朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

Zum Audioについて

Zumというレーベルから出てるコンピレーションについて書きます。内容が素晴らしいことは勿論ですが面子の豪華さに反して日本語で語られてる記事がほぼ無いので記録みたいな感じです。


 

Zum Audio Vol. 2

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最初に知ったのはこちらのvol.2で、USインディーやまだバンドサウンドの色が強かったポストロック前夜、それこそ98年のコンピなのでこの辺のシーンが好きだった人には絶対間違いないアルバム。最初に見つけたきっかけはDianogahというバンドの音源についてSpotifyを使って掘ってたときなんですが、この部分

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ここで結構収録されてるコンピやプレイリストを適当に掘るの割とやってて、いい感じのないかなーと漁っていたところ見つけたアルバムでした。

で内容を見てみるとModest MouseGrandaddyと言った有名どころにちょっとスロウコア寄りのDusterなどUSインディーシーンお馴染みの面子、シカゴ~ルイビル近辺シーンのAeriel Mや、マスロックにも通じるAtivin、スロウコア~オルタナカントリー大御所のSongs:Ohia、そしてJune of 44やHiMのメンバーも参加したRexなど・・・もうとにかく見覚えのある面子が多く曲目見てるだけでとにかくテンション上がりました。

でこの面子なら他のメンバーもよくないわけないよな・・・となり他ほとんど初見でしたが適当に聴いたところ、早速序盤で出てくるP.E.EとかStarling Silverとか割とエモ寄り、Ja-KarteってバンドがModest Mouseがギリギリのとこでエモの境界を越えたって感じの音を鳴らしてたり、Windsor For The Derbyはこん中ではかなりポストハードコア寄りですがサブスクでアルバム掘ってみると意外とポストロック寄りだったり、USインディーからエモ~ポストロックシーンに向かい始めた頃って感じのバンドが多くどれもめちゃ良いですね。

 

Zum Audio Vol. 1

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で個人的にめちゃくちゃ刺さってきたのがこのvol.1で、実はvol.2を見つけたときそのままZumについて深掘りすることはなくコンピレーション一作で完結していたのですが、こちらまた完全に同じルートでJune of 44

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の関連作として出てたのを発見。

この時点では兄弟作だと気づかず、純粋にJune of 44のライブ音源として聴いて想像以上にハードでこれがかなりヤバイです。ジャケもBastroみたいだし他の曲も気になって見たところ、面子は先ほどのvol.2と比べほとんどのバンドが初見で、知ってたのJune of 44とSweep the Leg Johnnyくらいだし両者ともこのブログでも何度も取り上げてるくらいフェイバリットなんでそりゃもう絶対間違いないじゃんとなり聴きました。

そしたらもう開幕のRetrieverの「Evil K」のイントロからいきなり不協和音ジャンクギターエモとも言える轟音をかき鳴らしててこの時点でもうめちゃくちゃ最高だし、2番手のThe Great Brainに関しても気狂いギターとも言いたくなるマスロックともまた違った高速ギタープレイにとにかくぶっ飛ばされ、続くTransitionalやDanger G20も「絶妙にエモにまでは行かない感じ」のまさしく90年台末期感、vol.2と比べかなりポストハードコア色の強いエモ前夜を地で行く音をやっててこれがとにかく最高でした。

個人的に気に入ったのがColeというバンドの「Recidivism」という曲で1st時のJune of 44がスローペースのままエモをやったかのような曲になってて(後半の展開の仕方もろですね)、あとやっぱ開幕1曲目のRetrieverですかね。

あとはLullaby For The Working Classとかもこの中ではアメリカーナのフィーリング強めでサブスクに音源がありとにかくこれもよかった。Strictly Ballroomはスロウペースなエモ好きな方は是非。Lustre Kingはキメを多用する超ヘヴィなマスロック元祖って感じでOxesとかにも繋がりそうです。とにかくvol.1はほとんど全てが初見で、アングラシーンというか本当にローカルなシーンを記録したって色もあるんじゃないかなぁとか想像しながらもうこれは宝の山だなと思って掘ってました。

 

でそんなZum Audio、参加アーティストについてより奥が気になってきてdiscogsやbandcampで漁っていたら、まずこのvol.1とvol.2が続きもので同じとこから出てるということに後から気付きめちゃくちゃ感動。こんだけ内容がいいとじゃあ誰がやっているどういうレーベルなの?と作ってる側が当然気になってきて、ただ日本語でこのアルバムについて触れてるサイト僕はほぼ見つけられず、海外記事とかを参照にするしかないかな~と思ったらこちらのサイト

ありました。どうやらZINEの付録として作ったものだったようでvol.1のアンダーグラウンド感にも納得したし、というか好きなバンドやシーンを紹介するZINEを作りつつ実際にシーンを体験するための作品だったみたいです。

そりゃもう今だったらネット上で簡単にyoutubeSpotifyのリンクを貼ったり、プレイリストを作って公開したりってのができるわけですが、当事無かったからこそそれを自力でやったんだなぁというのがすごく良いですよね。しかもレーベル創設者はXiu Xiuの創立メンバーという地味に驚きの情報も。Xiu Xiuと言えばポストパンクやインダストリアルなイメージがあったんでちょっとこのメンツからは意外でした。

 

 

以上です。本当に超素晴らしいコンピレーションでどっから再生しても最高なのでぜひとも。bandcampに音源もあるし今回触れてないけど3と4もありますね。めちゃくちゃ気に入ったバンドがいてもマイナーなものが多く盤が手に入りにくいというのが難点か。


関連サイト

Hello, George Chen of Word Origami, Sup Doc, Zum, KIT, and the LA Public Library – By Martin Wong

先程のサイトとセットでツイッターの知人に教えてもらったサイトですが(本当にありがとうございます)、レーベル主催となったChen兄弟の現在について書かれてます。

 

Zum Audio Vol. 1 (1997, No Jacket, CD) - Discogs

Zum Audio Vol. 2 (1998, CD) - Discogs

discogsです。参加バンド辿りやすいので置いときます。