朱莉TeenageRiot

棚,日記,備忘録

sora tob sakanaとか

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ほぼ日記、とsakana聞き返した感想です。

うちの会社にちょくちょく出入りする営業さんにそこそこ音楽の話できる方いて、前に流れているスピッツの曲の話題でちょっと盛り上がり僕自身、というか向こうも大ファンってわけじゃないんですが、なんとなくどんなアルバムがあるか一通りわかってて話せるくらいには聞いてる方で。で職場で丁度butohes流してたんですがたまたま聞いて反応が大きかったのでちょっと踏み込んで聞いてみたら元々その方sora tob sakanaの大ファンらしい。で解散してしまったロスがすごくてそれ以降色々掘ってても全然次にハマれそうなバンドがいない、と悲しみを背負ったところでbutohesはsakana解散以降に聞いたアーティストで一番しっくり来たとのことです。People In The Boxを激推ししといたけどまだハマれてなかったとのことでリリース多いので簡単に解説はしました。

でbutohesの件、自分のことじゃないけど知人のバンドなので僕はめちゃくちゃ嬉しいんですがbutohesのライブ会場とかで遭遇したらそれはそれで嫌だな〜みたいなこともちょっと思いつつ、だって普通に趣味の知り合いとか友達とかといるだろうし気まずいっしょ・・・いやあんまなさそうだけど・・・ないか?sakanaの都内公演ほぼ全て通い詰めてたって言ってたし本気になれば全然ありそうですね。

てかbutohesの藤井さん、sakanaの作曲やってる照井さんの大ファンでsakanaの前にやってたハイスイナサの方にもすごい詳しい方だしまぁ腑に落ちるとこかなりありますね。サカナ、自分もまだにわかなとこあるんで、結構好きで1stとEP2枚は結構聞いたしレンタルに無くて買ったくらいにはファンですがまだ聞けてないとこもあるんでちゃんと聞こうと思います。あとうちの会社に来るときも普通にサカナのトートバッグできてたみたいで全然気づかなかった・・・話のネタにもなるし、普通に僕も好きなアーティストなので・・・てことで順に聞き返しました。


sora tob sakana(2016)

sora tob sakana : sora tob sakana | HMV&BOOKS online - FPJ-40004

てことで1st、リリースの中ではたぶん最もガチガチに残響レコード色が強くて普通に代表曲の夏の扉とかもろエモだなぁと思いました、結構ヘヴィだし・・・オルガンが入ってるとこがすごい照井さん要素って感じしますが、当時15とか16?とかの少女たちのグループってことで売り出してたっぽくだからというか純粋無垢に着飾らない歌唱法がちょっと無機質に感じるんですよ。絶妙に残響っぽい冷たい感触と合うなぁとか思ってると割と曲は熱い展開からめちゃくちゃギター歪んでたりもしていて良い・・・。あと「広告の街」これたぶん代表曲なんですけど、残響のマスロック要素とはまたちょっと別の方向というか、確かにマスロックだけどこれCorneliusのPointじゃん!ていう、そっちも入ってるんだって衝撃。言われてみればあんま交わって考えたことなかったけどPointってマスロックとかなり感触近いかもしれない。大名曲ですね。

 

cocoon ep(2017)

alight ep(2018)

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EP二枚、いやまとめるものでもないけどまだバンドサウンドっぽいなぁと思ってた1stからぐっと音楽性広がったって印象あります。cocoonに入ってる「タイムマシンにさよなら」とかちょいフューチャーベースっぽいしね。で今聞いてもこれヤバすぎる・・・昔alight epの1曲目「Lightpool」初めて聞いたときイントロからもうとんでもなくて、リフとリフが高速で絡み合って頭おいつかないくらい展開していくしこれで歌乗せるんだ・・・ていう。しかもキャッチーだし。あとドラム、IDMとかドラムンブレイクビーツを更にバンドサウンドでやってるみたいな印象も受ける程にキレッキレです。鳥肌立ってテンションぶち上がった記憶あるしそこから続く「鋭角な日常」なんて、鋭角って言葉やっぱ残響レコードの所謂ナンバガ以降のジャキジャキなギターロック達のことを散々「鋭角サウンド」て称されてきたわけじゃないですか、色んなメディアで、久々にその文字を見た気がするし当事者によるsora tob sakanaというアイドルユニットの皮を被った回答ですよね。楽曲の方はだからと言ってジャキジャキのギターまみれの殺伐・・・てわけでは全くなくむしろギターは一つの飛び道具くらいで複雑に展開してくんですが、そこも若干冷めた感じありかなりクールですね。

1,2曲目の印象から強靭なマスロック要素をより強めたのがalight epって感じしますがB面は割とキャッチーにまとめられてて、cocoon epはエレクトロ要素との折衷って感じでしょうか。まぁcocoon側にも「夢の盗賊」はバチバチにマスロックなイントロで、やっぱロックファンとしてはぶち上がっちゃうけど、「夜間飛行」とかは出世作New Strangerに繋がるマスロック由来の複雑なギターリフとエレクトロ要素の打ち込みリフレインの調和って感じがしました。前にハマったときもこの2枚ばっか聞いてた記憶あるんでやっぱ好きです。

 

New Stranger(2018)

sora tob sakana/ New Stranger 通常盤 【CD】 ワーナー ブラザース 通販 | ビックカメラ.com

すごく思い入れある作品、、、というかここまで書いといてなんですが僕はアニオタなんで普通にハイスコアガールの大ファンなんですよ。てか白状するとsakana聞いたきっかけアニメからですし、この曲聞くと普通に最終話とか思い出してボロボロ涙出てきてもう音楽的視点から聞いてみよう!とか全くできませんね。てわけで思い出補正強くあてになりませんがやっぱ良い・・・先ほどの夜間飛行のエレクトロ要素がアニメのコンセプトであるゲーセンっぽいピコピコ感を出した結果残響要素ほぼ無くなり、普通にキャッチーになってるんで入り口として最高だと思います。でB面も良くて「silver」とかはファンキーな要素強いロックバンドに照井さんらしいオルガン入ってるって感じで、「発見」聞いたときめっちゃポストロックでかなり驚いて、確か発見をきっかけにsora tob sakanaってアルバムではどんな感じなんだろう?て気になったのが最初でしたね。

 

flash(2019)

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flashは二期OPでNew Strangerのゲーセン感残しつつもっとバンドサウンド強くしたって感じでしょうか、アニメ見てた時は最終話前まではこっちのが好きだったな・・・。でこっちもB面がすごい好きで「パレードが始まる」は珍しく完全にエレクトロニカな方向行ってて路線変更感もあり同年のフルアルバムと繋がるんですが、「踊り子たち」は・・・さっき聞いて今ぶち上がってますがこれめちゃ好きなやつですね。ふわっとしたオルガンとか浮遊感あるノイズとか入ってるバンドメインの曲でポストロック的にスケール感広げていくんですが、あえてドラムの録音とか生っぽく全体的にローファイに録ってるのがかなり良くて、曲の方は音を広げてるのに録音の方は密室感があるってのが好きなんですよ。00年代前後のポストロック思い出すというか、ドンキャバとかモグワイアルビニ録音で録ったのをちょっと思い出します。

 

World Fragment Tour(2019)

sora tob sakana/World Fragment Tour<通常盤>

フルアルバムでぶっちゃけ前ハマったときここで止まってしまったというか、全然覚えてないんでちゃんと聞いたこと無かった・・・てことで完全に新鮮な気持ちで聞いたら「knock!knock!」でびびりました。インド?てかめちゃエキゾチックな色強くて、もうバンドより完全にエレクトロ要素の方が強いんですが、今までのマスロック部分を打ち込みに担当させてバンドの方はシンプルになった分幅を効かせてるって感じします。今までの残響以降のマスロックを深化させ続けて最終的にこうなるのポスト残響としてめちゃくちゃかっこいいですね。まだ第一印象止まりなのでもうちょっと聞いてみます・・・。

で聞いてて思ったんですがメンバーの歌唱力とか表現力がぐっと上がってて普通にそれに合わせて演奏を複雑化せずそれを生かすようにシフトしていったって見方もある気がしてきました。無機質な質感が減ってるというか、実際同時期に出てるシングルでは牧歌的な曲もあったりするんですよね。

あと「暇」て曲遊び心溢れる箸休め的な曲だと思うんですがこれかなりCornelius思い出してやっぱ多少意識はある感じします、あと「タイムトラベルして」はアメフトとかそれ以降のエモリバイバル思い出すリフが出てきて大名曲、この曲めちゃくちゃハマっちゃいました。


終わりです。アイドルということでメンバーの変遷もあったり、作詞面でも初期から一貫してるものやストーリー性も強いようでそういう世界観の方からレビューしてるブログとかは割と見るんですが、ぶっちゃけ僕はまだ歌詞ちゃんと聞けてないんでノータッチで・・・。あとセルフタイトルとかシングルまだありますが機会あれば・・・最後にこれもさっと聞いたsora tob sakanaのメインコンポーザーである照井さんによるハイスイノナサ

動物の身体

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聞いたんですが、もろ原型でした。びっくりした、こんなにまんまだったっけ?難解だしIDMっぽいな~となる部分も多いんですが、普通にヘヴィな曲もあってぶっちゃけドンキャバとかそっち方面のポストロック思い出すとこもあった・・・。

元々People In The Boxのファンなのでバンドで仲良かったの知ってるし(PeopleのライブDVDでハイスイノナサのメンバーが出てきたことがありそこで知った)、このアルバムだけTSUTAYAで借りて何年も昔に聞いた記憶あるんですがすっかり積んでいて、sakana経過以降に聞くと解像度爆上がりです。というかあのときポストロック余り好きじゃなかったしな・・・。ハイスイノナサでやったエクスペリメンタルにやりたいこと突き詰め深いところまで潜ってしまったのを、どこまで世界観を殺さず外に広げられるかってのがsakanaだったのかなという気もします。ポピュラー方面への挑戦というか。あと牧歌的な雰囲気の曲とかもあってこの頃からやってたんだなーと言う。今ならドハマりする予感してるしこっちももうちょい聞きます。

 

最後に公式で挙がってるマジでヤバイ動画貼っときます、ボーカル無いですが本人達の演奏動画で、これだけ聞くととてもアイドルの楽曲とは思えない・・・

 

kusodekaihug2.hatenablog.com

上半期まとめ2021

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今月SPOILMAN新譜も控えてたりKarate再発に胸をざわつかせたりしてますが、とりあえず聞いた1-6月の新譜まとめです。上半期ベストとかを選べる程聞いてないので、代わりに聞いたもの全部に簡単にコメントしていくやつ書きました。あんま自分から掘らなかったので話題作ばかりですね。


Wolf Alice - Blue Weekend

Wolf Alice - Blue Weekend [Softpack] - Amazon.com Music

前作結構好きで、UKっぽい透明感あるサウンドのままヘヴィでジャキジャキなグランジ化してほしいというのは僕の勝手な要望があり、ジャケ見てダークだったしマジでそれあるんじゃね!?と期待、そしたら1曲目もうちょっとドリーミーというかインディーポップ寄りでこれはこれでいいけどそっちか・・・みたいな気持ちになってたら普通に重い曲「Lip Stick On The Glass」「Play The Greatest Hits」とかあって笑顔になりました。

 

Mogwai - As the Love Continues

Stocks at Physical HMV STORE] As The Love Continues : Mogwai | HMV&BOOKS  online : Online Shopping & Information Site - ROCKACT140LP [English Site]

元々好きなバンドなのに未だ聞いてないのまずいと思ってさっき聞きました。でA面何曲か聞いてエレクトロ路線の打ちこみビートにノイズギターが乗って今作良い感じの折衷なのか・・・?とテンション上げてたら「Ritchie Sacramento」「Ceiling Granny」みたいな普通に90年代思い出すバンド感ある爆音オルタナが続いてかなり好きなアルバムだということが判明。「Fuck On Money」は懐かしのスロウコアっぽい路線で突如大轟音パートに飲み込まれるとこはもう職人芸で泣けます。最初期のTen Rapidをアップデートしたような印象もあり、ツイッタースマパンとかと比較されてたのも納得したしもっと早く聞いとけばよかった・・・。ジャケットも好みだし、近年の彼らでは文句なしにベストですね。

 

Faye Webster - I Know I'm Funny haha 

FAYE WEBSTER - I Know I'm Funny haha :LP | Newtone records

これも前作結構好きでさっき聞きました・・・人の上半期ベストで見かけて聞いたんですがステラ・ドネリーのライブに乱入してヨーヨーやってた子ってイメージが強すぎてそういうかわいらしい感じのSSWかと思って聞くとイメージ真逆、トロピカルな雰囲気漂う激渋インディーフォークでびびります。もうちょっと聞きたい。あとリズム隊骨太すぎるっていうか低音太すぎて他の音はふわっとしてるんで妙に癖になります。

 

black midi - Cavalcade

CAVALCADE / カヴァルケイド/black midi/ブラック・ミディ|ROCK / POPS /  INDIE|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net

先行曲「John L」聞いてこれZAZEN BOYSの新作?と思っちゃうくらい寄ってたんですがアルバムはもっとマジでわけわかんないくらいカオスになってるんだろうなと予想。そしたら意外にそうでもなかった・・・というかスロウペースで歌で聞かせるメロウなナンバーとか、マスっぽい曲も前作Schlagenheim程エネルギー暴走してる感じはなくむしろジャズが中心にあるようにも聞こえてきます。もう参照元とか考えるのがアホらしいくらい闇鍋的な作品でポストパンクとかいう言葉も野暮だし、サウスロンドンってそういうバンドが多い気もするね。

やっぱJohn Lかっこいい。僕はこの曲マジで好きで繰り返し聞いちゃうんですが、ZAZEN BOYSだけではなくAhleuchatistasとかSweep a Leg Johnyとか(この辺はキンクリ経由でも繋がりますが)大好きなマスロック思い出すのでマジでピンポイントでツボですね。

 

Shame - Drunk Tank Pink

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かなり好きなアルバム。前作からポストパンクの旗手扱いされてましたけどベースぶっといとこ以外に個人的にポストパンク感じず、むしろライブパフォーマンスとか見てると激パンクバンドじゃんとか思ってたんですが、今作逆にギャング・オブ・フォーとかXTC思い出す鋭角ギターリフを軸に高速展開してく曲多くて、キレキレに敷き詰められたドラムからも確かにポストパンクっぽい・・・となりました。でもフレーズにそれを感じただけでファンクとかディスコに寄るポストパンクではなく、基本的にロックの衝動たっぷりなのがいいですね。ストレートに熱くなるというか。

 

Black Country,New Road - For the first time

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話題作。僕はこれ聞いてSlintっぽい・・・というか2曲目の「Athens, France」聞いてこれSlintのGood Morning,Captainじゃんとかなりテンション上がったんですが、あの辺のSlintとかRodanとかのルイヴィルのシーン一番好きなとこなので、まさかそこを参照するバンドがサウスロンドンから出てくるとはという予想外の喜びがありました。「Sunglasses」はRodanっぽい。

で曲によって勿論様々な色があるんですが、爆発させるってより大所帯バンドでホーンセクションもガッツリ取り入れてカオスに展開してくって感じで、ツイッターではキング・クリムゾンと比較してる人もいたし、ノイズ要素や曲展開の仕方からソニック・ユースから切り込んだファラ氏の記事(Black Country, New Road "For the first time"|ファラ|note)も新しい視点でかなり面白くて、それぞれの個人史によって連想するアーティストが広いの良いなーと思いました。僕が見てるのも本当に一面でしかないんでしょうけど。

 

Squid - Bright Green Field

BEATINK.COM / Bright Green Field

こちらもサウスロンドン、WARPからでこっちはディスコパンクとは違った路線から踊れるポストパンクに接近してて個人的にFoalsの初期とか思い出します。ボーカルがめちゃThe Fallのマーク・E・スミス思い出すちょいとヒステリック入った感じがとにかく好きで、バンドサウンドのダンスビートにこういうフリーキーなボーカル乗るだけでいいですね。

 

Parannoul - To See the Next Part of the Dream

파란노을 (Parannoul): To See the Next Part of the Dream Album Review | Pitchfork

話題作。韓国のバンドですか開幕リリィ・シュシュ引用からのNHKにようこそのアニメからサンプリングしてたり、インタビューでSyrup16gBURGER NUDSのファンを公言したり、こういう露骨にオタクにぶっ刺さるのピンポイントでやりつつエモ+シューゲイザーやるっていうマジか・・・狙い撃ちされた感あるけど本人も好きなもの詰め込んでるだけなんでしょう、かなり好きです。

シューゲイザーにしてはノイズが重くてエモグランジとかスペースロックの系譜感じて、ドラムも硬い感触なのがめちゃ好み。しかもこれ演奏しないで全部DTMで作ったらしく驚愕です。パソゲイザーじゃん。

 

カネコアヤノ - よすが

CD『よすが』 | カネコ商店(カネコアヤノ公式オンラインショップ)

アヤノ、好きだ・・・。

 

ミツメ - VI

VI(シックス)アナログ/mitsume/ミツメ|日本のロック|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net

前作は演奏ミニマルにして歌はポップにって印象だったんですが、そっから比べると割といつものミツメっぽさがあり、で更にミニマルになってる上に曲は変化球続きな気がします。ギターそぎ落としてより素材感があり、バンドの組み立て方というか輪郭がはっきりわかるし、だからこそリズムへのアプローチとか曲展開が映えてる気がします。

 

既踏峰 - 夢をみる方法

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ストパンク~ネオアコギターポップの音を鳴らす宅録バンド(ソロ?)の2作目でジャケットがあまりにもかっこよすぎる・・・。前作はミツメとかフィーリーズとかが引き合いに出される感じでその中からもう少しドリーミーな展開とかシューゲイザー感じる部分もあったんですが、今作もっとアンサンブル強めというかテレヴィジョンやオレンジジュースを思い出すような、単音ツインギターの絡み合いを重点的に感じて「夏がすぎる」「へんな恋」とかアウトロの詰め込んだ展開にキュンときちゃいますね。

 

butohes - Lost In Watercycle

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先行シングル「Hyperblue」が公開されたときかっこよすぎて楽しみだったEP。クリーンなギターリフを重ねて音の波で埋め尽くしていくんですが、その中からメロディが自然と浮き上がってくるような、轟音とは違うんですがこの透明感のある重厚なギターサウンドがめちゃくちゃ気持ちよかったですね。インスト系のポストロックと歌もののギリギリ中間を縫うような歌メロが個人的にかなりツボだったというか。ボーカルの方がエンジニアも兼ねてるとのことで彼のアンビエント趣味が強く出たというB面のエクスペリメンタルな路線から自然とバンドサウンドに帰結してく流れも良かった。

 

Mekubase - Monolog EP

Monolog(EP)/Mekubase|音楽ダウンロード・音楽配信サイト mora ~“WALKMAN”公式ミュージックストア~

先行公開された「モノクロの街」のイントロからもうこの夏にぴったりのキラキラとしたギターポップでド田舎の実家戻りながらめちゃくちゃドライブのBGMにさせてもらいました。でEP出て聞いてみたらもうちょいオルタナ色強く、シューゲイザーとまでは言いませんがギターポップシューゲイザーへと変化するその前夜感・・・というか普通にRideのそこまで轟音じゃないバージョンという言葉がよぎり、ていうかボーカルの声良すぎる・・・。

元々Elfs In Bloom~Happy Vally Rice Showerで活動していたたびけん氏がギター及び作曲で参加していて、そっちからもう大ファンなんですがもろ通じるとこもあり「Karenみたいなバンド組みたいよね」という話から結成されたようです。

 

The Planet We Can See - Ocean of the Stars

Mississippi Khaki Hairのメンバー所属、THE PLANET WE CAN SEEの新作CD-R販売スタート - 音楽ナタリー

Misisippi Kharki HairのフロントマンTaito氏による新バンドで先日ライブにも行ってきました。音源では浮遊感のあるキラキラとしたシューゲイザーで最初The Radio Dept.辺りと重ねて聞いてたんですが、ライブで見たら既存の曲、あと未発表曲も含めかなり踊れました。Misisippiの頃からフランツ~インターポールとかのポストパンリバイバルっぽさありましたがやっぱり根本は近いとこにありアウトプットの方向性が違うというか、こっちはもっとDEVOとかUltravoxシューゲイザー通過しましたみたいな色で、未公開曲ではめちゃくちゃエッジが聞いたThe Walkmenみたいな曲もあって音源楽しみです。轟音で踊れるってライブで一番気持ちいいやつですからね。

 

For Tracy Hyde - Ethernity

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今回アメリカがテーマということで、事前情報通りグランジオルタナ路線っぽい曲がドリームポップ経由の透き通ったヘヴィさみたいのがあってかなり好きでした。あと「Welcome To Cookieville」のイントロがもろリアル・エステートで超テンション上がり、アウトロの仕掛けもリアル・エステートの2ndで最後の曲のアウトロが一生続くあれを思い出してしまい超絶笑顔に。で次の「Radio Days」はイントロがスマパンのオマージュでそっから歌詞にペイヴメントが登場してきて・・・ていう、おそらくペイヴメントが2ndでスマパンについて歌ったことのオマージュだと思うんですが、とにかく最高ですね・・・。

  

Modest Mouse - The Golden Casket

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USインディー聖地オリンピアより、カルヴィン・ジョンソン一派としては一番売れた印象のあるモデスト・マウス。もう大御所ですね。先行トラックからかなりドリーミーな感じで、元々フロントマンであるアイザックのヴィジョンを実現するため00年代以降は色々取り入れてったバンドでしたが、ここまでくるともうなんでも有りというか好き放題やってて、ダンスミュージックには寄らずにファンキーになってる印象でライブとかでめちゃ踊れそうな感じ。とは言いつつギターフレーズの節々からGood News for People Who Love Bad News期を思い出すかも。 

 

Sleater-Kinney - Path Of Wellness

Sleater-Kinney: Path of Wellness Album Review | Pitchfork

モデスト・マウスに続きオリンピアの90sを代表するインディーロックバンドことスリーター・キニーの新譜で、僕は彼女達を中心としたキルロックスターズとかあの辺のライオットガールが元々好きだったんですが(最近はサブポップから出してたっぽい)、昨今の音源ちゃんと追えてなかったけどモデスト・マウスと同じタイミングで出て、好きな時代の好きなシーンの人達がまだ現行で続けてくれてるのいいよなぁとか思って聞きました。そしたら現行のUSインディーをアップデートしたバンドらしいアンサンブルを殺さずアレンジの幅を広げてるといった感じで、割とサイケやミニマル感じる曲もあったりでトリッキーだしめちゃかっこよかった・・・。まだ第一印象止まりなんでこれからもうちょい聞きます。どうやらメンバー抜けてたり直前のアルバムでセイント・ヴィンセントと組んだりしてて変化の時期だったぽいですね。

 

Cloud Nothings - The Shadow I Remember

THE SHADOW I REMEMBER / ザ・シャドウ・アイ・リメンバー/CLOUD NOTHINGS/クラウド・ナッシングス/世界同時リリース  / ボーナストラック収録|ROCK / POPS / INDIE|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net

Cloud Nothingsはいつだって最高。

 

Fiddlehead - Between the Richness

インディーロック名門RFCRからでこのレーベル近年ハードコアルーツのバンドが多数リリースしててかなり好きなとこです。でそんなFiddlehead、シンプルだけどこういう歪んだギターをガンガン鳴らしてエモーショナルに叫ぶみたいなのマジで良い・・・。マスとかポストロック要素もあるエモリバイバルとも距離あるし、ハードコア強いエモと言って激情系に行くわけでもなく、ストレートに”ポストハードコアがメロディアス化した”という90sっぽさが強くて好きです。

 

Tigercub - As Blue as indigo

As Blue As Indigo : Tigercub | HMV&BOOKS online - BLAME004CD

上記のFiddleheadやCloud Nothingsからサブスクが自動に流してきたオルタナ系の新譜をぱーっと聞いてたらなんとなくグランジ~ポストグランジ感のあるバンドが多くて、でこれは一応そん中で一番気に入ったやつです。90sシアトルのグランジっぽさがあり、所謂「ニルヴァーナっぽい」というだけじゃなく、グランジ本来の変拍子とかサバスっぽいリフとかも継承した感じで、割と派手で歌もキャッチーなのに曲はより複雑になってるのもかっこいい。ストテンとかキャンドルボックスとか思い出す感じでRoyal Bloodとかも近いなーと書きながらそっちが新譜出してたことにも気づいたり(まだ聞いてません)・・・。

 

Danny Elfman - Big Mess

Danny Elfman/Big Mess

元々映画のサントラとかを作ってた人らしくじゃあえらくコンセプチュアルでプログレッシブな作品でもくるのか?と思いつつツイッターの音楽好きで盛り上がってたので聞いてみました。そしたら大幅に予想外だったメタリックなニック・ケイヴとも言える音を鳴らしててちょっとインダストリアル味もあるし、何よりとにかくギターリフかっけえ~!みたいな脳みそ空っぽにして聞いてもロックの衝動があってすごく良かったです。てかこれオインゴ・ボインゴの人らしくてそれもまた全く印象違ってびっくりした・・・。

 

The Spirit Of The Beehive - ENTERTAINMENT, DEATH

普段アンビエント方面に強い知人にオススメしてもらったのもあり、完全にエレクトロ寄りのアーティストだと思って聞き実際1曲目からそうなんですが、途中急にインディーロックでバンド化するんですが余りにも唐突な転換にびっくりした・・・。シューゲイザーの系譜らしいけどどうやらメンバーにエレクトロニカのヤバイ人が参加してるみたいでその色が強まったのが今作、ぽいです。

しかしジャンルのぶった切り方がすごくて、元々打ち込みビート+シューゲイズってのは個人的に好みなんですが、今までのそういうバンドと同じ聞き方できないくらいノイズ要素もギターが出すノイズなのか、打ち込みが出すノイズなのか・・・完全に溶け込んでしまってるし、グリッチ感もあってでもあくまでインディーロックの枠で囲ってポップに聞かせてしまうところとか、あんまり言語化できないですねこれ・・・。

 

Japanese Breakfast - Jubilee

ミシェル・ザウナー率いるJapanese Breakfast、新作アルバムリリース! | BELONG

元々シューゲイザー文脈とかで語られてたアーティストだし前作とか最近の潮流考えるとドリームポップ純度高めてくるかなと思ったんですが、あんまそういうふわっとした質感よりシンセポップとかの80sのキラキラ感とかが強まってて良かったです。全体的に靄がとれた感じ。

 

Home Is Where - I Became Birds

Home Is Where – I Became Birds (2021, File) - Discogs

bandcampで適当にディグってたら出てきたエモバンドで、結構ヘヴィなので曲事態はポップですがハードコアな方向からも聞けると思います。アコースティック要素強めでエモってよりはNeutral Milk Hotelスクリーモが混じっているという方がしっくりくるかも。曲少ないですがかなりかっこいいです。

 

Glitter - Life Is Not A Lesson

これもbandcampのレコメンドで知ったんですが12曲20分というどんどん曲が飛び出してくるこの感じまさしく90sのノイジーなUSインディーとか思い出すんですが、広義の意味でオルタナって言いたくなるようなジャンクギターにグッドなメロディが乗るノイズポップ集。なんとなくルー・バーロウとかあの辺思い出す感じで宅録感強めで聞いてると口角緩みます。

 

Minturn Pilot - Childhood Send 

bandcampのスロウコアタグを漁る習慣で見つけたバンドでLowercaseとかの90sジャンクロックっぽさもあるんですが、呪術的なボーカルとかも出てきてこのダークな感じはゴスとかのが近いかもしれません。

 

Pale Waves - Who Am I?

Pale Waves】近年最もブレイクしたUKロックバンド、待望の2ndアルバムを2021年2月に発売決定! - Virgin Music Label  & Artist Services | the independent music distribution and services solution

前作出したときインタビューでニュー・オーダーのカバーとかしたいと言ってて楽しみだったんですよね(まぁなかったけど・・・)。そういえば新作出るってなって次グランジかもよみたいなツイート見て密かに期待してたんですがアヴリル・ラヴィーンをリスペクトしてるってなってそっちか~となり何曲か聞いて確かに~!となって終わっちゃってました。

 

揺らぎ - For you, Adroit it but soft

揺らぎ/For you, Adroit it but soft

EPのときと全然印象が変わり、てかもうジャンルの垣根みたいのはほぼないのがやっぱデフォになってるのかなぁと感じるんですがやっぱシューゲイザーもそうで、轟音シューゲでもドリームポップ方面でもなく、どことなくアンビエンス漂いつつ自然体のまま色んなアプローチを見せててエレクトロ要素も自然と合流してきます。全体的に静寂パートが多くてギターによる轟音もあくまで飛び道具の一つって距離感がすごくよかったです。マイブラよりモグワイって言いたくなる感じ。

 

GRAPEVINE - 新しい果実

GRAPEVINE | 新しい果実 | ビクターエンタテインメント

一応リリース全作追ってるし、ライブも行ってたのでまぁまぁファンのはずなんですが、僕は相変わらず彼らがやってることが全くわからない・・・。もう参照元が普段僕が聞かない範囲のところかもしくは昇華しすぎて完全にオリジナルサウンドをやっているのか、たぶん両方でしょう。

今作、とくに意識して聞かなくても韻踏みまくった歌詞が気持ち良く頭に入ってきて「新たなフルーツ」「アダムとイブ」「あなたは食う」とか「新たな普通」「何かが狂う」とか、ユーモラスさを損なわず言葉に含みを持たせるの相変わらず天才的すぎますね。でそんな開幕「ねずみ浄土」先行公開時からずっと好きだけどどういう音楽かさっぱりわからず、どうやらネオソウルの影響大らしいです。前作もアンビエントフォークとか呼ばれてたけど、元々初期からギターロックとかオルタナとか言われてる同期とは全く違った、それこそ黒さを昇華したブルージーなロックの空気強かったですが今回もっと表に出てきてる気がします。感覚としてはSingとかRoadside Profetsとか、ちょっとスピリチュアルさ入ってきた頃思い出しつつまだ全然聞けてないんで聞きます。もっと詳しい方の全曲解説とか見たい・・・。

 

NOT WONK - dimen

NOT WONK/dimen<初回受注限定盤>

音楽趣味合う知人が今年のベストって言ってたんで聞きましたが、マジでびっくりした・・・もうエモとかパンクとか言ってる場合じゃないっしょって感じで、割と自分の音楽趣味の範囲内というか近い感覚の人がやってるバンドと思ってたら、全然遠くを見ていたというのがハッキリわかりすごいなぁ・・・と寂しさが若干ある感じです。しかもかなり好きなのがまた・・・。

TLでもフランク・オーシャンとかと比較されちゃってるし実際1曲目「spirit in the sun」からそんな感じで、「slow burning」とかも前作っぽさ残るロックからいきなりジャズとかソウル化しちゃうし・・・曲ごとに方向性がってわけじゃなくて1曲の中に全部ぶち込んでるんですよ。しかもぶった切った移行の仕方なのに違和感ないような海外ポップスっぽい太い録音でまとめられてて、意外と自然だし、歌い方もガラリと変えたわけじゃないんですがこのソウルフルさが全然違った聞こえ方になってる。これも詳しい方の全曲解説とか見たい。

 

とがる - 生きていたら逢いましょう

生きていたら逢いましょう - Album by とがる | Spotify

クリーントーンから轟音へと至る王道エモをストレートに鳴らすその直球ギターサウンドに懐かしさを覚え、そこに日本語を乗せるのをとても大切にしているのがわかるというか、とにかく歌の力強くて1曲目「散瞳不良」から涙腺に来ました・・・。シューゲイザー要素もあるので最初ちょっとエモ+シューゲと言うとスペースロック寄りかなと思ったんですがそこまで金属的な轟音ではなく、むしろ空間的な広がりの中ギターリフとかフレーズを聞かせるタイプの曲が多く「誘波」とかアウトロのギターソロがもう激エモです。言葉の延長としてのギターソロというか。

 

崎山蒼志 - find fuse in youth

find fuse in youth” 崎山蒼志 | Something Wonderfulな日には

これもTLで見かけてそういえばRSRで見たことあるけど音源聞いたこと無いなーとか思いながら聞きました。アコースティックの印象があり実際に1曲目もそうなんですが、アコギにしてはえらくジャキジャキでソリッドな音なのがめちゃかっこいいですね。そっからエレキギター入ってきたら逆にそっちはクリーントーンだったりってのも良い。

元々レディオヘッドのアルバム名冠したバンドやってたりゆらゆら帝国ナンバーガールをフェイバリットに挙げてたりしたんですが、そういう印象の音全く鳴らしてなくて、インタビュー見る感じちゃんと現行の海外シーンとか追ってヒップホップからハイパーポップまで意識したらしく、そういうのどんどん吸収してるのマジですごいなって思います。つまるところ周辺シーンや参照元を掘ってないのでよくわからんって意味ですが・・・。

 

Karate | Spotify

   

新譜じゃないけど長らく廃盤になってたKarateが今年からUnwoundやDuster等90sマスターピースを再発しているNumero Groupより再発が始まりました。毎月徐々に解禁されてて、今一番の楽しみこれで(現在4thまで解禁)、エモ化したCodeineというスロウコアとエモのいいとこどりといった作風が途中から急にジャズ化、しかもジャズを取り入れてポストロックへ・・・とかじゃなく本当にジャズそのものに寄ってくのがかなり面白いですね。あとこっち

The Loft - Ghost Trains & Country Lanes (Studio, Stage & Sessions: 1984-2015)

The Loftっていうクリエイション創設期からアラン・マッギーの盟友ピーター・アスターによるバンドで音源も少なく、サブスクだとクリエイションのコンピとかでしか聴けなかったんですが、個人的にギターポップベスト曲と言える程それが素晴らしかったんですよ。でこちらも4月にディスコグラフィを網羅したものが出てきたり・・・と嬉しい旧譜が多かったですね。

 


以上です。アイスエイジとかゴッスピとかダイナソーとかウィーザーはまだ聞いてなくて、あとTempalayとかも人気で「大東京万博」は好きだったけどアルバム収録されたんだっけか・・・。くるりも聞いたけど申し訳ないことにあまり覚えてない・・・サウスロンドン好きなのにドライ・クリーニングとゴート・ガール入ってないのもそんな感じです、出たときは聞いたんだけど。あとなんかオススメあれば教えてください。

 

あとは今月SPOILMANの2ndが出るのでマジで楽しみです。

20210705 tree/5000/スロウコア

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treeというbandcampで見つけたマジで素晴らしいスロウコアバンドがいたのですが、詳細全く不明でした。ていうかスロウコアそこまで好きなジャンルってわけじゃないけどマジでドツボにハマるのが何組かいまして、元々きっかけは僕の場合はRodanとJune of 44、あとKarateとか王道のLowとか・・・これだけでも全然方向性違いますよね。

である意味スロウコアって決まったレーベルとか地域とかがなくて各所で同時多発的に出てきた似たような音をそう形容した、というだけで、オルタナらしいというか、でもオルタナって結局グランジもポストハードコアも土着性があったと思うんで(レーベルの色とかかなり)、ある意味本当に音楽性部分だけをなぞる健全なジャンルとも言えます。てことはこのタイプのスロウコア好きだ!てのがあったとしても幅広いジャンルの中それを見つけるのは中々難しく・・・つまり片っ端から聞くしかない。死ぬ程長い前振り終わりですが、treeがオススメですという話。

 

マジで良かった。bandcampのスロウコアタグを掘っていたらジャケで惹かれるものがあり再生、日本のバンドか~となりスロウコアってよりは普通にゆったりとしたオルタナって色もあればフォーキーな雰囲気もあってかなり好きです。めちゃポップだし。そしてミステリアス、だってなんにも情報ないし・・・て感じだったのが昨年見つけたときですね。久々に見に行ったら前気づかなかったのか追加されてたのか、なんとレコーディングに「せだい」の文字が・・・。

せだいもめちゃくちゃかっこいいバンドで、一回ライブ見てるんですよ、TTUDのライブ行ったとき対バンで。割とメンバーの方が知り合いの知り合いだったりするんでもしかしてtreeも近い界隈の人が匿名で曲挙げたりしてるのか・・・?とか思って、詳細わかればライブとか見るチャンスもあるかもとわくわくしたんですが、人づてに聞いたところtreeの前身にあたるバンドが判明。

 

5000ですね。これも5000のメンバーと繋がりがある方(というか普通に友人?)がツイッターのフォロワーにいるのですがそこ繋がりで教えてもらいました。で恥ずかしながら聞いたこと無かったんですが日本の激情の中ではもう伝説的バンドらしく(てかGEZANのレーベルって時点ですごい)、聞いてみたらこれ絶対好きになるに決まってるじゃんと言いたくなるほどキャッチーでついつい耳を惹くギターフレーズの繰り返し、でしかもそのフレーズが1分ちょいで次から次へと新しい曲に繋がっていきまたどんどんリフが出てきます。爽快感ありすぎてこの高速っぷり暴力ですね・・・。

 

でやっぱり僕の敬愛するLovitt Recordsでもそうなんですが、激情系とかでハードコアやってた人達が今度は音引いてスロウコアに寄ってく(Four Hundred Years→Bats And Mice等)てのは結構王道パターンっぽいのかもしれない。tree、全く音源ないですがこのまま継続して次の音を聞けるのを楽しみにしてます。

 

ついでですがこの辺教えてくれた激情系の知人がオススメしてくれたもう一個別のバンド。こっちもヤバすぎる。

激情ってジャンルあんま知れてなかったけど、Lovittしか聞いてこなかったし、マジですごすぎる。激エモだし、僕のイメージより全然カオティックすぎないので普通にエモ聞く感覚でいけると思います。フレーズが切り替わってくところもたぶん激情あるあるなんでしょうけど、マスロックとかを聞く感覚でいけるし、bandcampでフリー公開なので他のアルバムもすごいです。是非とも。

 


追記ですが先ほどdamezumariを紹介してくれた方がSpotifyにてスロウコアのプレイリストを公開していたんですがこれが素晴らしすぎました。Codeine、Red House PainteresやLow、Duster等の大御所をあえて入れずに100曲以上あるボリュームに感服です。全然知らないのも一杯あるし大変参考になります・・・というか1曲目からヤバすぎ・・・

 

open.spotify.com

 

 

邦楽オールタイムベスト②

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前回に引き続き邦楽オールタイムベスト的なやつです。


 

Boris - Pink(2006)

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ストーナードゥームメタルの流れを汲むヘヴィロックからノイズをつきつめてドローン~アンビエントのような路線でアルバム作ることも多いBoris、実際boris名義とBORIS名義でバンド寄りの作品、実験寄りの作品と分けてきたわけですが、今作バンドですが双方の影響が出てます。初期~中期の名作「Akuma No Uta」「Heavy Rocks」で鳴らしていたヘヴィロック路線から名盤「feedbacker」での抒情的なノイズミュージック要素が融合したかのような美しい轟音、そこにエモーショナルなメロディが浮遊感増し増しでのる1曲目「決別」から余りにも名曲。僕はこれで完全にぶっ飛ばされてアルバム買ったわけですが、そしたらもう「PINK」「俺を捨てたところ」と言った本来のヘヴィ路線であるドゥーム~ストーナー色の強い爆走ノイズチューンに完全にやられました。元々メタルそこまで得意ではないのですが、今作はただ激しいわけではなくサイケデリックな質感がついて回るので所謂ハードロック的な質感があまりなかったし、あと一番の決め手はメロディーがポップなことだと思います。この音で普通に歌がキャッチーなのでめちゃくちゃ入りやすいというか、実際聞く前は敷居高いアーティストだと思っていたんですけどね。 

 

NISENNENMONDAI - Destination Tokyo(2009)

テクノやクラウトロックで得るような一定の間隔でのリズムを追求してひたすら快感に浸るっていう、あの反復の美学とも言えるダンスミュージックを全部生演奏でやりましたってアルバムでSilver Applesの現代版というか、Sucideをもっとオルタナ〜ポストパンク〜サイケデリックを通過した今アップデートしたという感じです。初期はポストパンクを爆音ノイズで塗り潰したようなオルタナ寄りの音楽をやってたんですが、後期は完全にミニマルな人力テクノとも言えるビートミュージックへ向かっていきその中間とも言えるのが今作。ギターリフを軸に反復しながらドラムもどんどんラウドになりロック的に盛り上げていくという、まさしくバンドサウンド好きのためのダンスミュージックと言えます。

そしてライブ盤である「Nisennenmondai Live!!!」もセットで是非、この時期の録音なので初期のノイズロック路線と後期のミニマル路線の中間であるおいしいとこどり、初期の代表曲や未収録シングルの「Appointment」「Fan」もやってて爆踊りできます。

 

ゆらゆら帝国 - な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い(2003)

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ゆらゆら帝国のしびれ、めまいという2枚のスタジオアルバムから厳選というかその楽曲のみで構成されたライブアルバム。とは言いつつライブアルバムの枠を超えた一種のコンセプトアルバムのような側面があり(こういうアルバム好きすぎる)とにかく1曲目からありえんくらいの音圧と爆音ファズギターの嵐に耳がやられるかと思った・・・。ローファイすぎるその録音そのものがゆら帝特有の60~70年代のガレージサイケとかブルースロックのスモーキーな空気で既存の楽曲をコーティングしてしまい、一種の新しいアレンジにすら聞こえて、冒頭二曲みたいにライブの醍醐味を詰め込みまくった爆走ナンバーから「無い!!」のようなメロウ路線はこのくぐもった録音で酩酊感増し増しになってます。個人的に「空洞です」よりも「ミーのカー」派だった自分には彼らのアルバムでベストですね。

 

OGRE YOU ASSHOLE - ペーパークラフト(2014)

OGRE YOU ASSHOLE - 新しい人(2019)

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オウガ、前回ベストとしてラムダ挙げてますが初期と後期で全く音楽性が異なるバンドなので後期の好きなのを二枚。こっちはサイケデリッククラウトロックへと接近したコンセプトアルバムだらけな時期なんですが、この「ペーパークラフト」ではミニマル路線とメロウ路線のアルバムを作ってきた彼らがそれらを融合させたいということで当時の集大成的な作品になってます。その結果CANやノイを思い出すクラウトロックのビートの上で歌ものをやるというまさにミニマル+メロウな作風になっていて、割とリズムやフレーズ自体がこの時期のオウガにしてはキャッチーで、印象的なメロディーが多数登場するというこの手の音楽にあまり慣れてなかった自分にも非常に聞きやすい作品でした。むしろこっからCANにハマるという。

で「新しい人」ですが、ペーパークラフトではミニマルメロウを作りたくて模索してったわけですが、今作はシンプルなソフトサイケな歌ものをやった結果すごく自然体な感じが出ていて、狙わずともミニマルメロウになっている気がします。どちらも大好きな作品で今聞くと非常にしっくりくるんですよね。聴き所を選ばないというか。

 

YMO - BGM(1981)

YMO - テクノデリック(1981)

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小さい頃からYMOがよく流れている家で育ったので結構馴染み深いアーティストなんですが、かと言って元々ロックが好きだったのもあり"テクノポップ"てのに馴染めず(ライディーンとか全然好きになれなかった)大分距離があるアーティストでした。どっかのタイミングで急に電子音楽とかに興味が湧いたとき何聞く?てなって家にあったYMOから掘り下げたのが自分から聞いた最初、そしたらBGMとかテクノデリックって本人達もテクノポップに嫌気がさしてお茶の間に広がってしまったからこそ「子供達をふるいにかけた」アルバムだったらしいですね。てことでドロドロの電子音や不穏なリズムに不気味なヴォコーダーまみれのボーカルとこの実験性強すぎる要素がえらくクールでかっこいいし、そもそもロックに付随したダブやサイケの要素が俺は大好きなのでそういう部分でYMOの変遷の中で一致してきたんですね。でちゃんと聞いてみるとYMOってバンド編成なのでライブ盤バリバリ生演奏だし、テクノデリックに関しては普通にバンドで録ってるし・・・。

てわけで大好きな二枚。方向性は同じでも大分違うアルバムなんですがどっちかってのは選べないですね・・・。BGMはとにかくリズムがマジでかっこよくて、「U-T」とか「千のナイフ」とかきめ細やかにビート敷き詰めてるのにその音一つ一つが濁っている感じとか、テクノデリックはダークでインダストリアルとかの要素もあるし音のループ感も増してて、あと「体操」とかは加工されてるけど生ドラムならではのグルーヴ感みたいのを感じやすくマジで最高。あと「灯」とかの狂ったように動き回るベースラインとか初めて細野さんをベーシストとして意識した瞬間でした。

 

Nav Katze - OyZaC(1987)

Nav Katze | OyZaC+1 | ビクターエンタテインメント

当時日本のポリスとも呼ばれたバンドで実際に1曲目「御七夜の夢」のイントロからもろなんですが、ただサウンド的にはポリスというより80年代中期ごろのニューウェーブ~ポストパンク寄りのもうちょっとソリッドなジャキジャキ感があってポリスよりエッジが効いてます。しかもネオアコとかとも呼応しためちゃくちゃ吹き抜けの良いギターポップが所々顔を出すのもかなり良いですね。

アルバム未収録ですがこの時期のシングル「病んでるオレンジ」がジョイ・ディヴィジョンギターポップ化したとも言える代表曲になっていて、ジョイ・ディヴィジョンもポリスも後に散々リバイバルされてくわけですが、リアルタイムでこの辺のハイブリッドをやってたのがこの時期のNav Katze。しかもこの後Aphex TwinMouse On Marsと言ったIDM勢とコラボしたりする辺りからも元祖オルタナとも言えるかも。


 

終わりです。続きもどっかで。

 

 

あとオウガの2枚は前にここでもうちょっと細かく書いてます。


butohes - Lost In Watercycle(2021)

butohes - Lost In Watercycle

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感想です。最近このアルバムについての話題が多いので一度自分の印象まとめておこうかなと。

butohes、東京を中心に活動する4ピースバンドで元々先行トラックの「Hyperblue」「T.O.L」がSNSで話題になりそのまま先日EPをリリース、そして初ライブということで丁度見る機会があったんですが本当にすごかったです。まぁ僕は先行シングルにして1曲目Hyperblueから完全にやられてしまったんですけども。最初にbandcampで出ていたSuperplumeを聞いたときElephant GymやEnemiesを想起してあの辺をもっと歌ものに寄せた感じかなという印象で隙間のあるアンサンブルメインのバンドだと思ってたんですが、Hyperblueではクリーンなギターリフを重ねに重ね音の波で埋め尽くしていくと言った曲でかなり予想外で、その中からメロディが自然と浮き上がってくるような、轟音とは違うんですがこの透明感のある重厚なギターサウンドがめちゃくちゃ気持ちよかったんですね。インスト系のポストロックっぽさもありインストと歌もののギリギリ中間を縫うような歌メロが個人的にかなりツボだったというか。

というわけでA面3曲はどこシングルカットしても問題ないようなキラーチューンで固めつつ、B面からは打って変わりエクスぺリメンタルに深く潜っていく三部作で音響面にフォーカスしていきます。ギターボーカルであるMichiro氏は同時にエンジニアも兼ねていて「Aquarium」では彼のアンビエント趣味が色濃く出たとのことですが前半の流れをぶった切らずちゃんと延長線として聞け、1フレーズをきっかけに音が誕生し轟音に至った末また冒頭に戻ってくる「zero gravity」では曲構成自体がドラマティックなのもあり非常にライブ映えのするアンセムで(生で見たとき凄まじかった)ここから吹き抜けの良い「Superplume」へ繋がるという6曲構成を生かし切った非常にコンセプチュアルな作品となってます。

ツイッターで感想を見てるとシューゲイザー、ポストロック、ポストパンク、等々言われてますが個人的にそれっぽいジャンルに当てはめるのは妙にしっくり来ず、というのも本人達も別にそれをやってるつもりは全くないとのことで参照元もとくに思いつかないんですよね。ある程度音楽的なバックグラウンドを前提としつつその奥が見えてこない・・・という意味では同じく突然変異的に出てきたPeople In The BoxDownyを思い出すし、それらと音楽性が似てるわけではないんですが、やってることが結果的に「ポストロック」としか形容できないという立ち位置に近いものを感じるというか。重厚にも関わらず全く聞き疲れのしない透明感があり、この音の波に身を任せ浮遊する感じは王道とは外れつつもシューゲイザーと形容したのかなという気はします。

とは言いつつSCLLっぽいというツイートを見かけて確かに!となったり、Mercury Programっぽいってツイートを見て言われてみればHyperblueが結構Chez Viking期っぽいフレーズ出てくるかもなとなったわけですが、どんな方向に行くか楽しみなバンドではありますが上記の面々に引っ掛かる方は是非とも。B面での実験的な方では初期múmとか好きな方にも引っ掛かるかもしれません。あとは知人のsora tob sakanaファンの方が解散ロスの中それ以降聞いたバンドの中で一番しっくり来たと感動してました。まぁ確かにポスト残響としてマスロック~エモ~ポストロックを横断しつつ徐々にエレクトロ化していったって意味ではどっか掠るとこあると思います。てか単純にベーシスト兼作詞のFg氏が照井さんの大ファンなのでリンクしまくりますね。

 


discography⑥

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アルビニ録音で好きなやつというかアルビニ本人のバンドとかでも好きなやつを選んでます。


 

Big Black - Songs About Fucking(1987)

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ツイッターで流行っていた80sベストって言葉を見てぱっと思いついたアルバムこれとMission Of Burmaでした。インディーシーンの立役者ことスティーヴ・アルビニの原点となるバンドで、ドラムマシンによる暴走するマシーンビートにジャンク感たっぷりの超ノイジーなギターを乗せて爆走します。音割れというかもう半分以上ノイズでしょというくらい爽快感がありここにまたアルビニのキレた咆哮が乗るのでとにかくかっこいいです。ボーカリストとしての彼が一番映える作品これだと思います。

80年代前半の初期作聞くとポストパンクとかノーウェーブの流れのバンドに聞こえてP.I.Lとか引き合いに出される感じでしたが、今作は普通にハードコア色強くて金属的なドラムマシンやノイズ要素からインダストリアルともリンクしてきますしMinistryとの同時代性もありますね。Slintの1stのジャンク~ノイズロック感とかは割とBig BlackRapemanの系譜感じますね。

 

Rapeman - Two Nuns And A Pack Mule(1988)

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久々に聴いたんですがマジでかっこよすぎる・・・もう圧倒的というかたった一年で解散してしまったバンドですが、Big Black解散後にアルビニがScratch Acidのリズム隊とともに結成した新バンドで本当に凄まじいです。基本的に後期Big Blackのノイズロックをドラムマシンではなく生演奏で再編成した・・・て感じですが、ドラムマシンがないのであの高速な爽快感は無くなり生ドラムのフレーズ一発一発がとにかく重く、序盤の「Monobrow」「Up Beat」ではドラムのテンポが途中で変化しそれに合わせて各リズム隊も縦横無尽に動いたり・・・ともうBig Blackとは全く楽しみ方が違います。そしてこのカラッカラに乾いた拡散しまくったノイズギターの嵐がマジで凄まじい。

Rapeman解散後にメンバーがそれぞれ分かれて活動するShellacとJesus Lizardはかなりこの時点で通じるところがあるというか、原型と呼べるものはここでできたんじゃないかとすら思うんですが、どちらも洗練されすぎてる中こちらは各パート衝動増し増しでぶちまけてる感じがあり、ジャンクロックとして聞くのならこれ以上のものはないです。

 

Shellac - At Action Park(1994)

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現在も活動中のアルビニのバンドで僕はこのバンドをきっかけにこの辺にハマっていきました。未だによく引っ張り出す愛聴盤で、アルビニについてPixiesとかNirvanaとかのプロデューサーとしてしか知らなかったのでバンドやってたんだ?というのもShellacから知ったんですが、実際にRapeman解散後Shellac結成までの1988~1993年辺りの空白はプロデュースがメインでやってたのかなぁとも思います。この間に心当たりのある名盤いくらでも出てるし。

で1st、Big BlackRapemanで見せたジャンクとも言える破壊的ギターサウンドはなりを潜め、むしろカラカラのノイズギターをそぎ落とし収束させたようなギターでジグザグと反復するリフとそこに絡んでくるリズム隊を聞くという今までと比べると大分ミニマルな作品で、変拍子も多用し完全に個性の塊で3ピースの究極というか、もう楽器同士の会話を記録しているとすら言いたくなりますね。1曲目いきなりイントロからあの「針金を引っ掻いて空気の振動でギターが鳴ってる」と言うジャリジャリとした空気感そのものが音に出てて、この密室感はアルビニ録音のビジョンそのものというか、本人の美学が詰まってるんだろうなと思います。

余談ですが、僕はナンバーガールがSappukeiを作るにあたってこの辺に影響を受けたという話を聞き開幕「My Black Ass」から圧倒的な緊張感、そしてギター音が裏返ったときの激カタルシスに衝撃を受けこの後ハードコアに目を向けるようになったんですが、「The Admiral」辺りのドラムのビート感がナンバーガールにもろ引用されてるものだったり、そのまま54-71にももろに繋がる感じですね。

 

Shellac - Terraform(1998)

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名盤2nd。1曲目「Didn't We Deserve A Look At You The Way You Really Are」が12分淡々とワンフレーズ繰り返す曲で緊張感を維持して煮え切らないまま終わり、吹っ切れたように2曲目以降からは3分前後の衝動まみれの激しい演奏が続くという振り切ったアルバム構成。そのフラストレーションを溜めてからのカタルシスの連続が余りにも気持ちよく、やっぱアルバムで聞くのっていいなというのを再確認することとなったアルバム。個人的に彼らのベスト作です。というか「Disgrace」「Canada」もミニマルにフレーズを紡ぎつつ爆発していくのかっこよすぎ。この辺のBBCライブ盤の「Canada」でのテイクがマジでヤバイので是非とも。こっちはZAZEN BOYSとかがかなり影響を受けてると思われます。

 

Shellac - 1000 Hurts(2000)

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lastfmやサブスクの再生数見ると彼らの一番の人気作これっぽいですね。今までのアルビニのボーカルはいつもスポークンワーズと歌の中間+シャウトともとれるものだったのが1曲目「Prayer To God」から珍しくしっかりと歌っていて鈍器のようなビートの上で爆発させていきます。「Canaveral」も歌ものっぽいし「Song Against Itself」も割とポップなんですが、逆に今まで以上にノイジーな曲もあったりと基本は今までの延長ですが今までの鋭利な作風から少しずつ拡張されてる気がします。緻密なセッションで練り上げるというより感覚的なセッションで曲を作ってるようなので当時のモードが反映されてるのかもしれません。

 

Jesus Lizard - Goat(1991)

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Scratch Acidで活動していたデヴィッド・ヨウ率いるTouch&Goを代表するバンドで名盤2nd。元々彼らを知ったのはグランジオルタナまとめサイトニルヴァーナとスプリットを出しているとのことで、まぁ大きく勘違いしてしまったわけでグランジバンドとは全く色が違いますね。グランジ的なハードロックやブラックサバス由来のヘヴィネスとは全く異なるおどろおどろしさがあり、むしろアンサンブル自体はスカスカでポストパンク~ハードコアの流れで聞くバンドかと。

とにかくこのバンドと言えば圧倒的存在感を誇るデヴィッド・ヨウで、彼の化け物じみたボーカルはとにかく酩酊感がありこんなボーカルいたら一人で全部もってっちゃいそうなんですがそうもいかず、リズム隊各パートのフレーズ、音色ともに圧倒的個性を持ってるのがジーザス・リザードのすごいところ・・・。というかアルビニ録音マッチしすぎだし、Rapeman経由して別れてるので単にプロデューサーとして以上に関りが深いってのもあると思いますが、アルビニ録音ありきだろって思えるくらいデカく録られているドラムの存在感半端なくこれを中心に進行していきます。ここにデュアン・デニソンの地をのたうち回りたくなるような不穏なギターとこれまたアルビニらしい音の太さよりも切れ味の鋭さメインなベース音が乗るという、混沌とした世界観は唯一無二。

 

Jesus Lizard - Liar(1992)

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開幕「Boilermaker」から爆走していくんで前作にあったじわじわとまとわりつくような雰囲気とはまるで違い、とにかく爽快感ある1曲目に今聞いてもかなりびびります。Goat収録の「Mouth Breather」とか好きだった人にはヤバイでしょう、てかそれ僕ですが・・・。前作より激しいし速いしで割と聞きやすいですがフレーズとフレーズの隙間が見えるおかげでリズム隊が非常に映えるのは勿論変わらず、ドラムのキレキレっぷりは更に増していて個人的にMinuetmenとかGang Of Forとかの流れでも聞ける気がします。というよりScratch Acid時代まで遡って聞くとあの頃のデヴィッド・ヨウのボーカルってゴスとかポジティブパンク感が結構強くて、グラムロックとかも好きなようなのでその辺がハードコアやノイズロックを通過した・・・というのが彼らなルーツな気がしてきますね。ちょっとBauhaus思い出すとこもあるし。

 

Uzeda - Different Section Wires(1998)

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イタリアのバンドですがTouch&Goでアルビニ録音。Big BlackとScratch Acidのメンバーが合流してRapemanになりそれが分離してShellacとJesus Lizardになった・・・という変遷を辿ってきたわけですが、これらのバンドが好きならまず間違いないってバンドがこのUzedaですね。まぁほんとにShellacとかを連想する縦横無尽な曲展開に半ポエトリー+シャウトとも言えるボーカルが乗ってくわけですがShellacと比べても超ノイジー。とにかく濁っていて汚水とも言いたくなるようなジャンクなギターノイズで埋め尽くす1曲目「Nico And His Cats」からかっこよすぎですが、不定形の歪んだギターリフをドラムが繋ぎとめてく感じがドラムで聞くノイズロックって感じです。

ちなみにUzedaの主要メンバーである二人は後にDon Caballeroのリーダーであるデーモン・チェと組んでBelliniを結成、この辺のTouch&Goやアルビニ録音のバンド達がどんどん合流していくのが個人的にかなり好きなとこです。

 

 


 

昨年ナンバーガールのライブ見たのをきっかけにこの辺の熱が再燃しShellac聞きまくってました。あと

この記事Rapemanについて書いている全ての文章で一番好きですので是非。

 

Don Caballero周辺はアルビニ録音+Touch&GoであとRodan~June of 44~Shipping NewsのほとんどがアルビニのスタジオでShellacのメンバーであるボブ・ウェストンが録ってる上に、レーベルもTouch&Go及びその傘下のQuarterstick Recordsで、この辺のシカゴ~ルイヴィルの布陣というかシーンが僕はもうほんとに好きすぎる。

 

discography⑤

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以前Slint影響下のバンドをまとめてたら(discography④)元コンセプトから外れないまま徐々にDon Caballeroっぽくなってくの面白いなと自分で言ったんですが、ハードコア~ポストハードコア~ポストロックという変遷を辿ったという意味ではSlintやRodanと直接的な絡みはなくともかなり同時代性があり、後のマスロックやポストロックの原型を作ったバンドですね。

てわけで流れで全作聞き返し・・・そしたら3rd派だったのが今の僕は完全に4th派になっていたので感想+適当に周辺バンドで好きなやつです。


 

Don Caballero - For Respect(1993)

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ドンキャバと言えばやっぱりマスロック~ポストロック元祖としての緻密に組まれたセッションによるインストバンドの印象が強く、ジャズ要素も強かったりでキング・クリムゾンと比べられたり、あと曲が長尺なイメージがあったりもするんですが、1stはあまりそれに当てはまらずとにかく疾走感溢れる変則ポストハードコア~マスロックオリジネイターとしての名盤で超ヘヴィです。というかシンプルにメタリックなギターと手数の多いドラムがぶつかり合いどんどん加速してく熱い曲だらけ頭空っぽで聞いてめちゃくちゃかっこいい作品というか、ロック的衝動たっぷりですね。あとアルビニ録音。ちゃんと後のドンキャバに繋がりつつ最もシンプルで、短い曲ばっかなのも印象的。Oxesとか初期Tera Melosとかのマスロックはこのアルバムが一番近いかも。

 

Don Caballero - Don Caballero 2(1995)

DON CABALLERO 2 /DON CABALLERO/ドン・キャバレロ/現BATTLESメンバーも在籍していたUSポストロック  ・バンド1995年リリース2ndアルバム / 名盤|ROCK / POPS /  INDIE|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net

前作から引き続きメタリックで硬質なギターを全面に押し出しつつ曲が拡張されまくっていて10分くらいの楽曲だけでも3曲あります。で曲展開も一辺倒ではなく何部構成にもなっていて、まだ3rd以降はその後のポストロック要素というか本格的に実験的になってく(むしろなりつつキャッチーさを損なわなかったのが彼らの一番すごいとこかも)わけですが、2ndということで1stの衝動たっぷりのまま複雑になってたという絶妙なバランス。というか彼らの90年代の作品って本当に全部名盤だし、ちゃんと前作、次作を繋ぎつつマンネリ化しないのがすごいです。

 

Don Caballero - What Burns Never Returns(1998)

Don Caballeroの「What Burns Never Returns」をApple Musicで

で3rd、完全にDon Caballeroのイメージを確立させた名盤で1曲目の「Don Caballero 3」から今後の彼らのスタイルの王道、ジャズ色もかなり強まってるんですがその中でも所謂"ポストハードコア"的な硬質でタイトな質感が残っててめちゃくちゃかっこいいです。インプロ色強そうでいてその実全部計算通りでやってそうな緻密な曲展開、その展開の鍵を握るバンドの創始者にしてリーダーであるデーモン・チェのドラムがとにかく音、フレーズともに極上で、彼が曲の中心であったことがよくわかる作品になってます。

他にもライブ盤でもお馴染みの「In The Abscence Of Strong Evidence To The Contrary, One May Step Out Of The Way Of The Charging Bull」「Delivering The Groceries At 138 Beats Per Minute」など代表曲目白押しですか、どれも1stが2ndに至るまでに拡張されたプログレッシブな展開をしつつメタリックなギターサウンドも所々残ってる・・・という感じでただメインというよりは"カラフルな曲展開の内の一つ"という具合に収まりかなり聞きやすいです。総まとめとも言えるし重かった1st~2ndと完全にポストロック寄りになった4thのいいとこどりをしてるとも言える作品で「Slice Where You Live Like Pie」はもうベストトラックなんですが、リフもキャッチーだし音色も抒情的で後の名作American Donへ繋がってったのがわかります。American Donと並んでオススメ、というかセットでどうぞ。既にミニマルな要素強いですがより硬質なのがこちら。

 

Don Caballero - American Don(2000)

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代表作。ジャケも有名でTouch&Goの顔とも言えるアルバムでアルビニ録音の名盤としても有名です。でまぁ完全にマスロックで、ディストーションが効いたへヴィなギターリフなどの要素はもうほとんど前作においてっちゃってるんですけどね。名曲「The Peter Criss Jazz」はタイトなセッションやアンサンブルを聞かせるというより、完全に空間に浸透していく音色を聞かせるといった方向にシフトしたルーパーとポリリズムを駆使したギターリフの繰り返しでどんどん世界観を広げていきます。こういう広がってくスケール観をアルビニの密室感ある音であえて録るというのが非常に箱庭的で割とこの手法後のポストロックにも繋がるし、同年にMogwaiアルビニ録音を出してたりと同時代で共振していたと思います。

以前聞いたときはやっぱ歪んだギター多い方がいいっていうシンプルな思考で3rdをよく聞いててこっちは難しい印象あったんですが、むしろ曲を印象付けるリフやフレーズはこっちの方がキャッチーでわかりやすい気もします。「You Drink A Lot Of Coffee For A Teenager」「Details On How To Get Iceman On Your License Plate」とかは抒情性たっぷりで複雑なのにフレーズもキャッチーですんなり聞けるし何より展開も音色もめちゃくちゃエモいしで、割とシカゴ音響派キンセラ兄弟とも関連付けて「ポストロック」として一番聞きやすいアルバムかも。

ギタリストであるイアンがバトルスで有名になったのもあってよく前身として語られるのを見ますが、バトルス的な電子音ともつかずのギターの音色や細やかなフレーズは今作が一番近いですかね。と言ってもドンキャバは全作デーモンのドラムの存在感が圧倒的で彼のイメージを具現化するためのバンドというイメージがあるので、イアン一人であまりバトルスと繋げるってのはちょっと違うかもなとは思うんですが、セットで聞きやすいのはわかるかも。

 

Storm And Stress - Storm And Stress(1997)

ドンキャバとメンバーほぼ被ってますがめちゃくちゃ実験的な作品。というか中心人物であるデーモンがいないので別物、イアンのギターは確かに近いけど曲構成がめちゃくちゃ実験的で、とにかく手数多く突っ走るドラムの上でそのリズムを無視したギターのフレーズも非常に不規則といいますか、形を保っていないような各パートのフリーセッションの塊・・・フリージャズとかのが近いんですかね。ちなみにアルビニ録音、イントロ前のまるでスタジオ内で楽器をやりくりしているのを目前で見てるかのような臨場感があります。どの音も誇張して来ず音の実験のようなとこもあり、Gaster Del SolとかJoan of Arcとかのが近いかもでそれと近いような音響メインというか、音の隙間の空間に浸るというような聞き方がしっくりくるかも。

 

 Storm & Stress - Under Thunder and Fluorescent Lights(2000)

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2ndということでプロデューサーがアルビニからジム・オルークに代わり、ギターフレーズがよりミニマルで録音もアルビニの硬質なものから大分丸くなってるためポストロック感はこっちのが強く、録音による楽曲の雰囲気を聴き比べるのもめちゃ楽しいですね。で割と歌の比重高めに感じるのもソフトな録音だからこそか?あと1曲1曲の時間が割と短め・・・なんですがかと言ってインプロ色が減ったとかそんなことはなく、むしろギターのフリーインプロ感は更に高まってるような・・・というか00年代以降の所謂「マスロック的」なキメ細やかなフレーズの応酬というか、ああいうリフってこう生まれてったのかなというのが垣間見えるようなナチュラルなセッションのワンシーンをまるごと保存したような曲が多いです。

 

Hella - Hold Your Horse Is(2002)

そしてHella、ドンキャバをオリジネイターとしてマスロックの祖とするなら(本人達はその呼称を嫌ってますが)その後00年前後に出てきたHella、Sleeping PeopleやTera Merosと共にドンキャバ以降のマスロックを代表するバンドでこん中で一番好きですね。ギターとドラムの2ピースながら完全にやりたい放題に二人して暴れまくってて、カオスというよりもう暴走って感じのこのドラム最初打ち込みかと勘違いしたし、ギターも攻撃的なリフを連発しまくってて崩壊寸前なんですが、所々エモーショナルな展開が盛り込まれているのがまた熱い。

このザック・ヒルVSスペンサー・セイムという個性のぶつかり合いがマジで好きなんですが3rdではなんと2枚組、しかもそれぞれのメンバーが主導権を握って片方ずつ好きにやる・・・てのもかなり面白いんですよね。4th以降はボーカルを入れたりメンバー増やしてマーズ・ヴォルタとかに寄りつつメロディアス化してくわけですがなんだかんだ活動休止(?)中。

 

Creta Bourzia - Memories Of Earth(1998)

Creta Bourzia – Memories Of Earth (1998, CD) - Discogs

ピッツバーグというDon Caballeroと同郷のバンドで、リアルタイムで彼らの躍進を目にしながら憧れ相当影響を受けたとのことです。Don Caballeroは一度解散、そして再結成時に中心人物であったデーモン以外メンバー総入れ替えということで、なんとこのCreta Bourziaのメンバーが加入・・・てかそのときのインタビューで知って調べたらbandcampにあったんで最近聞いたんですが、1stのドンキャバをもう少しギターリフ主体に切り替えたマス寄りポストハードコアという感じです。こっちはボーカル有り。やっぱDischordとかとは距離あってかなりメタリックな質感、ドンキャバ再結成後の正体が見えてきます。個人的に復活後ラウド寄りのドンキャバにあんましっくり来なかったんですが、今までの続きとして聞くよりCreta Bouziaと初期Don Caballeroのハイブリッドって感じだったのかも・・・

 

 


以上です。再結成後のドンキャバはぶっちゃけ余り聞き込めてなく(ライブ盤はよく聞きますが)、HellaDon CaballeroからSpotifyが高確率で繋げてくるのとあとblack midiとか話題作聞いてると所々思い出すことあるんでよく聞いてました。