとワールドイズユアーズの2枚のEPは当時から好きでめちゃくちゃ聞きまくったし、とくに1stEPのセルフタイトルは邦楽オールタイムベストに挙げたくなるほど好きなアルバム。2枚ともなんでこんなにブチギレてるんだって思ってしまうほど破壊的で速くてどこまでも真っすぐで、まるでNUMBER GIRLのI don't knowを一生演奏しているような代えがたい魅力があったバンドだと思う。マスドレVELTPUNCHよりちょっと後の世代で、むしろ残響が出てきて速くて複雑で激しい音楽が流行ってきた時期と被っていてポストナンバガとしても似たような聞かれ方をしていたイメージがあるけど、その実態はひたすら鋭利なエイトビートを貫き通す全く違うバンドでしょう。チョモランマ・トマトのメンバーを迎え再結成したのももう割と懐かしい話ですが、海外を中心に今ライブバンドとしても再評価の機運が高まってるらしく、今回初めて見たのですが完全にベテランバンドの風格を放っていて破壊的な演奏と圧巻のパフォーマンスに大きく衝撃を受けました。入場がLightning Boltだったのにも納得してしまうほど、殺伐とした初期曲が新体制で音源以上に速く、爆音で、音が飛散していってしまうんじゃないかというくらい膨張したアンサンブルのカオスがしっかり歌ものと両立され収束していることに驚いてしまう。音源で聞くと多少淡白に感じるあのメロディーも、ライブで見ると演奏の鋭利さのために必要な要素だったと強く感じるし、むしろMELT BANANAあたりのカオティックなポストハードコアとギリギリ接触しそうなラインからギターロックに引き戻すために必要な要素だったと思えてしまう。あとギターリフとセットでちょっと和のテイストあると思うし、真っすぐだからこそリフのメロディが本当に映えますね。ライブでは最初期からのナンバーである「shi is inside」は音源と比べてもかなり破壊的、会場の熱もすごく完全にぶっ飛ばされたし、再始動してから音源のカラーが変わったバンドですが、昨今のBeach Fossilsのようなインディーロック路線の「Dramatic」や歌ものとして強度が強すぎる「New Order」も演奏していて、それでいて脱線した感じは全くない、バリエーション豊かでとても充実したライブでした。本当に衝撃を受けたので是非また見たい。