うちの会社にちょくちょく出入りする営業さんにそこそこ音楽の話できる方いて、前に流れているスピッツの曲の話題でちょっと盛り上がり僕自身、というか向こうも大ファンってわけじゃないんですが、なんとなくどんなアルバムがあるか一通りわかってて話せるくらいには聞いてる方で。で職場で丁度butohes流してたんですがたまたま聞いて反応が大きかったのでちょっと踏み込んで聞いてみたら元々その方sora tob sakanaの大ファンらしい。で解散してしまったロスがすごくてそれ以降色々掘ってても全然次にハマれそうなバンドがいない、と悲しみを背負ったところでbutohesはsakana解散以降に聞いたアーティストで一番しっくり来たとのことです。People In The Boxを激推ししといたけどまだハマれてなかったとのことでリリース多いので簡単に解説はしました。
元々People In The Boxのファンなのでバンドで仲良かったの知ってるし(PeopleのライブDVDでハイスイノナサのメンバーが出てきたことがありそこで知った)、このアルバムだけTSUTAYAで借りて何年も昔に聞いた記憶あるんですがすっかり積んでいて、sakana経過以降に聞くと解像度爆上がりです。というかあのときポストロック余り好きじゃなかったしな・・・。ハイスイノナサでやったエクスペリメンタルにやりたいこと突き詰め深いところまで潜ってしまったのを、どこまで世界観を殺さず外に広げられるかってのがsakanaだったのかなという気もします。ポピュラー方面への挑戦というか。あと牧歌的な雰囲気の曲とかもあってこの頃からやってたんだなーと言う。今ならドハマりする予感してるしこっちももうちょい聞きます。
前作結構好きで、UKっぽい透明感あるサウンドのままヘヴィでジャキジャキなグランジ化してほしいというのは僕の勝手な要望があり、ジャケ見てダークだったしマジでそれあるんじゃね!?と期待、そしたら1曲目もうちょっとドリーミーというかインディーポップ寄りでこれはこれでいいけどそっちか・・・みたいな気持ちになってたら普通に重い曲「Lip Stick On The Glass」「Play The Greatest Hits」とかあって笑顔になりました。
今回アメリカがテーマということで、事前情報通りグランジ~オルタナ路線っぽい曲がドリームポップ経由の透き通ったヘヴィさみたいのがあってかなり好きでした。あと「Welcome To Cookieville」のイントロがもろリアル・エステートで超テンション上がり、アウトロの仕掛けもリアル・エステートの2ndで最後の曲のアウトロが一生続くあれを思い出してしまい超絶笑顔に。で次の「Radio Days」はイントロがスマパンのオマージュでそっから歌詞にペイヴメントが登場してきて・・・ていう、おそらくペイヴメントが2ndでスマパンについて歌ったことのオマージュだと思うんですが、とにかく最高ですね・・・。
USインディー聖地オリンピアより、カルヴィン・ジョンソン一派としては一番売れた印象のあるモデスト・マウス。もう大御所ですね。先行トラックからかなりドリーミーな感じで、元々フロントマンであるアイザックのヴィジョンを実現するため00年代以降は色々取り入れてったバンドでしたが、ここまでくるともうなんでも有りというか好き放題やってて、ダンスミュージックには寄らずにファンキーになってる印象でライブとかでめちゃ踊れそうな感じ。とは言いつつギターフレーズの節々からGood News for People Who Love Bad News期を思い出すかも。
TLでもフランク・オーシャンとかと比較されちゃってるし実際1曲目「spirit in the sun」からそんな感じで、「slow burning」とかも前作っぽさ残るロックからいきなりジャズとかソウル化しちゃうし・・・曲ごとに方向性がってわけじゃなくて1曲の中に全部ぶち込んでるんですよ。しかもぶった切った移行の仕方なのに違和感ないような海外ポップスっぽい太い録音でまとめられてて、意外と自然だし、歌い方もガラリと変えたわけじゃないんですがこのソウルフルさが全然違った聞こえ方になってる。これも詳しい方の全曲解説とか見たい。
The Loftっていうクリエイション創設期からアラン・マッギーの盟友ピーター・アスターによるバンドで音源も少なく、サブスクだとクリエイションのコンピとかでしか聴けなかったんですが、個人的にギターポップベスト曲と言える程それが素晴らしかったんですよ。でこちらも4月にディスコグラフィを網羅したものが出てきたり・・・と嬉しい旧譜が多かったですね。
treeというbandcampで見つけたマジで素晴らしいスロウコアバンドがいたのですが、詳細全く不明でした。ていうかスロウコアそこまで好きなジャンルってわけじゃないけどマジでドツボにハマるのが何組かいまして、元々きっかけは僕の場合はRodanとJune of 44、あとKarateとか王道のLowとか・・・これだけでも全然方向性違いますよね。
追記ですが先ほどdamezumariを紹介してくれた方がSpotifyにてスロウコアのプレイリストを公開していたんですがこれが素晴らしすぎました。Codeine、Red House PainteresやLow、Duster等の大御所をあえて入れずに100曲以上あるボリュームに感服です。全然知らないのも一杯あるし大変参考になります・・・というか1曲目からヤバすぎ・・・
ストーナーやドゥームメタルの流れを汲むヘヴィロックからノイズをつきつめてドローン~アンビエントのような路線でアルバム作ることも多いBoris、実際boris名義とBORIS名義でバンド寄りの作品、実験寄りの作品と分けてきたわけですが、今作バンドですが双方の影響が出てます。初期~中期の名作「Akuma No Uta」「Heavy Rocks」で鳴らしていたヘヴィロック路線から名盤「feedbacker」での抒情的なノイズミュージック要素が融合したかのような美しい轟音、そこにエモーショナルなメロディが浮遊感増し増しでのる1曲目「決別」から余りにも名曲。僕はこれで完全にぶっ飛ばされてアルバム買ったわけですが、そしたらもう「PINK」「俺を捨てたところ」と言った本来のヘヴィ路線であるドゥーム~ストーナー色の強い爆走ノイズチューンに完全にやられました。元々メタルそこまで得意ではないのですが、今作はただ激しいわけではなくサイケデリックな質感がついて回るので所謂ハードロック的な質感があまりなかったし、あと一番の決め手はメロディーがポップなことだと思います。この音で普通に歌がキャッチーなのでめちゃくちゃ入りやすいというか、実際聞く前は敷居高いアーティストだと思っていたんですけどね。
ツイッターで感想を見てるとシューゲイザー、ポストロック、ポストパンク、等々言われてますが個人的にそれっぽいジャンルに当てはめるのは妙にしっくり来ず、というのも本人達も別にそれをやってるつもりは全くないとのことで参照元もとくに思いつかないんですよね。ある程度音楽的なバックグラウンドを前提としつつその奥が見えてこない・・・という意味では同じく突然変異的に出てきたPeople In The BoxやDownyを思い出すし、それらと音楽性が似てるわけではないんですが、やってることが結果的に「ポストロック」としか形容できないという立ち位置に近いものを感じるというか。重厚にも関わらず全く聞き疲れのしない透明感があり、この音の波に身を任せ浮遊する感じは王道とは外れつつもシューゲイザーと形容したのかなという気はします。
ツイッターで流行っていた80sベストって言葉を見てぱっと思いついたアルバムこれとMission Of Burmaでした。インディーシーンの立役者ことスティーヴ・アルビニの原点となるバンドで、ドラムマシンによる暴走するマシーンビートにジャンク感たっぷりの超ノイジーなギターを乗せて爆走します。音割れというかもう半分以上ノイズでしょというくらい爽快感がありここにまたアルビニのキレた咆哮が乗るのでとにかくかっこいいです。ボーカリストとしての彼が一番映える作品これだと思います。
余談ですが、僕はナンバーガールがSappukeiを作るにあたってこの辺に影響を受けたという話を聞き開幕「My Black Ass」から圧倒的な緊張感、そしてギター音が裏返ったときの激カタルシスに衝撃を受けこの後ハードコアに目を向けるようになったんですが、「The Admiral」辺りのドラムのビート感がナンバーガールにもろ引用されてるものだったり、そのまま54-71にももろに繋がる感じですね。
名盤2nd。1曲目「Didn't We Deserve A Look At You The Way You Really Are」が12分淡々とワンフレーズ繰り返す曲で緊張感を維持して煮え切らないまま終わり、吹っ切れたように2曲目以降からは3分前後の衝動まみれの激しい演奏が続くという振り切ったアルバム構成。そのフラストレーションを溜めてからのカタルシスの連続が余りにも気持ちよく、やっぱアルバムで聞くのっていいなというのを再確認することとなったアルバム。個人的に彼らのベスト作です。というか「Disgrace」「Canada」もミニマルにフレーズを紡ぎつつ爆発していくのかっこよすぎ。この辺のBBCライブ盤の「Canada」でのテイクがマジでヤバイので是非とも。こっちはZAZEN BOYSとかがかなり影響を受けてると思われます。
lastfmやサブスクの再生数見ると彼らの一番の人気作これっぽいですね。今までのアルビニのボーカルはいつもスポークンワーズと歌の中間+シャウトともとれるものだったのが1曲目「Prayer To God」から珍しくしっかりと歌っていて鈍器のようなビートの上で爆発させていきます。「Canaveral」も歌ものっぽいし「Song Against Itself」も割とポップなんですが、逆に今まで以上にノイジーな曲もあったりと基本は今までの延長ですが今までの鋭利な作風から少しずつ拡張されてる気がします。緻密なセッションで練り上げるというより感覚的なセッションで曲を作ってるようなので当時のモードが反映されてるのかもしれません。
開幕「Boilermaker」から爆走していくんで前作にあったじわじわとまとわりつくような雰囲気とはまるで違い、とにかく爽快感ある1曲目に今聞いてもかなりびびります。Goat収録の「Mouth Breather」とか好きだった人にはヤバイでしょう、てかそれ僕ですが・・・。前作より激しいし速いしで割と聞きやすいですがフレーズとフレーズの隙間が見えるおかげでリズム隊が非常に映えるのは勿論変わらず、ドラムのキレキレっぷりは更に増していて個人的にMinuetmenとかGang Of Forとかの流れでも聞ける気がします。というよりScratch Acid時代まで遡って聞くとあの頃のデヴィッド・ヨウのボーカルってゴスとかポジティブパンク感が結構強くて、グラムロックとかも好きなようなのでその辺がハードコアやノイズロックを通過した・・・というのが彼らなルーツな気がしてきますね。ちょっとBauhaus思い出すとこもあるし。
イタリアのバンドですがTouch&Goでアルビニ録音。Big BlackとScratch Acidのメンバーが合流してRapemanになりそれが分離してShellacとJesus Lizardになった・・・という変遷を辿ってきたわけですが、これらのバンドが好きならまず間違いないってバンドがこのUzedaですね。まぁほんとにShellacとかを連想する縦横無尽な曲展開に半ポエトリー+シャウトとも言えるボーカルが乗ってくわけですがShellacと比べても超ノイジー。とにかく濁っていて汚水とも言いたくなるようなジャンクなギターノイズで埋め尽くす1曲目「Nico And His Cats」からかっこよすぎですが、不定形の歪んだギターリフをドラムが繋ぎとめてく感じがドラムで聞くノイズロックって感じです。
Don Caballero周辺はアルビニ録音+Touch&GoであとRodan~June of 44~Shipping NewsのほとんどがアルビニのスタジオでShellacのメンバーであるボブ・ウェストンが録ってる上に、レーベルもTouch&Go及びその傘下のQuarterstick Recordsで、この辺のシカゴ~ルイヴィルの布陣というかシーンが僕はもうほんとに好きすぎる。
他にもライブ盤でもお馴染みの「In The Abscence Of Strong Evidence To The Contrary, One May Step Out Of The Way Of The Charging Bull」「Delivering The Groceries At 138 Beats Per Minute」など代表曲目白押しですか、どれも1stが2ndに至るまでに拡張されたプログレッシブな展開をしつつメタリックなギターサウンドも所々残ってる・・・という感じでただメインというよりは"カラフルな曲展開の内の一つ"という具合に収まりかなり聞きやすいです。総まとめとも言えるし重かった1st~2ndと完全にポストロック寄りになった4thのいいとこどりをしてるとも言える作品で「Slice Where You Live Like Pie」はもうベストトラックなんですが、リフもキャッチーだし音色も抒情的で後の名作American Donへ繋がってったのがわかります。American Donと並んでオススメ、というかセットでどうぞ。既にミニマルな要素強いですがより硬質なのがこちら。
代表作。ジャケも有名でTouch&Goの顔とも言えるアルバムでアルビニ録音の名盤としても有名です。でまぁ完全にマスロックで、ディストーションが効いたへヴィなギターリフなどの要素はもうほとんど前作においてっちゃってるんですけどね。名曲「The Peter Criss Jazz」はタイトなセッションやアンサンブルを聞かせるというより、完全に空間に浸透していく音色を聞かせるといった方向にシフトしたルーパーとポリリズムを駆使したギターリフの繰り返しでどんどん世界観を広げていきます。こういう広がってくスケール観をアルビニの密室感ある音であえて録るというのが非常に箱庭的で割とこの手法後のポストロックにも繋がるし、同年にMogwaiもアルビニ録音を出してたりと同時代で共振していたと思います。
以前聞いたときはやっぱ歪んだギター多い方がいいっていうシンプルな思考で3rdをよく聞いててこっちは難しい印象あったんですが、むしろ曲を印象付けるリフやフレーズはこっちの方がキャッチーでわかりやすい気もします。「You Drink A Lot Of Coffee For A Teenager」「Details On How To Get Iceman On Your License Plate」とかは抒情性たっぷりで複雑なのにフレーズもキャッチーですんなり聞けるし何より展開も音色もめちゃくちゃエモいしで、割とシカゴ音響派やキンセラ兄弟とも関連付けて「ポストロック」として一番聞きやすいアルバムかも。
ドンキャバとメンバーほぼ被ってますがめちゃくちゃ実験的な作品。というか中心人物であるデーモンがいないので別物、イアンのギターは確かに近いけど曲構成がめちゃくちゃ実験的で、とにかく手数多く突っ走るドラムの上でそのリズムを無視したギターのフレーズも非常に不規則といいますか、形を保っていないような各パートのフリーセッションの塊・・・フリージャズとかのが近いんですかね。ちなみにアルビニ録音、イントロ前のまるでスタジオ内で楽器をやりくりしているのを目前で見てるかのような臨場感があります。どの音も誇張して来ず音の実験のようなとこもあり、Gaster Del SolとかJoan of Arcとかのが近いかもでそれと近いような音響メインというか、音の隙間の空間に浸るというような聞き方がしっくりくるかも。