朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

年間ベスト2018

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書きました。毎年ツイッターで行われている年間ベスト大会や、お気に入りのブログで更新されるのがとても楽しみなのですが、余り新譜をコンスタンスに買うというタイプの音楽リスナーではないので少し距離がありました。

そんな中、ようやく重い腰を上げてSpotifyに登録したため一気に楽しめるように・・・。てわけで記録です。順位付けはしてないですが、一応下るほど気に入った作品となっております。


 

 羊文学 - オレンジチョコレートハウスまでの道のり

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タイトルにもう惹かれる。ジャケットも良い。今年ファーストフルアルバムを出したんですけど夏感がすごくて、個人的に「マフラー」とか入ってるこっちの冬っぽいEPの方が好み(冬が好きなので)。ヤックやストーンローゼズが好きという20代前後の3人組で、俺が大好きだった00年台の湿っぽいギターロックの遺伝子も感じるし、そこに少しシューゲのフィルターを通したかのような透き通ってるようでザラザラした音に惚れました。

で個人的には洋楽のオルタナを聞いてきたファンがその影響下にあるってことで羊文学を聴くような流行り方ではなく、もっとシンプルに、初期衝動たっぷりの若い3人がノイズギターをかき鳴らし歌っている・・・とくに余り音楽を聴いてなかった層にもガツンと売れてほしいな~とか思ったりもします。

 

 ASIAN KUNG-FU GENERATION - ホームタウン

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我らがアジカンの新譜。待ちました・・・大好きだった「荒野を歩け」を軸にしたパワーポップ作、ということで期待しかなかったんですけど、1曲目のクロックワークから最高にエモーショナルでテンション上がりました。何よりリヴァース・クオモが参加してるってのがもう目標達成おめでとうというか、本当にゴッチはずっと昔から憧れていた人なので素直にこっちまで嬉しくなりますし、他にも「サーカス」とかいうペイヴメントオマージュっぽいのもあったり、それでも00年台の俺が一番好きだった頃のアジカンの作風に近くて安心感、安定感がすごいアルバム。

特設サイトで見たんですが自然とUK風味になってしまうアジカンにしては珍しくUSインディーっぽい質感を目指したとのことです。

 

Sandro Perri - In Another Life

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トロント・インディーシーンの大御所らしいです(全然知らん・・・)。タワレコから発掘。これも試聴機で衝撃を受けた1曲目「In Another Life」はミニマルなシンセリフをひたすら繰り返す24分の大作で、そこに抒情的なボーカルが乗るんですが、途中から余りにも心地よすぎる録音のギターがこれまたエモーショナルに鳴り響く。ずーっと、24分同じ繰り返しなんですけど、最後の2,3分で新しいメロディーがちょこっと(本当にちょこっと)入ってくるのがエモーショナルすぎるんですね・・・。長いけどその長さを感じさせない程に素晴らしく美しい名曲です。

 

People In The Box - Kodomo Rengou

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日本語を使ったアルバムタイトルは今までで初めてなんですが、最高傑作待ったなしでした・・・。再生していきなり今までにないような生音の質感にとても驚きました。そしてこの生っぽい録音、予想以上にPeopleと合っていて新感覚というか快感ですね。変拍子も健在で、ベースリフを主体とした怪しいリズムの中毒性が高くていつも通り気持ち悪く、でもってとびきりポップでサビの絶頂感は過去最大級な「町A」や、実験的ながらもメロディーはキャッチーな「夜戦」がベストトラックです。ここまでくると職人ですね。

 

Courtney Barnett - Tell Me How You Really Feel

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ローファイやインディーロック感のあるサウンドに、カントリーやルーツ・ミュージックの要素を取り入れた緩いサウンドっていうのがたぶん00年代以降のUSインディーのトレンドだと思うんですが、ペイヴメントの最終作とかにもあるような。であれに近い音をやってたのがコートニー・バーネットで、まさに最新のオルタナだと思います。で今作かなり気怠くもうとろけそうになったねちっこい1曲目「Hopefulessness」から恋をしちゃったくらい良く、ちょっとウィルコも思い出すかも。と思いきや1stにもあったようにガッツリとパワフルな、それでいて彼女特有のユルさも堪能できるギターロックが続きます。

 

Smashing pumpkins - SHINY AND OH SO BRIGHT VOL. 1 / LP: NO PAST. NO FUTURE. NO SUN

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ダーシー以外のオリジナルメンバー復活!ていうだけで、もう洋楽聞き始めてからずっと大好きなバンドなので感涙ものですね。あのTodayの頃のメンバーが戻ってきた、のだけど、最近のビリー・コーガンの作風やスタイルからも別に過去のサウンドは求めてなくて単純にどうなるか楽しみ・・・そしたらイハ、めちゃくちゃいいし、ジミーもリードトラック「Solara」では間違いなく彼にしか叩けないであろう、昔のスマパンばりの激しいドラムが聞けてかなり感動しました。ちゃんとマシーナを経過した音で90年台っぽい要素もあって、もうこれ以上のものは求められないって程に良かった。

 

Pinegrove - Skylight

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カクバリズムのオーナー角張渉がコンピレーションに入れていたのを聞いた弟が「俺が好きそう」てことで紹介してきたバンド。そんな前作「Cardinal」がもうフレッシュでローファイ感じるカントリーロックというか、そういう俺の好きな要素が充満していたのだけどその新作。聞いたら前作から更にエモーショナルになり、最早エモ・カントリーというか湿っぽい雰囲気とじわじわと盛り上がる熱がたまらず、いつまでも聞いていられるアルバムです・・・気づいたらこれを聴いてることが多かった年でした。

 

Bill Ryder-Jones - YAWN

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元コーラルのギタリストのソロ作品。ゆったりとした曲が多く、ボーカルはくてくてで疲れた感じなのに、ギターが最高にエモーショナルでそのギャップが染みます。まったり聞いてると突如ギターノイズの轟音が訪れる箇所がいくつかあり、シューゲのような神秘的に聞けるところもあってツボでした。あとジャケットが最高でもし2018年ジャケット大賞を決めるとしたら間違いなくこれですね。コーラル最初の1枚しか聞いたこと無いんですがリリースもかなりあるようで、ちょっと気になってきました。

 

Car Seat Headrest - Twin Fantasy

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ここ数年話題になっているUSインディーバンドの新作。実は17歳の時から宅録で曲を作りネットに上げ続けていた経歴があり、2011年に作ったアルバムを今ちゃんとしたスタジオ、ちゃんとしたバンドメンバーで作り直したという作品。ディスク2として当時のチープでローファイな原曲も付属していて、こっちも味があってかなり気に入っちゃったりしました。

しかし、ギターロック復活作品ですね。昨年もクラウド・ナッシングスの新作で大熱狂しましたが今年はこれです。昨今のベッドルームなチルなものではなく、シンプルにギターをかき鳴らすような曲群がかなりしっくりきます。3,4分で終わってしまいそうなスタンダードなギターロックも、もう頭の中のアイデア、やりたいことを全部詰め込んだ結果16分とかに伸びてしまっているのに決してだれない。ソングライティングが神がかってます。ジャケも好きだし・・・。

 

Taiko Super Kicks - fragment

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このジャケットを見てゆら帝の「空洞です」とか、オウガの「ペーパークラフト」を連想した人はまさしくその影響下にあるバンドなので是非。その辺よりももっととっつきやすいポップな音を鳴らすロックバンドで、響きを重視したスッキリとしたギターのぐにゃっとしたプレイと、音の引き算で作ったかのようなミニマルなサウンド。ミツメも思い出すようなボーカルはどこか無機質で、でもちゃんと歌もの。上で挙げた名前全部大ファンなのでもうドツボでした。

 

Soccer Mommy - Clean

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若干21歳の女性SSWにしてデビュー作。宅録感のあるローファイなギターの音がもうドツボで、緩い雰囲気ってよりはちょっとしんみりとした空気でアコースティック寄りなサウンドとマッチしてます。特別なことやってるわけではないんですが、センスというか、本人からそのままアウトプットされた作品って感じがしてすごく良い。たぶん再生回数だけなら今年一番聞いたアルバムは間違いなくこれですね。

 

cero - POLY LIFE MULTI SOUL

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ネオソウルとかに接近しブラックミュージック寄りだった前作と比べ、今度は古今東西あらゆるジャンルを取り込んでもうそういうバックグラウンドを語ること自体野暮というか、そういう異次元のサウンドに更にこれまた複雑なポリリズムで構築された楽曲群。でもってただのお洒落ポップスとしても聞けるくらいまた中毒性の高いメロディーが乗ってます。プログレッシブというか本当に聞いたことのないジャンルレスな音楽で、Peopleと言い、日本でこういうオリジナリティありすぎるの出てくると嬉しいですね。あと大人数のメンバーによるライブも各メンバーがちゃんと主役のパートがあって、本当に今最強の日本のバンドって貫禄。

 

Helsinki Lambda Club - Tourist

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1曲目の「マリーのドレス」からザ・ドラムスやペインズを思い出すようなキラキラとしたインディーポップに仕上がってます。ヘルシンキってダイナソーペイヴメント、ローゼズ等の90年台のサウンドに例えられることが多かったですが、最近のシングル群は完全にヴァンパイア・ウィークエンドとかも思い出すような、シンセとかが入ってきた00年台以降のUSインディーになってます。そしてヘルシンキってCメロと言うか、最後の大サビみたいな盛り上がりどころを作るのが昔から最高にうまいバンドで、しかもサウンド的に盛り上げるってよりは歌メロだけでやっちゃうのがとてもいい塩梅で何度も聞きたくなるんですよね。個人的に今年のベスト邦楽アルバムはこれです。あんまりうまくないボーカルもマッチしていて愛が止まりません・・・。

 

Snail Mail - Lush

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最初聞いたときは「良い感じのローファイ系女性SSWが増えてくれて嬉しい」程度の認識で年間ベスト入りする程はハマらなかったんですよね。ところがSpotifyを使ってあらゆる新作、話題作や旧譜を聞き続け多ジャンルを冒険していると、ふと、このシンプルなギターとバンドアンサンブルのこのアルバムが聞きたくなってくる。本当に脈絡がなく「Snail Mail聞きたいな」ていう瞬間が何度もあった。それを繰り返していたら、気づいたら大切な一枚になっていて、そんなにめちゃくちゃ回数聞いてるわけでもないのに年間ベストを作ろう、てなったときに自然に2位はSnail Mailかな、と選んでいました。

ヘリウムやピクシーズ等の90年代のオルタナ・インディーの影響をインタビューでも語っていて、そういった雰囲気がもろに出てる音作りやもたぶんマッチしたと思うんですが、先ほどのSoccer Mommyと同じく、もっと少女の生の歌、言葉が乗ってるようで、シンプルにソングライターとしてかなり惹かれます。たぶん今後も長い付き合いになるかと・・・。

 

Stephen Malkmus and the Jicks - Sparkle Hard

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圧倒的一位ですね。ペイヴメントのフロントマンとして90年台ローファイってジャンルを有名にした大ボス。別に今作はローファイじゃないですが、とにかく曲が良すぎる。別に「ペイヴメントっぽい」とかそういう思い出補正を抜きにしても、ただザ・ジックスというこのバンドの曲だけで来日してほしいし、なんなら続編も欲しい。彼はペイヴメントで一つの伝説を作ったが決してそれが全盛期ではなかったというのを思い知りました。長いキャリアを感じるような壮大な曲でも、マルクマスの声とリフとメロディが乗るだけで急に親しみやすくなってしまう魔法がかかってますし、Shiggyなんていうノイジーなリフとユルい歌が絡むといういかにもなマルクマス節も入ってて涙が出ちゃいます。

 


追記

追記です。上にあったHelsinki lambda clubのライブにこの数か月後に行ったのですが、丁度その新譜のツアーでですね。そこで出会った対バンのuri gagarnというバンドがおそろしくかっこよく、その後ドハマりし間違いなく2018年出た作品ではトップで聞いた音楽となってしまいました・・・。

 

uri gagarn - For

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group_inouのボーカルだったcpがフロントマンということで全く音楽性が違い戸惑いますが、そもそもgroup_inou自体がuriのドラムとしてimaiを誘ったというのがきっかけなようですし、imaiもバンドマンとしてイースタンユースナンバーガールの大ファンみたいですね。それならこの音楽性も納得ですが、暗いオルタナ・・・というよりはエモやハードコアの影響が強いのでしょう。ポストパンクっぽい質感もかなりあり空間的なドラムの音やミニマルさとかもかなり好みでした。ですが、単純にギターをかき鳴らし激情を叫ぶというシーンがかなり貫禄あり、同じような轟音オルタナ系のバンドと違うかなり独特で湿った空気感があります。

 

Cloud Nothings - Last Building Burning

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もう一つ、これを書いた当時はそこまでハマらず・・・ということでスルーしてしまったクラウド・ナッシングスです。リリースペースが速いのは嬉しいことなんですが、元々大ファンで昨年の年間ベストは間違いなく彼らの前作が一位、てくらい聞き込んだんですが、だからこそですね。前作と全く作風が違うんです。前作は本当に王道、明快でキャッチーなギターリフをかき鳴らし、最高にポップな歌を乗せ・・・という今までで一番わかりやすく、一番ギターロック好きに響くようなアルバムで自分もガッツポーズせざるを得なかったんですね。でそこから一年とちょっとで出た今作は一気にハードなパンクアルバムというか、非常に殺伐としたものへと変貌していて戸惑っていた部分がありました。

そしたら・・・またですが、この3か月後にライブで見てしまい再びドハマり笑 聞き返してみたらファーストインパクトの音の印象だけで語っていたんだなぁ・・・てのと、まだ一年ってことで前作もバリバリ聞き続けてる時期だったのもあって対比してしまってたんだなぁと後悔する程、普通に歌ものとして聞けるくらいキャッチーでした。何よりポスト・ハードコアとしても聞けるかのような重さのバランスもあります。

 

カネコアヤノ - 祝祭

「カネコアヤノ 祝祭」の画像検索結果

こちらも記事を書いた半年後くらいにドハマりしてしまい、2019年の夏はほぼカネコアヤノを聞いていた、と言っても過言ではなかったので置いておきます。オルタナやインディーが多いリストですがそれらとはちょっと色の違った、もっとシンプルにはっぴいえんどとかの系列にも入れられるようなシンガーソングライターという感じで、純粋に言葉に惹かれました。だからこそ当時、おそらくリアルタイムではスルーしてしまったんだと思われます。

前向きのネガティブというか、余り歌詞を聞いてハマること、自分は無いのでそれもまた意外だったり・・・。とにかく名曲づくめです。

 

以上でした。以下プレイリストです。また来年もやりたいですね。