朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

年間ベスト2019

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書きました。あんまり意欲的に新譜を聞いていたわけではなくて、皆が入れているような話題作も聞き漏らしが沢山あり後から発見が一杯ありそうなんですが、それでも非常に充実した一年だったかと思います。


 

 

 

 

 

 

 

Suchmos - THE ANYMAL

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ダモ鈴木と化したヨンス。マジ?サチモスがこれやるの?ていう突然な方向転換で、しかも俺の好みド直球をやりよるんもんだから予想外からのストライクにかなり戸惑った。今まで積み上げたキャリアを台無しにしかねないマニアックな60~70年台の乾いたサイケデリックロックで、11分にわたる大作「Indigo Bluse」は傑作です。

 

 

OGRE YOU ASSHOLE - 新しい人

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世界観はどんどん縮小され、このまま無になってしまのでは?と心配になるミニマルなソフトサイケ。歌詞もどんどん対象物ではなく、現象や状態を表す曖昧な言葉だけがチョイスされ、さっきまで誰かが「いた」という残り香のようなアルバム。時折見せるファンキーな要素をキャッチーに丸め込むことに成功した「さわれないのに」で新たなファン層も獲得できそうですね。でライブ見たんですがこのアルバムに入ってる楽曲群の実態は歌ものではなくディスコでした・・・。ライブによって解像度を上げるまさしく「素材」のようなアルバムでそれ以来聞き方がすっかり変わってしまった(これじゃ全く参考にならない・・・)

 

 

Japanese house - Good At Falling

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ツイッターで見かけまずジャケットがかなり好みだったのと名前なに?となり聞いてみたところハマりました。極上インディーポップ。吹き抜けの良い爽やかさがあって夏に聞きたくなるノスタルジックな作品ですね。浮遊感のあるギターの裏でポコポコとデジタルなビートが鳴っていて気持ち良いんですよね。でもボーカルはちょっとザラついた質感なのも好みでした。

 

 

NYAI - HAO

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前作、スーパーカーサウンドペイヴメントをカバーしたかのような音にノックアウトされ、それからずっと追っているバンドですね。よくスーパーカーナンバーガールと形容されますが別にその辺と切り離しても全然聞ける爽快なパワーポップとして、ギターロック魂を思い出させてくれる作品。地を這うようなねっとりしたビートとドラムの音が気持ちよく、そっからオリエンタルなギターリフを乗せてくポップなオルタナチューン「Chinese daughter」がマジで傑作です。

 

 

Big Thief - Two Hands

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あんな大傑作出しといて年内にまだやるか?ていう驚きのBig Thiefは間違いなく今最強のバンドですね・・・。Notという大名曲に惚れた。ギターソロに注意して音楽聞いてこなかったんですが、これ以降は俺の生涯最高のギターソロはBig ThiefのNotですと秒で答えられるようになった。初期の頃のエレキギターの音にやられファンになったものとしては今作の地に足のついた土臭い作風はロック色強くて嬉しかったです。

 

 

folk enouth - Lover ball

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NYAIと対バンしていたり、先行曲であるフォーキーでよれよれなローファイ「SUNFLOWER」から勝手に想像していたインディーロックと思い再生してみたらなんじゃこの爆音・・・と衝撃。1曲目からのアルティメットすぎるローファイジャンクな騒音ギターに耳がやられました。と思いきや、「GHOST」では唐突に弾き語り調になったり前触れなく爆音ジャンクが飛んできたりと自由すぎるスタイルがまさしくアンダーグラウンド・・・て感じです。D.I.Y感が凄い。

 

 

Uranium Club - The Cosmo Cleaners

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これは本当にかっこいい最強ポストパンク!闇鍋と言わんばかりのとにかくガチャガチャうるさい捻くれまくったガレージパンク「Flashback Arrester」の早急なイントロ、とにかくアルバム再生して一曲目いきなりぶちかまされハマリました。ネジ一本、わざとこの「外した」感覚でたっぷり余裕を持った感じ、今までシンプルなリフものが多かったのが今作になって急に音のバラエティが豊かになりカオス化し、テレヴィジョンやザ・フォールが憑依したパンクバンドという感じです。

 

 

13.Wilco - Ode to Joy

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ド安定のウィルコの新譜、もしかしたら10年台以降の彼らの作品で一番好きかも。1曲目「Bright Leaves」のイントロからすぐにわかるドラムへの拘りがすごくて、全編を通してシンバルを叩かず音を最小限に絞っている。余りにシンプルなのにどうしてこんなに心の奥の奥まで響かされるんだ?そして密かにノイズが所々に挿入されていて、この密かに、てのが最高にミソなんです。一生聞けますね。

 

 

Omni - Networker

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今年出たシングル「Delicacy」の控え目なバンドサウンドでツボのみをついたキャッチーなポストパンクに惚れ惚れとし、アルバム発売を待ったところ、サブポップからということで唐突なリリースに心躍りました!「Delicacy」は結局アルバムには収録されませんでしたが聞き進める程に楽しいスルメのようなポップソング集に。

60年台のロックバンド聞いてるかのようなスカスカなバンドサウンドと、音の広がりをあえて抑えたような部屋の中だけで鳴っているかのような無機質な楽曲が並ぶ。んですが、どこかかわいらしいというか、意外とギターフレーズとか遊んだ展開が多くて楽しく聞けちゃうんですよね。ローファイ好きとかにオススメしたい。とくに2曲目の「Courtesy Call」は同じテンポ内でどんどん曲が展開していきます。

 

 

カネコアヤノ - 燦々

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前作の「祝祭」は彼女の人間そのものがアコギと歌だけで表現されたであろうフォークをバンドサウンドで肉付けした、という印象だったのですが、そっから一歩進み、とくに「りぼんのてほどき」「車窓から」では日本の原風景を感じさせるような壮大・・・というかスピリチュアルな世界観も思い起こすような、近所で鳴ってる音から絵本の世界に来た感じ。あ、でも基本はやっぱりシンプルな歌モノです。いつも脳内で思ってるなんとかなるっしょ精神が歌になってるってだけで救われたような気持ちになりますね。

 

 

ミツメ - Ghosts

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11人の幽霊達。彼らのバンドアンサンブルって年々アルバムを経る度にどんどんミニマルになってくんですが、その結果骨組みのようになった「ミツメにしか鳴らせない音」が詰まった高純度の作品に。そんな中メロディーはどんどんポップになっているのでもう歌モノです。最早普遍的なポップスとして人気を博した「エスパー」に代表されるような、点と点のアンサンブルなのにその隙間の埋め方が絶妙で、リズム隊二人を縫うように時には空間的に、時には糸を紡ぐように弾かれるギター2本が、とにかくバンドを聞いてるだけでこんな楽しいアルバム他にないんですよね。

 

 

おやすみホログラム - 5

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オルタナティブ・ロックと内省的なテクノを行き来する彼女達の新作となる「5」は打ち込みメインのダンスアルバムとのことですが、ギターサウンドがエッジも聞いてる上にキラキラしていて、うまい具合にロック路線と行き来してると思います。それもそのはず、前作でドラムス・アヒトイナザワを迎えルーツを隠さないオルタナを鳴らした彼女達は、今作なんとBloc PartyのRussel Lissackを迎えているのでそりゃそうよ・・・。とにかくキラキラとしたポップスであるghost riderがフェイバリット。

 

 

Deerhunter - Why Hasn't Everything Already Disappeared?

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貪欲にあらゆる音楽を取り入れながらも、やってる音楽はいつもサイケデリックな彼らのメランコリックな世界観が最もソフトに鳴っていて、Deerhunterの基本成分だけを凝縮して作ったソフトサイケな歌もの。特別音数が多かったり、かつてのようにノイズやリバーブを重ねてるわけでもないのに、とにかく聞いてて奥深く、ドラム音だけで一生聞いていられるくらいふわっとした音作り。

 

 

長谷川白紙 - えあにに

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清潔感のあるカオス。ありとあらゆる音が飛散しまくっていて、和製スクエアプッシャーの音めっちゃ可愛くなった版が無理やり歌モノをやっている、という印象だったんですが、その混沌っぷりはさらに極まり、しかもリズムへのアプローチまでどんどん複雑になっていてよくこれに歌乗せたな・・・と思いました。こんなに沢山音が鳴ってるのにスッキリ聞こえるのは魔法か?こういう変態的カオスとポップの融合体を聞くと遥か昔に好きだったsasakure UKやwowakaと言ったボカロPのあのハチャメチャ具合を連想するんですよね。

 

 

Iggy Pop - Free

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タワレコの視聴機にて聞いたんですがその場で立ち尽くし眼を真ん丸にしてしまった・・・。盟友であるデヴィッド・ボウイやその他60年台を共に過ごしたかつてのアーティスト達がどんどん亡くなっていく中、一番不健康な見た目で過激なパンクをやっていた彼が未だこんなにも前衛的で新しいアルバムを作っているという状況に恐れ慄く。感覚としてはベルリン三部作に近いかな?

そんな2曲目「Loves Missing」は今年最も再生した新曲の一つ。空間的に響くリズムの上を撫でるように流れるギターの持つ荒廃感・・・そして細野晴臣のようにすっかり低音ボーカリストのイメージがついてしまったイギーポップによる抒情的な歌に一瞬で支配されました。落ち着くな~。調べると今作、彼が見出したミュージシャンでありギタリストの「Noveller」とジャズ・トランペッターの「Leron Thomas」にほとんどのトラックを作らせ、自分は声を提供しただけ、とのこと。つまり、実質二人のアルバムなんですよね。そんなやり方もありなのかよ・・・て思いつつ、Freeというタイトル通り昔から自由にやってきた72歳のイギーポップの「今」が聞けます。

 

 

THE NOVEMBERS - Angels

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11人の天使達。ノベンバはART-SCHOOLスマパン的なグランジバンドだった時代から飛んできたのでもう驚きの連続。そもそも前評からインダストリアルやシューゲイザーV系の要素が強いってのは知ってたんですが、もうそういうジャンルを括る言葉自体彼らにはもう必要ないんですよ。だってわくわくしながら再生したら1曲目「TOKYO」から放たれたのは芸能山城組を思い起こすシーケンスで、一体誰がこうなること想像できただろうか。昨年ceroのPLMSを聞いて感じたような、今の時代にフォーマットされた様々なジャンルの共通点をブレンドした「異次元の音楽」で、オルタナ、ポストパンク、インダストリアル等の新時代の音。

とか言っときながら、メロウでサイケデリックな歌モノ「Everything」がたまらなく好きですね。

 

 

TAWINGS - TAWINGS

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すっかりポストパンクを聞き漁るのがこの2年くらい生活の一部分というかトレンドになってしまったんですが、その全ての元凶は実は彼女達でした。かつてyoutubeに投下された「Listerine」という2分無い曲の余りのジョイディヴィジョンっぷりに頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を受け、それがきっかけで現代のポストパンクを漁るように。二年半待ってようやくアルバムも発売しそのListerineも再録。

満を持して10月に公開された「水仙」がめちゃくちゃドリームポップだったんで路線変更かな?と思ったんですが、水仙もアルバムの流れで聞くとリズム隊はポストパンクだし、もう一つの新曲「Hamberg」は隠す気のない初期ポストパンクっぷりに思わず笑顔に。そして再録「Dad Cry」がもう自分の好きなポストパンクの要素詰まりまくっててベストトラック。金属的なギターでハズしたセッションをするってのがもう大好物なんですよ。

 

 

Truth Club - Not and Exit

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Jay Someが「90年代オルタナを思い出す新気鋭」みたいなプッシュをされてて、確かにあのアルバム好きだけど、むしろ00年台以降のドリームポップ色がどんどん強くなってたインディーロック界隈の総括、てイメージだったんですよ。でひっそりデビューしていたこのトゥルースクラブこそ90年台オルタナ最高な自分の成長しない感性をバッシバシ刺激する。

てわけで、オルタナ好き向けのギターの音色とノイズが乗るんですが、ポストパンクとしても聞けそうなぬめっとしたギターの上をこの気怠く疲れたボーカルが乗るのでなんともくたびれてる、、、と思いきや締めるとこはしっかり締めるんですよね。表題曲の「Not And Exit」は淡々としてるのか熱を持ってるのかよくわからないテンションのボーカルと演奏が交互にラウド&クワイエットする名曲です。なんだかんだこういうギターロックが一番しっくりきますね。

 

 

Big Thief - U.F.O.F

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ギターが最高にかっちょいいUSインディーみたいな印象だったのに、年々内省的なアコースティック路線を極めていくBig Theif・・・そして今年4ADに移籍しリリースということで、発売前からやりすぎなくらい期待値上げまくり。が、それを悠々と乗り越え堂々のSpotify再生数一位を獲得しました。

Cattailsという曲がとにかく好きで、4ADと組んだ魔術により、素朴なフォークロック路線なのに楽曲を演奏してるメンバーの姿が想像つかないようなスピリチュアルな雰囲気に包まれてるんですよね。とにかく耳に着地する各楽器の音が生々しくて心地良いんですが、その裏では何が眠ってるんだかわからないようなミステリアスさがあるんですよ。じわじわと体に浸透していくような感覚。

 

 

細野晴臣 - HOCHONO HOUSE

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元から思い入れの強い作品なのでこれを一位にするのは卑怯でしょうか・・・。


当時はレアだった宅録アルバム「HOSONO HOUSE」のセルフカバー。生音を徹底するために8畳のベッドルームで作られたあのアルバムを、YMOアンビエント、最近のジャジーなフォークをも経過した細野晴臣によって再構築。自然と電子音が入ってくるのだけどデジタル感はなく、他パートと完全に均一化されたアナログな音として鳴らされてます。50年近く世界に通用する音楽をやっている大御所によって選択された最小限の素材は極上で、車内で大音量で流した時のドラムの着地と低音のタッチと、家のヘッドホンで聞いたときの密室に閉じ込められたかのような心地の良い空間的サウンドの違いに感動しました。

元アルバムの曲順ひっくり返しただけなんですが、その構成は巧みでかつては十数秒で終わってしまったひたすらベースラインの心地いい「相合傘」がオープニングとして非常にうまく機能してます。そこから代表曲であり独特の緊張感を持った「薔薇と野獣」という名曲へなだれ込み一気に没入。そっからは単純に次はどんな音が鳴るのか・・・てのがめっちゃ楽しみになるんですよね。長くお世話になるだろうなぁ。

 

 


 

以上でした。とにかくTAWINGSが年内にアルバム出してくれたことが自分の中でかなりのビッグニュースでしたね。あとHOSONO HOUSEは本当に思い入れが強いアルバムで、かつてYMOはっぴいえんどで彼のベースラインが好きでたまらなくなったときにあのアルバムをyoutubeで聞いたときの「最適解」ぷりから特別なアルバムだったのが、まさか今セルフカバーするなんて、ね・・・。あと旧譜の方が正直メインでこれは母数少なすぎたので順位はかなり適当です。最後にリンクまとめたプレイリスト貼って終わり。

 

 

 

番外編

 

Kizuna AI - hello, world

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サマソニで話題になってたので興味本位で視聴。フューチャーベースって割とヒップホップとかも好きなヘヴィな音楽ファンにも通じるジャンルってイメージだったんですが、それをYoutuberである彼女がフィーチャーすることによってうまく別界隈の架け橋になりうる作品だと思いました。そういうやり方というか売り出し方もわくわくさせるようなアルバムで、もろにEDM要素も強くそっち系のファンも入りやすいし、何より中田ヤスタカが手掛けた「AIAIAI」はそれこそPerfumeとかともそんな距離ないので、これをリードトラックにして売り出して興味が出たユーザーとか、元々キズナアイが好きだったVtuberファンとかに、YunomiとかDe De Mouseの曲を聞かせるってのがなんとも粋です。

あとキズアナイとしての活動コンセプト「世界中の皆と繋がりたい」ていうのとも合致した作品ですよね。アルバムというよりは配信シングルの寄せ集めだったので番外編へ。正直この辺は弟にフューチャーベースを色々聞かせてもらったのもでかくて、俺自身こんなハマると思ってなかった作品。

 


 

来年はついに月ノ美兎がデビューするらしくてそれも楽しみです。いつもゲーム実況楽しみにしてるので・・・いや、音楽が俺の好みかどうかはまた別の問題だけどね。