朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

20221102 聞いた新譜とか

日記です。最近聞いてた新譜を雑多に。

 

kurayamiska - kimi wo omotte iru(2022)

1stEPなんですがこれがめちゃくちゃいい。春頃にツイッターにふと上がっていたFarewelのショート動画みたいなのが話題になってて聞いたけどその一瞬切り抜いたみたいな動画でもかなり惹き付けられました。詳細不明の謎のバンドとして続報を待ち続けたバンドで、少しずつ情報を解禁しながら先月ようやくリリース。せだいのギターであるうんにょんさんがコンポーザーとして立ち上げたプロジェクトらしくメンバーも辿ってみると周辺バンドやシーン内で活動していた人達が集まってるようです。リリースされたレーベルのtomoranも今年始まったばかりですが、どのバンドも熾烈なギターサウンドとノスタルジックなメロディを前面に押し出した自分の世代的にド直球で突き刺さるギターロックの系譜で、既にせだい、kurayamisaka、TTUDがリリースしてますね。

もうね、ジャケがかわいすぎて机の上にあるこのジャケが目に入るたびに嬉しい気持ちになるので、フィジカルで今年買って一番嬉しかったCDかもしれない。ライブ告知やセルフライナー記事にジャケに写る二人のあらすじが載ってます。もうFarewelは何度再生したかわからん。とにかく曲が良い、メロディーが良い、ジャケがかわいい、で素直に轟音ギターサウンドの上で甘いメロディが乗ってたらとにかく最高だよねというのを久しぶりに思い出させてくれる作品。10年前確かに一緒にギターロックが好きだったはずの友人はもうさっぱり音楽を聴かなくなりライブも行かなくなって久しいが、そんな友人にも連絡をとってkurayamisakaは是非聞いてくれと強めにオススメしたくなるような(というかした)アルバム。

轟音といってもスケール感どんどん拡げてくような感じではなくてぎゅっと濃縮した密度の高いノイズギター、流麗なアルペジオも印象的でそれも相まって親しみやすい寄り添ってくれるようなどことなく柔らかい音で、これは歌声と重厚なギターサウンドが同時に溶け合って聞こえてくるような録音の妙もあるかもしれない。これがめちゃ心地いいです。エモもシューゲイザーも広義になりすぎて全部もう一まとめにインディーロックとして内包されるようになったこの時代に、そのフォーマットを通過した・・・というよりもう基本として備わった状態で00年代とかのあの頃のギターロックを思い出させてくれるようなサウンドをもう一度やっているというか、ブッチャーズとかロストエイジ好きなら絶対間違いないと思います。バンドメンバーによるNote解説記事もあるのでどうぞ。個人的にFerawelについてtoddleがリファレンス元として書いてあったのを見てすごくしっくりきた、というかさっきの録音がどうとか言ってたのそっくりそのままtoddleにも置き換えられそうですね。

あとcinema paradiceという曲本当に名曲すぎてすごいなとか思ってたけどタイトルがニュー・シネマ・パラダイスから来てるというの見て20台入って完全に涙を枯らしていた自分が大人になって初めて画面の前で涙が止まらなくなった映画がニュー・シネマ・パラダイスだったことを思い出したり思い出さなかったりしました。ちなみに次はたまこラブストーリー、次はアイカツ!です

 

The Orielles - Tableau(2022)

これも良すぎる。元々2018年ころに1stをリリースしたときは聞いてたのですがその後は全く触れておらず、なんか昨年2nd出してたのもチェックできてなかったのですが、TLで話題になってるのを見かけどうやら新譜リリースしかも前作から大きく変化してしかもセルフプロデュースの2枚組とか気になるワードが色々あり、(前作聞いてないので違いはわからないけど)聞いてみました。ジャケもめっちゃ良い。

で聞いたのですが・・・いや、初期作で見せたほんのり香りが漂うくらいのサイケデリアが部屋の扉開けたらもう濃度増して先が見えないほど充満していたという感じ。クラウトロックというかCANを強烈に思い出し、ミニマルだけどインディーロック然としたスタイルもある程度残しておいたまま実験的になった感じでこれは確かにすごくいい。Improsession1なんていう8分超に渡る曲もあったりするし各パートフレーズが定まらないような、曖昧で浮遊感溢れるアンサンブルによりアンビエンス増し増し。そことは対照的に1stを思い出すキャッチーなメロディが特徴的な「Television」とかキラキラしてて好きなんですがここでも全く先が見えないドラミングがどこか不穏ながらツボをついてきます。60年代のロバート・ワイアットがいた頃の初期ソフト・マシーンとかも思い出す。「The Room」とか80sっぽいシンセポップな空気やポストパンクの色も強く、煌びやかなのにジャケット通りモノクロームな質感というか、その辺も全部マッチしてきます。

ちなみに2018年に1st出たときはメディアから新気鋭ということで紹介されててなんかPixiesSonic Youthに影響を受けたUKロックって書いてあって聞いたんですが、個人的にその辺のオルタナレジェンドらの系譜というより(いや間違いなくフェイバリットではあるんでしょうが)現代のインディーロックとかベッドルームの質感で聞いてました。しかし1st前に出てたシングルのこの曲

OGRE YOU ASSHOLEっぽくね・・・?となり、でもルーツがUSオルタナでインディーロックやりつつサイケデリアも匂わせるって確かにそうなりそう、初期オウガもUSインディーやポストパンクの系譜だったし、この曲はどことなくアドバンテージを後期オウガがセルフカバーしたような雰囲気あるなと。今作は別にオウガと繋がってるってわけではないけど音楽性の深化の仕方とか、結局セルフプロデュースという形に落ち着くとことか、曲が似てるとかではなく同じ気質のリスナーはしっくりくるんじゃないかなーと思います。ドラムの着地がめちゃよい録音の雰囲気や、アナログで聞きたくなってくるとこも、お互いを「聞いた感想」が近いとこあるんじゃないかとか。

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ちなみにbandcampでレーベルからLPを買ったらZINEついてきてテンション上がりました。

 

結束バンド - Distortion!!

ぼっちざろっくアニメ化。登場人物だったりサブタイトルのモチーフにアジカンが参照されてて、僕はアジカンを聞いて育ちアジカンで音楽にハマってアジカンから過去のアーティストや洋楽を参照し掘っていった経緯があるので、きららアニメもロックバンドもアジカンも大好きだからこそ素直に喜ぶというわけではなく身構えてしまった作品。ただゴッチがぼっちになってるのは申し訳ないけど正直ワロタ。でアニメに関してはここではあまり語りませんが、OPとEDはアジカンがやるのかな~と思いつつやらず、EDのDistortion!!の作曲がカナブーンの谷口鮪だったのが結構ぐっときてしまった。

カナブーンは登場した頃、丁度僕は学生で結構リアルタイムで好きだった時期もあるのですが、インタビューやラジオでも度々自分達がアジカンフォロワーであることを話しつつメディア側もそれを推してたと思います。ただ彼らのアジカンが大好きなことめちゃくちゃ伝わるのにその憧れの気持ちとゴッチの音楽オタクとしての意識のズレみたいのインタビューとか読んでわかってしまうの見ててきつい気持ちになっていた。ゴッチもNANO-MUGENに呼びつつ洋楽を聞かないという彼らにXTCを推していた話とか結構象徴的だと思う。アジカンがバンドの中である程度売れたことによる理想のアジカン像と折り合いをつけながらやろうとしていたこと、向かいたかった場所、ゴッチが当時好きだった音楽、そういうのが、純粋にアジカンの大ファンで好きな曲をコピーしバンドをやってたカナブーンとの溝を深く感じることがあった。そしてアジカンを参照したぼっちざろっくのロキノン観にも、結構僕の中で近い雰囲気というかカナブーンの時に感じたそれと同じものがある。どちらもアジカンの大ファンだというのは伝わるけど、根本の部分でアジカンとは遠く離れたところにいるというか、アジカンファンに刺さるかどうかはまた別、みたいな・・・。

まぁようするに、そことそこが組んでるのめっちゃよくね?と、アジカンへの憧憬を包み隠さずしかし中身はアジカンとは距離があるもの同士というか、一人で納得して収まってなんだかんだ曲のこと好きになったという話です。むしろアジカン本人が曲を提供して結束バンドでOPやってたら冷めてたかもしれません。ぼっちざろっくも最初は警戒していたし「陰キャはロックをやれ!」というキャッチフレーズにもイマイチ入り込めないんですが、それでも、なんかこのED曲のおかげで明るい見方ができるようになったというか、僕の中でこのアニメとの距離の取り方がわかってきてフラットに作品を楽しめるようになりました。毎週楽しみです。カナブーンも1st出した頃から10年近く経つし、谷口鮪本人も今はもう割り切ってアニメと重ねてアジカンフォロワーだったデビュー時を思い出しながら作ったのかなぁと思うと愛おしくなってしまう。結束バンドにカナブーン節もしっくりハマってると思うし、俺はチョロすぎるので好きなアニメキャラ好きな女性声優が歌っていると好きになってしまう。今は亡きタワレコ千葉店の視聴機で「僕がCDを出したら」を聞いていいなと思っていたあの頃を確かに思い出したし、ぐっときました。

 

Alex G - God Save the Animals(2022)

6月に先行リリースされてたシングルBlessingが最初聞いたとき衝撃。なんか粒の荒いほんのりノイジーなシンセの和音が全体を覆っていくイントロからまず割とびっくりしつつ、でもOPNとコラボしたり前から兆候はあったよなと思いながら聞いてたら突然、なんの前触れも無く謎の合いの手が登場して「!?」となった。NARUTOのアニメで出てくるやつじゃん。ギャグなのかマジなのか微妙なラインですがそっからシンセの上でノスタルジックなメロディーが紡がれていくのは困惑しつつもどこか儚く、このギャップが素直にめちゃくちゃよくて、この感じから急にぶつ切りで曲が終わってしまうのも実験的な印象を加速させる。これがとてつもなくわくわくしたんですね。一体どうなってしまうのかと、アルバムもう意味不明な作品だったらどうしようかとか、でも曲を構成する要素がへんてこなだけで普通にめちゃいい曲だなと思ったのもあり、その後も先行シングル出してたけど一度も聞かずアルバムに望みました。

そして1曲目After All、よ、よすぎる・・・。普通にいい曲すぎて泣いた。メロディーよすぎて泣いた。次のRunnerもストレートにいい曲でぶん殴ってくるので完全に予想を裏切られたけど意味わかんないくらいいいです。Runnerとか素直に名曲なのに途中で明らかに異物な謎の絶叫とか入るのもAlex Gらしい、というかBlessingもそうだけど綺麗で完璧な作品を作ってもどっかしら壊さないと気が済まない人なんでしょう。遊び心なのか大真面目なのか判断がつかない、普遍的なメロディを持ちつつも、全体像としてはかなり歪で実験的なインディーフォーク快作。

夏アニメ見てた中ではメイドインアビス最強すぎる!という気持ちですが個人的にメイドインアビスのサントラとしてAlex Gの前作「House of Sugar」はかなり合うと思います。という勝手な妄想してたよ(今作も合うかも)。2019年リアタイでは聞けなかったんですが、今もう一度その年でベスト作るとしたら間違いなく最上位に入ってくる作品です。めっちゃ面白かったですねメイドインアビス。パッコヤンがとても好きなのでいつか絵を描きたいです。

 

先月描いた絵(右は模写)

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あとなんかDISCASが単品レンタル1枚39円セールみたいのやってて100枚借りました。BUCK-TICKとか持ってないアルバム全部借りたのと10年代初期のインディーポップとかドリームポップとかあの辺もサブスク入ってから軽く履修した感じだったので、なんかそういうのもまとめて借りました。Beach Houseとかね。あと昔好きだった洋画のサントラ系、声優のラジオCDやアニソンのシングルをたくさん借りました。聞いてみて書きたいことあれば書くかもしれません。あとなんかバイオハザード2と3のリマスターが激安だったので買いました。ニーアオートマタのアニメ化には微妙な気持ちになっています。


 

最後にレイレイセフォーさんのこちらの記事を。ツイッターで交流のある方ですが記事内で朱莉TeenageRiotについて言及して頂いてます。記事もめちゃくちゃ参考になりました。AMPかなり好きです、遠くから轟音が鳴っている感覚があって。ブクガのimageも前に聞いたことあってジャケよすぎ!となり今聞き返してめちゃくちゃハマってしまってます。ブクガ最高!そんである程度聞いたあとにまたブログを読み返して初めて見えるものも大きくて更にハマってます。

ブログ内でもここに対して密度が高いと言って頂いて(本当にありがとうございます)、確かに普段はジャンルというか焦点をかなり絞って書いてますがこういう雑多な日記的なものもまたやってみたいなと思って書きました。気が楽だし。SNSで音楽の話やシェアをしている方に対してその人のブログやまとまった読み物を読んでみたいという欲望は常にあります。サブスクでなんでも聞けるようになったのもあると思いますが、人によってそれぞれ自分の確固たる基準でシェアしてるというかジャンルの壁をまたいでもちゃんとその人が"好きそう"な感じが出てるのがわかると、とても好きになってしまいますね。