朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

discography①

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ちょいと前に出たギターマガジン4月号のグランジ・オルタナ特集を読み触発されたので、紹介されてた「91年の名盤選」にちょっと触れつつ、個人的に好きなアルバムやグランジというジャンルについて自分の認識を掘り下げます。

 


Nirvana - Nevermind(1991)

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語りつくされた名盤なのでとくに言うことないですが、いつ聞いてもとにかく曲が良すぎる・・・。Smells Like Teen Spiritはもちろんですが個人的に衝撃を受けたのはBreedで、洋楽初心者という状況でこれを聞き、メロコア的なポップさも無ければメタルやハードロックと言った大仰さもなくこんなにダーティに疾走してく洋楽あるんだ・・・と驚いた記憶が。グランジってよく「ハードロックでもパンクでもない音楽」と形容されるイメージありますが、素直にそれを体験していたのかもしれません。

今聞くとBleachと比べてかなりパンク寄りですね。元来ルーツを辿るとパール・ジャムサウンドガーデンなどのハードロック寄りのバンドがグランジ本来の特徴だと思うんですが、ニルヴァーナが一番売れグランジ=ニルヴァーナというイメージのままムーヴメントが広まり、世間的なイメージが書き換えられてしまった印象があります。

 

Peal Jam - Ten(1991)

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昔ちょっと苦手意識あったバンドで、よくグランジと言えばニルヴァーナと並んで語られますよね。てことで近い音だと思って聞くと全く感触が違いハードロック色が強く、ニールヤングとかのアメリカンなフォークロックをルーツとしてるというのもあり聞き方が全く異なるかと。というかコラボもしていたりグランジの始まりはニールヤングのライブ盤だという話もありますね。

もうちょっと土臭いイメージありましたが開幕「Once」「Even Flow」からめちゃくちゃハードなギターが炸裂しまくってこんな重かったっけ?て思いつつカラッとしたハードロックで今の僕には最高のアルバムかもしれません・・・。B面落ち着いてくるところもパワフルなリフで引っ張ってく感じはかなり聞きやすいです。サウンドガーデンとかアリス・イン・チェインズとかのドロついたヘヴィネスとした感じもないですね。昔は多分ニルヴァーナのパンキッシュさが好きでそのイメージに引っ張られちゃってたのかな・・・。

 

Soundgarden - Badmotorfinger(1991)

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グランジバンドのルーツやインタビューを漁るとブラック・サバスをルーツとして挙げてることが多く、グランジというジャンルで最も影響力のあったメルヴィンズがもろサバスフォロワーというのもありますが、僕が最初にブラック・サバスと関連付けたきっかけはこのバンドでした。ボーカルはサバスってよりツェッペリンロバート・プラントを想起させつつもう少しそれを荒々しくしたようなとこがありますが、「Outshined」のドロドロとした暗黒ギターリフは最初これサバスのInto the Voidや4thのハードロック色強くなってきた頃を強烈にフラッシュバックしましたね。

 

Smashing Pumpkins - Gish(1991)

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そもそもグランジじゃなくね?て思うんですが、有名なエピソードですがニルヴァーナと発売時期が被ったせいで関連付けられてしまった印象があります。グランジをハードロック~メタルブームが通過したあとのアメリカンロックという見方をすると当てはまりませんが、ニルヴァーナの項目であったパンクでもハードロックでもないサウンドという意味では割と聞けるかも。ピンク・フロイドやラッシュを度々フェイバリットに上げていたりキュアーやバウハウスを敬愛してるところから、彼ら特融の透明感やちょっとサイケな雰囲気の出で立ちが見えてくる気がします。

とは言いつつも僕は最初何も知らず普通にグランジだと思って聞いていたし、めちゃくちゃ疾走感があり尚且つほかのグランジバンドのマッチョさがない耽美さに惹かれてましたね。あとリフがこの頃からめちゃくちゃかっこいい。てか上げた4つのバンド全部キャッチーなギターリフを繰り返すタイプの名曲が入ってるのでグランジってこの時代のリフがかっこよくて重い音楽のことを言うもんだと思っちゃってました。

 

Bikini Kill - Pussy Whipped(1993)

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ライオットガールをグランジムーヴメントに入れていいのかってとこではありますが、オリンピアということでグランジの中心となったシアトルの近所ですし、結構バンド間の交流も深く、というかカートの元カノだしね。ただ社会的な側面が強い分サウンドだけで語るのは微妙かなとも思うんですが、とにかく破壊的なパンクロックで、ハードコアにもメロコアにも行かずストレートにパンクをかき鳴らし叫びをあげる個人的に大好きなバンドです。ネヴァーマインド聞いてグランジに興味を持った人はセットで語れがちなパールジャムサウンドガーデンを聞くんじゃなく、ビキニキル聞いた方が結構しっくりくると思います。ライオットガールムーヴメントそのものを象徴する名曲「Rabel Girl」収録。

 

Black Sabbath

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グランジバンドじゃないのにここ入れるといろんな人に怒られそうですが、僕がグランジバンドを聞いてて求めてる部分や一番引かれる部分を追求してくと最終的にオジー期のサバスに辿り着きます。グランジは当時のメタルやハードロックを淘汰したと言われますが、サバスやツェッペリンエアロスミスなどの70年代のハードロックは結構直接のフォロワーというか、カートコバーンもリスペクトを語ってるイメージありますね。

でこの頃のサバスはヘヴィ・サイケ・ブルースとも言えるとにかくギターリフを繰り返す作風はキャッチーなフレーズながらも陰を落としたおどろおどろしさがある初期の1st~2ndの初期の名曲群はもろに想起しますし、4thに関してはツェッペリンとかにも接近したようなパワフルな面もルーツとして聞けるんじゃないかなぁと。

 

Screaming Trees - Sweet Oblivion(1992)

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元々80年代中期から活動してきたのでかなり古参、ジョシュ・オムQOTSAから辿ってくる人が多い印象があります。60年代のサイケデリックロック~ブルースの影響が強くそれらをハードロック通過後の音で再度やっているというような質感でラフなパールジャムサウンドガーデンと言った聞き方もできるかなと。

Meat Puppets - II(1984)

Meat Puppets - Too High To Die(1994)

Meat Puppets – 'Meat Puppets II': Round 105 – Rob's choice – Devon Record  Club Too High To Die/Meat Puppets収録曲・試聴・音楽ダウンロード 【mysound】

そしてミートパペッツ、カート・コバーンがカバーしていたことで知られますが全然グランジバンドというわけではないですね。しかしグランジ勢に大きな影響を与えたというバンドで80年代はブラック・フラッグ率いるSSTでハードコアを基調に徐々にサイケ~カントリーの影響が強くなり、90年代はグランジに合わせてアメリカンロック化していきます。

 

上記ミート・パペッツ、スクリーミング・トゥリーズどちらもも80年代にSSTからアルバムを出していて、ハードコアの影響がまだ強いんですがそんな中でも急にアコースティック路線な曲が入ってきたりこの頃から後のルーツロック回帰を思わせる要素が入ってて、同時期にDischordやワシントンDCで活動していたハードコアバンドとはかなり色が違います。90年代、彼らはワイヤーやダブの影響が強くなって硬質なポストハードコアに変化しいくのに対し、グランジアメリカンなルーツロックな方向へ舵を切ってくその原初のようなものが既に出てるんですよね。この辺のポストハードコアとグランジって対極だよなぁというのと、これらを「オルタナ」の枠に入れて語るか語るまいかって結構人によって個性出ると思っていて話してて楽しい部分ですね。

 

Red Red Meat - Jimmy Wine Majestic(1994)

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こちらもシアトルのバンドでサブポップから出ていてジャケもグランジっぽいですが、実際には全く違ったサウンドで成功を収めたというバンドです。ブルースやカントリーと言ったアメリカのルーツロックの要素を背景としていて、スクリーミング・トゥリーズ後期からハードロック色を薄めもう少しカントリーとかに接近したらこうなる気がします。時折ヘヴィなギターが挿入されるのはやっぱり時代でしょうか、でもこのバランスがめちゃくちゃ好きで、グランジサウンドのままペイヴメントのようなインディーロックをやっていたヘリウムとか、あと結構セバドーとかと並べても聞ける感じがします。

 

Seaweed - Four(1993)

Four

当時グランジが下火になってきた時代にシアトル発、サブポップ産のグランジバンドという推され方をしてしまったせいでイマイチ正当に評価されなかった・・・とレコ屋の解説記事で読んだのですが、実際に聞いてみると確かにグランジにしてはポストハードコアとかのが近い気がします。とはいいつつハードコアによくある硬質で金属的な音ではなく、確かにグランジ的なパワフルなサウンドだったりはするんですけどね、結構メロディアスだし。個人的にはSAMIAMとかのが近い気が・・・。そして割と近い境遇のバンドとしてこちら

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サニーデイリアルエステイトを思い出します。エモの大御所ですがシーウィードと同じく「シアトル発 サブポップ産」のバンドで、ただグランジムーヴメントに括られることはなくむしろエモの萌芽として語り継がれることになったわけですが、シアトルのバンドとして聞いてみるとニルヴァーナ以降の空気がかなりあってハードコア→ポストハードコア→エモという流れとはちょっと違う気がします。ただボーカルの歌唱法やメロディーに関しては完全に後世のエモに影響を与えていて、エモってボーカルの印象というかボーカルにかなり趣を置いてるとこあるよなと少し考えたりします。

 

終わりです。ギタマガにあった向井秀徳×吉野寿オルタナ談義が「オルタナティブ」という内容で始まりつつもグランジの話になったとき二人とも「通ってない」と言ったのが面白く、そのままハスカー・ドゥやダイナソージュニア、ソニック・ユースの話題で盛り上がるのですが、これで一般的に有名なグランジオルタナティブの距離感について色々思うことがありました。

そんな中、僕は「こういう感じで聞いてます」「この辺のアルバムが好きです」というのをひたすらまとめたくなった・・・という記事になります。

 


関連記事

先日公開され、個人的にギタマガ読んだ人は是非セットでと言いたくなる程の記事でした。というかこれに触発されました。

 

そしてこの辺、グランジというジャンルがシアトル、そしてサブポップから広まったということや、広まる前のムーヴメントの核となったグリーン・リヴァー、メルヴィンズ、ブラック・フラッグ等の説明をとくにしないで進めてしまいましたが、このサイトが非常にわかりやすいです。是非。

こちら一つの記事で大まかなディスコグラフィを網羅していてディスクガイドとして非常にわかりやすいですね。

 

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